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涼宮ハルヒの経営I 仮説4 仮死状態のキョン

最終更新:

hiroki2008

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仮説4 仮死状態のキョン

仮説4で使われなかったシーン



「タイムマシンなんてそう簡単に完成するもんじゃないって」
「でも四次元的に考えればいつかは完成するはずでしょ。ということはあたしに会いにきてもよさそうなもんじゃない」
あいにくと俺は二次元の人間なんでな。
「なにか未来人がいるような証拠が欲しいのよ。たとえばローマの古代遺跡から発掘されたオーパーツみたいな」
ローマにそんなもんあったっけ。オーパーツと言えば鶴屋さんに預けたまんまだったな。元々鶴屋家の資産だが、江戸時代には存在するはずがないチタン合金なんてどう考えても俺たちにかかわりのある物品だ。朝比奈さんあたりの未来人がなんらかの理由で過去に持ち込んだに違いない。
 あれがいつ話に出てくるのかずっと気にはなっていたのだが、ハルヒに見せるのは後々問題が起こりそうな気もする……果たして見せるべきか。
 俺が目の前のメランコリーフェイスを見ながらそんなことを考えていると、ハルヒが眉毛をピクと上げた。
「キョン、あんた今何かひらめいたでしょ」
「い、いやん、なんでもないっさ」
「嘘。たった今脳内のシナプスが二百パーセント活性化しましたって顔をしたわよ。教えなさい」
お前はいつから脳神経外科医になったんだ。
「言わないとすっごく楽しいことしてあげるわよぉ、キヒヒ」
ハルヒが両手を熊手のように指を鉤状にしてゆらゆらと曲げ伸ばし、盛った雄ネコが怯える雌ネコを見るときのようなニタニタ笑いを浮かべた。
「うわ、なにするやめっギャハハハ」
「笑いながら悶え死ぬがいいわ」
ハルヒは俺の腕を後ろ手にして羽交い絞めにし、わき腹をくすぐった。悶える以前に息ができん。正直、笑いのツボを押さえすぎ。
「さあっあんたたちも手伝いなさい」
ハルヒの部下三人は『朝比奈みくるの冒険 Episode_00』のちょい役だった鶴屋さんバリの演出で、両手をかかげて俺に迫ってきた。やめれ~古泉、あとで覚えてろよ。長門も笑いをこらえた無表情でくすぐってんじゃない。朝比奈さん、あなたにそんなことをされては俺は昇天してしまいま……アーッ。
「さっさとゲロ吐いてしまいなさい」
さっき食ったお菓子をまじで吐いてしまいそうなんだが。あれれ、なんだか視界が白く光ってきたぞ、おい。
 そこからの映像は、俺の脳内では音声のみでお送りされた模様。
「たいへん!キョンが息してない」
「なんですって!?」
「顔が笑ったまんま意識不明よ。救急車、救急車呼んで」
「瞳孔が開いてますね。人工呼吸をしてみてはいかがでしょうか」
「そ、そうね。やっぱりマウスツーマウスよね」
「僕がやりましょうか。いちおう救急救命法のレクチャーを受けています」
うわ、まじでやめて。ハルヒが、いいえあたしがやるわ!と叫ぶ声を最後に、どう見ても笑えない状況なのに笑いながら昇天するという幸せなのか不幸なのか観客も混乱しそうなシチュエーションで幕を閉じた。最後の願いは、人工呼吸はせめて長門にやってもらいたかった、それだけだった。長門スマン、とうとうひとりにしちまったな。先に逝くぜ。
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