ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第2章 ゼロのルイズッ! 後編

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第2章 後編


「ティッツァーノ…… ”ちょっと”ってどれくらいだろうか……」

―――魔法学院の教室は、いわゆる階段教室ってヤツだ。
全て石造りあることが、魔法学院ぽさを演出している。
スクアーロとルイズが中に入っていくと、先にやってきていた生徒たちが一斉に振り向いた。
二人に対する反応は、大きく分けると二種類あった。
嘲笑と好奇である。
明らかに前者が多いのだが、極わずかではあるが興味をもった生徒がいた。
圧倒的多数がくすくすと笑い始める。
その中に、朝に出会った赤い髪の美人… キュルケもいた。
キュルケも笑ってはいたが、微笑みと表現した方がしっくりくる。
そう好意的に解釈していると、手を軽く挙げた。
こちらも笑顔で手を振り返す。
キュルケがさらに笑顔と、投げキッスを返してくれた。 ニョホホ♪
! ルイズの背中に”鬼の貌”が!……見えた気がする。
鮫とキュルケのやり取りにキュルケの取り巻き達の笑顔が消える。
その光景を見て、少しは溜飲が下がったらしい。(取り巻き達の分だけ)
キュルケへの対応は今は不問にされた。今は…。
「…さっきの”挨拶”については、また後でね?」
……ヤバイってレベルじゃねぇぞ? これ…。

ルイズの席にたどり着くまでは気を抜けない。
二人をくすくす笑う男子生徒には、「パッショーネ謹製」の”ガン”を飛ばす。
こちらの様子を伺う女子生徒には、笑顔と”ammicco(アンミッコ)”をプレゼントして差し上げた。 ammicco(伊:ウィンク) 
……なにやら顔を赤くしている男子生徒Aが… 気のせいだ。 うん。気のせいにしよう。
流石にやりすぎたのか、席に着く前に二度ほど怒られた。
良い感じで教室が混沌としてきたぞ!
ルイズのため椅子を引く。相変わらず上品に座りなさる。
「…隣に座っても… いけませんよね?」
「わかってるじゃない?」
勝ち誇ったような顔で、”着席は許可しないィィィッ!”と言われた。
スタンド使いの口調になってるぞ? ……オレの影響(せい)か?
しぶしぶ床へ直に座る。床というか通路だが、ここ以外は狭すぎる。
…なんかオレ、丸くなってきたよな……。 …異世界にいるせいか?
周りには本当に奇妙な生物… 悪魔や妖魔、バケモノたちが蠢いていた。
窓の外を見ると、教室のドアを通りそうにない使い魔たちがおとなしくお座りしている。
(意外とデカイのがいるな… 小動物サイズが基本だと思っていたが…)

ドアから中年女性が入ってきた。
いかにも”魔法を使いますよー!”といった服装である。とてもオサレです。
「皆さん。春の使い魔召喚は大成功のようですわね。このシュヴルーズ――」
シュヴルーズ先生ね… 覚えたぞ。
隣のルイズが俯いている。なんで?
「おやおや。変わった使い魔を召喚したものですね。ミス・ヴァリエール」
教室中が笑いに包まれる。今までで一番大きい爆笑だ。
「ゼロのルイズ! 召喚できないからって、その辺歩いてた平民連れてくるなよ!」
「そうだ! せめて、仙道でも使える紳士を連れくればよかろうなのだァァ!」
(嗚呼… そういうことか… なんか悪いな、ルイズ。 …仙道て何?)
(でもちょいと、からかい過ぎじゃないか? おまえ等…)
おにいさん、ブチギレちゃうぞ?と首を鳴らしていると、ルイズが立ち上がった。
「違うわ! きちんと召喚したもの!」
そうだ。しかも異世界からだぞ? 
スタンド使いだぞ!? スゴイぞー! カッコイイぞー!
「召喚したけど、こいつが来ちゃっただけ!」
……結構な仰り様だな? 御主人様…。
その後、ルイズはマリコルヌとかいうヤツと罵り合う。ほんとに元気だな。

ルイズ「UREEYYY!」
マリコ「KWAHHHH!」

……おい、どっちも人間辞めてないか?

不毛な口喧嘩は、シュヴルーズ先生の魔法によって終結した。
しかし、元はといえばこの先生の一言からじゃないか?
……この後、本来の目的”魔法のお勉強”に入っていった。
勉強は好きじゃない。 ……苦手なわけじゃねぇぞ?

「やればできる子ですから」 ティッツァーノ談

だが、ルイズにすれば、今日は”基礎の復習”みたいなもんらしい。
……頑張って聞いてみる。情報は大切だからな。
魔法は五系統。いま使われてるのは四系統。
金属の加工とかはメイジがやってる。
というか、”科学”に当たる仕事は全てメイジの領分みたいだ。
目の前で『錬金』を見た。確かに魔法だ。
素直に感激した。これでメイジ様々ということが理解できた。
「…ゴールドを錬金できるのは『スクウェア』クラスのメイジ…」 「…私は『トライアングル』ですから…」
御主人様の肘をつんつんとつつく。
授業に集中していたルイズはビクッと体を振るわせる。
「…ッ! 何よ! ビックリするじゃない!(小声)」
「いやな、『スクウェア』とか『トライアングル』って何のことだ? レベルとかランクか?」
「…そうよ。『ドット』、『ライン』、『トライアングル』、『スクウェア』…」
足すことができる数が多いほど強いらしい。
なるほど。 ……”先生”で『トライアングル』か…。
「生徒のレベルってのは、学年ごとにほぼ一緒かい? ルイズは?」
急にルイズは黙ってしまった。
しまった! これは禁句だったか!
「いや、言いたくなければいいんだ。ルイズ…」
「ミス・ヴァリエール! 授業に集中なさい! 使い魔とのお喋りはいつでもできますよ!」
「は、はい! すいませんでした…」
またオレのせいで怒られた。 本当にすまん…。
「それではミス・ヴァリエール。 あなたに名誉挽回のチャンスを与えましょう」
ミス・シュブルーズは机の上にある石ころを指しながら続ける。
「ここの石ころを『錬金』してみてください」

一気に教室が静寂に包まれる。使い魔まで静かになった気がする
まるで”止まった時の世界”に入門したみたいだ! ……入門したこと無いけどな。

「やめた方が良いかと。 その方がみんな、幸せになれます」
キュルケが時を動かすと、皆一斉に喋りだす。
「やめろッ! 人間の寿命はどうせ短い 死に急ぐ必要もなかろうッ!」
「こいつは グレートにまいったぜェ…」
「お…恐ろしいッ おれは恐ろしい!」
「安っぽい感情で動いてるんじゃあないッ!」

……生徒たちの本音はどうやら逆効果のようであった。
すっと立ち上がるルイズ。
「やります」

当然オレはこの少女が周りからの暴言・侮辱を受けた事で、
パニックと敗北と反逆の表情をするだろうと思った。
しかし… 彼女はそのどの表情もしなかった…。
少女は微笑んでいたのだ……。
ただ 平然ともの静かに微笑んでオレを一瞥してから前を見ていた……。
その表情には「光り輝くさわやかさ」さえあるようにオレには感じられた……。

…逆に考えるのよルイズ。
『ヤッちゃってもいいのさ』って考えるのよ。
…今までは失敗しないよう、縮こまっていたわ。
でも、今日は違う! 思い切りイクわッ!
だって昨日確かに『サモン・サーヴァント』は成功したもの!
すでにッ! ”魔法”は成功しているッ!
この事実は誰も否定できないッ! 
……思いっきりされてるけどね……。
…きっと今日もできる。 一度じゃ無理かもしれない。
昨日も何度も失敗したわ。 それは認める。
でも成功したもの! 私はやれるッ!
もうゼロのルイズなんて誰にも言わせない!
見てなさい! すんごいの錬金してみせる!
あの使い魔にも御主人様の凄さを見せ付けてやるわッ!
偉大な御主人様のッ! 華麗なる魔法をッ!

 る オ オ オ オ オ !!


―――ルイズが教壇に向かうと同時に生徒たちが隠れだした。
「……何してんだ? おい、何で隠れる?」
男子生徒B「…君も早く隠れたほうが良いよ」
「?」
いまいち状況を把握できないでいるとルイズがすでにルーンを唱えていた。
「使い魔のだんな! 窓から離れろーッ!」
先ほど頬を赤く染めていた男子生徒Aが叫ぶ。

教壇で一つ奇跡が起こった。小宇宙大爆発(ビックバン)である。 
…そう表現しなければミス・シュヴルーズに申し訳が立たない……。


男子生徒Aのおかげで、爆風の通り道から逃げ、直撃だけは避ける事ができた。
「…スゲーな。 まさか…ルイズがここまでやるとは」
多少の傷はあるが、直撃を受けるより完全にマシだ。
教室に戻るとそこは阿鼻叫喚・地獄絵図だった。
爆発の中心にいたミス・シュヴルーズは……。
………。   …………。  ………あ、動いてる。
生徒たちはほとんど無傷であったが、それぞれの使い魔が暴れだして手に負えない。
…これを映画化したらハリウッドで大ヒット間違いなし! そんな迫力がある。
あ、小太り(マルコ?マリコ?ま、どうでもいいか…)が大蛇に…。 
腹壊すなよ大蛇君……。

グランド・ゼロ(爆心地)にいるゼロのルイズの様子を急いで見に行く。
なんという幸運! 爆発・爆風の被害が一番軽いとこにいた。
服はぼろぼろ、全身は煤で汚れていたが、奇跡的に無傷だ。
近寄り、抱き寄せる。 流石に拒絶はしなかった。
「大丈夫か!? ケガは? 頭打ってないか?」
「だ、大丈夫」
「そうか! 良かった…」
「…良くないわ」
「! やっぱりイテーとこあんのか!?」
「ちょ…」
「ちょ?」
「”ちょっと”失敗しちゃった☆」

「「「「おいッ! ”ちょっと”じゃ無いだろッ! ゼロのルイズッ!」」」」

ルイズとスクアーロ以外の全員が、声を揃えて非難を浴びせる。
……その通りだ。 今回ばかりは……。


「何が起こったんだァーーーッ!」
「爆発だァーーーッ 近づくなーッ 近づくなーッ」
「危険だーッ なんで教室が爆発するんだァァーー」
他の教室から先生や生徒が騒ぎを嗅ぎ付けてやってくる。
こりゃあ、もう授業どころじゃないな……。

……オレの御主人様は、”ちょっと”魔法が苦手らしい。
”ちょっと”(本人談)だけ……。

「『言葉』は自由でもあり、不自由でもある」ってティッツァが言ってたっけ……。
トーキングヘッドの重要性に、今日もまた、気付けたぜ……。



「The Story of the "Clash and Zero"」

第2章 ゼロのルイズッ! 後編終了


To Be Continued ==>

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