ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

風と虚無の使い魔-11

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匿名ユーザー

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「キュルケにしてはなかなか趣味のいい店だったじゃない」
「ルイズにはもったいないくらいの店だったわね」
「なによ、ツェルプストーとヴァリエール、どっちが上かわかってないようね?」
「あら、そんなわかりきったことゼロのルイズでもわかってると思ってたわ」

三頭の馬の横をシルフィードが並んで飛行している。

夕日も沈み、明かりはほとんどない。
故に、学校の明かりがよく見える。

「きゅいきゅい!(翼よ!あれがパリの灯だ!)」
シルフィードが明かりを見つけて鳴く。
「到着」

馬を御者に預け、校庭を横切ろうとする。

「ふう、今日はほんと疲れたわ」
「あんたなんて二回目に負けただけじゃない、一番の功労者はタバサ連れてきた私よ」
「キュルケなんかカード触ってすらいないじゃない!」
「・・・・・・あの、お取り込み中悪いんですがメイドの寮は裏側なので私はここで」
「ああ、うん。わかったわ、楽しかったわよ」
「ええ、私たちもね」
キュルケ達も笑って返事をする。

「そういっていただけると光栄です。それでは、いい夢を」
シエスタは暗闇に消えていった。

「ふぁーあ、私たちもとっとと寝ましょうか」
三人は寮に向かって歩き出す。
「では俺も寝させてもらおうか」
「じゃあね、ワムウおやす…ってもう居ないし」

ワムウは風のように森の方向へ飛び去っていった。

「前から思ってたけど……ルイズ、あなた色々と大丈夫?」
「大丈夫、ってなにが?」
「あんなの使い魔にしてよく平気でいられるわね」
「慣れよ、慣れ」
「だってあんな大男、歩くだけで今みたくドシンドシンって音がしそうじゃ……この音、どっから鳴ってるの?」

どこからか地鳴りのような低い音がする。
「あっちの方から聞こえる」
タバサが宝物庫の方を指す。
「宝物庫の方ね……行ってみましょう」

宝物庫の横に巨大なゴーレムが立っており、壁を殴打していた。

「な、なによあれ!」
ルイズが叫ぶ。
「誰か人が倒れてるわ!」
ゴーレムの横に倒れている人を見つけ、タバサがシルフィードを呼び出す。
「乗って。助けに行く」

全員が飛び乗り、倒れている人影をシルフィードの上に拾い上げる。
「あなたは…オールド・オスマンの秘書のミス・ロングビル?」
「は、はい…あのゴーレムが急にあらわれて、私が近づいたらゴーレムに攻撃されて……
たぶんあれは、あの『土くれのフーケ』に違いないですわ!」
ロングビルはぶるぶると震えていた。体は外気に晒されていたせいか、冷たかった。

「あの『土くれのフーケ』!?ってことは宝物庫の宝を狙ってるに違いないわ!」
そうしてルイズは杖を抜き出し、シルフィードの上からゴーレムを狙って魔法を唱える。
「『ファイヤーボール』!」

しかし狙いから逸れ、宝物庫に穴が空く。
その穴から土くれのフーケとおぼしき人影が入り込む。

「なにやってるのよルイズ!」

シルフィードを穴に近づけようとするがゴーレムが腕を振り回し、近づけない。
そうこうしている内に、人影はなにかをひっつかんだまま再びゴーレムに乗り、校庭を身軽に突っ切っていく。

シルフィードを駆って追いかけるが、校庭の真ん中のあたりで、ゴーレムは崩れ、メイジはいなかった。


 * * *


翌朝。
「それで…君達とミス・ロングビルが犯行の現場を見ていたわけだね?」

校長室に呼び出されたルイズ、キュルケ、タバサ。
厳重に管理されていた『破壊の杖』が盗まれたとあって、学校は混乱していた。

「はい、あの校庭にある土の塊が元はゴーレムで…タバサの使い魔で追いかけていたんですが、
ゴーレムが崩れたときにはフーケらしき人物はもういなくて…」

「ああ、なんたることだ!これもミセス・シュヴルーズが当直をしなかったせいだぞ!どう責任をとるんだね!」
昨晩の当直であったミセス・シュヴルーズを教師の一人が追求する。形骸化しているとはいえ、
彼女が一応当直であったのは事実だった。

「これこれ、ミスタ・ギトー君、あまり女性を苛めるでない…それに、幸運が一つある」
もったいぶるようにオールド・オスマンは話を止める。

「オールドオスマン、幸運とは何なんでしょうか?」
ルイズが尋ねる。

「あの『破壊の杖』は使い方が普通の杖に比べ複雑でな、使い方はわしとわしのある友人しか知らん。わしは自衛できるし、
そのもう一人の友人さえ守ればただの棒っきれにすぎん。珍しい形状じゃから売るのも苦労するじゃろうしな」

オホン、と咳をし続ける。
「そして、わしが頼みたいのは……そのもう一人の友人の護衛じゃ、フーケ討伐ならともかく、一見関わりの無い者の
護衛となるとやはり自前でやらねばならない。誰か、名乗りをあげるものはおらんかね?」

教師たちは誰も手を上げない。
オスマンはため息をつく。
「仕方が無い、嫌かもしれんがミスタ・コルベ…」

そんな中三人が話しに割り込む。
「私がやります!」
「やれやれ、ルイズがやるなら私も負けられないわ」
「心配」

コルベール先生が叫ぶ。
「君達はまだ生徒じゃないか!」
「あら、だって誰も出ないんですもの。こんなチャンス、ツェルプストー家の娘として逃せませんわ」
「私もよ!目の前でみすみすと盗まれて、それっきりなんて言えないわ!」
「仕方ない、では頼むとしようか」

それを聞いてすくっとロングビルが立ち上がる。
「オールド・オスマン、念のため御者としてでも私を同行させてください。私もフーケの犯行を目撃した身、
なにもやらないでのうのうとしているなんてできませんわ」
「そうか、ではよろしく頼むぞ。君たちのことは伝書鳩で先方に伝えておく。昼間までに用意しておいてくれ」

「わかりました、この任務、ぜひとも成功させて見せます!杖にかけて!」


オスマンがサラサラと書き上げた手紙を伝書鳩にくくりつける。
空の彼方へ伝書鳩は飛び立って行った。

 * * *


一人の男が伝書鳩に気づく。
「む……あれはオスマンのサウェジガーデンではないか!」

鳩についている手紙をとり、水と餌をやる。
「なになに、破壊の杖…なにッ!我が軍の結晶であるパンツァーファウストが盗まれただとッ!」

男は読み進める。
「ふむ、護衛が四人、ルイズ・フランソワーズ……フフ、皮肉なものだな。総統を護衛する役目の俺と武器の使用法が
護衛されるとはな……だが、俺の体ならば護衛などいらんと思うのだがな…まあ可愛い女性が来るというのはそれはそれで嬉しいがな…」


伝書鳩は、再び空へ舞い上がった。


To Be Continued...

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