ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

味も見ておく使い魔-7

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匿名ユーザー

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翌朝、トリステイン魔法学院は騒然としていた。
学院長室に、『破壊の杖領収いたしました』と書かれたメモ書きが発見されたのだ。

オスマン氏は急いで『宝物庫』を開けると、『破壊の杖』はものの見事に消えうせていた。

「ミセス・シュヴルーズ!当直はあなたなのではないですか!」
「そうは言ったって!あなた達だってまともにしてないでしょう!?」

責任のなすりあいをしている教師達を尻目に、オスマン氏は考えていた。
(フーケはどういった方法で侵入したんじゃろうか?)

そのとき、ミス・ロングビルが現れた。
「ミス・ロングビル!どこに行っていたんですか!大事件ですよ!」
ミセス・シュヴルーズが食って掛かる。明らかに責任転嫁する気マンマンである。

「申し訳ありません。そのことで調査してまいりました」
「なんですと!」
ミスタ・ギトーが応じる。
しかし、ミス・ロングビルはそれを無視し、オスマン氏に報告を続けた。
「それと、ミス・ヴァリエールの使い魔が、今回の件について話があるようです」
オスマン氏は頷いた。
「そうか。分かった。使い魔君をこれへ」


ブチャラティと、露伴、ルイズ、それにキュルケとタバサも入ってきた。

「ん?何じゃ君達は。なぜ一緒に来た?」

「使い魔のことは主人が知る義務があります」
「ホホホ、…ミ、ミス・ヴァリエールの付き添いですわ!友人ですもの!」
「…同じく」

「まあいいわい。で、話とやらは?」
(ミス・ツェルプストーはなんであんなにあせっているのかのう?)

「昨日、『宝物庫』の扉を開けたのは俺だ」
キュルケの、「黙っときなさいよバカ!」というジト目を尻目にブチャラティは続ける。
「ルイズの『魔法』に、なにか為になるようなものがないかと思って入ったが、そのとき『土くれのフーケ』とやらにも一緒に侵入されたようだ。
すまない。できるだけ責任はとろうと思う」


「ななな、アンタ…えぇ~~~!!!」

「聞きましたか!この男が悪いんですわ!」
「学院長!この男を処刑しましょう!」
教師達が騒ぎ出す。

(ミス・ヴァリエールは初耳だったようだのう。)
(なるほど。納得がいったわい)
オスマン氏は自分の疑問に決着をつけると、全体に渇をいれた。
「黙れ!皆の者!」
とたんに静かになる。

「使い魔君の処置はワシが後で考えておく。それよりもじゃ。
今はフーケと『破壊の杖』の行方を捜すのが先決じゃ」


「そのことですが、オールド・オスマン。フーケの居場所が分かりました」
「何じゃと?」
「はい、近所の農民に聞き込んだところ、近くの森の廃屋に入っていった
黒ずくめのローブを見たそうです。
おそらく、彼はフーケで、『破壊の杖』もそこにあるかと」
「そこは近いのかね?」
「はい」

「ならばこうしよう。使い魔君たちに『破壊の杖』を取り返してきてもらおう。
それで『宝物庫』に侵入した件はチャラじゃ」

教師達が騒ぎ出す。明らかに不満そうだ。
「そんな!」
「それでは示しがつきません!」


「では誰か捜索に行くかね?志願者は杖を上げい」
抗議の声がぴたりとやむ。誰も杖を上げないようだ。
「やれやれ…」

いや、いた。ミスヴァリエールである。
「使い魔の責任は主人の責任でもあります」
そのうちにミス・ツェルプストー、ミス・タバサも杖をあげた。
「タバサ、あんたはいいのよ、関係ないんだから」
「心配」


「何を言っているルイズッ!これはとても危険なんだぞッ!」
誰よりも先にブチャラティが叫ぶ
「使い魔とメイジは一心同体でなければならないの!
アンタには分からないだろうけどッ!」
そういい捨ててルイズはさっさと出て行ってしまった。


露伴が他人事のように発言する。
「おい、ありゃ連れて行くしかないようだな」
「……お前が言うなよ…」

五人はミス・ロングビルを案内役に、荷車の馬車で出発した。

御者はミス・ロングビル自身が行っている。
「ミス・ロングビル…手綱なんてロハンあたりにやらせればいいじゃないですか」
「いいのです。私はすでに貴族ではないのですから」
「差し支えなければ、事情をお聞かせ願いたいわ」


ルイズたちがミス・ロングビルとの話しに夢中になっている隙に、ブチャラティは露伴にメモを差し出した。

「オイ、君ハイタリア語ガ書ケルカ?」

露伴が別のメモで返す。
「アア、大丈夫ダ」

「先ホドノ彼女ノ話ナンダガ…ドウ思ウ?」
「ドウモ『ウソ』クサイナ…『土クレノフーケ』は今マデ正体スラホトンド分カッテイナイ凄腕ノ盗賊ダ。アマリニモ証拠ヲノコシスギル…
ソノ農民トヤラモ警戒スル必要ガアルナ」
「『証言ソノモノガ真実カドウカ』モナ」
「ドウイウコトダ?」
「オレハ彼女ガ怪シイト思ッテイル」

露伴がミス・ロングビルの方を見ると、
全員が会話をやめ、二人を見ていた。

「あんた達!また私に内緒で!何してたの!
内容を吐きなさい!」
「い、いや…雑談だって…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
「お、おい…戦闘があるかも知れないのに魔法を使うのはよせッ!」
「うるさい」
ルイズがファイアーボール(失敗)を唱える。
「「『空気』が!『火』を吹いたッ!」」
吹っ飛ぶ二人。馬車から地面へと落下していく…
「やりすぎよルイズ!」

「なに?あの爆発…」



一行は廃屋を前にして、近くの森の茂みに身を隠していた。

馬車はここからかなり遠くのところに隠してある。
『土くれ』のフーケにバレるのを防ぐためだ。

「君の情報が正しければ、『土くれ』のフーケはあの中にいるな」
生傷の残るブチャラティはミス・ロングビルに話しかけた。
治療はタバサにしてもらったが、完全には直りきってないようだ。
「はい。おそらく『破壊の杖』もあそこにあると思われますわ」

「分かった。ではこれから作戦を指示する」
「ちょっとブチャラティ!何でアンタが仕切ってんのよ!」
「別にいいじゃない。ルイズ。ダーリン、とても強いんだし」
「彼に従ったほうが、得策」

「…まず、俺を含めた少数のものがあの小屋を偵察する」
「で、状況に応じて戦闘を行うか盗み出すかするから、残りのものはここに潜んで待機していてくれ」

「それと、今回の最大の目的は『破壊の杖』をGetすることだからな。
『土くれのフーケ』を倒すことじゃない。その辺を間違えるな」

「何でよ!」
ルイズは不満そうだ。

「戦闘になった場合、ここに潜んでいる者たちが支援してくれ。
十中八九、戦うことになるだろーからな…」
「まあ、そういうことならいいわ」

「そんなことより、ダーリン。あなた大丈夫?」
「いや、大丈夫だキュルケ。戦闘能力に支障はない」
「それより偵察を行うメンバーだが…」


「露伴。いいか?」
「ああ」

「それと…ミス・ロングビル。君にはぜひ来てもらいたい」
「え?私?」
「そう、君だ…」
「君は確か『土』系統のメイジだったな…
前にルイズの部屋の修理をしてくれた…」
露伴が先を続ける。
「『土くれのフーケ』は巨大なゴーレムを作るって言うじゃないか?
そういう場合、君のように同じ『土』系統のメイジがいると何かと便利だと思うぞ?なあブチャラティ?」
「ああ…」

「わ、分かりました…」

「私も行く…」
「タバサ。君は『治癒』の魔法を使いすぎた。
僕は、個人的にはここでサポート役に徹してほしい」
「分かった。待機する…」

小屋の中には誰もいなかった。
小屋自体は雑然としていたが、
中央に『M72ロケットランチャー』が鎮座していた。

「ありましたわね…」

ミス・ロングビルがそれを取ろうとすると、露伴がさえぎった。
「どれだ?」

「え?あなた知ってるはずでしょ…」
(しまった!)

「おやァ?何で『僕』が『破壊の杖』を知ってると思ったのかなぁ?」

「だって…えと、ブチャラティさんがオスマン氏に『宝物庫』に入ったって言うし…
そのときに見たと勝手に自分で思い込んだんですわ!」

(ヤバいッ!こいつらッ!私を疑ってやがるッ!)

「そいつはおかしいな…
俺は『宝物庫を開けて入った』といったが、『ロハンも一緒だった』とは
一言も言ってないぜ…」

「まあ、バラしてしまえば僕も『宝物庫』にはいっているんだがね…
それでも『なんで君は僕が破壊の杖を知っていると思った』のかなぁ?
もしかして…実際に触っているのを『見た』とか…?」


「い、いえ。ブチャラティさんもロハンさんも同じミスヴァリエールの使い魔でしょう?
いつも一緒にいると思ったのですわ!」
(まだよッ!正体をばらすようなマネは…何とかして『露伴』と『ブチャラティ』を引き離さないと…
生身の私にとってはブチャラティの『能力』はヤバ過ぎる!)

「こいつは…調べる必要があるな…」
「ああ…」

ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…

(ヤバイッ)

「二人とも?ちょっと、やめて!近寄らないで!」

ミス・ロングビルはおびえた用に後ずさりしながら、小屋にあるものを手当たり次第に二人に投げつけ始めた。
いや、彼女は本気でおびえていた。


「おとなしくしろ。でないと…『拷問』する羽目になる…」

「キャァアアアアア!」

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