ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

DIOが使い魔!?-37

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匿名ユーザー

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「DIO。
明朝、盗賊狩りに行くわ。
もちろんあなたにもついて来てもらうから、
準備して…おきなさ………はぁ……」
自室に戻るや否やの命令だったが、ルイズは途中で激しく勢いを削がれてしまった。
ため息を止められない。
DIOは夕食を取っていた。
ルイズの部屋の、ルイズの机で。

「食事中だよ『マスター』。
何だ、帰ってこないと思ったら、いきなりそれか。
事情だけでも聞かせてはもらえないものかね……」
DIOは口を拭き、ナイフとフォークを、ルイズの机兼ディナーテーブルの上にある皿に置いた。
いつもルイズが物を書く時に使っている机なのだが、
今は純白のテーブルクロスが掛けられており、
料理が盛り付けられた皿と、ワインが並べられている。
何故かシエスタが部屋にいて、給仕をしていた。

香しい匂いが漂い、ルイズは思わず唾を飲み込んだが、直ぐに怒りがそれをかき消す。
ルイズの顔面に、青筋が浮き出た。
ルームサービス?
相変わらずの傍若無人っぷりだ。
こちとら一日中飯抜きなのよ、ふざけんな。

「DIO!
このアンポンタン!
御主人様の机を、勝手に使うんじゃないわよ!」
"ドン!"と床を踏み鳴らすルイズ。

いつものことなので、ルイズにとってはすっかり慣れてしまった光景なのだが、
ルイズは敢えて怒ることにした。
といってもDIOがこの世界に来てから、
あまり日にちは経っていないが…。
とにかく、今までそうやってDIOのやりたいようにやらせていたのが、今回の騒動の発端だ。
これからは締めるところは、キッチリ締めなくては、
また同じようなことが起こるに決まっている。
ルイズの脳裏に、DIOのこれまでの前科が、色鮮やかによみがえる。

何だかますます腹が立ってきた。
---よし、吹っ飛ばそう。
思い立ったら即行動だ。
幼い頃、ちいねえさまだって言っていたではないか。

----カトレアから----

"ルイズ……ルイズルイズルイズ…!
あぁ、可愛いルイズ!
メイジは『吹っ飛ばす』なんて言葉は使わないのよ。
何故なら、そんな言葉を思い浮かべた時には、
実際に相手を殺ってしまっていて、もう終わっているからなの。
私は使ったことがないわ。
いいこと?
『吹っ飛ばす』と心の中で思ったなら…
その時スデに行動は終わっているのよ、ルイズ。
『吹っ飛ばした』なら使っていいわ"

---------------

(わかったわ、ちいねえさま!
『言葉』ではなく、『心』で理解できたわ!)
1人思いながら、ルイズは杖を取り出し、DIOに向けて振り下ろ…………そうとしたのだが、杖を持つ手は、
気がつけばシエスタがガッチリと掴んでいた。
さっきまでDIOの側に控えていたはずなのに、
一体いつのまに動いたのか。
ルイズ同様、華奢な腕をしているシエスタだが、
掴まれた腕越しに伝わってくる力は想像以上で、
動かそうと思っても、ルイズの腕はビクともしない。

「御乱心、なさりませぬよう、ミス・ヴァリエール。」

静かな制止の声が、部屋に響く。

シエスタにガンを飛ばすルイズだったが、当のシエスタはどこ吹く風だ。
ルイズは何だか気に喰わなかった。

「誰の部屋だと思ってんのよ。
それよりこの手を離しなさいな。
アンタは黙って、DIOにゴマすってりゃいいのよ」
DIOの名前が罵り文句に出てきたことで、
無表情だったシエスタの顔が、見る見るうちに怒りで歪んでいった。
シエスタが力を込め始め、
ルイズの腕の骨がミキミキと軋む音を立てたが、ルイズは眉一つ動かさない。

「URYYYYY……!」
シエスタが背筋の凍るような唸り声とともに、
ルイズの腕を、HBのエンピツをポキッと折るみたいにへし折ろうとしたが、DIOがそれを遮った。

「シエスタ……ワインを注いでくれないか?」
シエスタの体がピタッと止まった。
さっきの剣幕もまるで嘘のように、シエスタはDIOの側に戻った。
どうやら食事は終わったようだ。
ルイズはフンと鼻息を荒げ、掴まれた腕をプルプルと振った。
わりと真剣に痛かったが、絶対に顔には出さない。
出すものか。
…………痛い。

DIO服従計画が、早くも躓いてしまい、
ルイズはとことん面白くなかった。

まだ鈍く痛む腕を無視しようと努めながら、
ルイズはソファーを見た。
一日中本を読んでいたのか、ソファーには、本がうず高く積まれて山になっている。
そのソファーにはデルフリンガが立て掛けられているが、
しっかりと鞘に納められていて、うんともすんとも言わない。
デルフリンガの横の床には、何故か釣り糸とメガネが置いてあった。
何だ、これは?
ふと思い立ったルイズは、デルフリンガを手にとって、鞘から抜いた。
刀身には、所々焼け焦げた後が、点々とついている。
鞘から抜いた途端に、デルフリンガが柄をパクパクさせて喋り出した。

「ネッ!ネッ!戻して!店に!ネッ!名前も!
お願い!ネッ!コラ!ネ…」
バチンと鞘に納める。
五月蠅いったらありゃあしない。
ルイズはデルフリンガを弄りながら、DIOに聞いた。

「このボロ剣、何か吐いたの?」
DIOは困ったような声を出した。

「いろいろ手を尽くしては見たが、まだ何も」

「どうやって聞き出そうとしたの?」
単純な興味から、ルイズは疑問を口にしてみたが、
メガネと釣り糸をもう一回見て思い直し、慌てて取り消した。

「やっぱり、言わなくていい。想像つくわ」

「それよりもこの剣、
役立たずなら廃棄処分にするの?」

「いや、どうやら、こいつは何か大切な事を知っているらしい。
私のルーンを見たときに、こいつは反応を示した。
今は忘れてしまって、思い出せないなどと言っているが……」
ルイズは、ふぅ~んとだけ言うと、デルフリンガを再びソファーに立てかけた。

グラスにワインが注がれると、
DIOは体をルイズの方に向けてグラスを突き出した。

「話を戻そう。
今日1日、何があったか、教えてくれよ」
ルイズはすっかりその事を忘れていた。
慌てて朝から事が起こった順に話していった。

宝物庫に侵入者が出たこと。
DIOのやったことがばれたのだと思い、宝物庫まで向かったこと。
侵入者は『土くれ』のフーケということになったこと。
フーケを殺らなければ、マズいことになること。
1つ1つ丁寧に話した。
話を聞き終わると、DIOはなるほど、といった。

「君は…アレだな、実に苦労人だな………」
同情するような視線を向けるDIOに、ルイズはついにキレた。

ツカツカとDIOに歩み寄ると、"ドガン"と机を殴りつけた。

机がベッコリとヘコんで、食器がいくつか宙を舞ったが、
落下する前に、シエスタが全てキャッチした。

「あ ん た の せ い で し ょ う がぁぁああああ!!!!」
肩をすくめるDIO。
ルイズはフンとそっぽを向いた。
いちいち激高してしまう自分に、腹を立て、
そんな自分にまた……という悪循環。
肩をいからせながらベッドに戻った。
明日は早いのだ。
早々に寝ることにして、ネグリジェに着替えつつ、
ルイズはDIOを見た。
---そういえば、こいつ、弱っているんだっけ。
…役に立つのだろうか?
「DIO。
そういえばアンタ、何でもない風に見えるけど、
ちゃんと使いものになるんでしょうね?
ギーシュの時みたいに無様なことにはならないでよ」
最後の方は、半ば見下すように言ったルイズに、
DIOがピクリと反応した。
無言で椅子から立ち上がると、手を"パンパン"と、
二度叩いた。
ルイズはその動作をどこかで見た覚えがあったので、
とっさに身構えた。
果たして、DIOは一瞬にして、机からルイズの目の前に移動していた。
ルイズはギョッとした。
ギーシュのときと同じだ。
やっぱり何が何だかわからない。

目の前で尊大に佇むDIOに、冷や汗をかいたが、
動揺を顔に出すような真似だけは死んでもやらない。

「やれば、できるじゃ、ない」
貴族としてのプライドから、それだけを何とか絞り出すように言う。

「……もはや自分の意思で、『動ける』までになった。
なに、もう少しさ」
DIOは確認するかのように呟くと、踵をかえして、シエスタに下がるように指示した。
シエスタはテキパキと食器等を台車に片付けると、
一礼して、台車を押しながら部屋を出た。
ルイズは、いつかDIOの謎を解き明かしてやると思うと同時に、
あの気に喰わないメイドがいなくなったことに、ちょっとせいせいした。

「もう寝ましょ、DIO。
明日は使い魔らしく、バリバリ働いてもらうから、そのつもりで」
何も言わずにソファーに向かうDIOを見やり、ルイズは指をパチンと鳴らした。
部屋の明かりが消えて、周囲は静寂に包まれた。
「あ、あと、明日こそは、買ってあげた服、着なさいよ。
いつまでも上半身裸は、
視覚的に言ってかなりアレだから」

「………………………」
周囲は静寂に包まれた。

to be continued……


番外編:ルイズが医務室で啖呵を切っていた頃

DIO「…………………」

"ズッダン!ズッダン!ズッダン!"

デルフ「うんがぁあああああ!!」

シエスタ「デ・ル・フ・リ・ン・ガ・ー。
天国、地獄、大地獄………天国。」


"ズッダン!ズッダン!ズッダン!"

シエスタ「………申し訳ございません、DIO様」

"グイン!グイン!"

"バッ!バッ!"

DIO「気にするなよ、シエスタ。
………所でデルフリンガー。
お前の名前は今日から、
『デルフリンガ』だ。
なぁに、気にするなよ、単なる発音上の問題さ」

デルフ「ンごぉおおお!!!」

"ズッダン!ズッダン…"



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