ネタバレ考察 > 台詞集 > 暁美ほむら

台詞職人さんGJ

第1話

「暁美ほむらです。よろしくお願いします」
「東京の、ミッション系の学校よ」
「やって無かったわ」
「ごめんなさい。何だか緊張しすぎたみたいで、ちょっと、気分が。保健室に行かせて貰えるかしら」
「いえ、おかまいなく。係の人にお願いしますから」
「鹿目まどかさん。貴女がこのクラスの保健係よね」
「連れてって貰える? 保健室」
「早乙女先生から聞いたの」
「こっちよね」
「ほむらでいいわ」
「何かしら?」
「鹿目まどか。貴女は自分の人生が、貴いと思う? 家族や友達を、大切にしてる?」
「本当に?」
「そう。もしそれが本当なら、今とは違う自分になろうだなんて、絶対に思わないことね」
「さもなければ、全てを失うことになる」
「貴女は、鹿目まどかのままでいればいい。今までどおり、これからも」
「そいつから離れて」
「貴女には関係無い」
「そう」
「こんな時に」
「私が用があるのは……」

第2話

「いいえ、そのつもりはないわ」
「そいつが鹿目まどかと接触する前にケリをつけたかったけれど、今更それも手遅れだし」
「で、どうするの? 貴女も魔法少女になるつもり?」
「昨日の話、覚えてる?」
「ならいいわ。忠告が無駄にならないよう、祈ってる」
「今日もちょっと、急ぐ用事があって。ごめんなさい」
「貴女の獲物よ。貴女だけの物にすればいい」

第3話

「分かってるの?」
「貴女は無関係な一般人を危険に巻き込んでいる」
「貴女は二人を魔法少女に誘導している」
「ええ、迷惑よ。特に鹿目まどか」
「彼女だけは、契約させるわけにはいかない」
「貴女とは戦いたくないのだけれど」
「今回の獲物は私が狩る。貴女達は手を引いて」
「その二人の安全は保証するわ」
「ば、馬鹿。こんなことやってる場合じゃ」
「今度の魔女は、これまでの奴らとはわけが違う」
「待っ……くっ」
「まさか」
「その必要はないわ」
「こいつを仕留めるのは、私」
「命拾いしたわね、貴女達」
「目に焼き付けておきなさい。魔法少女になるって、そういうことよ」
「ん?」
「そうよ。これは魔法少女のためのもの。貴女達には、触る資格なんてない」

第4話

「貴女は自分を責めすぎているわ。鹿目まどか」
「貴女を非難できる者なんて、誰もいない。いたら、私が許さない」
「忠告、聞き入れてくれたのね」
「それで、巴マミの運命が変わったわけじゃないわ」
「でも、貴女の運命は変えられた。一人が救われただけでも、私は嬉しい」
「そうかもね。否定はしない」
「そうよ」
「数えるのを諦める程に」
「巴マミには、遠い親戚しか身寄りがいないわ。失踪届けが出るのは、まだ当分先でしょうね」
「仕方ないわ。向こう側で死ねば、死体だって残らない」
「こちらの世界では、彼女は永遠に行方不明者のまま」
「魔法少女の最期なんてそういうものよ」
「そういう契約で、私達はこの力を手に入れたの」
「誰のためでもない。自分自身の祈りのために戦い続けるのよ」
「誰にも気づかれなくても、忘れ去られても、それは仕方のないことだわ」
「そう。そう言ってもらえるだけ、巴マミは幸せよ。羨ましい程だわ」
「貴女は優し過ぎる」
「忘れないで、その優しさが、もっと大きな悲しみを呼び寄せることもあるのよ」
「貴女は……」

第5話

「話って何?」
「魔法少女としては、致命的ね」
「度を越した優しさは甘さに繋がるし、蛮勇は油断になる」
「そして、どんな献身にも見返りなんてない」
「それをわきまえていなければ、魔法少女は務まらない。だから巴マミも命を落とした」
「美樹さやかのことが心配なのね」
「私は嘘をつきたくないし、出来もしない約束もしたくない」
「だから、美樹さやかのことは諦めて」
「あの子は契約すべきじゃなかった。確かに私のミスよ。貴女だけでなく、彼女もきちんと監視しておくべきだった」
「でも、責任を認めた上で言わせて貰うわ。今となっては、どうやっても償いきれないミスなの」
「死んでしまった人が還って来ないのと同じこと」
「一度魔法少女になってしまったら、もう救われる望みなんてない」
「あの契約は、たった一つの希望と引き換えに、すべてを諦めるってことだから」
「ええ。罪滅ぼしなんて言い訳はしないわ。私はどんな罪を背負おうと私の戦いを続けなきゃならない」
「時間を無駄にさせたわね。ごめんなさい」
「それには及ばないわ」

第6話

「私は冷静な人の味方で、無駄な争いをする馬鹿の敵」
「貴女はどっちなの? 佐倉杏子」
「さあ、どうかしら」
「賢明ね」
「一体何度忠告させるの。どこまで貴女は愚かなの」
「貴女は関わり合いを持つべきじゃないと、もう散々言って聞かせたわよね?」
「愚か者が相手なら、私は手段を選ばない」
「この街を、貴女に預けたい」
「魔法少女には、貴女みたいな子が相応しいわ。美樹さやかでは務まらない」
「なるべく穏便に済ませたい。貴女は手を出さないで。私が対処する」
「二週間後、この街にワルプルギスの夜が来る」
「それは秘密。ともかく、そいつさえ倒せたら、私はこの街を出て行く」
「あとは貴女の好きにすればいい」
「じゃあ、貴女の仲間はどうなのかしら」
「話が違うわ。美樹さやかには手を出すなと言ったはずよ」
「なら、私が相手をする。手出ししないで」
「充分よ」

第7話

「前もって話しても、信じてくれた人は今まで一人もいなかったわ」
「あいつは酷いとさえ思っていない。人間の価値観が通用しない生き物だから」
「何もかも奇跡の正当な対価だと、そう言い張るだけよ」
「奇跡であることに違いはないわ。不可能を可能にしたんだから」
「美樹さやかが一生を費やして介護しても、あの少年が再び演奏できるようになる日は来なかった」
「奇跡はね、本当なら人の命でさえ購えるものじゃないのよ。それを売って歩いているのがあいつ」
「前にも言ったわよね。美樹さやかのことは諦めてって」
「感謝と責任を混同しては駄目よ。貴女には彼女を救う手立てなんてない」
「引け目を感じたくないからって、借りを返そうだなんて、そんな出過ぎた考えは捨てなさい」
「そうね……きっともう人間じゃないから、かもね」
「黙って見てるだけなんて、意外だわ」
「そんな理由で貴女が獲物を譲るなんてね」

第8話

「ワルプルギスの夜の出現予測は、この範囲」
「統計よ」
「聞くだけのことは聞いたわ。消えなさい」
「あれを殺したところで、何の解決にもならないわ」
「彼女のソウルジェムは、穢れを溜め込み過ぎたのよ」
「早く浄化しないと、取り返しのつかないことになる」
「どうして分からないの。ただでさえ余裕がないのだから、魔女だけを狙いなさい」
「もうソウルジェムも限界のはずよ、今すぐ浄化しないと。使いなさい」
「いい加減にして。もう人を疑ってる場合じゃないでしょう」
「そんなに助けられるのが嫌なの?」
「あなた、死ぬわよ」
「ねえどうして。貴女を助けたいだけなの。どうして信じてくれないの」
「そうやって、貴女はますますまどかを苦しめるのよ」
「いいえ、何もかもあの子のためよ」
「貴女って鋭いわ。ええ、図星よ」
「私は貴女を助けたい訳じゃない。貴女が破滅していく姿を、まどかに見せたくないだけ」
「ここで私を拒むなら、どうせ貴女は死ぬしかない」
「これ以上、まどかを悲しませるくらいなら」
「いっそ私が、この手で、今すぐ殺してあげるわ。美樹さやか」
「離して」
「貴女は、なんで貴女は、いつだって、そうやって自分を犠牲にして」
「役に立たないとか、意味がないとか、勝手に自分を粗末にしないで」
「貴女を大切に思う人のことも考えて」
「いい加減にしてよ!」
「貴女を失えば、それを悲しむ人がいるって、どうしてそれに気づかないの!?」
「貴女を守ろうとしてた人はどうなるの!?」
「そ、それは……」
「待って、美樹さやかは、もう」
「待って」
「まどか!」
「お前の正体も企みも、私は全て知ってるわ」
「ええ、絶対にお前の思い通りにはさせない。キュゥべえ……いいえ、インキュベーター」

第9話

「下がって」
「掴まって」
「いいから」
「私から手を離したら、貴女の時間も止まってしまう。気をつけて」
「かつて美樹さやかだった者よ。貴女も、見届けたんでしょう?」
「嫌ならその余計な荷物を捨てて。今すぐあの魔女を殺しましょ。出来る?」
「今の貴女は足手まといにしかならない。一旦退くわ」
「彼女のソウルジェムは、グリーフシードに変化した後、魔女を生んで消滅したわ」
「事実よ。それがソウルジェムの、最後の秘密」
「この宝石が濁りきって黒く染まる時、私達はグリーフシードになり、魔女として生まれ変わる」
「それが、魔法少女になった者の、逃れられない運命」
「その祈りに見合うだけの呪いを、背負い込んだまでのこと」
「あの子は誰かを救った分だけ、これからは誰かを祟りながら生きていく」
「今度こそ理解できたわね。貴女が憧れていたものの正体が、どういうものか」
「わざわざ死体を持って来た以上、扱いには気をつけて」
「迂闊な場所に置き去りにすると、後々厄介な事になるわよ」
「もちろん違うわ。貴女もね」
「すみません。気分がすぐれませんので、保健室へ」
「杏子」
「貴女……」
「あ……」
「杏子……」
「佐倉杏子には、本当に美樹さやかを救える望みがあったの?」
「なら、どうしてあの子を止めなかったの?」
「やらせないわ。絶対に」

第10話

「あ、あの…あ、暁美…ほ、ほむらです…その、ええと…どうか、よろしく、お願いします…」
「あの、わ、私、その…」
「え?いいえ…」
「いえ、その…ありがとうございます」
「え?そんな…」
「私、その…あんまり名前で呼ばれたことって、無くて…。すごく、変な名前だし…」
「名前負け、してます」
(無理だよ…私、何にもできない。人に迷惑ばっかり掛けて、恥かいて。どうしてなの…?私、これからも、ずっとこのままなの?)
(死んだ方が良いかな…)
(死んで…しまえば……はっ!?)
「ど…どこなの、ここ…?」
「何?何なの!?」
「え?いやっ!あぁっ!」
「あ、あなたたちは…」
「鹿目さん、いつも、あんなのと戦ってるんですか?」
「平気なんですか?怖く…ないんですか?」
「えっ…そんな……巴さん、死んじゃっ、たのに…」
「無理よ!一人だけであんなのに勝てっこない!鹿目さんまで死んじゃうよ?」
「ねぇ…逃げようよ……だって、仕方ないよ…誰も、鹿目さんを恨んだりしないよ…」
「鹿目さん…」
「いや!行かないで…鹿目さぁぁぁん!!」
「どうして…?死んじゃうって、わかってたのに…。私なんか助けるよりも、あなたに……生きててほしかったのに…」
「あなたと契約すれば、どんな願いも叶えられるの?」
「私は……。私は、鹿目さんとの出会いをやり直したい。彼女に守られる私じゃなくて、彼女を守る私になりたい」
「はっ?ここは…。私、まだ退院してない…。はっ!?夢じゃ、ない…」
「暁美ほむらです。よろしくお願いします」
「鹿目さん、私も魔法少女になったんだよ!これから一緒に頑張ろうね!」
「それじゃ、行きます!」
「わぁああああああ!あちょっ?とっとっ」
「えいっ」
「は、ふぃ…」
「ふぁあぁあ!ひぃぃぃ!」
「は、はい!」
「やった?やった…!」

「どうしたの?ねぇ、鹿目さん?しっかりして!」
「何…?どうして…?なんで、こんな…?」
「伝えなきゃ……みんなキュゥべえに騙されてる!」
「それは…」
「ち、違うわ!」
「え?ちょっと、考えてみます…」
「ごめん…美樹さん…」
「はっ!?巴さん!?」
「や、止めてっ!」
「大丈夫だよ。二人で頑張ろ?一緒にワルプルギスの夜を倒そう?」
「グリーフシードは?」
「そう…。ねぇ…私たち、このまま二人で、怪物になって…こんな世界、何もかもメチャクチャにしちゃおっか?
 嫌なことも、悲しいことも、全部無かったことにしちゃえるぐらい、壊して、壊して、壊しまくってさ…。
 それはそれで、良いと思わない?」
「そんな…!何で私に!?」
「うん…」
「約束するわ。絶対にあなたを救ってみせる。何度繰り返すことになっても、必ずあなたを守ってみせる!」
「うわぁあっ!」
「うん…」
「まどか…!」
「はっ…ぅ、ぐっ……うぅ………うう゛ううううう゛うう゛うう゛う!!」
(誰も、未来を信じない。誰も、未来を受け止められない。だったら、私は…)
「まどか。あなたに奇跡を約束して、取り入ろうとする者が現れても、決して言いなりになっては駄目」
(もう誰にも頼らない。誰にわかってもらう必要もない)
(もうまどかには戦わせない。全ての魔女は、私一人で片付ける。そして今度こそ、ワルプルギスの夜を、この手で!)
「まどか、そいつの言葉に、耳を貸しちゃダメぇ!!」
「騙されないで!そいつの思う壺よ!!」
「ダメぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
「その結果どうなるかも、見越した上だったの?」
「いいえ。私の戦場はここじゃない」
(繰り返す。私は何度でも繰り返す)
(同じ時間を何度も巡り、たった一つの出口を探る。あなたを、絶望の運命から救い出す道を)
「あぁっ!?」
(まどか…たった一人の、私の友達…)
「あっ…」
(あなたの…あなたの為なら、私は永遠の迷路に閉じ込められても、構わない)

第11話

「…?」
「…ッ」
「…どういうことよ?」

「今までの魔女と違って、コイツは結界に隠れて身を守る必要なんてない。ただ一度具現しただけでも、何千人という人が犠牲になるわ」
「相変わらず普通の人には見えないから、被害は地震とか竜巻とか、そういった大災害として誤解されるだけ」
「一人で十分よ!」
「佐倉杏子には無理でも、私なら一人でワルプルギスの夜を撃退できる。杏子の援護も、本当は必要なかったの。ただ彼女の顔を立ててあげただけ」
「本当の気持ちなんて、伝えられるわけないのよ」
「だって、私は…私はまどかとは、違う時間を生きてるんだもの!!」
「…私ね、未来から来たんだよ。何度も何度もまどかと出会って、それと同じ回数だけ、あなたが死ぬところを見てきたの」
「どうすればあなたが助かるのか、どうすれば運命を変えられるのか、その答えだけを探して、何度も始めからやり直して」
「ごめんね。わけわかんないよね…気持ち悪いよね」
「まどかにとっての私は、出会ってからまだ1ヶ月も経ってない転校生でしかないものね」
「だけど私は…私にとってのあなたは…」
「繰り返せば繰り返すほど、あなたと私が過ごした時間はずれていく。気持ちもずれて、言葉も通じなくなっていく。たぶん私は、もうとっくに迷子になっちゃってたんだと思う」
「あなたを救う。それが私の最初の気持ち。今となっては…たった一つだけ最後に残った道しるべ」
「わからなくてもいい。何も伝わらなくてもいい。それでもどうか、お願いだから、あなたを私に守らせて」

「来る!!」
「今度こそ…」
「決着をつけてやる!!」

「これ以上先に進まれたら、避難所を襲われる…」
「どうにかして…ここで食い止めないと…」
「そんな…ハッ」
「どうして?…どうしてなの?何度やっても、アイツに勝てないッ」
「繰り返せば…それだけまどかの因果が増える。私のやってきたこと、結局…」
「…!?」
「まどか…?」
「まどか…まさか…!?」

第12話

「まどか…そんな…」
「やめて!」
「それじゃ…それじゃ私は、何のために…」
「まどか…」

「…!?」
「ここは…?」
「そんな…」

「何よそれ…」
「これがまどかの望んだ結末だって言うの?こんな終わり方で、まどかは報われるの!?冗談じゃないわ!!」
「これじゃ、死ぬよりも…もっとひどい…ひどい…」
「まどか…」
「だからって、あなたはこのまま、帰る場所もなくなって、大好きな人たちとも離れ離れになって、こんな場所に、一人ぼっちで永遠に取り残されるって言うの?」
「まどかは…それでもいいの?私はあなたを忘れちゃうのに?まどかのこと、もう二度と感じ取ることさえできなくなっちゃうのに!?」
「まどか…」
「まどか、行かないで!!」
「まどかあぁぁぁッ!!」

「…!?」
「まどか…」

「うん、そうだね。そっくりだよ」
「いえ、こちらこそお邪魔してしまって」
「まどか…だね」

「ええ。私にも覚えがあります」
「さあ…どうだったか。聞き覚えがあるような、ないような」
「そうですか」
「差し上げましょうか?」

「仮説じゃなくて、本当のことよ」
「ふん」
「そうね。あなたたちはそういう奴らよね」
「そう簡単じゃなかったわ。あなたたちとの関係だって、かなり険悪だったし」
(たとえ、魔女が生まれなくなった世界でも、それで人の世の呪いが消え失せるわけではない)
(世界の歪みは形を変えて、今も闇の底から人々を狙っている)
「ボヤいたって仕方ないわ。さあ、行くわよ」
(悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だけれど)
(だとしてもここは、かつてあの子が守ろうとした場所なんだ)
(それを、覚えてる)
(決して、忘れたりしない)
(だから私は、戦い続ける)



叛逆の物語


「<希望を願い、呪いを受け止め、戦い続ける者たちがいる。それが魔法少女>」
「<奇跡をつかんだ代償として、戦いの運命を課された魂。その末路は消滅による救済。この世界から消え去ることで、絶望の因果から解脱する…>」
「<いつか訪れる終末の日。“円環の理”の導きを待ちながら、私たちは戦い続ける。
「<悲しみと憎しみばかりを繰り返す、この救いようのない世界で…。あの、懐かしい笑顔と、再び巡り会うことを夢見て…>」

「暁美ほむらです。どうかよろしくお願いします」
「本当は、ゆうべのうちにご挨拶しなきゃいけなかったのに」
「わ…私にできるのは、サポートだけで、攻撃そのものはからきしですけど」
「改めて、暁美ほむらです。これから皆さんと一緒に、この街のナイトメアと戦います。どうかよろしく!」
「あっ…」

「ええ」
「変だよね。ずっと一緒にいるみたいな気もするし、あっという間だったような気もするし」
「そうね。でも私も一緒。こうして、まどかと過ごせる時間を、ずっとずっと待ってた気がする」

「遅れてしまってごめんなさい!」
「はい!」
「ピュエラ・マギ・ホーリー・クインテット!」
「まどか!巴さん!」
「リリース」
「あっ…」
「ちが…います。わた…私はカボチャ。丸いケーキは甘いです。ケーキは、まどか?」
「今夜のお夢は苦い夢」
「お皿の上には猫の夢」
「まるまる太って、召し上がれ~!」
「やったね」

「えっ…。ううん、何でもないの」
「<私たちの戦いって…。これで、よかったんだっけ?>」
「う…うん。ありがとう」

「えっと、その…。佐倉さん、最近、何かがおかしいって思いませんか?」
「それは…その、何となく。でも、何もかも」
「誰よりも先にまず佐倉さんに相談したのは、だって、あなたが一番変っていうか…」
「私の中にあるあなたの印象と、その…あまりに食い違ってるんです。佐倉さんって、こんなじゃなかったような…」
「佐倉さん、今はどこにお住まいですか?」
「いつから見滝原中学に?」
「それっていつ?」
「見滝原に来る前は、どこに?」
「最近、風見野市に戻ったことはありますか?」
「佐倉さん、今から私と一緒に、風見野市に行ってみませんか?」
「ただ行ってみるだけでいいんです。そこが、もし本当にあなたの知っているとおりの街だったら、謝ります。その時は、何もかも私の勘違いです」
「ええ」
「分かりました」

「乗るバスを、間違えた?」
「次のバスで引き返しましょう。今度こそ、間違えないように」
「あっ…」
「今度は歩いて確かめてみましょう。途中で通りすぎた三差路を左…それで風見野に着くはずでしたね」
「いいえ、もうとっくに着いてなきゃおかしいです」
「あなたも私も、あんな大きな三差路を気づかずに素通りするほど、バカじゃないはずですよね」
「そんな、なまやさしいものじゃないかもしれない。もしかしたら、この見滝原には外なんてないのかも」
「佐倉さん、このこと、みんなにはしばらく秘密にしておいて。私だけで、まだちょっと調べたいことがあるの」
「大丈夫。ここは気づかなかったフリをしてた方が安全だと思う」
「むしろ下手に動けば動くほど、追い詰められていく。これは、そういうたぐいのワナでしょうね」
「ええ。だからこれ以上動いて目立つより、ここからは私1人に任せて。私たちをだましていたヤツは、今日までそれ以上、何の手出しもしてこなかったんだもの。おとなしくだまされているかぎり、危険はないはずよ」
「うん?」
「佐倉さん?」
「あっ…」
「<覚えているのは、私だけなの?そう、私はこの手口を知っている。閉ざされた幻の空間。獲物を誘い込んで惑わすための出口のない迷路。間違いない、ここは…魔女の結界だ>」

「<魔女…。それは絶望をまき散らす災厄の使い。そして、絶望に沈んだ魔法少女たちが最後に成り果てる、呪われた姿…。かつて私は、幾度となく同じ時間を繰り返し、その残酷な運命にあらがおうと戦った。そして、最後は1人の少女の犠牲によって、希望と絶望を巡る残酷な連鎖は断ち切られ、世界は、新しい理へと導かれたはず…。なのに…>」
「<私たちは忘れている。いや、忘れさせられていたのだ。誰かが、私たちの記憶を欺き、陥れようとしている。この偽りの見滝原の街で…>」

「どうしてベベが巴さんのところに来たか、覚えてますか?」
「ちょっとだけ気になって」
「巴さんは、もっと強くてたくましい人です」
「巴さん、お茶のおかわりいただけますか?」
「ごめんなさい、まどか」
「茶番はこのくらいで終わらせましょう」
「私はあなたの正体を覚えてる。思い出したの、あなたがかつて何者だったのか。みんなの記憶をねつ造し、偽りの見滝原の結界に閉じ込める。こんな芸当ができるのは…べべ、あなたしかいない」
「どういうつもり?こんなふうに私たちをもてあそんで、いったい何が楽しいの?」
「<記憶ってやっかいなものね。1つ取り戻すと、次から次へとよけいな思い出がついてくる。ええ、思い出したわ、巴マミ。私はあの人が苦手だった。強がって、無理しすぎて、そのくせ誰よりも繊細な心の持ち主で。あの人の前で真実を暴くのは、いつだって残酷すぎて、つらかった>」
「忘れたままでいたかったわ。今まで自分が、いったいどれだけの人の心を踏みにじってきたかなんて…」
「白状なさい。こんな回りくどい手口を使って、いったい何が目的なの?」
「あっ…」
「ああっ!」
「まさか、最初から…」
「あなたはべべにだまされている。ここは本当の見滝原じゃないわ。みんな偽者の記憶を植え付けられてるの」
「どうあってもそいつを守るつもり?」
「根比べなら、負けないわ」
「ハァ…ハァ…」
「ハァ…ハァ…」
「うっ…」
「巴さん、あなたは何も気づかないの?今の自分に何の違和感も感じないの?」
「あいつは魔女よ!私たち魔法少女の敵なのよ!思い出して!」

「あ…あなた、いったい…」
「巴マミとの衝突はしかたなかった。私が狙ったのは、彼女じゃなくて…」
「あなた…覚えてるの?」
「この状況を望んだ誰かが、私たちの中にいる…と?」
「魔女は、魔法少女が行き着く果ての姿。そうね、その可能性はありえるわ」
「そんなのは、当然…」
「何が言いたいの?」
「あなた、魔女の肩を持つつもり?」
「私もついさっき、一番肝心なことを思い出したわ。巴マミが思い出した記憶は、魔女ではなく魔獣との戦い。佐倉杏子が魔女の結界という可能性を推理しなかったのも、魔女のことを忘れてたからじゃない。2人は、魔女なんて存在は知らないんだわ。当然よ、もうこの宇宙には、魔女なんて存在しない。すべての魔法少女の魂は、魔女になる前に“円環の理”に回収される。そうなるように、あの子が世界を作り替えた。彼女自身を犠牲にしてね」
「そうよ。覚えているのは、ただ1人。私だけだったはず」
「ここにはそもそもありえないはずの存在が3ついる。1つは、この結界を作った魔女。もう1つは、魔女の姿のままのべべ。そして最後は…魔女のことを知っている、あなた。あなたは何者?本当に、美樹さやかなの?」
「ハァ…ハァ…」
「逃げ足が速すぎるわね。もっと不器用な子だったはずよ、あなた」

「<ここは偽物の街、誰かが夢に見た願望の世界>」
「<みんなを巻き添えにして、こんなありえない世界に逃げ込んだ者がいる。魔獣と戦う使命に背を向けて。そんな弱さ、許されていいわけがない。魔法少女は、戦い続けなければならない。それが、奇跡を願った対価。そんな私たちだからこそ、あの子は身をていして救おうとしてくれた。こんな茶番劇、まどかの犠牲を、ムダにしているだけよ。許せない…>」
「うわっ…」
「私は…」

「私ね、とても怖い夢を見たの」
「あなたが、もう二度と会えないほど遠いところに行っちゃって、なのに世界中の誰もかもが、そのことを忘れちゃって…。私だけが、まどかのことを覚えてるたった1人の人間として取り残されて…」
「さみしいのに…悲しいのに…その気持ちを誰にも分かってもらえない。そのうちに、まどかの思い出は、私が勝手に作り出した絵空事じゃないかって…自分自身さえ信じられなくなって…」
「どうして?なぜ、そう言い切れるの?」
「あなたにとっても、それは我慢できないほどつらいこと?」
「そう…そうだったのね。それがあなたの、本当の気持ちなら…。私、なんてバカな間違いを…。やっぱり、認めちゃいけなかったんだ。あの時私は、どんな手を使ってでも、あなたを止めなきゃいけなかった。まどか…」
「あなたにはね、どれほどつらいことだと分かっていても、それを選択できてしまう勇気があるの。あなたが…あなたにしかできないとこがあると知った時、あなたは、自分でも気づいていないほど、優しすぎて強すぎる。私ね、知ってるんだよ」
「そっか、やっぱりまどかも、何も覚えてないんだね。もしかしたら、あなたは幻かもしれないって。誰かが用意した偽物かもしれないって思ってた…。でなければ、こうしてまた会えるなんて…。どう考えてもおかしいもの。でも分かる、あなたは本当のまどかだわ。こんなふうに一緒に話ができて、もう一度また優しくしてくれて、本当にうれしい。ありがとう、それだけで十分に、私は幸せだった。もう行くわ。私、まだやり残したことがあるから」

「ねえ、佐倉さん。あなた、魔女のことは覚えてる?」
「いいえ、知らなくて正解よ」
「じゃあ、鹿目まどかは?」
「彼女のこと、覚えてる?」
「ええ、あなたが彼女のことを知ってるはずがない。その記憶は偽物よ」
「こんな簡単なこと…少し考えれば分かったはずなのに。まどかがいる世界をねつ造できるとしたら、それは、まどかのことを知ってる者だけ…。これで分かったわ。私たち全員の記憶を書き換え、偽りの見滝原に閉じ込めた張本人が誰なのか…」
「最後に1つだけ、確認したいことがあるの。それですべてに決着をつけるわ。あなたの手は煩わせない」
「巻き込んでしまってごめんなさい」「ソウルジェムを手放しても私の体が動くとしたら、せいぜい、100メートルが限度のはず…」
「つまりは…もう、魔法少女でさえないってわけ?どうしてよ…ねぇ…。どうして…私が、こんな…。いったい、いつの間に…私は、魔女になってたの?」

「インキュベーター。やっぱり、何もかも、あなたの仕業だったのね」
「そんな…」
「実験…」
「その理屈は変よ。外部と遮断されているなら、この結界に誰かが迷い込むことだって、なかったはすでしょ?」
「じゃあ、あの子はやっぱり…」
「インキュベーター、あなたたちのねらいは何?」
「何のために?好奇心なんて理不尽だって言ってたくせに、まどかの存在を、ただ確認するために、こんな大げさな段取りまで用意するわけがない」
「まどかを、支配するつもりね!」
「それで諦めるあなたたちじゃないわ」
「いいえ、そんな幸福は、求めてない」
「今のあなたが知るはずもないけれど、私はね、まどかを救う…ただそれだけの祈りで、魔法少女になったのよ。だから今度も同じこと…。まどかの秘密が暴かれるくらいなら、私は、このまま、魔女になってやる。もう二度と、インキュベーターにあの子は触らせない!」
「大丈夫、きっとこの結界が、私の死に場所になるでしょう。ここには、巴マミも、佐倉杏子もいる。彼女たちを信じるわ」
「黙りなさい!」
「あっ…。まどか?ああっ!」
「これが魔女…。私の感情が追いかけてくる…。輝きと、後悔だけしか…もう、思い出せない。ああ、これが、私の…絶望…。まどか、こんなところまで、迎えに来て、くれて、ありがとう。最後に、お別れを言えなくて、ごめんね…」

「<やめて…もうやめて!私は、この世界で死ななきゃならないの!>」
「<やめて…まどか…>」
「<ああ…>
「まどか…」
「ごめんなさい…。私が意気地なしだった。もう一度、あなたと会いたいって、その気持ちを裏切るくらいなら、そうだ…私はどんな罪だって背負える。どんな姿に成り果てたとしても、きっと平気だわ。あなたがそばにいてくれさえすれば…」
「ええ」
「ううん、大丈夫。もう私は、ためらったりしない…」

「まどか…」
「ええ、そうね。この時を…待ってた…」
「やっと…捕まえた」
「理解できないのも当然よ。ええ、誰に分かるはずもない」
「この思いは、私だけのもの。まどかのためだけのもの」
「言ったはずよ、まどか。もう二度と、あなたを放さない」

「そういえば、あなたは覚えていなかったわね。私にとっては2度目の光景だけれど」
「フッ」
「思い出したのよ。今日まで何度も繰り返して、傷つき苦しんできたすべてが、まどかを思ってのことだった。だからこそ、今はもう痛みさえいとおしい。私のソウルジェムを濁らせたのは、もはや呪いでさえなかった」
「あなたには理解できるはずもないわね、インキュベーター。これこそが、人間の感情の極み、希望よりも熱く、絶望よりも深いもの…愛よ」
「そうね…。確かに今の私は、魔女ですらない。あの神にも等しく聖なるものを貶めて、むしばんでしまったんだもの。そんなまねができる存在は、もう、悪魔とでも呼ぶしかないんじゃないかしら?」
「あら、そう」
「でもね。私たちの世界に湧いた呪いを処理するには、これからも、あなたたちの存在が必要なの。協力してもらうわよ、インキュベーター」

「その様子だと、何があったのか理解しているみたいね、美樹さやか」
「私が奪ったのは、ほんの断片でしかないわ。まどかがまどかでなくなる前の、人としての彼女の記録だけ。どうやらあなたたちまで巻き添えになって、元の居場所に帰れなくなってしまったようだけれど」
「今の私は“魔”なるもの。摂理を乱し、この世界を蹂躙する存在。神の理にあがらうのは、当然のことでしょう」
「すべての魔獣が滅んだあとは、それもいいかもね。その時は改めて、あなたたちの敵になってあげる。でも美樹さやか、あなたは私に立ち向かえるの?」
「今でも徐々に記憶は変わりつつあるでしょう?」
「もっと素直に、再び人間としての人生を取り戻せたことを喜べばいいんじゃないかしら。いずれは、何が起こったのかも忘れて、違和感すら感じなくなるわ」
「せめて普段は仲よくしましょうね。あまりケンカ腰でいると、“あの子”にまで嫌われるわよ」

「みんな、一度に質問されすぎて、鹿目さんが困ってるわよ。少しは遠慮しないと」
「私は暁美ほむら。はじめまして、鹿目まどかさん。まどかって呼んでもいいかしら?」
「早速だけど、校内を案内してあげるわ。ついてきて」
「ほむらでいいわ」
「久しぶりの故郷は、どう?」
「無理もないわ、3年ぶりだものね」
「大丈夫。あなたは間違いなく、本当のあなたのままよ」
「鹿目まどか、あなたは、この世界が貴いと思う?欲望よりも秩序を大切にしてる?」
「そう…。なら、いずれあなたは、私の敵になるかもね」
「でも、構わない。それでも…私はあなたが幸せになれる世界を望むから」
「やっぱり、あなたの方が似合うわね」

「フフッ」