ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

サーヴァント・スミス-21

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匿名ユーザー

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一つの村が燃えていた。
周りから火竜が炎を吐きかけ、炎上を助けている。
空中に浮かんでいる艦隊から下りる多数の兵士が、逃げ惑う平民をあざ笑っていた。

メラゾーマとかベギラゴンとかそんなチャチなもんじゃあない。
村の名は、タルブ。
この兵士達は――アルビオン軍。
つまり、レコン・キスタの軍であった。
トリステイン侵攻の第一歩となるであろう、タルブの村への襲撃。
もちろん、平民は立ち向かうことなど出来ない。
森の中へ逃げ、一足でも早く安全を確保しに行く。
彼らの困惑に答えてくれるものは、誰一人とて居なかった。
今出来るのは、燃え行く村の草原、家を呆然と見つめる事だけ。その中で、シエスタは膝をつき、だらんと力なく腕を地面に置いた。

その惨劇を、なんとも思わずに、ただゆっくり地面を踏みしめる者が居た。

「フフ……小躍りしたい気分だよ」

彼こそ、何故か生きてたワルドである。小躍りて。
ちなみにナランチャに少しだけとは言え頭まで射撃されたので、後遺症か少し壊れてます。

「ガンダールヴ……貴様だけはこの私が倒して見せよう」

復讐心丸出しで、狂気に染まった声を口にするワルド。ワルド……酸素欠乏症にかかって……
とか親父に殴られたことのなかったニュータイプみたいなことを言うと、問答無用で襲い掛かってくるので注意である。


「村を燃やして占領する!?なんと アヒーッ 占領!」

やっぱり壊れていた。

「ただただ逃げ惑う平民を恐がるメイジがおるか?いなァァーいッ!」

壊れていた。

「お、恐ろしいッ 私は恐ろしいッ!何が恐ろしいかってガンダールヴ!人を傷つける事が快感に変わっているんだぜーッ!」

元に戻ってくださいお願いします。

「ハッピー うれピー よろピくねー」

周りの兵士が汚物でも見るような目でワルドを見ている。

「フヒャホ! フヒィ フヒィーッ フヒィーッ」

最早何も言うまい。
兵士の視線がハエも寄ってこないほど腐りきったカボチャを見る目に切り替わった所で、ワルドは正気に戻って咳払いをした(手遅れ)
上空で威圧感を醸し出す『レキシントン号』を見上げ、僅かに笑う。

「ふふ……待っていろ、ガンダールヴ」

復讐鬼と言えなくもないが、迫力に欠けていた。

「おおー」

コルベールの作り出した『ガソリン』。
研究の末、石炭を利用しつつ錬金に成功。その数、タンクいっぱいの樽5本分。
やはりコルベールの才能は素晴らしいものだ。一つのサンプルから、ここまで完全なガソリンを作り出すとは。
ナランチャは感嘆しつつ、ビンに注がれている、これからの研究用のガソリンを見つめている。
ルイズはコルベールにゼロ戦の改修の進み具合について聞いていた。もう飛べるらしい。

「いや、ホント凄いよ先生。マジに恐れ入ったよ」

「ふふふ、どうですか、このコルベールの……才能ッ!」

それだけ言って、満足げにゼロ戦へとガソリンを注ぎ込む為、樽を浮かせて運んでいくハゲ頭。
全員が苦笑して、また沈黙する。

「ねえ……ナランチャ。もし、あっちに帰って、こっちにも自由に行き来できるとしたら……どうする?」

「……さあな、少なくとも、それは難しいだろうと思うぜ」

もっともな意見だ。
ギーシュは今にも泣き出しそうである。
三人娘は堪え、タバサは背を向けて懐から取り出したはしばみ草をむさぼり食っていた。
そう。日食は今日。
もしかしたら、今日限りでナランチャはこの学院から姿を消すかもしれない。

「み、皆さんッ!大変ですぞォォォッ!」

コルベールが凄いスピードで帰ってきたと思ったら、汗で頭を一層光らせている。
太・陽・拳。
うおっまぶしっ、と全員が呟いた。

「あ、アルビオンがタルブ村に侵攻して……」

「な……」

コルベールのそれを皮切りに、全員が叫ぶ。

「「「「な、なんだってーッ!?」」」」

「つまり、このトリステインは狙われていると言うことですぞッ!」

「「「「な、なんだってーッ!?」」」」

「さらになんと!アンリエッタ王女が戦地へェェェ!」

「「「「な、なんだってーッ!?」」」」

ジェットストリームナンダッテの炸裂である。タバサまで……

「お、おいッ!?ゼロ戦の準備は済んでんだろうな!」

「もちろんですぞ!」

「野郎ども、行くぞーッ!敵の大将の首取りになぁーッ!」

「オォーッ!」

「「「「ガンホー!ガンホー!ガンホー!」」」」

何か異様に盛り上がっていた。タバサまで……
走ってゼロ戦に向かい、触ってみる。操作方法が手に取るように分かった。そして、コルベールに言う

「足が付いていないようだが」

「あんなの飾りです。この世界の人間にはそれが分からないのですぞ」

「ルイズからは、完成度80%と聞いたが」

「80%?冗談じゃあない、現状で100%の力は出せるのですぞォォーッ!」

さっそく操縦席に乗り込み、ゼロ戦を、蘇らせる。
コルベールの歓声と、ルイズの怒号が聞こえるが、ルイズを載せるわけには行かない。
もし自分が帰れたら、その時ルイズまで巻き込むことになるからである。
プロペラが回り始め、前の壁に突っ込んでいった

「ま、マジかよッ!わーわー、タバサ!浮かせろ頼むからァーッ!」

「分かった」

強風が吹いた。
ゼロ戦が浮く、浮く、浮く。
浮力を得て、シルフィードなどとは比べ物にならないほどのスピードを出して、飛んだ。

「ナランチャ・ギルガ、いきまーす!」

ずっと言ってみたかったbyナランチャ
こうしてコルベールの報告から僅か1分38秒でナランチャは飛び立った。
他にも「ナランチャ・ギルガは、ゼロ戦で行きます!」とかバリエーションはあったが、やはりシンプルな方が以下略。
だって、初めて『G』を操縦するのにザクを撃墜したパイロットの台詞だし、ナランチャもこれに乗るの勿論初めてだし以下略。

「タバサァ!さっさとシルフィード飛ばせて!速いわよアレ!」

コルベールが止める間もなく、ルイズたちは飛び立った。
ゼロ戦はその先を行って、どんどん差が開き続けている。
止める術がないと分かると、コルベールは手を振り、無事を祈り始めた。

「……ああ、魔力使い果たしちゃった」

コルベールはそれだけ嘆いた。

タルブの村は、未だに燃え続けている。
兵士が乱雑に食料を奪い取り、まさにレコン・キスタの支配下にあった。

「……ちっ、見回りは退屈すぎるぜ」

一人の竜騎兵は、毒づいた。
しかし、その退屈を吹き飛ばすような体験を、これからするようになるとは、彼は予想だにしていなかった。

その空を突き進む黒い『シミ』は、やがてその騎兵の肉眼で、フォルムを確認できるほど接近して――

「ここからいなくなれぇーッ!」

「じぉんぐッ!?」

そう、ゼロ戦である。俺の体、皆に貸すぞ!ってなんか卑猥だよね。
竜を越えるスピードで突っ込まれた為、プロペラでミンチよりひどい事になった騎兵は地上に落ちた。何故プロペラが曲がってないのか?
思いの力である。
タルブ村の村民達も空を見上げ、口々に感想を言い合う。

「ありゃあ……竜の、羽衣!」

「ナランチャさんッ!?」

シエスタが一番大きい声をあげる。
空中では既に、『竜の羽衣』が火竜達にその牙を剥こうとしていた。

「ぬうう!行くぞ!」

「「「ジェットストリームアタァーック!」」」

「ようし、いい子だ」

問答無用で正面突破されてズタズタに引き裂かれる騎兵。
正面突破って言うけど、正確にはエアロスミスが超加速で突っ込んだだけです。

「ぐふッ!」

「ぎゃんッ!」

「げるぐぐッ!?」

迎撃する間もなく、そのスピードに翻弄される騎兵達。
一匹の竜が迎え撃つが、あっというまに後ろを取られ、機銃で蜂の巣にされる。ケンプファーの如く。
エアロスミスの機銃とは大違いの威力だ。
火を吐く竜の二酸化炭素を探知し、ゼロ戦に付き添うエアロスミスも、置いていかれつつ射程範囲内ギリギリからの攻撃をする。

「うわあ!脇腹に弾丸がザクッと……」

「がざッ!」

「きゅべれぃッ!」

「ちょうきょりきょうこうていさつがたふくざのじんっ!」

「落ちろ、落ちろーッ!」

爽快と言わんばかりに撃ち落す。カ・イ・カ・ンってヤツだろうか。というか敵の断末魔……
ゼロ戦の装甲では、攻撃が一発当たっても結構やばかったりするが、当たらない。
ナランチャは元の世界では、ギャングになってからスパロボを買い、運動性と武器とENを改造した真・ゲッター1に必中と集中を使用して敵陣に突入させ、殲滅させる事を生きがいにしていた男である。ゲッター・トマホォォォク!ゲッター・シャイィィンッ!
まあもちろんその内飽きて、ミスタがゼオライマーで覚醒+愛+MAPメイオウ攻撃を連発し、興奮した拍子に手が滑って落として壊したのでもうやっていない。
え?5部の時代だとゼオライマーはスパロボに登場してない?嘘でしょ?
とにかく、今の彼は運動性フル改造のテッカマンと同等の存在であった。


右翼を傾け竜のブレスを避け、エアロスミスで撃つ。
圧倒的ではないか、という声が聞こえてきた。

まるで相手になっていない。
今のナランチャを苦戦させるとしたら、やはり彼しか居ないのだ。

「なッ……ワルドッ!」

「地獄から……舞い戻ったよ」

「ダメじゃないかワルドォォォ、死んでなきゃああああ!」

悪役の台詞を口にするナランチャ。
ふと、陸上で兵士と戦うルイズたちの姿が見えた。笑う。
これで、多分地上は大丈夫だ。援護射撃もきちんとしてやる。
火竜は殆ど全滅、残るは、きっとこのワルド一人――
ワルドは今日、火竜に乗っている。風の使い手なのに?風竜に乗れ!風竜に!

他の者の竜より幾らか大きい。舌打ちして、連射。
ワルドは右へ旋回して回避し、竜に炎を吐かせる。
それが機体をかすめ、右の翼が少々焼け焦げるが、問題はない。
至近距離から機銃を打ち込もうとするが、それすらワルドは回避した。

「避けた!?」

「それでこそ私のライバルだ!」

今度はワルドの番だ、こちらも至近距離からの炎。
宙返りして、潜る様にそれをかわしてエアロスミスを撃ち込もうとするが、風の動きを読んだワルドはいとも簡単にエア・ニードルで捌く。

「ガンダールヴッ!異世界から着た貴様などは、この世界の蚤だと言うことが何故分からんのだ!」

どこの赤い人だよ。
エア・カッターでゼロ戦を切り刻まんとするが、左翼の先端にかすっただけで終わる。
始めて乗るゼロ戦にしては上出来というか、ガンダールヴのルーンがなければ、操縦する事すら間々ならなかっただろう。

「お前に蜂の巣にされた私の苦しみ!存分に思い知れ!」

「情けないヤツッ!」

「何がッ!貴様こそ、その力を無駄に消費していると何故気づかん!」

「貴様こそッ!」

何だか逆シャアの世界に入り込んだ二人。正気に戻れ。
兎も角、火竜の下を取ったナランチャは、ゼロ戦は撃つのが無理な姿勢でも、エアロスミスなら狙えると踏み、射撃。
加速が足りなかった分羽を少し抉るだけに止まるが、ワルドは少しの驚きを見せる。

「被弾しただと!?だが、革命の為にも、負けぬ!」

「世直しの事……知らないんだな……!  って待った、このままじゃ俺が俺じゃなくなっちまう」

「あ、そういや私も」

「「ハッハッハッハ」」

正気に戻った二人(?)。もうこれ2人ともダメなんじゃね?
何でここで切るのかはわからないが、次回へ続く。
誰だ思いっきり適当じゃねぇかとか言った奴は。正直すまんかった

次回、最終回。思いっきりシリアスモードへと変貌するのであった……

To Be continued ...

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