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僕はただ穏やかな陽射しの中、皆で仲良くお重箱に作ってきたお弁当を食べようと、そう思っていた。
思っていただけなのに、何故…?


その瞬間、霧原涼と双海環は、ぎょっとした。
二人の目の前に、銃を構えるヤガミがいたのだ。
「わ、ヤガミさん。なにしてるんですか!」
環が叫ぶと、環の斜め前に出てきたバロが神速で剣を抜いた。
環を守って剣を振るバロに驚いた環。
慌てて二人の間に入る。
「って、二人ともやめー!」
一瞬遅れて涼はヤガミを止めに入る。
「ちょ、ちょっと…!落ち着いてくださいー!!」
しかし、ヤガミはそんな涼も環も無視し射撃した。

「とりあえず、撃ってから考える」
憮然と言いのけるヤガミにズッコケる涼。
そこへすかさず環の突っ込みが入った。
「その思考はやめなさい、ヤガミさん」
突っ込む環を見たバロも憮然と言い放った。
「窓からの侵入者を切っても、文句は言えまい」
「生き残りたいなら、考えるより撃つことだ」
「バロさんも、落ち着いてください……こんなのでも一応知り合いなので、たぶん大丈夫ですので」
何を言っても臨戦体制の二人に、それを宥める環。
この雰囲気に涼は若干気圧されていた。

相手の男-バロを庇い、宥めてくる環とその後ろにいる涼を見るヤガミ。
「迷惑をかけたな。元気そうでよかった」
そう言い放つとヤガミは窓から飛び降りた。
そのヤガミを見て、それまで周りに気圧されていた涼は環達の前に進み出ると窓の外から叫んだ。
「う。返事をまたんかー!」

窓から消えるヤガミへまだ剣をおさめないバロ。
事の成り行きを見守るつもりか、剣を構えながら黙っている。
あわあわしかけてる涼の背中を押したのは環だ。
「涼くん、GO!逃がすとせっかくのお弁当食べてもらえないよー」
環の支援にはっと思い出した涼は窓から叫んだ。ヤガミへ向かって。
「きょ、今日はおべんともってきたんですけどー!」
しかし、ヤガミは涼の言葉が聞こえているのかいないのか、涼の叫びには返事を返さず、裏庭にあった、ヤガミが乗ってきたのであろう銀色の機体に乗った。

校舎3階からヤガミが機体に乗る様を見る涼。
咄嗟に追いかけようと思い、先程ヤガミがここに現れた時に使っていた鉄の爪を探すが見当たらない。
どうやら回収された後の様だ。
「がんばれ、涼くん!」
涼がヤガミを追い掛けるのだと察知した環は声援を送る事で涼の心を支援した。

再び窓の外を覗く涼。
地上8mといったところか。打ち所が悪いと無事では済まない。
(し、しにたくないー)
しかし、階段で降りていたら間に合うはずがない。
涼が思案した瞬間、ヤガミが乗った機体が浮き始め、それが目に入った涼は「ええと…おーちまーすよー!!!」と叫ぶと同時に飛び降りた。
(ヤバいかもっ)
と思いながら、フワリと浮いた涼の体を銀色の機体が抱きとめた。

大事そうに重箱弁当を抱えたまま、地上三階から飛び降りた涼は、自分を受け止めたその機体、ヤガミの視線があるであろう方向を向く。
「あ、ありがとうございます…きょ、今日は…のんびりお食事出来たらと思ってお呼びしたんです!」
「元気ならよかった。俺の役目は、終わった」
じゃあ、と涼を降ろそうとするヤガミに涼は慌てる。
「元気です。で、終わってませんて…!少しだけでもいいので、のんびりご飯食べられませんか?」
「なにが?」
俺に役目などもう無い、と言わんばかりの声音で涼に返すヤガミ。
「藩国のみんなに、お話しておいでよって送り出していただいたんです。 だから、まだヤガミさんの役目はまだ…」
涼は訴えるがそこには、にっちもさっちもいかない空気が流れていた。



一方--校舎3階の環とバロは、というと。

「バロさん、ちょっとあの人に文句を言いたいので、私をあそこまでちょっと運んでもらっていいですか?」
「殺してもいいが」
「殺すのはダメです!涼くんが悲しみます。バロさん」
何やら物騒(?)な相談をしていた。
環から「殺すのはダメ」と言われバロは難しい顔をしたが、環の顔を立て環の腰を掴むと跳んだ。
咄嗟のことに「わわわ」と驚く環。まさか腰を掴まれるとは思わなかったのだ。

二人が着地したのは銀色の機体の肩。
バロと環に気付いたヤガミは手を引いて涼を機体に引きずり込むとハッチを閉める。
空中の機体が急速に回転する。
「お、おっとー!!!」
コクピットに引きずり込まれたかと思った瞬間、回転した機体に驚いた涼の叫びが漏れる。

「昼休みだから、一緒にお弁当食べようって言ってるんでしょう。少しは分かってあげなさいよ・・・って、わー」
銀色の機体の肩でバロにしがみつきながらヤガミに訴える環は機体の回転に慌てたが、彼女にはバロがついていた。
機体が回転した瞬間にバロは環を連れて飛ぶとそのまま地上へ着地した。
しがみつく環に衝撃を与えない様に優しく。
着地した瞬間バロは剣を抜く。
下を向いたままバロへお礼を伝える環は、顔を上げた瞬間ぎょっとした。
「ありがとうございます。ああ、びっくりした…って、ダメー!」
慌ててバロの腕に飛びつく。
コクピットの涼は涼でヤガミを必死に宥める。
「お、落ち着いてください!ここ、ガッコウですよお!!」

しかしヤガミとバロは二人の制止など聞かない。
「今度ばかりは、許してくれような」
「敵対行為だな」
「「殺す」」
ヤガミが魚雷をぶっぱなすのと、ほぼ同時にバロが防壁を張る。

その状況にパニックを起こしたのは涼と環だった。
「わーわー!殺すとか、だめですってば…!!」
コクピットで叫ぶ涼と。
「ああ、もうなんでこうなるのー」
バロを見詰めて頭を抱える環。
しかし環はまだ強かった。ヤガミへの抗議を止めない。
「こら!ヤガミ!学校を壊すなー!鍋の国の人に悪いだろうがー」
環が叫ぶ頃、魚雷と防壁の衝突で起きた爆発が窓ガラスをいくつも割る。
バロはその爆風を利用して距離をつめると、巨大な剣鈴でコクピットを串刺しにしようとした。
僅かに目に涙を溜めながら涼はヤガミを止めようと必死だ。
「や、ヤガミさん。少しだけ落ち着いてくださいー。あの人、敵じゃないんですよ!」
あの人と指差そうとバロを向いたその目前に巨大な剣鈴。涼は思わず目をつむった。

そのバロの剣を止めに入ったのは環だった。
「涼くんも乗っているんです。それはダメです!」
バロが構える剣鈴へ飛び付く。
友とその友が大事としている人がこの中にいるのだ、串刺しなど冗談ではない。
「腕は信用してもらおう。返り血を浴びるだけだ」
「それでもダメです!あんな奴ですが、死んだら涼くんが泣いちゃいます」
腕とかの問題じゃない!と訴えた、がしかし。バロは容赦なく剣を刺した。

涼が、もうだめだ!と思った瞬間。
ヤガミは近接防御兵器始動。と同時にコクピットは絶対物理防壁で防御した。
ヤガミのガードに剣鈴を止められたバロは「やるな」と言いながら一旦離れた。


「ぶ、無事…」
ほっと息をつく涼。さすがに腰が抜けそうになる。
バロが離れたのを確認するとヤガミも距離を取るため、機体を動かし学園から離れた。

「まずいな、さっきので左肩をやられた。ひどい敵だ。RBに素手でやるか」
「う、うあ!だ、大丈夫ですか!!か、かかかか肩…肩…」
冷静に自分の機体の状況を確認するヤガミと、それを聞いてあわあわっとする涼。
二人は密着状態でコクピットに収まっていた。
敵と言うヤガミの言葉に反応する涼。
「て、敵じゃないですよ。さっきいた女性の…、んーと オモイビト?です」
えへん、と無い胸を張る。
その様が、か敵対の相手が、なのか「面白い」と呟くヤガミはニヤリと笑った。
「夜明けの船、聞こえるか。砲撃準備。島を吹っ飛ばせ」
「肩、動きますか? 風呂敷で良ければ固定を……って!ダメですよ!!!準備不要ですよ!!!!」
涼のパニック再び、である。
「あそこに居るのはあの人たちだけじゃないですから!もっともっと、無関係な人を巻き込むんですか…!」
「海賊のやり方は覚えているな」
目をぐるぐるにして訴える涼に放たれたヤガミの一言に「…ぐ」と涼は言葉を失う。
「傍にいる奴は運が悪かった」
「でも…!双海さんは僕の仲間なんです!!」
ヤガミを止められないなら環の元へ、とも考えたがコクピットの中にいる為に身動きが取れない。
悩みに悩み、操縦桿を身体で隠しヤガミの邪魔をすることで抵抗した。
「ごめんなさいー」と叫ぶ涼を笑ってひきはがしにかかるヤガミ。
しかし涼は全力でしがみ付く。
「ま、まけませんよお…!!!」
「ほう、偉くなったな」 ヤガミの目が光った、ような気がする。
びくりと怯えた瞬間、ヤガミはわき腹に指をはわせはじめた。
「や、やめ…!変なスイッチ押しちゃいますから…!!!」
ヤガミの擽りに堪えながらも、操縦桿から身体を離さない涼。
頑固な涼を操縦桿から引きはがす最終手段にヤガミは涼の大事なものを握った。

握ったはずだった。

「手・を・は・な・せ」

「でなければ握りつぶす」と続けるはずだった。
そこに握り潰すはずの『モノ』があれば。

股間をまさぐるヤガミ。
「ハ、ハレンチですよ…!!!」
顔を真っ赤にしながら涼はヤガミを責める。
ヤガミは大事なもの握ったつもりだったが、そこにはなにもない。
「いつのまに小さくなった」
「い、いつのまにって…いつのまに見たんですか」
「というか、ないぞ。お前……」
ヤガミの言葉と自分の身体に感じた異変に、涼は自分のパンツの中を確認した。
一緒に覗き込もうとするヤガミを征しながら。
自分で確認し、にぱっと愛想笑いを見せる涼。
「……ない、ですね。」
「切ったのか。おいてきたのか、どっちだ」
「う、うーん。ああそうだ…ヤガミさんが怖いことばっかり言うから、縮み過ぎちゃったんですよ!きっと。」
あは、あはは、と笑うしかない涼の頭には遡ること50分前の出来事を思い出していた。


 /※/


それは50分前。4限目前の休憩時間。
屋上にて佇む涼と環だった。
「涼くん、大丈夫!今日は女の子の制服着てるんだ、女の子の身体になっても問題ナシ!」
「って僕、今日ずっと女装してた!?」
軽い衝撃。
しかしその不自然な出で立ちもこれを飲めば…
それは環の手から渡されたある薬だった。
「これを飲んで…」
「そうだよ、涼くん!これを飲んで今日こそヤガミさんをお持ち帰りだよ!」
こくりと唾を飲み込む涼。
躊躇ったのは一瞬だった。
意を決し、その液体の薬を一気に飲み干す涼。
しかし特に変化はない。
「あ、あれ?」
「あら?おかしいなぁ…間違いなく本物なんだけど…なんか変化感じない?涼くん」
「うん、何にも…あ、でもほら。遅効性なのかも…」
「そっかぁ。じゃあもう少し様子見ようか」
「はい、じゃぁ教室戻りましょう」
そうして二人は教室へ戻った。

『ピドポーション』の効果を待ちながら。


 /※/


今ごろピドポーションが効いてきたことを驚く涼と、男だった(ハズ)の涼についているものがついていなかったことに衝撃を受けるヤガミ。
コクピット内に微妙な空気が流れる。
「……砲撃はやめだ。MAKI、重病人を確保した。撤退する」
ヤガミは学校から脱出した。
「……び、病人!」
自分の扱いにショックを受けるが、ひとまず安心した。
「でも…、良かったです。みんなのガッコウ、なくならないで」
「お前のタマより大事なのか、それは」


ヤガミが退く音を聞き剣を直すバロ。
「ふう、涼くんがうまくやったみたいですね」
ヤガミ達が乗る機体を見送り安心のため息を漏らした環は後ろを振り向きぎょっとした。
「な」
そこにはバロをはじめ、黒の軍勢が並んでいたのだ。
「命拾いしたな」
「もう、なんというか。色々とぎりぎりだったんですねー」
あはは、と乾いた笑いとともに黒の方々を眺める環。
「どういうことだ?」
「いえいえ、なんでもないですよ。それより、お腹すいてないですか?ここの学食はおいしいですよー。みなさんで食べに行きましょう」
環はバロの方を向いてにっこり微笑み提案た。
「豪胆だな」
そんな環にバロは少し微笑む。


柔らかな雰囲気の二人を余所にこちらの二人の攻防はいまだ続いていた。
「…!た、たたたたた…たま言わないでください!!僕だけのものじゃないですから。ガッコウは…」
ヤガミはタマタマの歌をコクピットで歌いだした。
豪快というより変態だ。
そんなヤガミを見て、なんか嬉しそうな涼。
しかしちょっと恥ずかしいので歌うのを止めてもうように言うと「ドナドナがいいか?」と返された。
「わ、ガッコウで習いますね。その曲!」
そしてその歌詞を思い出して物悲しい顔になった。

ふと涼の制服の胸がきつくなる。
あからさまな変化を示す身体に動揺しつつ上着のボタン外していたら、自分よりヤガミが動揺を見せた。
「ああ、突然すみません…なんだか胸が苦しくて…」
「いや、あの」
ヤガミはジャンパーを脱ぐとギリギリまでボタンプチプチ外す涼の胸元にそれをかぶせた。
「どんな病気だ……」
「あ、ありがとうございます」
しおらしく微笑む涼に、赤面するヤガミ。
急に色々やっていたのが気になりだした。
「なんだか急に、服がきゅうきゅうな感じで…お尻とかも」
まともに涼を見れなくなったヤガミは彼女から目線を逸らしつつ言った。
「直ぐ戻してやる。戻ったらまた、大浴場で歌うか」
ふっと笑うヤガミは着艦開始した。


この後、涼が男に戻されたかどうかは涼だけが知っている話。


【終わり】


作品への一言コメント

感想などをお寄せ下さい。(名前の入力は無しでも可能です)

  • 受注ありがとうございました^^発言があちこち飛んでしまっていたゲームログをきれいにまとめいただいた上、ピドポーション秘話(笑)など盛り込んでいただき嬉しく思います!とても良い思い出になりましたvありがとうございました!! -- 霧原涼@芥辺境藩国 (2007-10-03 13:32:31)
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