萩野むつき@レンジャー連邦さんからのご依頼品


萩野むつき:「デートだねー、こんどここそ!
ドランジ:「ははは。そうだな。そういわれると中々照れるな」
ドランジ:「まあ、初めてのデートが昼食でも、かまわないが」
萩野むつき:「私は嬉しい!」
萩野むつき:にっこり笑って足取りも軽いです
芝村:ドランジも笑っている。
萩野むつき:「これからは、いっぱい一緒にいよう。」
萩野むつき:食事いきまーす
芝村:はい


芝村:何事もなく楽しい食事を過ごしました


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ここはレンジャー連邦 北の都。
ドランジとむつきは人通りの多い歓楽街の中にいた。
二人は昼食をとるべく出掛け、目的の店へとたどりついたのだが

「ここなの?カール」
「そのはずだ。最近できた店だが評判はいいらしい」

そこにあったのはやたらと電飾を多用した派手で目立つ看板。
そしてそれをかかげた一軒の飲食店らしき建物。
看板の文字はあまりにもフリーダムな丸文字で解読が困難だったが、どうやら「和食ダイニング 愛憎」と書かれているようだ。

どう見ても怪しかったが、不思議なことにとなりの店からは続々と客が入ってゆく(ちなみにとなりは巨大な雀荘で、まーにゃんランドと書かれた達筆の看板があった)

「なんだか不安をあおる名前だね。愛憎って」
「他の店をさがそうか」

そう言って気をつかうドランジだったが、すでに時刻は正午過ぎ。どの店も席が埋まる時間帯である。

「ううん、ここにしよう。歩き回るのも大変だし」

こうして二人は怪しい和食屋へと入っていった。
この選択がのちの悲劇を引き起こすことになろうとは、神ならぬむつきには知るよしもなかった……。


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案内されたのは二人用のテーブル席だった。
ぐるりとあたりを見回すが、外と違って内装はまともであった。

しかしメニューをひろげてみると案の定で、料理の名前がことごとくおかしい。

三角関係おにぎり 鮭
骨まで喰らい尽くす サンマのカリカリサラダ
あえてトリカブトをふんだんに使った炊き込みご飯
心の闇を解き放つかのように叩きのめした 牛肉のたたき 
しょせん私はひつまぶし 

あきらかに食欲をそぐ&カップルで入りづらいラインナップである。
どうやらネーミングセンスに問題があるようだ。
やはり入る店をあやまったかもしれない。

とりあえず注文をする。頼んだのは二人とも(比較的まともな名前だった)愛憎☆御膳だ。
しばらくして運ばれてきた料理は意外なことに一見まとも、おそるおそる食べてみると味もまともだった。
ほどよい塩加減の焼き鮭と、白いご飯があまくておいしい。
半分ほど食べ進めたところで、ドランジは妙な視線を感じた。
顔を上げてみるとむつきが箸をもぐもぐとやりながらこちらをじーっと見ている。
正確には鮭の皮を器用に剥がしているドランジの手元を見ていた。

「なんか違和感あるなぁと思ったら、お箸つかえたんだね」
「意外だっただろうか」
「うん。ナイフとフォークがデフォルトの人だと思ってた」
「夜明けの船でも日本料理は出ることがあった」

少しだけ笑って事情を説明する。
箸の使い方はヤガミに教わったこと。
この店も彼の紹介であったこと。

「そういえば、艦内食堂って色々レパートリーあったよね。おせちに京懐石に」
「テンプラやスシもあった。それから、あー」

だんだんと顔をしかめつつ、どんどん沈んでいくドランジ。
「どしたの?」
「嫌なことを思い出した。死神定食のことだ」

死神定食。それは残飯その他に加工処理を施し、何とか食用にこぎつけた料理である。
それが配給される時はすなわち、艦に食材が無い事を意味する。
香ばしいというには程遠い、コゲた匂い。芳醇とは言い難い腐臭。
そしてひとくち食べれば魂が抜けるとまで言わしめたその味はまさに殺人料理。

「むつきは平気だったのか?」
「私?んー、画面越しじゃ味まではわからなかったなぁ」

そうか、とだけ言って頭を抱えて眉を寄せているドランジ。心の底から嫌いだったらしい。
その様子をきっかり3秒見つめてからむつきは言った。
「……よし。すいませーん!」
近くを通った店員をつかまえて注文を始める。それも一品や二品ではない。
ドランジの聞き間違いでなければ「端から端まで」という言葉もあった。
ようやく注文が終わったところで声をかける。

「あー、一体なにを?」
「うん、あのね。名前はともかくここってご飯はおいしいよね」

妙に真剣な顔で話始める。
ドランジは返答に困って沈黙。これを肯定ととったかむつきはさらに話を続ける。
「だからね、死神定食のせいで損した分を今から一杯食べて取り戻すの」
ここでようやくドランジは理解した。
つまりむつきはこう言いたいのだ。
夜明けの船でひどい食事をした分、ドランジは良いものを食べてしかるべきだと。不幸を味わった分、幸せになるべきなのだと。

「つまりは帳じり合わせか」

とはいえ人間の胃袋には限界がある。
甘いものが出てくるわけでもない上に、女の子でもないドランジにはもちろん別腹などという予備も存在しない。食べきれずに残してしまうのは間違いないだろう。
だが、本気で心配そうに見つめてくるむつきを見てドランジの心は満たされていた。
なによりもその気遣いが嬉しかった。

愛されているのだなと、思い上がってもいい気がした。

「それにね、こんど来る時は何か作ってくるよ。さっきも言ったけど料理は得意なの」
「楽しみにしている」

ドランジは嬉しそうに笑った。
むつきもそれを見てしあわせそうに笑う。

「今日はいい日だ」
「これからもずーーっといい日にしようね!」
「そうだな、そうしよう」

そのあと運ばれてきた料理をたいらげるのはさすがに骨の折れる作業ではあったが、二人はおおむね楽しい食事を過ごした。




作品への一言コメント

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  • =□○_ またもや可愛くて倒れ中 -- 萩野むつき@レンジャー連邦 (2008-02-12 21:50:10)
  • ありがとうございます、やっぱりドランジはかwa(略) すごく楽しいお話で笑いました、嬉しかったです! -- 萩野むつき@レンジャー連邦 (2008-02-12 21:52:15)
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最終更新:2008年02月12日 21:52