ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

うわっ面の使い魔-1

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匿名ユーザー

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ある日、何者かに『矢』で射抜かれ、その身に発現した超能力、『スタンド』!
一体誰が?何のために?まともな感覚を持っているなら疑問は次から次へと湧いてくるはずだが、彼―――間田敏和の心中は、『この不思議な能力をどうやって有効活用するか?』という考えで満たされていたッ!



せっかく普通の人間には無い能力を手に入れたのだ。他の奴らよりもっと楽しく自由に、実りのある人生を送りたいではないか!
そう思った彼は、さっそく自らのスタンド―――『サーフィス』で片思いだった順子をコピーし、好き放題してやろうと自室へ連れ込んだのであるが・・・・・。



バッチィィ―――z___ン!



今まで思い描いてきたあんなことやこんなことを実現できるという喜びに、すっかり緩んでいた間田の顔面を襲ったのは、他でもない、サーフィス順子が放った平手打ちだった!そのあまりの威力に間田は吹っ飛ばされ、部屋の隅に無様な格好で転がる。
そんな間田に、今度はサーフィス順子の怒鳴り声が襲い掛かる。




「間田君っ!貴方ねえ・・・どんなことしてるか、わかってるの!?」
「は、えっ?」
突然のことに、ブン殴られた頬を押さえ、涙目になりながら返事を返すことしかできない間田。サーフィス順子は容赦なく、彼に罵声の数々を浴びせる。

「女の子を無理やり部屋に連れ込んで、こんな仕打ち・・・・貴方は男として最低よッ!」
「前から思ってたけど、こんなに陰険で卑怯な手段を使うなんて・・・・・何で貴方は、そんな手段を使おうとしかしないのッ!?」
「気に入らないことはすぐに暴力や卑怯な手を使って解決しようとして・・・!そんなの、人間としてクズだわ!」

「知ってるのよ!貴方が授業中にキン○マいじってるの!学校まできて何キモいことやってんのよ!!」
「大体その髪型はなんなワケ!?頭にエチゼンクラゲ乗っけてるみたいじゃない!カッコイイとでも思ってんの!?」
「貴方みたいなヤツを人間として認められるわけないわ!貴方はカスよ!ゴミ以下よ、ゴミ!」



「ううッ!・・・グググ・・・・クキィーッ!!」


スタープラチナのラッシュもビックリなほど、隙無く連打される言葉というパンチの応酬!
あまりの悔しさに――――予想以上に自分が順子に嫌われているというショックもでかかったが――――間田は、その場に卒倒してしまったのである!







数時間後。
気絶から覚めた間田は、サーフィス順子から浴びせられた言葉を反芻していた。
サーフィスがコピーした偽者とはいえ、このスタンドは相手の外見、性格、記憶まで完全にコピーする。たとえ偽者とはいえ、
あれらの言葉は常日頃、順子が彼に対して思っていたことなのだ。

後半はほとんどただの罵倒だったが・・・・・・大きな目を潤ませ、彼女が浴びせた言葉には、間田自身も心当たりがあった。


些細なことで喧嘩をした友人に、一生心に残ってしまうような傷を与えてしまったこともある。
気に入らない相手に陰湿な手段を使って攻撃したこともある。


――――考えてみれば、俺の今までの人生は、『卑怯』という2文字に塗りつぶされていた。

間田は考える。なぜ自分は、音石明に協力して承太郎を町から追い出そうとし、最後には殺そうとまでしたのだろうか。
承太郎が気に入らなかったから?己のスタンドを誇示したかったから?

いや、違う。

『音石明が怖かったから』・・・・ただそれだけのことだ。電撃をまとい、電気の存在するあらゆる場所に現れる彼のスタンド『レッド・ホット・チリペッパー』は、
小心者の間田に恐怖心を植え付けるには充分すぎる力を持っていた。
間田は音石明に従った。それこそ、不良に媚びへつらう使い走りのごとく。彼の命令どおり、何の関係も無かった1年生の仗助と康一に危害を加え、承太郎を抹殺しようとした。

もっとも、その命令は失敗に終わり、サーフィスは破壊され、間田は自分が痛めつけた一般人の男2人にコテンパンにやられてしまったのであるが・・・。



間田は考える。『生き方を変えよう』と。
『改心した』などと白々しいことをいうつもりは無い。自分はサーフィスの能力を悪用し、多くの人を傷つけてきたのだから。

だが、彼はどうしても変えたかった。いや、『変わりたかった』のだ。
卑怯で陰険で・・・・小心者だった過去の自分にオサラバし――――優しくて、タフで、頼りになる男に。










うわっ面の使い魔





「ったく、せっかく決意したってのに・・・・このままじゃ張り合いがねーよなぁ」
学生服を着込んだ男が不満げに呟きながら道を歩いていた。
だらしなく伸びた黒髪に、痩せた体。俗に言う『オタク』という人種の外見だった。

彼の名は間田敏和。ぶどうヶ丘高校に通う3年生である。
『優しくて、タフで、頼りになる男』になろうと決めてから早一ヶ月。結論から言うと、彼は全然変わっていなかった。
単に自分の努力が足らないだけとも言えるのだが、間田は何故か周囲のせいにしていた。

「なんつーかなぁ・・・冒険が足りねーんだよ、冒険が」
曰く、炎髪灼眼のツンデレ美少女と共に紅世の徒と戦ってみたいだの、死神代行になって開放とかしてみたいだの。
そんなことで自分が変われると思っている時点で彼は立派な中二病なのだが、平和になった杜王町にそんな冒険の気配はナッシングだった。


「吉良吉影みたいなのがまた来てくれれば、なんて言わねえけどよぉ~。血湧き肉踊るような戦いの日々に身を委ねてみたいぜ・・・ん?」
そう言いながら、彼は一軒の書店の前で足を止めた。


「おっと、いけねー。今日は『キラ☆スタ』の発売日だったんだ。買ってくか」

愛読書の最新巻が発売されることを思い出し、進路を変えた直後。
突如、眼前に光り輝く鏡のようなものが現れ、猛スピードでこちらに迫ってきたのだ!


「な・・・何だよこりゃあ!う、うわぁーッ!!」
鏡はあっという間に間田の身体を飲み込み、徐々に小さくなり・・・消えていく。








―――スタンド使い、間田敏和。彼の冒険はここから始まる―――。


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