蝶子@レンジャー連邦さんからのご依頼品




すれ違いのプロポーズ



/*/ヤガミFase/*/
「待ち合わせまで、あと5分はあるな」
そうつぶやくヤガミの頭の中は、色々な想像が渦巻いていた
(蝶子の私服・・・・楽しみだな)
(一生懸命おしゃれしてくるって言ってたしな、
 せっかくだから楽しませてもらおう。)

小笠原にある波止場の待合室。
ヤガミの姿はそこに在った。
白いシャツの袖をバンドで留め、
派手ではないが清潔さを感じさせる格好だ。

背後から声をかけられ振り向くヤガミ。
その目に飛び込んできたのは
ヤガミの想像を超えたかわいい彼女だった。
蝶子が余りにかわいく、へその衝撃が余りに大きく、
こんな場所で人違いの可能性なんてあるはず無いが、
それでも相手が蝶子であることを再確認しようとめがねをはずす。
当然気の聞いた台詞を返す余裕なんてまったく無い。

(蝶子・・・だよな?)
そのすべてを見透かすような青い瞳で改めて蝶子であることを確認するヤガミ。
へそ出しルックの衝撃に言おうとしていた台詞を忘れ、頭の中が真っ白になる。
(へそ出し・・・やられた)
ガッツポーズを取りたくなる右手を必死に押さえつつ
冷静なそぶりに見えるよう努力して返事を返す。
ヤガミ「そうだな。まあまあと言うところだ」
(ちくしょう、気の効いた言葉一つ思いつかん)

一方久しぶりの再開に蝶子も緊張している。
合格ですか?なんてもじもじしながら聞いている。
しかしそれを気遣う余裕も無いくらいヤガミもへそにやられていた。

一息ついて、冷静になる為にも眼鏡をかけなおす。
(嬉しいな・・・)
ヤガミの目の青い光は眼鏡によって遮られた。
ヤガミ「似合ってる」
眼鏡をかけ、何とか冷静さを取り戻したヤガミ。ストレートに思ったことを口にする。
安堵し、かわいく笑う蝶子。
それを見て、ヤガミはこれからデートだということを思い出す。
そして、このへそを独り占めしたい気持ちがむくむくと持ち上がってくる。
(こんなかわいい蝶子を誰にも見せたくないな。何か隠すものでも・・なんて周りには無いぞ。
 今日は人の少ない所に行くとするか)

ヤガミ「腹を他の男が見ると思うと複雑な気分だが」
蝶子を独り占めしたい思いを、ストレートに表現するヤガミ。
蝶子は自分のファッションに問題があるか軽く上目遣いで聞いてくるが、
そのしぐさの可愛さにまたヤガミは喜ぶ。
ヤガミ「いや、がんばって腹を見せないようにしようと思った」
(他の男に見せてたまるか)
ヤガミは気づいていないが、レンジャーで他人に腹を見せないようにするというのは
すなわち嫁に貰うと同義語である。
プロポーズと勘違いしした蝶子は一瞬にして真っ赤になる。
一方そんなことを知らないヤガミは蝶子の可愛い姿にメロメロで、
へそ出し蝶子を独り占めすることばかりを考える。
頭の中で色々な考えをめぐらせるヤガミ。
見事なくらいにすれ違う。



/*/蝶子Fase/*/

ヤガミ「今日はどこにいく?」
蝶子「どこに行きましょうか。ごめんなさい、実は会えるってだけで浮かれて考えてませんでした・・・。」
ヤガミ「俺にプランを期待するなよ。仕事じゃないんだから」
そして仕事のことを思い出す。
このデートの後、向かう先のことを
戦場のことを思い出し、心に浮かべ
そこに一人降り立つことを思い描く。
もしこのままセントラルへと向かったなら、
何時帰ってこれるだろうか。

ヤガミの雰囲気の変化を敏感に感じ取り、蝶子が尋ねる。
蝶子「・・・ヤガミ、どこか行くんですか?」
そんな心の変化に気づかれるとは思っていなかったのであろう。
ヤガミはびっくりして、少し焦りながら答えを返す。
ヤガミ「いや。どこにも」
ヤガミ「あ。いや、嘘だ。嘘」
(危ないところだった。これから危ない所に行くなんてばれたら、またけんかになりそうだからな。)
(でもまいったな。この様子だとこっそり出かけようとしてもばれそうだな。)

話をはぐらかすため、これからの予定について切り出そうと考えるヤガミ。
(こんなに可愛くおしゃれしてきてくれた蝶子を他の男に見せたくないな。
 あまり人の居ないところに・・・って勘違いされないといいな。)
勘違いされた時のことを考えて、顔を紅くするヤガミ。
ヤガミ「デートにこれからいこうって時にどこにもいかないはないな。あー」
   「自然が多い場所だ。人のあまり居ないほうへ、散策しないか?」
(蝶子のへそは誰にも見せん。)
輝くような笑顔でうなずく蝶子。優しく見守るように笑うヤガミ。

二人は歩き出す。

ヤガミは、また一人心を未来に飛ばし、このデートの後のことを考えていた。
青い目が数時間先、数日先を見る。
それに対して蝶子は、歩き出したとたん急に何かを思い出し、
もじもじと照ればじめる。
二人で居るのにお互い上の空。

そんな時間を打ち破ったのは蝶子の一言。
頼みごとが有ると切り出す蝶子。
ヤガミは回想の手を止め、ふっと心を緩めながら返す。
ヤガミ「なんだ?」
蝶子「てっ、てて、ててて、手をつないでも、いいですか?」
目で見て分かるくらい顔を赤くしながら、かわいいお願いをする蝶子。
ヤガミのハートにクリーンヒット。
一瞬でヤガミの顔も赤くなる。
赤い顔を蝶子に見られる前に顔を背けるヤガミ。
(か、か、か、可愛すぎる。目もあわせられん)
蝶子が上目遣い上目づかいでヤガミの表情を確認しようとしたときには、ヤガミはすでに背を向けていた。
蝶子の方を向いているのはヤガミの手だけ。
「照れるな。俺まで照れるだろう」
どきどきしながら蝶子の反応を待つヤガミ。
言う前から照れている。
おずおずと差し出された手を握る蝶子。
蝶子「だ、だって!だって!照れるんです、仕方ないじゃないですか!」
蝶子「す、好きな人と手をつなぐのは。どきどきするんです!」
ヤガミ「腹は見せられるのになあ」
蝶子「お、おなかは風習です!」

ふとしたことに気づき、突然蝶子の前に出てじっとへそを見始めるヤガミ。
(へそは風習だって言うくらいだから、へそを見られても平気なわけだよな。
 じっくり拝ませてもらおう。)
恥ずかしくないんだろう?と顔に書いてある。
蝶子はというと・・・やはりちょっと照れた。
見えているのと、じっと見られるのは意味が違う。
蝶子のウェスト、へそを堪能するヤガミ
照れて声にならない声を出す蝶子。

ちょっとやりすぎたかな、と思いつつも
蝶子の照れる姿を可愛く思い笑顔になるヤガミ。
ヤガミ「いじわるしてすまなかった」
素直に謝りつつも、正直に胸の内を打ち明ける。
ヤガミ「実のところ妬けていた。俺は心が狭い」
蝶子「いえ、あの。あなたに見つめられると。それがたとえいつも出してるおなかでも、照れます。」
蝶子「・・・お嫁さんになればおなか隠せるんですが・・・。」
(それは、おなかを隠したかったらお嫁さんにしろってことか?・・・それも有りだな。)
今度はヤガミがプロポーズと勘違い。当然蝶子はそのことに気づかない。
勘違いとすれ違いのプロポーズ。
似たもの同士であった。



/*/そして/*/

この先もデートは続く。
しかし恋愛の神様に導かれ、
お互いが相手にプロポーズされ、思われていると思える状況なら
その先は語るも野暮。推して知るべしといったところである。



蝶子「大好きですよ、ヤガミ。あなたが、あなただけが、大好きです。」

作品への一言コメント

感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です)


  • SSの受注&制作、ありがとうございました。なんと言うか自分のへたれログが解釈次第ではこんなにもラヴいものになるのかとびっくりするとともに照れ死にました。ちょっと読んではパソコンの前で一人恥ずかしさに転がり、またちょっと読んでは転がっていたことは秘密にしておきます。どうもありがとうございました! -- 蝶子 (2008-02-29 04:25:16)
名前:
コメント:






引渡し日:


counter: -
yesterday: -

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年02月29日 04:25