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涼宮ハルヒの経営I 仮説4 情報統合思念体

最終更新:

hiroki2008

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仮説4 情報統合思念体

仮説5との関連がなくなったので改造された元の文章


ゼロポイント時間
ドローポーカー4のフォーカード
time brain destroid device(脳内の時間の概念を壊してしまう)
キョンの仮死状態でみくる扮する巫女が出てくる
巫女衣装にするか



(仮死状態で長門の父親に会うキョン)

 その日の夕方、ハルヒがすき焼きをするからと俺たちを自分のアパートに呼んだ。珍しいこともあるもんだ。
「ずっと牛肉食べたかったのよ。もう宮廷料理には飽き飽きだわ」
あれは宮廷というより精進料理に近い気がするが。添加物も化学調味料も入ってなくて実にヘルシーだ。そのせいか、少し太った気がする。この歳で中年太りなんて嫌だぞ。

「皆さん、トランプでもしませんか」
古泉がポケットからカードを取り出した。わざわざ持ってくるところなんざ、お前らしい。清く正しい日本文化を堪能した後なのでここは花札で盛り上がりたい気分なんだが、朝比奈さんがルールを知っているかどうか怪しいからトランプにしとこう。
「レートは?」
「遊びだからノーレートでいいですよ」
まあ古泉相手じゃ巻き上げるのもなんだしな。
 古泉がしゃかしゃかとカードを切って全員分配った。手札をめくってみるといきなり4のフォーカードだった。
「な、なあ。レート上げないか」
「なによ、急にツキが回ってきたからってそれは許さないわよ」
チッ。今日はなんだか一生に一度の大博打が打てそうなポーカー放浪記な気分だったのに。俺はベットを続けて手札を見せた。
「なによこれ!イカサマだわ」
「なに言ってんだか。これが大人のポーカーってやつだよ」
俺はフフンと鼻を鳴らしてみたんだが、ズズッとしか鳴らなかったのは非常にくやしい。
 ノーレートのときに限っていい手が回ってくるもんなんだ。二度目の札は……。
「ありえん」
俺は手札を見せた。札交換なしの4のフォーカードだった。
 これは偶然ではあるまい。ちゃんと古泉がシャッフルするところを見たし、札も上から出していた。仮に古泉がやったんだとしてもそこまでして俺を勝たせる理由がない。
 このカードの意味はいったい何だ。俺の潜在意識が語りかけているのか、あるいは未来からのメッセージか、はたまた宇宙からの御宣託にちがいない。誰が送ったにせよ、俺にそんなメッセージが来ることはこれからなにかヤバイことが起るか起りつつあるってことだ。あるいはすでにその渦中にいるのかもしれん。
 俺がハルヒを見ながらそんなことを考えていると、ハルヒが眉毛をピクと上げた。
「キョン、あんたどんな魔法使ったのよ」
「断じて違う。魔法なんかじゃない」
「嘘。たった今超能力に目覚めましたって顔をしたわよ。教えなさい」
お前はいつから古泉ファミリーになったんだ。
「言わないとすっごく楽しいことしてあげるわよぉ、キヒヒ」
ハルヒが両手を熊手のように指を鉤状にしてゆらゆらと曲げ伸ばし、盛った雄ネコが怯える雌ネコを見るときのようなニタニタ笑いを浮かべた。酒が回ってんなこいつは。
「うわ、なにするやめっギャハハハ」
「笑いながら悶え死ぬがいいわ」
ハルヒは俺の腕を後ろ手にして羽交い絞めにし、わき腹をくすぐった。悶える以前に息ができん。正直、笑いのツボを押さえすぎ。
「さあっあんたたちも手伝いなさい」
ハルヒの部下三人は『朝比奈みくるの冒険 Episode_00』のちょい役だった鶴屋さんバリの演出で、両手をかかげて俺に迫ってきた。やめれ~古泉、あとで覚えてろよ。長門も笑いをこらえた無表情でくすぐってんじゃない。朝比奈さん、あなたにそんなことをされては俺は昇天してしまいま……アーッ。
「さっさとゲロ吐いてしまいなさい」
さっき食ったもんをまじで吐いてしまいそうなんだが。あれれ、なんだか視界が白く光ってきたぞ、おい。
 そこからの映像は、俺の脳内では音声のみでお送りされた模様。
「たいへん!キョンが息してない」
「なんですって!?」
「顔が笑ったまんま意識不明よ。救急車、救急車呼んで」
「瞳孔が開いてますね。人工呼吸をしてみてはいかがでしょうか」
「そ、そうね。やっぱりマウスツーマウスよね」
「僕がやりましょうか。いちおう救急救命法のレクチャーを受けています」
うわ、まじでやめて。ハルヒが、いいえあたしがやるわ!と叫ぶ声を最後に、どう見ても笑えない状況なのに笑いながら昇天するという幸せなのか不幸なのか観客も混乱しそうなシチュエーションで幕を閉じた。最後の願いは、人工呼吸はせめて長門にやってもらいたかった、それだけだった。長門スマン、とうとうひとりにしちまったな。先に逝くぜ。



 ここは、どこ。

 目を覚ますと、なんて状況ではなくて目蓋は最初から開いていた。白く光る映像が少しずつ明度を下げ、なんとなくそこが、地上の界隈とは違う雰囲気を醸しているということを理解しつつあった。
 俺はゆっくりと起き上がって両腕をさすった。白いトレーナーのような服を着せられている。実感はある。触覚もある。頬をパシパシと叩いてみたが痛覚もある。夢じゃないようだ。俺は白いベットのような台に寝かされていた。マットレスではなく、柔らかくも固くもない不思議な素材で出来ているようだ。
 ベットの下にゆっくりと白い靄が流れていた。雲の上なのかと思って足で探ってみたが、ちゃんと床があって安心した。
 俺はベットから足を降ろし、歩けることを確認して両足で立った。
「どこだここは」
誰かが聞いているわけでもないのに、もしかしたら誰かが聞いているかもしれないという期待がひとりごとを生んだ。
 そこは部屋ではなく壁も天井もない空間だった。地平線らしいものは見えず、白くぼんやりとした光が頭上から差していた。振り向くと、ベットは支えがなく宙に浮いていた。空中に固定されているといったほうがいいか。
「誰かいるのか」
叫んでみた。音の反射はなく、声が四方に吸い込まれていくような感覚だ。
「俺は死んだのか?」
「左様。数ある死因の中でもお前のはユニーク度ランキング上位に属する」
振り返ると、どこかで見たことのある少女がそこに立っていた。白衣に赤いハカマを着て、背中に大きな羽根があり、後光が差している。なんかのアニメで見たような格好だな。頭の上に浮いてるのは天使の輪?
「あ、朝比奈さんじゃないですか。なんてかっこしてんですか」
「ほう。お前にはわしが朝比奈みくるに見えるのか」
一人称がわしの朝比奈さんは意表を突いててすごく萌えますよ。
「だってそうじゃないですか、その顔と体型はどうみても」
「わしは朝比奈みくるではない。お前の記憶が相対的にそう見せているにすぎない」
「ほんとに?その胸は朝比奈さん以外のなにものでもない気がしますが。ちょっと谷間見せてもらえませんか」
朝比奈さんの胸に触れるなどと俺も血迷っていたのかもしれないが、その朝比奈さんの姿をした何者かが烈火のごとく怒った。
「ぶ、無礼ものぉぉぉ」
周囲百キロに響き渡ろうかという怒号が雷鳴と共に鼓膜を直撃した。白と黄色の稲妻がいくつも走り俺の体を流れた。呆然とした俺の体から湯気が立ち、髪の毛からプスプスと煙が出ていた。
「痛いじゃないですか、感電死したらどうするんですか」
「お前はすでに死んでいる」
いつもなら、ひでぶっ、とか返すところなのだが、こいつに通用するのかわからないネタなのでやめとこう。
「俺は死んだんですか」
「そのとおりだ無礼者め」
「想像してた死に様とはだいぶ違ったな。もっとこう、みんなに惜しまれつつベートーベンの第九合唱でも聞こえそうなシーンを予想してたんだが」
「贅沢な妄想だな。無礼なお前には笑いながら悶死するのが相応だ」
「無礼無礼と連呼しないでくださいよ。人違いだったんですから」
「人違いでも胸に触れるなど言語道断」
「そうですよね。すいませんでした」
「まあいい」
「ところで、あなたは誰なんですか。神様?」
「お前がそう思うならそう呼べばよかろう」
「じゃあ神様、ここはどこなんですか」
「お前の思考には存在しない領域だ」
「死んだってことは天国ってことですかね」
「お前も罪作りなやつだ。女の子を三人も泣かせてしまったぞ」
「あそうだ。あいつらどうなったんですか、俺の体は」
「涼宮ハルヒは過失致死罪で目下服役中だ。古泉一樹は共犯、朝比奈みくると長門有希は解任。葬儀は社蔡で執り行われた」
「ってことは、俺が死んでからどれくらい経つんです?」
「ここでは時間の概念などどうにでもなる。時間は空間と同じだ」
この言い方、なにか覚えがあるぞ。誰かが同じことを言っていたような。
「あなたはもしかして情報統合思念体の人ですか」
「まあそのような者だ」
「ってことは長門のパパさん?」
「父親という概念はないが、そう思ってもらっても差し支えんだろう」
「こ、これは失礼しました。まさかお父さんだったとは。娘さんにはいろいろとお世話に……はい」
「まったく有希の趣味が理解しかねる。こんなチャランポランなどうでもいい男のどこが……。それはまあいいとしよう」
なにがいいんだかなにを怒ってるんだか分からないが、この思念体は俺と長門が付き合っていることが気に食わないようだ。
「昔から蓼食う虫も好き好きと言うじゃないですか。はっはっは」
「お前が言うな、はっはっは」
笑顔でグーで殴られた。
「痛いじゃないですか」
「お前が有希をそそのかして、くそったれなどと言わせたからだ」
「あ、あれちゃんと伝わってたんですか」
「有希にあんなことを言われたおかげで一パーセクほど寝込んだ。メシも食えなかったぞ」
「長門のことが心配です。結局ひとりにしてしまいました」
「お前のせいではない。だから今回は特別に地球に帰してやる」
「そ、そうなんですか。ありがとうございます」
「今回はちょっと有希のおいたが過ぎたようだ。それについては詫びる」

朝比奈さんに扮した思念体のおっさんは、俺に向かって呪文を唱えた。視界がふたたびぼんやりと光ってくる。
「ああそれから、これは四回目だ」
「何回目です?」
「四だ」
「四ですか」
「そう。四だ」
「四ですか……」
「ヨン」
「四なんですね……」
「ョン」
「……」
「ョン!」
「……」
「キョン!ふざけてないで起きなさいこのアホンダラゲ!!」
「あ……」
目を開けるとハルヒの顔が目の前にアップで映った。同時に去年の大型台風並みの水がバケツ一杯降ってきた。カエルが陸の上で溺れたような感覚に襲われて、俺は水を噴いた。
「いまは何月何日だ?」
「なに寝ぼけたこと言ってんのよ」
ハルヒが涙目で俺のほっぺたをペシペシっと叩いた。
「に、二度もぶった!親父にもぶたれたことないのに!」
「なにアニメかぶれしたバカなセリフ言ってん、の、よっ」
ハルヒにヘッドロックをかけられた。我ながらバカなことを言った気がする。
「はぁぁ、心配しましたよキョンくん。硬直したまま動かないんだから」
朝比奈さんが大きく溜息をついていた。
「本当にそうですよ。からかったんだったら怒りますよ」古泉が言った。
「怒るのはこっちだ、ハルヒが悪いんだぞ。ほんとに意識を失ってたんだからな」
「意識を失ってる人が意識があるかどうかなんて分からないのではありませんか」
「そんな理屈っぽい突っ込みどうでもいい」
俺は古泉の手を振り払って起き上がった。俺は長門をじっと見た。あれは夢?意識混濁ゆえの幻想?それとも俺は本当に情報統合思念体に会ったのか。長門がすまなさそうに俺を見つめている。まあお前をひとりにしないで済んでよかった。思念体とやらに借りができたな。

 暗転。



NGシーン

「死んだってことは天国ってことですかね」
「お前も罪作りなやつだ。女の子を三人も泣かせてしまったぞ」
「あそうだ。あいつらどうなったんですか、俺の体は」
「ハルヒは過失致死罪で目下服役中だ。古泉一樹以下三名は共犯。服役囚を集めて活動している」
懲りない面々がほんとに塀の中にいっちまったんだな、プッ。
「はっはっは、シャレてる場合か。また雷落とすぞ」


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