邦訳(K1ver.)
イスラーム草創の時代からカリフ制の崩壊まで、ディナール金貨とディルハム銀貨はイスラーム共同体（以下、ウンマ）のイスラーム法に則った貨幣だった。
「イスラームにおけるディナール金貨とディルハム銀貨の歴史」
その創成期において、イスラーム教徒（以下、ムスリム）は質量に基づいて金と銀を使用し、彼らが使ったディナールとディルハムはペルシア人により製造された。ムスリムが使っていたと特定しうる最初期の硬貨はササン朝ヤズダギルド三世時代のディルハム銀貨のコピーであり、第3代カリフ・ウスマーン期のものである。この硬貨は表側の端にアラビア語の碑文が見受けられるオリジナルとは異なる。通常「アッラーフの御名の下に」と刻印されている。この時期以降、「神の御名の下に」とクルアーンの数節のアラビア語を貨幣に刻印することは、ムスリムにより作られるすべての硬貨の型の慣例となった。第2代カリフ・ウマル・イブン・ハッターブの貨幣基準として知られたその規則に従って、10ディルハムの質量が7ディナールに同等とされた。（ミスカール：ディナールの質量単位）ヒジュラ暦75年（西暦695年）、カリフ・アブドゥルマリク（ウマイヤ朝第5代）はアル・ハッジャージュ（この時イラク総督？） に初めのディルハマ（Dirhama）鋳造を指示した。従って、彼がウマル基準を公的に確立したのである。次の年、イスラームの家（当時のウマイヤ朝の領土）の全地域で、このディルハムの鋳造を命じた。また彼は硬貨に「アッラーフは唯一であり、アッラーフは永遠である」という一文を入れるように指示した。さらに硬貨から人物や動物の刻印を一掃し、それを文章に置き換えるようにも指示したのであった。この勅令はイスラーム史を通してその時から継続された。ディナール金貨とディルハム銀貨はどちらも円形で、文字は同心円状に刻印されていた。一般的に、一面に``タフリール``（神は唯一なり）と``タフミード``（神に称賛あれ）が記入され、もう一つの面にアミール（各地の総督の称号）の名と日付が記入されていた。後に預言者(S)への祝福祈願と時にクルアーンの成句を硬貨に刻印することが慣例化した。金貨と銀貨はカリフ制崩壊まで公的な貨幣にとどまった。その後、何十もの異なる紙幣が、イスラームの家の分断により興ったポスト植民地主義時代の各国民国家において製造された。
財産を信用して預ける行為に関する法
クルアーンにおいてアッラーフはこう仰っている。
「啓典の民の中には、あなたが千金を託してもこれを返す者もあれば、あなたが不断に催促しない限り、一枚の銀貨を託しても返さない者もある。」（3章75節）
最も偉大なイスラーム法学の権威であるカーディー・アブー・バクル・イブン・アル・アラビーは有名な著書「クルアーンの諸規範」の中でこの成句について言及している。
「この聖句（の内容）から抽出されうる（神の）恩恵とは経典の民とのモノの信用預けの禁止（という法規範）である。」
カーディー・アブー・バクルは言う。「財産を信用して預ける行為に関する問題はクルアーンの聖句により法制化されている。」
これは、（クルアーンの）聖句が（イスラームという）信仰へ対する絶対的な妥当性と最大の重要性を併せもった法的判断であることを意味する。非ムスリムへ富を信用して預ける行為は許されず、なによりも（われわれが非ムスリムに対して立ちはだかっている空間である）イスラームの家の外のパートナーとして非ムスリムを受け入れることは大いに制限されている。なぜなら彼らは、われわれの富を誤用しかねないし、非合法な取引でこの富を使いかねないからだ。紙幣が支払い約束だからといって、（われわれの財産）の支払いに関してわれわれの聖法の管轄外のところで握っているその発行者を信頼することが許されるのだろうか？歴史はまた繰り返し証明している。紙幣はムスリムにとって債務不履行や詐欺の永久的手段であった、と。さらに、イスラーム法は交換媒体としての支払い約束の利用を許可していない。
イスラームにおけるディナール金貨とディルハム銀貨とは何か？
イスラーム法によると、イスラームの1枚のディナール金貨は4.25グラムと同等の明確な金の質量をもつ。イスラームの1枚のディルハム銀貨は2.975グラムと同等の銀の重さをもつ。ウマル・イブン・アル・ハッターブはディナールとディルハムの関係をその質量に基づく有名な基準で制定した。それは、7ディナールが10ディルハムと同質量になる、というものである。
ディナール金貨とディルハム銀貨の使い方
- それ自体が富なので蓄えることが出来る。
- イスラーム法で必須とされている通りザカート（所謂救貧税）を支払うことが出来る。
- 結婚持参金として使うことが出来る。
- それが合法的な交換媒体であるので、売買が出来る。
ミスカールに対するイジュマー
神の啓示はディナールとディルハムについて言及しており、啓示にはそれについての多くの法判断が載っている。例えば、ザカート（救貧税）、結婚、ハッド刑などである。したがって、啓示内部で、ディナールとディルハムはリアリティや（ザカートなどの）評価に対する具体的な手段を持つことになる。その法判断は、イスラーム法に反するもの（他の硬貨や物品）に対してよりも、むしろ前述の啓示における基準に基づくはずである。イスラーム草創期および教友と支持者の時代から、シャリーアのディルハムは10枚で金7ミスカール（ディナールの質量）分の重さにになるという合意（イジュマー）があることを知っておこう。金の1ミスカールの重さは大麦72粒分であり、そのため、1ミスカールの10分の7の重さとなる1ディルハムは大麦50粒に50分の2粒を加えた重さと同等になるである。
非変動性
金ないし銀は、イスラームの最初期から、世界がかつて見たことのないほどの、最も安定した貨幣である。今日まで、イスラーム的複本位制通貨の価値は基本的な消耗品に対して驚くほど安定している。例えば、預言者（S）の時代で鳥1羽が1ディルハムであった。1400年後の現在、鳥1羽の価格はほぼ1ディルハムである。1400年間、インフレ率はゼロである。ここ30年間のドルや他の紙幣について同じことが言えるだろうか？長期的に、（金と銀の）複本位制通貨は、世界がかつて見たことのない、もっとも安定した通貨であることを証明している。質量によらない名目上の価値を強いることで象徴的な通貨に変更しようとする政府によるすべての試みを、生き残ってきたのである。
信頼性
金はそれ自身の増産によりインフレを起こすことはありえない。政令によって価値が下がることもなく、紙幣とは違い、誰かの支払いの約束に依存しない資産である。金の携帯性と匿名性はどちらも重要であるが、最も重大な事実は、金が他が持たない信頼性をもつ資源であることだ。紙幣のすべての形態、すなわち債権、株式そして銀行預金でさえ、借入金返済が約束されている。この形態の貨幣の価値は、約束がちゃんと守られるという投資側の信用に依存している。ジャンク・ボンドやメキシコ・ペソが示しているように、不確かな約束はすぐに価値を失くすのである。金はこの通りではない。金一つは金融システムから独立しており、その価値は5000年にもおよぶ人間の経験に保証されている。
ザカートの支払い
ザカートは支払い約束で払われるものではない。ザカートはアラビア語でアインとよばれる具体的な商品でのみ支払われる。それは支払うことへの約束で払われないし、あるいはアラビア語で言うところのダインという債務という形でも支払われない。イスラーム草創の時代から、ザカートはディナールとディルハムで支払われていた。最も重要なのは、紙幣でのザカートの支払いが1924年のカリフ制崩壊までのオスマン朝期全体に渡ってけっして許されなかった、ということである。
イスラーム法最高裁判官（Maliki Qadi）の権威、Shaykh Muhammad Illish（1802-1881）は言う。「もしもあなたが紙幣でザカートを払うことになるなら、商品としてのその価値（紙幣の価値）が認められる場合のみである。故に、そこに印刷されている紙幣の価格はザカートの支払いにとっては意味がない。」「商品としての本質をもつことから、もしザカートが義務化されるのであれば、二サーブはその価値により規定されず、銀、金、大麦、果物といったその本質と量で規定される。（紙の）本質はザカートにとって（価値において）意味がないので、紙は銅、鉄、もしくは他の似た物質と同様に扱われるべきである。」（Shaykh Illis）
金と銀でのザカート支払いの返還はイスラーム再建の重要部分である。
売買
ディナール金貨とディルハム銀貨はウンマの貨幣である。もはや数百もの様々な紙幣がインフレにより老廃することはない。過去、ムスリムはイスラーム世界を旅することが出来たし、その地で自分たちの郷でやったようにディナールで商売ができた。15世紀から、ヨーロッパ人はムスリムの土地で銀行約束手形の導入を開始した。紙幣はヨーロッパの商人に信じられないほどの購買力を与えた。それは世界貿易においてムスリムの優位性を圧倒し、ついには上回ったのだ。金はマネーであった、そして少なくとも2世紀前から政府系を含むほとんどの債券は金と結びついた。第1次大戦の金融的要求は諸政府に対して過度に貨幣生産を促し、最終的にそれが打ち切られるまで金への兌換が一時的に停止した（訳に自信なし）。
イスラームの宗教にとりディナール金貨とディルハム銀貨はどのように大切か？
クルアーン注釈の権威の一人、Al-Qurtubi (d 1273）は次のクルアーンの聖句に対する有名なタフスィール（クルアーン注釈）を残してる。
「あなたがた信仰する者よ、アッラーに従いなさい、また使徒とあなたがたの中の権能をもつ者に従え・・・」（4章59節）
この聖句は次の七つのものと一緒にスルタンに従うための命令である。七つのものとはすなわち、ディナール金貨とディルハム銀貨の鋳造、重さと量の固定、合法的な法判断、ハッジ、集団礼拝、2つのイード、そしてジハードである。したがって、ディナール金貨とディルハム銀貨の鋳造は、スルタンが統御し従わせるための第一義的な義務なのである。
紙幣に対するファトワー（宗教令等）
紙幣は合法的な交換媒体ではない。もしも紙幣が商品を象徴する(？)債務（ダイン）ならば、債務は何を負っているのか定義を有していなければならない。適切な債務として定義されていたとしても、債務は交換媒体として使用できない。富としての紙幣は非ムスリムへ信用して預けることが許されていない。もしも紙幣が確実な商品（アイン）であるならば、その価値はただ紙としてのその質量に一致する。同じように、われわれはディナールの価値をその質量で受け入れているのであり、名ばかりの価値でそうしているのではない。いずれにせよ、紙幣は交換媒体として受け入れられるものではないのだ。
押し付けと専制
われわれは「柔軟な貨幣が必要なのだ」という経済学者の言を聞いてきた。「われわれには経済のニーズに合わせて膨張したり収縮する貨幣が必要だ。」「貨幣の増大は経済を加速させる」これらの言は、支払い義務を避けるために紙幣発行者の破産を正当化する謬見である。実のところ、これらの言には、ただ紙切れにいくらかの文字を刻むだけで、われわれ全員のニーズに答えることができて、政府支出のすべてに満足でき、そしてコミュニティ全体を繁栄させることが出来るという考え方に大いなる魅力がある。しかし、人がこうした考え方を信じるとき、その人は何でもかんでも信じるようになるだろう。他の盗人を正当化する謬見は、「緊急事態だ」と言うことだ。確かに戦争は人々に解決策になるとされるものを受け入れさせることに影響を与えるられる。緊急事態のあとに、危機の半緊急事態、もしくはほぼ緊急時かほぼ平常時がやってくる。あらゆる場合で、われわれの個々の権利はもはやわれわれの手中にはないのだ。約束手形により当然支払われるべき全てあるいは部分的な返済のあらゆる失敗は、まさに盗人の一形態なのである。
リング
15世紀まではムスリムが全体的な世界貿易を担っていた。そのとき以来、ヨーロッパの人々はリングの力で（ムスリムの国際貿易上の役割を）掌握し始めた。このリングは単純な数学的方程式である。その方程式とは、リヒャルト・ワーグナーが彼の有名なオペラの中で歌っているように、それを使用する者にはすべての力が呪いとともに授けられるのである。「このリングを使う者はだれでも、もう愛されることはない。」力は金により振るわれず、保証された洞窟に格納されることによって振るわれたのであった。人々はそれを鋳造するためにあくせく働かされたが、このリングを所有するあらゆる者にもまた支配された。リングはただ国民国家を制圧したわけではなく、その力にとって国家それ自体が銀行へと変貌することが非常に魅力的だった。国家は銀行となったのだ。このクレジットを鋳造する便利な方法はすぐに諸政府によって発見された。そして諸政府は自分たちの経費支払いのなかで約束手形（法定通貨）を発行した。このやり方が支払利子なくカネを借りることが出来る唯一の方法だったのだ。政府による（手形保持者の推測上での）需要に対する支払いの約束は手中のカネと同等であった（？）。自らの財政赤字の拡大を抑制する能力を持たない諸政府は、その時法定通貨をつくった。法定通貨法は次の規定を制定した。すなわち、発行機関で発行されたすべての貨幣はあらゆる債務に対する力で容認されるべきである、と。法定通貨法は交換媒体を選ぶ人間の自由を保証する契約法を廃止した。それは市民に政府が制定した価値を有する人工的な貨幣を押し付けたのだ。
部分準備制度（The Fractional Reserve Banking）
この数学的公式は"部分準備制度と呼ばれる。そしてこの手段にはムスリムのカリフ制を破壊した債務と象徴的なカネが付随していた。この数学的公式がバンキングにほかならない。部分準備制度には前提条件が必要である。象徴的なカネの存在とそれの受容である。それは銀行が保有しない象徴的なカネの"利息"の貸付を基礎とする。銀行の保有額を超える20回の貸付で、すべての10%の返済額は会計上ほぼ200%（20×10％）になる。1ドルを預金したとしよう。部分準備制度は顧客による20回の通貨預金を許可している。このカネが10%返済利子率でローンとして貸しに出されると、銀行は1ドルの預金あたり200%クレジットを作る。故に、クレジットは何もないところから作られているのだ。敗者は従順な貨幣の利用者であり、彼らは無から作られるカネに由来するインフレーションの被害を受けるだろう。ムスリムが銀行の象徴的な金を受けいれることで、銀行（＝国家）に前例のない世界の支配権を与える魔法のシステムを誤って承認してしまったのだ。(了)
Introducing The Islamic Dinar and Dirham By Umar Vadillo
Achnagairn House, Scotland 1995
From the beginning of Islam until the fall of the Khalifate the dinar and dirham were the Shari'ah currency of the Ummah
THE HISTORY OF THE ISLAMIC DINAR AND DIRHAM
In the beginning, the Muslims used the gold and silver by weight and the dinar and dirham that they used were made by the Persians.
The first dated coins that can be assigned to the Muslims are copies of silver dirham of the Sasanian Yezdigird III, stuck during the Khalifate of Uthman (radhiaAllahuanhu). These coins differ from the original ones in that an Arabic inscription is found in the obverse margins, normally reading “In The Name of Allah”. Since then, the writing in Arabic of the Name of Allah and parts of Quran on the coins became a custom in all minting made by the Muslims.
Under what was known as the coin standard of the Khalif Umar ibn al-Khattab, the weight of 10 dirhams was equivalent to 7 dinars (mithqals).
In the year 75H (695 CE), the Khalif Abdalmalik ordered Al-Haddjadj to mint the first dirhama, thus he established officially the standard of Umar in al-Khattab.
In the next year, he ordered the dirhams to be minted in all the regions of Dar-al-Islam. He ordered that the coins be stamped with the sentence 'Allah is Unique, Allah is Eternal'.
He ordered the removal of human figures and animals from the coins and that they be replaced with letters.
This command was then carried on throughout the history of Islam. The dinar and the dirham were both round, and the writing was stamped in concentric circles. Typically on one side it was written the 'tahlil' and the 'tahmid', that is 'La ilaha illa Allah' and 'Alhamdulillah'. And on the other side was written the name of the Amir and the date. Later on it became common to introduce the blessing on the Prophet salalLaahu alayhi wasalam and sometimes, ayat of the Quran.
Gold and silver coins remained the official currency until the fall of the Khalifate. Since then, dozens of different paper currencies were made in each of the new pot-colonial national states created from the dismemberment of Dar-al-Islam.
LAW OF ENTRUSTING PROPERTY
Allah says in the Qur'an :
'And amongst the People of the Book there are those who, if you were to entrust them with a treasure (qintar), he would return it to you. And amongst them is he, who, if you were to entrust him with a dinar would not return it to you, unless you keep standing over him.' Al-Qur'an 3, 75
Qadi Abu Bakr ibn al-Arabi, the greatest authority on Qur'anic Law wrote in his famous 'Ahkam al-Qur'an' about this ayat:
'The benefit that can be taken from this is the prohibition of entrusting the People of the Book with goods.'
Qadi Abu Bakr said “ The question concerning entrusting property is legislated by the text of Qur'an.”. This means that the ayat is a legal judgment of absolute validity and of the greatest importance to the Deen.
Entrusting wealth to a non-muslim is not allowed, but furthermore, taking a non-muslim as a partner outside Dar-al-Islam (where we stand over them) is extremely restricted, because they might misuse or might use our wealth in a forbidden transactions.
Since paper money is a promise of payment, can it be permitted to trust the issuers while they hold the payment (our property) outside our jurisdiction ?
History has also demonstrated repeatedly that paper money has been a permanent instrument of default and cheating the Muslims. In addition, Islamic Law does not permit the use of promise of payment as a medium of exchange.
WHAT IS THE ISLAMIC DINAR AND DIRHAM
According to Islamic Law ….
The Islamic dinar is a specific weight of gold equivalent to 4.25 grams. The Islamic Dirham is a specific weight of silver equivalent to 2.975 grams.
Umar ibn al-Khattab established the known standard relationship between them based on their weights: '7 dinars must be equivalent to 10 dirhams' in weight.
HOW CAN I USE THEM?
1. I can save them because they are wealth in themselves
2. I can pay zakat as it is a requisite in the Islamic Law
3. I can use it as dowry in marriage.
4. I can buy and sell with them as they are a legitimate medium of exchange.
IJMA (CONSENSUS) ON THE MITHQAL
'The Revelation (wahyu) undertook to mention them (dinar and dirham) and attached many judgments to them, for example zakat, marriage and hudud etc. Therefore, within the Revelation they have to have a reality and specific measure for assessment (of zakat etc.) upon which its judgement may be based rather than on the non-shari'e (other coins or commodity).
Know that there is a consensus (ijma) since the beginning of Islam and the time of the Companions and the Followers that the dirham of the shari'ah is that which, ten weighs seven mithqals (weight of a dinar) of gold. The weight of a mithqal of gold is seventy-two grains of barley, so thet the dirham which is seven-tenths of it is fifty and two-fifths grains. All these measurements are firmly established by consensus.' Ibn Khaldun, Al-Muqaddimah
SAVING
Gold or silver are the most stable currency the world has ever seen from the beginning of Islam. Until today, the value of the Islamic bimetallic currency that the remained surprisingly stable in relation to basic consumable goods:
A chicken at the time of the Prophet salalLaahu alayhi wasalam costed one dirham. Today, 1400 years later, a chicken costs approximately one dirham.
In 1400 years, inflation is zero. Could we say the same about the dollar or any other paper currency in the last 30 years?
In the long term, the bimetallic currency has proven to be the most stable currency the world has ever seen. It has survived despite all the attempts by governments to transform it into a symbolic currency by imposing a nominal value different from its weight.
RELIABILITY
Gold cannot be inflated by printing more of it. It cannot be devalued by government decree, and unlike paper currency, it is an asset which does not depend on anybody's promise to pay.
Portability and anonymity of gold are both important, but the most significant fact is that gold is an asset that is no one's liability.
All forms of paper-money instruments : bonds, shares and even bank deposits are promise to repay money borrowed. Their value is dependent on the investor's belief that the promise will be fulfilled. As junk bonds and the Mexican peso have illustrated, a questionable promise soon loses value.
Gold is not like this. A piece of gold is independent of the financial system, and its worth is underwritten by 5000 years of human experience.
PAYMENT OF ZAKAT
Zakat cannot be paid with a promise of payment. Zakat can only be paid with tangible merchandise, called in Arabic 'ayn. It cannot be paid with a promise to pay or a debt, called in Arabic dayn.
From the beginning of Islam, zakat was paid with dinars and dirhams. Most significant is that the payment of zakat was never allowed in paper-money during all the Ottoman period right until the fall of the Khalifate in 1924.
Shaykh Muhammad Illish (1802-1881) the great Maliki qadi said that if you were to pay zakat with paper-money, only its value as merchandise (value of paper) can be accepted. Therefore its nominal value is irrelevent as payment of zakat.
'If the zakat was obligatory by considering its substance as a merchandise, then the nisab would not be stipulated according to its value but according to its substance and its quantity as is the case with silver, gold, grain or fruit. Since its substance (paper) is irrelevant (in value) with respect to the zakat, then it should be treated as the copper, iron or other similar substances.' Shaykh Illish
The return of the payment of zakat in gold and silver is an essential part of the re-establishment of Islam.
BUYING AND SELLING
The Dinar and Dirham are the currency of the Ummah. No more hundreds of different paper currencies diseased by inflation. In the past, the Muslims were able to travel throughout the Islamic World and trade with Dinars as they could at home. From the 15th century onwards the Europeans started to introduce the banking promisory note in the Muslim lands. Paper-money gave European traders an incredible purchasing power that overwhelmed and eventually surpassed the Muslim's superiority in world trading.
Gold was money, and for at least two centuries before, most bonds including government ones were gold bonds. The financial demands after the First World War led governments to print paper-money in excess, at first suspending convertibility to gold until it was finally terminated.
HOW IMPORTANT IS THE DINAR AND DIRHAM TO THE DEEN OF ISLAM ?
Al-Qurtubi (d 1273), one of the greatest commentators of the Qur'an wrote in his renowned Tafsir about the following ayat in the Qur'an :
'O you who believe ! Obey Allah and obey the Messenger and those in command among you …' Qur'an 4, 59
The ayat is an order to 'obey the Sultan with respect to seven things : the minting of the dinar and dirham, fixing weights and measures, legal judgements, Hajj, Juma'ah, the two Eids and Jihad.'
The minting of the dinar and dirham is therefore the first obligation of the Sultan to be commanded and to be followed.
FATWA ON PAPER MONEY
Paper-money is not a legal medium of exchange.
If paper-money money is a debt representing a merchandise (dayn) :
The debt must have a definition of what is owed. Even if it is defined as a proper debt, a debt cannot be used as a medium of exchange. Paper-money as wealth is not allowed to be entrusted to non-Muslims.
If paper-money is a tangible merchandise ('ayn) : Its value only corresponds to its weight as paper. Equally, we take the value of the dinar by its weight and not by its nominal value. Either way, paper-money cannot be accepted as a medium of exchange.
IMPOSITION AND TYRANNY
We have heard the economists saying ' We need a flexible currency.'
'We need a currency that can be expanded and contracted according to the needs of the economy'>
'An increase in currency will quicken industry.'
These are fallacies to justify the insolvency of the issuers of the notes in order to avoid their obligations to pay. There is in truth a great charm in the idea of being able to pay off all our needs, satisfy all the governments expenses and o make the whole community prosperous, just by printing a few characters on bits of paper. But when a man is capable of believing that, he will believe anything. Another fallacy to justify theft is to say 'It is an emergency'. Certainly a war can influence people to accept what appears to be solutions. After the emergency comes the semi-emergency of a crisis, or an almost-emergency time or an almost-normal time. In any case, our individual rights are no longer in our hands. Any failure to repay in whole or in part what is due by the promisory note is but a form of theft.
THE RING
Up until the 15th century, the Muslims were in total charge of world trading. From then on, the Europeans started to take over by the power of the Ring. The ring is a simple mathematical equation, which as mentioned by Richard Wagner in his famous opera, gives total power to the person who uses it, although it contains a curse : 'Whoever uses it, will never be loved'. Power was not wielded by gold, but by storing it in a guaranteed cave. People slaved to mine it, but ruled by whoever possessed the Ring.
The Ring did not just conquer the nation-states, for its power was so fascinating that it transformed the states themselves into banks. And the states becomes banks.
This convenient method of coining credit was soon discovered by the governments and they issued their own promisory notes (legal tender) in payments of their expenses. It was the only way for them to be able to borrow money without paying interest. Their promises to pay on demand being, in the estimation of the holders, equivalent to money in hand.
The governments who are incapable of containing their own expanding deficits, then created legal money. The Law of Legal Tender established that all money issued by the issuing authority must be accepted by force for any debt.
The Law of Legal Tender abolished the contractual law that guaranteed the freedom of the people to choose their medium of exchange. It imposes on the citizens an artificial currency with a value established by the government.
FRACTIONAL RESERVE BANKING
This mathematical formula is called the Fractional Reserve Banking and it is attached to debt and symbolic money which destroyed the Muslim Khalifate. This mathematical formula is what banking is all about.
The Fractional Reserve Banking needs a pre-condition. The existence and acceptance of symbolic money. Then it consists of lending at 'interest' this symbolic money that the banks do not have. By lending 20 times more than they have, all repayments of 10% become in accounting like 200% (20 X 10%).
We deposit $1. Fractional Reserve Banking allows banks to create 20 times the money deposited by customers. When this money is lent out as loans, and with a repayment with 10% interest rate to it, the banks have created 200% credit from $1 deposited. Hence creation of credit out of nothing.
The losers are the passive users of the currency who will suffer the inflation originated from the money created out of nothing.
Once the Muslims accepted the banks symbolic money they inadvertently endorsed the magical system which gave the banks a previously unthinkable world dominion.
最終更新：2010年12月17日 16:10
