序章


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   序章 少年と男

 予言者コチトラダメスの著した一冊の本には、こう記されていた。
『19999年3の月、我らの蒼き伸縮材である刃物は深遠のごとき輝きを放つ時期に狩るだろう』
 少年は思わず噴き出した。読んでみろと真剣な顔で渡された本が、意味不明な怪文書だったからである。
「そこじゃない。その次のページだ」
 年配の男は、少年が自分に本を突き返そうとするのを制し、先を読んでみるように促した。
 言われたページをうんざりした様子で読み出す少年。だが、文章を目で追うにつれ、その表情が次第に明るくなっていく。その内容を一通り読み終えた少年は、少女漫画のような目で男を見上げた。
「す、凄い……。これが本当なら、僕も軽く10センチは伸びますね!」
 少年が感激する理由は定かではないが、どうやら心を動かされたようであった。男も満足そうに微笑んでいる。
「やります。僕にもやらせてください!」
「ほお、そうか。やってくれるか。期待してるぞ。……ただし、他言無用だ。分かっているな?」
 男は穏やかな口調で少年に語りかけたが、その眼差しには、有無を言わせぬ厳しさが込められていた。
 少年はコクリと頷く。
 そして2人は、薄暗い小部屋を後にし、何食わぬ顔で普段通りの生活に戻っていった。

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