みぽりん@神聖巫連盟様からのご依頼品


 本SSは一時間目・体育祭をカバーしたものとなります。
 二時間目以降には一切触れていませんので、ご注意ください。
 また、全ての出来事は通りすがりの男から見た観点で語られます。
 実際の事実などとは多少食い違う事もありますが、ご了承ください。



「……なんで秋の空って無駄に晴れる事が多いんだろうか?」

ぼけーっと、空を眺めながら歩いていたその男は呟く。

秋の空とオンナゴコロは判らない。山の天気のようだと詩人が言う。

だが、山の天気は確かにコロコロ変わるが、こうして
俺の頬に掌を打ちつけたりしないだろう。

その男性……いや、この際その名前なぞどうでもいい。

重要なのは彼が彼女の機嫌を損ねてしまい、一人ぶらぶら散歩している時に。

偶然見かけたその事なのだから。


その日の小笠原において、体育祭なる物が行われていた。

その男がそこを通りかかって、その上気づいたのは偶然に他ならない。

遠目から見ると、10人……? いや、もっと居るのか? よく判らないが、結構な人数が居るようだ。

特にする事も無く、遠目からそれを眺める。

どうせやる事も無いのだ。暇つぶし、話の種くらいにはなるだろう。

それが、男の思っていた事だったのだが……

……何モンだ、あいつら?

遠目からなので、顔までは見えないが半分近くの人間が赤い髪。

中には青い髪までいるわ、普通の髪の毛という、黒や茶の人物が少ない。

更にその一行の中には時代錯誤な格好をした人間まで居るわ、もう訳が判らない。

おいおい、こいつぁ……面白い事に、あ、ああー! あぁ……

視界の中で青い髪の少年が、ポニーテールの少女に抱きつこうとして、殴られてる。

何だか……一時間前の自分を見ているようで、気落ちする。

だが、その少年は驚くべき事にすぐに復活すると、また少女に近づいていく。

何たるパワー&ガッツ!

男は感動した。もしかしたら俺も叩かれて呆然とせずにああして
再度のアタックを即座に試みれば成功してたかもしれん。

何か心震えるものを確かに感じ取りながらも
でも、あそこまで積極的なのはウザがられねえか? とかとも思ったり。

その近くでは……男? 女?

多分、男だと思う。遠めなのでよく判らないが、胸が無いし。

オカッパ頭の少年がそれを微笑ましく見ている。

羨ましいのか……? 判る、判るぞぉ、少年。

どうでもいいことだが、何だかその少年に強い共感を覚えながらも
その傍に居た体操服に剣という、訳の判らない格好をした少女を見やる。

…………

なんていうか。

少女を見ると少年を見ながら「うはwwww ktkrwww」という感じである。

微妙に、ヒく。

やたらハイテンションなのが遠目からでも判る。

いや、まぁ……

その周りで体操服にサングラス。

その格好でも微妙なのに、何故かチョコマカと動き回って写真を撮りまくってる
謎の赤毛の男に比べれば、ある意味ではむしろ正常な格好なのかもしれない。

ちなみにこの男が先ほどから微妙に気になってるのは
オカッパの少年をチラチラ見てるこれまた赤毛の少女。

好きなのか……LOVEかっ!?

なんだか初々しいなぁー、と和まされた。

二人の前途に幸あれっ!

とか、思いながらもオカッパ少年の方には

この鈍感野郎~~~! と、とりあえず呪詛の念を定型行動の如く送っておいたが。

……?

オカッパの少年が子供に話しかけられてる。遠目から見ても緊張しているのがよく判る。

……なんで?

子供が苦手なのか、元々人間と付き合うのが苦手なのか。

微妙に心に引っかかりながらも、まぁ、いいか。他人事だし。何より男だし、とあっさり斬って捨てる。

ここらへん、これほど関心を持ちながらあっさりする辺り、この男、いい性格をしている。

つまりは、まぁ。

一杯居た女の子の方に大体視線が向いているのだ。


さて、どういう事か。

どうもこれから競技らしい。

遠めで見ながら、どうも二人三脚をやるらしいなぁ、とボケーと思いながら見ている。

先ほどの青い髪の少年とポニーテールの女の子がまるでそうするのが当然の様に足を結んでいる。

……いや、まぁ。

その前に、青い髪の少年がやたらとくっついたりしようとするのを
ポニーテールの少女がぽかぽか真っ赤な顔で叩いてたりしたが。

結果的に見れば、二人は当然の様に足を結んでいる。

ちなみに。

実は先ほどから視界に入ってはいるものの、あまりにキツそうな性格(憶測)で
わざと視線に入れないドレスを着た女も、しっかりと観戦している。

ちなみにそれほど視界に入れてない理由は単純だ。

今日、自分の頬ベタをパチンした彼女に、そのキツそうな性格(推測)が似ているからだ。

……格式のあるツンデレか。

自分勝手な結論を出して、それでスルー。

男は自分の理解を超える、或いは自分の手に余す物はとりあえず、気にしないと言ういい性格だった。


最初、何が起こったのか判らなかった。

二人三脚が始まり、五秒もしないうちに青い髪の少年と少女がぽかぽか始めて、失格になった。

青髪の少年はひたすら平謝り。ポニーテールの少女は顔を真っ赤にしている。

周囲は一瞬、何が起こったのか判らなかったかもしれない。

だが、男はすぐに何があったのか、推察くらいは出来た。

あの青髪の少年、抱きつきに行きやがったか……

もう、師匠と呼ぼうか、勝手に。

その推論に、男の胸が熱く震えた。


舞「バカモノ! どうして貴様はそういうことをっ」

青「イタ、ご、ごめんっ! つい我慢できなくて、イタ、イタタっ」

舞「バカモノ! 人前であのような事を行いおってっ」

青「イタッ、本当に痛いよ、舞」


あぁ、何か妙な幻想が見えた、それもまた一時の事。

とりあえず、何だか凄く微笑ましい気分になり、幸せになる。

ちなみに……

先ほどから何度か注目してるオカッパ頭の少年。

現在は二人の少女。剣と赤毛の少女にジュースを手渡されそうになってる。

……滅びろ。

何だか、微妙にそんな事を思ってしまった。自重自重。

どうもあのオカッパの少年の周囲は騒がしい。なんていうか、大昔のらぶこめでぃ、という
そんな誰もが夢見る空想・幻想を具現化したような空気に遠い目に思わずなるのを誰が止められるだろうか?

と、そこへ。

女性が一人、剣の少女に近づいた。

2~3のやり取りの後、少女が急に跪く。

? なんだ、あれ?

傍目に見てもテンションが高かったその少女がいきなり跪き、その女性に忠誠を誓う騎士のようにしている。

……まぁ、それも。

20秒と持たず、顔を上げた時には遠くからでも「おら、wktkしてきたぞぉwwwww」という
異常なまでのハイテンションオーラを感じ取れるので、色々心配する事は無いようだ。

……心配といっても、全く実も知らない少女なのだが。

ちなみにその隙に赤毛の少女がオカッパ頭の少年にジュースを渡して、話をしている。

どういう流れかは全く判らないが、どうやら勝負あったようだ。

少しのやり取りの後。

オカッパの少女と少年が、足を組んでいる。

何だか二人とも照れてるような、なんていうか。

あぁ、青春ってあんな感じだったよなぁ、とか。
俺、いつからほろ苦さと甘酸っぱさを忘れたんだろう、とか。
ていうか、オカッパ頭の。ちゃんと答えてやらないと潰す、とか。

訳の判らない情動が身体を駆け巡った。

微笑ましいけど、何か悔しい。

これが、正解なのだろう。いや、まぁ通りすがりの俺には関係の無い人なんだがな、全員。

そして、準備がされ、全員がスタートラインに立つ。

審判が何かしてるが「位置について、よーい」って奴だろう。

そして、ドン! の次の瞬間には。


芝村 :今日子はゴールまで先回りしてテープを切った。一人ゴール。


男は盛大にこけた。

「な、なんじゃそりゃーーーーーーーーっ!!」

遠くで聞こえたそのツッコミを聞いた者は……居ない。



作品への一言コメント

感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です)

  • おお!!第三者目線ですかー。思いつかなかったです。そしてお話もおもしろいです!!ありがとうございました!!! -- みぽりん@神聖巫連盟 (2008-02-03 02:17:09)
  • わー!面白ーい!改めて文になるとこんなに面白いんですね!ちょこまか写真撮っている藩王様とか、なるほどーと思いました。自分と思われるところは恥ずか死っ、なのですが初々しく書いて下さって有難うございました! -- 三つ実@羅幻王国 (2008-02-08 22:20:05)
名前:
コメント:





引渡し日:


counter: -
yesterday: -

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2008年02月08日 22:20