ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

slave sleep~使い魔が来る-3

最終更新:

匿名ユーザー

- view
だれでも歓迎! 編集
ルイズ・フランソワーズ!
          ブローノ・ブチャラティを呼ぶ②


朝。
ブチャラティの朝は早く始まる。
「昨日は散々だったな・・。結局オレはこのルイズに縛られたままなのか・・・。」
ふと目に止まったのは、左手に刻印された『使い魔のルーン』。
「この文字だ・・。この文字が付いた時からオレの命は再び動きだしたんだ・・・。
いったいこのルーンにはどんなルーツがあるんだ?そして・・。」
ブチャラティはベッドで寝ているルイズを見た。
「メイジとはどう言った存在なんだ?こんな、フーゴやナランチャとそう変わらないくらいの
子にさえこんなマネができるなんて・・やっぱり信じられん。」
ふと、ブチャラティは自分で言ってから少し気分が落ち込んだ。
「・・落ちつけ。ナランチャ達は覚悟を決めて自分で道を選んだんだ。
ここで苛立ったらむしろ死んでいったナランチャ達に対する『侮辱』にすらなる・・。」
そう自分で言い聞かせる。だが感情は振り切れてはくれないっ!
「オレなんかよりナランチャこそルイズに蘇らせてもらえばよかったのに・・・。
あいつ、最後学校に行きたいと言っていた・・。あいつだったらもしかしたらルイズとも打ち解けて・・。」
――――ブチャラティはそこまで言って、この話題について考えるのをやめた。

「ミスタに撃たせた傷が治っているのは、おそらくジョルノがダメもとで治したからだろう。
気持ちはわからなくもない。(むしろ結果的に助かった。)だがアイツは目の前の成し遂げるべき事をほっぽってまでこんな事をするやつじゃない。
――――ボスに。ディアボロに勝ったんだな。なぜだか実感できる。ジョルノ達に、『よくやった。』と言ってやらなくっちゃな。そのためにも、帰る方法を探さなくてはな。それにしても・・。」
ブチャラティはルイズのほうに向きなおる。
「う~ん…このクックベリーパイおいし~~…」
未だ目覚めぬご主人様のルイズは海辺に浮かぶクラゲのようにのん気な寝言を浮かべていた。
「ああ…もうたべられないわ~~…ムニャ。」
「人が真剣に考えてる横で…。のん気な貴族もいたもんだな。
 ・・・おいルイズ。朝だぞ。起きろよ。」
「ん・・。ふぁ~~あ。もう朝・・?あれ・・?アンタ誰・・・?」
ルイズは結構朝に弱い。ぼぉ~~っとしていて目がとろんっとしていた。
「…自分で召喚した使い魔も忘れてるのかお前は・・。」
「ふぁ・・そっか、昨日から私が呼び出した使い魔がいるんだっけ・・・。」

「さて、ルイズ。オレはこの世界に呼び出されて間もない。この世界についてまだいろいろと
わからない事がある。とりあえず・・。」
「ん~~。めんどくさいからその場になったら教えるわ・・。それより着替えお願い。」
「・・・・着替え?」
ブチャラティは言葉の意味がいまいち『理解』できない。
「だから、私の服を着替えさせて頂戴と言っているのよ・・。」
ブチャラティは頭を抱えた。
(貴族というのはこういう奴なのか?まさか『着替え』まで人任せとは
考えても見なかったっ!!)
「手伝わないとは言わせないわっ!やらないとゴハンあげないからね!!」
「・・・・・・了解した・・。」
ブチャラティは渋々着替えを手伝う。
「なあ、男の前で半裸になって恥ずかしいとは全く思わないのか?」
「なんで?あんた使い魔じゃない。」
「いや、確かにそうだが・・・。」
「もうっ!もっとテキパキできないのっ!」
「人の着替えなんてやったことないんだ。我慢しろよ。」
―そして時は数分流れる―


人間という生き物はまず食べなくては動けないっ!!
というわけで朝食を取るため二人は食堂にいた。
「流石貴族・・。朝食からもうこんな物を食べているのか。」
「感謝しなさいよ。あんたは特別な計らいでここで食べれるんだから。」
グゥ~~~。
ブチャラティは自分の腹の音を止める事ができなかった。
「(そういえばヴェネツィアで食べてからまともな食事をしていなかったな・・・。)
しかし、いいのか?オレまでこんな朝食を・・・。」
「何言ってんの?あんたはこっち。」
ルイズが指差したのは・・・ブチャラティの目にくるいがなければっ!!
いやっ!誰がどう見ても指差した先は床っ!
そしてあったのはささやかな黒パンと麦のスープ!!
絶望!そして飢餓!それらは無常にブチャラティを襲う!
「本気か・・・・・?」
「ええ。本気だけど?」

「肉はないのか・・・・?」
「癖になるから、肉は駄目」
そして祈りは唱和される。
―偉大なる始祖ブリミルの女王陸下よ。今朝もささやかな糧を我に与えたもうたことを感謝いたします―
「ああ。確かに。ささやかだろうさ。」
ブチャラティは皮肉を痛烈に言う。だが届く事はなかった。
そして朝食を取り終え、授業に向かう。その途中にルイズが聞いた話だが、
「なあ、本当に見たんだって。フルーツが皿の中に飲み込まれるように消えていったんだ!」
「おまえが魔法でやったんだろっ!?あのフルーツ僕一個も食べてなかったのにっ!」
なにやら奇妙な言い争いをしていた。だがこの時のルイズは聞き流していたのだった・・。

そして教室。ふと、ブチャラティの耳に笑い声が聞こえてきた。
生徒たちはどうやら自分を見て笑っているらしい。
(おい、ゼロのルイズを見てみろよ。本当に平民を呼び出してるんだぜ?)
(流石ゼロのルイズだよな。)
(そもそも本当に呼び出したのか?あれ近くにいただけの平民じゃないのか?)
ブチャラティは生徒たちを見た。彼らも使い魔をつれている。
フクロウ、ヘビ、カラス、猫、目玉、六本足のトカゲ、蛸人魚etc…
「あいつらの連れてる奴が使い魔ってやつか。」
「あんたもその一匹ってことをお忘れかしらっ?」
やがて先生らしき人物が現れた。
「みなさん始めまして。今年度からみなさんを教えるミセス・シュヴルーズと申します。
さてみなさん。進級おめでとうございます。これから授業も難しくなっていきますが、
みなさんなら大丈夫と期待してますね?」
ふと、何人かがブチャラティの方を見てをクスリと笑った。
否、自分ではなくルイズを見てだ。
そういえばルイズは魔法が苦手だった。空を飛べないところでわかったのだが。
「さて、私の魔法系統は『土』。二つ名は『赤土』のシュヴルーズです。
みなさんにはこの一年間『土』系統の魔法を教えていきます。」
ふとブチャラティは疑問が浮かんだ。
「『土』系統?魔法というのはいくつかの系統に分かれるのか?」

「さてみなさん。魔法の四大系統は?」
その時、見覚えのある顔が見えた。
「『火』『水』『風』『土』の四系統です。そして何という奇遇っ!
僕の属性もミセスと同じく『土』。二つ名は"青銅"のギーシュ・ド・グラモンと申します。
お見知りおきを。」
昨日道を聞いた奴だ。空にも浮かべられたな。ブチャラティは思い出していた。
しかしアイツのあの仕草はどうにかならないものだろうか。そう思わずにはいられないっ!
「よろしく、ミスタ・グラモン。『土』は万物の組成を司る重要な魔法。それをまず覚えてもらうため
まず簡単な"錬金"の魔法を覚えてもらいます。」
そう言うとシュヴルーズは石を取り出し、呪文を唱えた。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・・・・・。

石は光りっ!姿を変えるっ!
「そ、それってゴールドですか!?」
どこかの席から赤髪のグラマラスな女が立ち上がり聞く。
浮かべられた時ルイズと一緒にいた奴だ。そうブチャラティは思い出した。
「いいえ。これは真鍮です。金には『スクウェア』クラスからでないと
変えられませんので。」
「なぁ~んだ・・。」

「『スクウェア』クラス?ルイズ、何だそれ魔法にはクラスがあるのか?
「そう。下から、一系統だけの『ドット』二つ重ねる『ライン』
三つの『トライアングル』四つの『スクウェア』があるわ。
ミセス・シュヴルーズのような先生たちはみんな『トライアングル』よ。」
「なるほど。魔法はクラスが4つ、系統が4つだな。
ミスタが聞いたら卒倒するのはだいたいわかった。」
「・・・ミスタ?まあいいわ。あと、系統には一つ失われた系統『虚無』が存在するわ。
もう誰も使うことは出来ないみたいだけど。」
そこまで話して、ブチャラティはまた疑問ができた。
「そういえばルイズ、『おまえ自身』の系統はなんだ?」
「えっ!?・・えっと・・。」
そこまで言ったときだった。
「では、実際に誰かにやってもらいましょうか。ではそこのアナタ。」
そう言って指差されたのは――――ルイズだった。

「ええっ!?『ゼロのルイズ』が!?」
「やめたほうがいいんじゃ・・!」
みんなが騒ぎ出す。どうしたと言うのだろう。ルイズが魔法が苦手なのは知っていたが、
それにしてはこの動揺のしかたは普通じゃあないっ!!
「あの・・先生やめた方がいいんじゃ・・。」
「危険ですっ!!ルイズに任せるなんて、地雷原でタップダンスを躍れというようなもんですよっ!」
さっきの女も立ち上がった。
「ルイズに任せるくらいなら私がやりますよっ!」
「危険・・?"錬金"の何が危険なんですか?」
「やらせてくださいっ!!」
ルイズがブチャラティをどかして教卓の前に立った。
「ルイズ!やめなさいよっ!」
「静かにして。気が散るから。」

ブチャラティは近くにいた青い髪の生徒に聞こうとした。だが、危機を察知したように
誰にも気づかれないように教室から出た。

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・。

「・・・『何か』が・・・おかしいっ!ただルイズが魔法が苦手にしては
状況があまりにもおかしすぎるっ!おいっ!どういうことなんだ!?」
ブチャラティは他の生徒に聞いた。
「おい・・。これから『ゼロのルイズ』の使い魔をやっていくからには一つ
大切な事をおぼえていたほうがいいぜ・・。アイツの魔法は・・!」
「なにやってるんだっ!『呪文』を唱えたぞ!何かにかくれるんだぁーーー!!!」
ピカッ!!
ルイズの所から光りが発する!!ブチャラティの危険信号はすでに自分を襲おうとしている危機を悟った!!
「まずい・・・!!」


―※―

「今年も無事に新学期が始まったのう。ミス・ロングビル。」
「ええ。何よりです。」
学院長室。そこには学院長とその秘書がいた。
「学院長としてこれほどの事はない・・。」
ヒュン!

フワワン。
ミス・ロングビルの杖の一振りで水パイプを奪われる学院長。
「うむぅ・・年寄りの楽しみを奪うと言うのかねミス・ロングビル。」
「お尻をさわるのはやめてくださいオールド・オスマン。」
都合が悪くなった学院長はふと思い出す。
「そういえば昨日使い魔の召喚があったようじゃのう。」
「(・・・クソジジイが・・・。)ええ。ただ、ひとりだけ変わった使い魔を呼び出したみたいですが。
たしか・・。」
「うむ・・。例のミス・ヴァリエール家の三女か。使い魔とは永遠の僕であり、友である・・。さてミス・ヴァリエールの使い魔はどうなのじゃろうな・・。しかし人間とは驚いた。」

「チューチュー。」
ふといつの間にか白ねずみがいた。
「おお、我が使い魔モートソグニルよ、お前とも長い付き合いじゃな。 ・・・ほう、白か。純白とな!!」
「・・・!!!オールド・オスマン。今度やったら王室に報告しますよっ!!」
なにをしたのか?下着をのぞいたのであるっ!
「下着を覗かれたくらいでカッカしなさんなっ!そんなだから婚期を逃すのじゃ!」

プッツ~ン

ボコッドカッ
プッツンしたロングビルは蹴りをかました!
「やめて、降参、もうしないから・・・。」

ドッカーーーン!!

「おや・・。噂をすれば・・・・。」
「ええ、『また』だったみたいですね。未だこんな事ばっかりだそうです。
そういえばミセス・シュヴルーズに教えておくのを忘れていました・・・。」
「うむ・・。ミス・ヴァリエールも『失敗』するだけで『使えない』わけでは
ないのだが・・・。彼女も不憫な・・。」
「オールド・オスマン!!」
突然ドアを開けてやってきたのは召喚の儀式の時にいた中年の男っ!
「えっと、君は、たしか・・・えっと。」
「コルベールですよ。オールド・オスマン。」
「そうそう。ノックもせんで何事じゃ騒々しい。」
「緊急にお伝えしたい事がございまして・・・!これを!」
コルベールが出したのは分厚い本!本の虫しか読みそうにない代物だっ!
「なんじゃこれは・・・。『始祖ブリミルの使い魔達』ではないか・・。こんなモン読んでばっかいるから
お主の印象も薄れてしまうと言うのが・・・。」
「見ていただきたいのは・・・こちらです。」
『それ』を見た時、この学院長の目つきが変わった。
「ミス・ロングビル。席を外してもらおうかの。」
「はい。」
ガチャン。

ドザザザザザザザザザ・・・・・・。

「詳しく・・・話してもらおうかの。ミスタ・コルベール。」

―※―

爆発の震源地はルイズのいた教室。いや、もっと言うならルイズのすぐそばだった。
「どういうことかいろいろと説明がほしいのだが・・・・。」
ブチャラティは聞いた。
「ツツ・・。これが『ゼロのルイズ』さっ!」
「もうっ!ルイズ!!だから言ったのにっ!」
「キュルケ・・。急に立ち上がらないでくれ・・。」
キュルケとよばれたあの赤髪の女が怒っていた。
「ちょっと失敗したみたいね・・。」
「どこがちょっとだよっ!いままで成功の確率ゼロじゃないかっ!!」
ギーシュもまた怒っていた。
「なるほど・・。だから『ゼロのルイズ』か・・・。言いえて妙だ・・・。」
(・・・?あれ、こいつ『無傷』っ!?どういうことだ?服の汚れすらないぞっ!?)

一通り授業が終わった後ルイズが言った。
「あんた今日飯抜きね。」
「なんだとっ!?」
八つ当たりだろうかっ!!ルイズは無情に言い放つっ!
「ふざけた事言ってんじゃねーぞこのくそガキがっ!!
よびだしたからにはそれ相応の責任と言うやつを・・・!」
「命令よ・・・・!」
怒りを押し殺したような声でそう言った。そしてどっかに行ってしまった。
(この女はふざけているのか?いやマジだった。奴は本気でオレの飯を抜くつもりだっ!)
流石のブチャラティも怒りをあらわにしていた。
「クソッ!せっかく生き返っても、これじゃまたすぐに死んじまうっ!」
そんな時だった。
「あ、あの、すいません。どうかなさいましたか?」



ふと声がした。
後ろにいたのはメイド服の女の子だった。

「・・・いや、なんでもないんだ。すまない。」
ブチャラティはそういって去ろうとした時だった。
「あれ、もしかしてあなたがミス・ヴァリエールの使い魔になった平民の方ですか?」
知られているのか。ブチャラティは振り返って言った。
「そうだ・・。君も魔法使い・・・いや、メイジか?」
「いえ、私も平民です。ここには奉公のために貴族を世話しに来ているんです。
あ、そういえば自己紹介が・・。シエスタと申します。」
「ブローノ・ブチャラティだ・・。ブチャラティでいい。」
グゥウウウウ・・・。
ふとブチャラティの腹の音が鳴った。朝食がもう消化されたのだ。
ブチャラティが拳を作って胸に当てようとした時だった。
「あ、お腹が空いているみたいですね・・。あの、残り物でよろしかったら、食べていきませんか?」
「え・・・?」
「困ってる時はお互い様です。どうぞ、遠慮なさらずに。」
ブチャラティは不覚にも―――感動していた。
こんなに人に優しくされたのは何時ぶりだったろうか・・・。そう思っていた。
彼女の前でなかったなら、涙すら流していたかもしれない。
「グラッツェ。(ありがとう)じゃ、貰っていくよ。」
ブチャラティは微笑みながらそう言った・・。
                               to be continued……

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

記事メニュー
目安箱バナー