ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ジョルノ+ポルナレフ-8

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匿名ユーザー

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あ、ありのまま今起こったことを話すぜ!

ある日私は亀をマジシャンズレッドに運ばせて散歩していた。
とてもいい日和だった…日の光は燦々と降り注ぎ、海が近いと聞いてからどこか、微かに潮の香りを孕んでいるように感じられる風が吹き、木々が擦れあう音をBGMに、舎弟にしたオーク共が運んでくる果物を平らげていた。

だが…よりによってそこをガキどもに見つかり私は逃げた。
捕まったら玩具にされるのは目に見えていたし、部屋まで見つかったらどーなることか考えたくもない。
だがその時、私はまた見覚えのある鏡のようなものが正面に現れ、私は勢いを殺せず入り込んじまった…余所見運転は良くないってことだな。

……な、何をいってるのかワカラネーと思うが、私にも何がおきたのか分からなかった。
偶然とかジョルノ謀ったなとかそんなちゃちなもんじゃねー…もっと恐ろしい運命のいたずらを味わったぜ!

いつまでもそんな事を言っている場合でもない。
混乱する頭のまま私は亀の中からマジシャンズレッドを出した。周囲を警戒させる為だ。

どういうことかは理解している。私はこの魔法を知っている!
二度目だからな。
ジョルノがテファから聞き出し、あれがサモンサーヴァントという魔法である事は知っている。
使い魔を召喚する魔法を使い、テファは友達を作りたかったらしい。
ジョルノが言うにはマチルダお姉さんがテファの護衛になる生物が召喚されればいいと考えて教えたようだと言っていたが…が、そんな理由で召喚する奴が何人もいるとは思えない。

恐らく、今回は文字通り使い魔を作る目的のはず…必ず近くに私と亀を召喚した野郎がいるはずだ。
周囲は騒がしかった。周りには数十人の人間…皆ローブやらマントを着て杖を持っているところからするに、コイツら全員がメイジか。
リアクションからするとジョルノがスタンドが見える人間がこの世界にもいるかもしれないと危惧していたが、どうもここにはスタンドが見える奴は一人もいないようだが…

この世界の人間が使う魔法は杖が必須だとも聞いている。
だから私の近くにいて杖を持ってる奴が召喚した奴ってことになるんだがこれじゃあ見分けが付かん…!

私は愕然とした。
皆もってるじゃねぇか!!と。

だが判断しないことには始まらない判断する為、私は周りの奴らの会話を聞き取る。
どーやらこいつらにとって亀が召還された事はかなり意外だったようだ。
そして周囲にいる連中の視線の先には、微かに杖を持った手を震わせている子供がいた。

コイツか。
可愛らしい顔をしているが、背丈と控え目に言って包容力0な体格からして、多分ジョルノより年は下だろう。
もう一度周囲を伺い、周りの連中の態度から判断するに、やはり召喚したのはコイツだな。

そう結論した私には二つの考えがあった。

一つはこのまま使い魔になる。
もう一つはある一族の伝統に習って逃げる。

娘が何か唱えながら近づいてくる。
このままキスして契約完了するつもりなんだろう。
あまり時間はない…

私が選ぶべき道は…私と亀だけが心地よく感じる道。

急激に曲がりまくり、だが遮るものは何もない、そんな道だ。

そこには光が見えるはずだ。光の中へ…だがしかし、光が見えない時はどーすりゃいいんだ?


私には光なんて見えなかった。
ただ草が生い茂る草原が見え、遠くに塔等の建物が見え…
空を仰げば太陽は輝いているが、何の慰めにもならない…む、ピンクか。
『SUKIYAKI』の歌詞の通り、人は上を向いて歩かなきゃあならないって事を言葉じゃあなく視界で理解したぜ!

い、いや…違う!私はロリコンではない…!

何がかはとりあえず置いておくとして、もう迷っている時間はなくなったようだ。
仕方ない。せっかくだからジョースターさんを見習って逃げさせてもらおうかと、一瞬考えた。

だがその時!

ナイスガイな私は三つ目の道を思いついた。

「マジシャンズレッド!」

叫んで呼び出すのは鳥頭な我が相棒。
俺を何度も助けてくれた男、アヴドゥルが俺に力を貸してくれているのだ。

私は急いでマジシャンズレッドに周囲を見させながら手元に戻す。
マジシャンズレッドが戻り、手を凝視するその間に娘は私が入っている亀を持ち上げた。

何をしようとしているのかわかっている。
娘の唇が亀に近づいてきた。
このままキスされては不味いぜ!
だがスタンドとは出来て当然と思う精神力…!
私は娘がキスする瞬間、! 
素早くぺらぺらにしたマジシャンズレッドの指を、娘と亀の間に挟んだ!

そして亀にはすまねぇが、周りの使い魔どもに刻み込まれたタトゥーのパーツを適当に組み合わせたものを、亀の左前足に焼き印する…!

やばい、ちょっとミスったか?

控え目に言うと頭が眩し過ぎる男が横からきて亀を覗き込んだ。
正確には今私が刻み込んだタトゥーをだ。男はニッコリと微笑んだ。
緊張していた娘の顔にも笑顔が広がっていく。

「おめでとう、ミス・ヴァリエール。こちらは一度で成功したようですね…ふむ、珍しいルーンだ。それに甲羅に鍵、か…ふむ珍しい」


やれやれ、どやらうまく行ったようだな。

「いいから下ろしてくれ」

亀の中でガッツポーズをとった私はそのまま好奇心でハゲ達に鍵を触られる前に抗議する。

「「亀がしゃべった!?」」

おっと、契約しても亀は喋れないのか。
一部の生き物だと人間の言葉を喋れるようになると聞いてたんだがな。
どう言い訳するか考えてみても、理由が思いつかない。

そうだっ! 逆に考えるんだ。
私が理由を考える必要はない。考えるのはコイツラに押し付けてしまえばいいと考えるんだ!

「ご主人様、あんたが契約したからじゃないか」

まぁ多分、これで誤魔化せるだろう。ここに呼ばれてからの自分の機転に惚れ惚れしながら私は二人が次にどうするかを見る。
ミス・ヴァリエールとか呼ばれた娘はハゲを見上げた。

「先生、そうなんでしょうか?」

自分の知識では確証が持てないのだろう。
ハゲを見上げるその視線からは疑問に答えが出ないのが見て取れる。
それに引き換えハゲの方は堂々としたもので、全く戸惑った様子は無かった。

「さあ? 私の知る限り契約した亀が喋ったという事例はありませんが…こうして喋っている以上そうなんでしょうな」
「そんな適当な…」

ナイスだぜハゲ。お前は色々な意味で輝いてる。
私の口には出せないエールを受けたハゲの視線が一瞬凄みを帯びた。
こ、この視線はまさか…気付いたのか!?

「誰かが私をハゲなどと言う極めて不遜な! 私達には相応しくない非!貴族的な呼び方をしたような気がしたが、気のせいかな?」

ハゲが何かブツブツ言いながら亀とミス・ヴァリエールを観察している。
ミス・ヴァリエールも目を伏せ、決してハゲとは目をあわそうとはしない。
他の者もだ。私は戦々恐々としながら、息を潜めてそれを眺めていた。

「…君が使い魔を提供してくれるというなら調べようもあるが、どうしますか?」
「おい娘! コイツ私を解剖する気だぞ!」
「娘じゃないわ! ご主人様って呼びなさい!…すいません。コルベール先生、提供する事はできませんわ」

偉そうにわめいた後、取り繕いながら娘はハゲ・コルベール・センセイに断りを入れた。
これ以上にないほどうまく行っている気がする…まさかこれがちょっと前にジャポネーゼの一部で流行ったというずっと俺のターン!?

冗談は兎も角、ジョルノが見つけてくれるまで、なんとか誤魔化し通さないとな。
しかし向こうは戦争が始まっちまってるし、土地勘もない。
逃げても私もやはり土地勘は0! 
しかもメイジ100人とかに追われちまうかもしれない…暫くは使い魔の振りして過ごすしか、ないのか?
前途多難に私はちょっと落ち込んだ。

眠る前にフランス語版『鼻をなくした象さん』を読んだら、ぐっすり眠れた。



その頃のアルビオンでは、戦争の情報などを手に村へ戻ってきたジョルノが亀がいなくなった事を聞いていた。
説明をするにつれ微かに表情を変化させるジョルノに、子供は震えていた。
コロネを怒らせるとどうなるか既に経験済みの態度だった…ジョルノはそんな彼らの上を視線で撫でつけちょっと威圧する。
実に楽しそうにテファには見えたという…勿論、ジョルノの心なんて全く読めないので多分自分の妄想とテファは思うようにした。

「亀がいなくなった?」

珍しくその声は戸惑っているような印象がして、テファは子供達がしでかしたことに余計に申し訳ない気持に陥る。
ジョルノは、亀を大事にしていたんだと気付いたような気がした。

「うん、子供達が言うには、亀が空を飛んで鏡の中に入って行ったって…ごめんなさい」
「何がです?」

不思議そうにするジョルノにテファはオーガを従えて宴を繰り広げていた亀を子供達が追い掛け回した事が事件の発端らしい事を説明する。
話を聞いたジョルノは爽やかな笑みを浮かべていた。
見ればその追い掛け回した当人達らしい子供達が不安そうにしている。
何をされるのかわからない得体の知れない恐怖に身を縮こませているようにジョルノには見えた。

「別に怒ってはいませんよ。どちらかというとその亀が悪いようですからね」

子供らの顔に笑顔が浮かんできたのを見てテファが言う。

「でももう生き物を追いかけ回したりしちゃダメよ?」
「「「はーい」」」

威勢良く返事を返し子供らは二人から離れていく。
残された二人は亀の事を思った。

テファが思い出すのは風呂を炊いてくれた亀。
ちょっとした火が欲しい時用意してくれた亀。
ジョルノが大事に世話して一人分の食事を用意していた亀…テファはジョルノに尋ねた。

「探しに行かないと…ジョルノ、何か思い当たる場所はある?」

ジョルノが思い出す亀…亀の中でアニメばかり見てる亀ナレフ。
テファの着替えを覗き、マチルダのスカートの中を覗いていたエロナレフ。
今度はオーク達と一緒に宴を開いていたらしい。
それで子供に見つかって追い掛け回されて…多分召喚されちまったんだろう。
ジョルノは一度瞬きをして考えてからこう答えた。

「日が暮れてお腹が空いたら帰ってくるんじゃないですか?」
「そ、そうかしら?」
「はい。それより戦争が始まったのは知ってますね?」

ジョルノはそんなことどうでもいいと話を変えた。
テファはいつになく真剣な表情にドキリとしながら、頷いた。
戦争が始まったという話は、マチルダに頼まれいつもこの村に物資を運んだりしてくれる元貴族らしい男達から聞き及んでいた。
詳しい事情は分からないが、王党派が苦戦を強いられ徐々に追い込まれているらしい…

「う、うん」
「そろそろ戦火が近づいてきたから僕はこの国から脱出します」


ジョルノの耳にはもう少し詳しい情報が流れ込んでいた。
王党派の今後予定している作戦の端々、戦力、逃げようとしたり隠し持っている財産を動かしている者。
それらから今後どう動いていくか、王が今どこにいるかもある程度想像がついていた。
レコンキスタの情報も同じく入っていた。
彼らがどのように動いていくか。彼らが祭り上げるクロムウェルの能力、それにより生き返ったように見える死者の兵隊。
クロムウェルに影のように付き従う秘書の存在…ジョルノは今のままでは王党派の命脈は長くないだろうと考えていた。
急ぐ必要があった。

「え?」

一瞬何を言われたか分からなかったテファにジョルノは無駄なことは嫌いなんですがと言いながらもう一度言う。

「ロマリアに良い孤児院が見つかりました。貴方方さえ良ければ僕が責任を持ってそちらに連れて行きます…どうします?」

ジョルノは手を差し出した。
戸惑った様子を見せてから、テファはジョルノの手を握った。
握ったジョルノの手は少年の手のように柔らかく、しかし力強くテファの手を包んだ。
これから村の外、母を殺害した兵士のような人、エルフを敵としてみている貴族や宗教家達、見知らぬ土地へ行くということ、
外は戦争中で危険が迫っているとジョルノやマチルダの使いの者が判断した事…子供達は、そして自分はどうなるのか不安材料しかテファには思い浮かばなかった。

だが、使い魔として召喚し、使い魔になることは拒否したジョルノの手を握るテファに不安はなかった。
奇妙な安心感が胸を一杯にしていた。
理由はよくわからなかったが…スッと、詳しい事を説明するジョルノの言葉は胸に、雨粒が乾いた大地に染み込むように安堵感を与えてくれていた。

それが潤いを与える恵みか、土を流し大地の姿を変えてしまうものかは考えられなかった。
雨の中で微笑むのも、懸念を抱き険しい表情を見せるのもテファの自由で、先を予想して警鐘を鳴らすものはいなかった。
数日後には、その村から人の姿は消えていた。

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