No.218 神室想真@紅葉国様からのご依頼品



『必殺!ルウシィキックッッッ!!』

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“あ、つい蹴っちゃった”
“なんでもないのに蹴らないでくださいっ”

~ある小笠原での一コマより抜粋~

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紅葉ルウシィという人物が居る。

にゃんにゃん共和国は紅葉国の藩王にして子爵夫人である。ちなみに未婚であったりする。どこが夫人なんだろうという気もしないが、それはさておく。

ニューワールドにおいては“金の林檎”のルウシィとして、また“慈悲の女王”として有名である。まぁ、たまに…よく状況を面白くしてしまう人物ではあるが、その評価は間違いなく高い。

そんなルウシィが自室にてマユミ=紅葉=深浦と一緒にアルバムを捲っていた。

ちなみに、マユミ=紅葉=深浦は紅葉ルウシィの個人ACEである。今はルウシィの娘となった元気の良い娘である。

小笠原での思い出話に花が咲く。

ふとアルバムの一ページに目が留まる二人。

「あ、あの時の写真ですね!」

写真の中で、ルウシィが派手に千葉昇を蹴り倒している。

「あら、懐かしいわねぇ。」

笑顔のルウシィ。どうやら千葉を蹴り倒していると言うことは特に問題を感じてないらしい。しかし、まぁ当時の状況を知っている人間は、皆口をそろえてこう言うだろう。

「「ルウシィさんグッジョブです!」」

さて、この時に何があったか少し見てみよう。

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その日ルウシィ達は小笠原の夏祭りに遊びに来ていた。

些か季節外れで夏祭りも寂しい感じが漂っていたが、ルウシィ達18人が加わった事で、多少は賑やかになったようだ。

が、まぁ、何と言うか平和であったのは最初の数分だけであった。

労働一号かれんちゃんが敵性存在を確認した時から惨劇が始まった。

いや、この日に小笠原に来た事が全ての始まりであっただろう。

その言葉を聞いて参加者達は身構える。虫歯菌かそれともエースキラーか、或いは敵アラダか?

今まで戦った様々な敵が思い浮かぶ。

そしてかれんちゃんの一言で全ての予想が覆される。

「ヤマトゴキブリ一個連隊以上。」

凍りつく参加者。

頭を抱えながらぶつぶつと呟くルウシィ。どうやら囮はいや囮はいやと繰り返しているようだ。

因みにルウシィが所持している金の林檎は、半径5mの男性をメロメロにさせる効果がある。因みにメロメロになった男性は迷わずルウシィに抱きつく事となる。つまり半径5mのヤマトゴキブリの塊が出来るわけだ。


かさかさかさ


ついに奴等の足音が聞こえ始める。

一緒に遊びに来ていたFEGの川原雅がやーんと可愛らしく千葉昇の影に隠れた。

が、しかし。千葉はなんかこーほーこーほー言っている。

千葉さん?と千葉を見上げる川原の目にはガスマスクを装着して、明らかにやばそうなボタンを押そうとしている千葉が映った。

だめですよー、と言ってガスマスクを引っ張る川原。が、まぁ、軍用ガスマスクはそんなに簡単に取れるものではない。

「ゴ、ゴキは駄目だ。今すぐこの星ごとふきとば」

「誰かこのへたれを止めてー」と蒼燐が千葉を除く全員の意見を代弁していたが、そんな言葉を聞くことも無くボタンを押す千葉。

次の瞬間ルウシィの刺すような前蹴りが千葉の右手を打つ。

吹っ飛ぶボタン。叫ぶ千葉。

「何をする!」

いや、何をするも何も、それはこっちの台詞である。

千葉の半径5m以内に侵入するルウシィ。これで千葉も大人しくなる筈である。もっとも世話をするルウシィはたまったものではないが。

......千葉無反応。どうやら妹以外には反応しないらしい。

ここまで来ると流石である。

よくわかった。星ごとは流石にまずいと理解した千葉。重々しく頷くと震える手で携帯電話を取り出した。

数秒のコールの後に、携帯電話に向かって一言あるものを要請する。

「ICBM......」

躊躇無く蹴り飛ばすルウシィ。今度は見事な前回し蹴りである。


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一連の流れを思い出して苦笑するルウシィ。

「千葉さんはゴキブリ駄目なんですねぇ。」

マユミは実にストレートである。この娘の間違いなく良い所であろう。

「そうねぇ。本人は妹さんの為だって言ってるけどね。」


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まぁ、すったもんだで何とか3000匹のGをゴミ袋に捕獲する事に成功したわけだ。

10個近く並んだゴミ袋がガサゴソいっている風景は、あまりにショッキングかもしれない。

因みに千葉はと言うと、がさごそ言っているゴミ袋の周りに爆弾を並べている。目は確実にゴミ袋から逸らしているが。

千葉を後ろから蹴り倒すルウシィ。見事なヤクザキックである。

まったくこの人物は、どれだけ危険物を持ち歩いているのだろう。


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「千葉さんって、何でも持っているんですね。」

顔を上げて感心するマユミ。

「そうねぇ。あれでもう少し周りへの被害を考えてくれればいいのにねぇ。」

困ったものだと首を振るルウシィ。が、顔は笑っていた。どうやら面白いとは思っているらしい。


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何とか招待していた斉藤奈津子と合流した一行。

まぁ、奈津子がGをカブトムシと勘違いしているのはお約束であろう。彼女に誘われるまま森に入って皆一様に絶句する。


木が、真っ黒である。

木の表面はなにやらもぞもぞと蠢き、僅かな星明りを油っぽい光沢が反射している。

凍りつく千葉。直後に気を取り直して携帯電話を取り出して再びICBMを要請し始める。

もはや慣れたもので、千葉の携帯を真上に蹴り上げるルウシィ。

落ちてきた携帯を右手でキャッチして、通話相手に叫ぶ。

「作戦中止!!」

蹴られた千葉はそのままの勢いで、後ろの木にぶつかった。

そう、黒い木にである。表面がもぞもぞと蠢き、油っぽい光沢を放つ木である。

それにルウシィが気付いたのは、千葉の携帯を地面に叩きつけて破壊した後であった。

「「あ」」

一斉に木から飛び立つ何か。

最早夏祭りどころではない大惨事が繰り広げられる。

因みに、ルウシィは一番人気である。ここでも金の林檎は遺憾なくその魔力を発揮している。さすが呪いのアイテム。

迫り来る脅威(G)を手持ちの刀で払い落とし、海に飛び込むルウシィ。敵は勿論一緒に海にダイブする。潜って来ないのがせめてもの救いであろう。

しかし、海の中には新たなる脅威が。

2m級のフナムシとばっちり目があうルウシィ。

目と目が合った瞬間に(一方的に)恋に落ちたようだ。

ルウシィと熱く語り合う為に、するすると海中を泳ぐフナムシ。

「エレン シラ ルメン オメンティエルボ」

つい、エルフ語で挨拶するルウシィ。

因みに意味は「われらのあい出会う時、一つ星が輝く。」と言う意味だ。比較的有名なエルフ語である。

が、しかしフナムシはフナムシである。決してエルフではない。

「だめ!?」

ワシャワシャと口と口肢を動かすフナムシ。

「うーん、なにを主張したいのかよくわからん」

こんな時でも冷静なルウシィ。いや実は焦っているのかも知れない。

「ここにいると魚雷撃ち込まれるから隠れなさい」

取りあえず、相手の事を思いやる辺りが流石である。

が、しかしルウシィの色k、もとい金の林檎の魔力に囚われたフナムシが話を聞くわけもなく、ルウシィをがっちりと抱きしめる。

交尾針を出した。

流石にこれは勘弁とフナムシを蹴り剥がすルウシィ。

今日の一番人気はルウシィである。

問題は相手はどれも人間ではないことか。


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「いやー、この時は参ったわぁ。」

思い出して、眉を寄せるルウシィ。

「おうさ…ルウシィさんは、エルフ語も話せるんですか!」

目をきらきらさせるマユミ。

「あんまり詳しくないけどね。」

笑顔で答えるルウシィ。

「マユミも少し、覚えてみる?」

「はい!」


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そうして、どうにかG退治を終えた一行は予定通り花火見物に天文台へと移動した。

たーまーやーかーぎやーと花火を楽しんでいると、ふと思い出す。

招待したACEが一人足りない。

コロッケ屋の親父ことバッドである。

どうやらG対策で奔走したため、彼が居た屋台にたどり着かなかった為らしい。

まぁ、どうにかバッドとも無事合流するが(その過程でかれんちゃんが撃墜されたり、サーラ先生が自信を喪失したりしたがまぁ、それは別の話である)、彼が持ってきたコロッケを食べたエミリオの言葉に場が凍りつく。

「いいゴキブリの味がするね」

エミリオを全力でぶん殴るバッド。

「うちがそんなものつかうか!」

いやまったくそのとおりです。食文化の違いと言うのは恐ろしいものだ。

それを聞いた千葉。再び携帯を取り出してICBMを要請するが、ルウシィと蒼燐の両サイドから挟み込むハイキックで轟沈。

取りあえず拘束される千葉。

この人物は本当の意味で危険人物かもしれない。

こうして漸く落ち着いて花火を見ることが出来るようになったわけだ。

皆さんお疲れ様でした。

因みに、こっそりと千葉の拘束を解いた川原が千葉の懐を調べると携帯が100個ぐらい出てきた。

「どっからこんなに・・・」

次々と携帯を破棄していく川原。

それを見たルウシィ反射的に千葉を上段右回し蹴りで吹き飛ばす。

そして気付くルウシィ。千葉はまだ何もしていない。

「あ、つい蹴っちゃった」

「なんでもないのに蹴らないでくださいっ」

天文台から落下する千葉。

「いや、つい」

まぁ、これだけ繰り返せば条件反射で蹴ってしまうのも頷けるものだ。

それでも、まぁ、無事に(?)花火を見れてめでたしめでたしである。


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「楽しかったですよねぇ」

と嬉しそうに笑うマユミ。

「そうねぇ。また一緒に行きましょうか。」

「はい!」

「できれば、今度はゴキブリが居ない時期がいいけどね。」

可笑しそうに笑う母娘。

そしてアルバムのページは捲られる。

思い出話はまだまだ終わりそうにない。

~FIN~



作品への一言コメント

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  • 遅くなりましたがありがとうございました!紅葉藩王の得意技とあのカオスな時間が目の前に浮かぶようです。 -- 神室@紅葉国 (2008-03-25 17:56:20)
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最終更新:2008年03月25日 17:56