小鳥遊敦@FEG様からのご依頼品



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ここは飛行場。
小鳥遊と川原は、照りつける太陽と熱風に迎えられながら、宰相府に降り立った。
空港ロビー。
目の前には、千葉が立って微笑んでいる。
小鳥遊が、感嘆の声をもらす。
「わー…」
そして物珍しそうに辺りを見渡した。
微笑ましい。
その様子に自然、笑顔になりながら、千葉が言った。
「ようこそ。宰相府に。といっても、僕は昔ここにいたことがあるだけだけど」
「私 まともに国外出たことないもので…今日は宜しくお願します」
小鳥遊はちょっと感動しつつ、千葉と川原にお辞儀をした。
川原はそれに微笑んで、
「私も実は観光したことほとんどないの。だいたい仕事につかまってるから!」
にこやかに、なごやかな雰囲気の中、千葉がそっと眼鏡をおさえ笑い、
「今日は、どこをあんないしようか」
小鳥遊はそれを聞いてふと思い出した事があった。
元共和国参謀という事で、誤解受けないように風野秘書官あたりに一報入れておきたい。
さて、どうしたものかと思いながら、
「そーですねー…とんと地理も疎いものでして…」
千葉を見て言った。
「千葉さんのお勧めはございますか?」
そして千葉が思案している間に、小鳥遊が携帯をポケットから取りだし、
「あ、ちょっと失礼します」
と千葉と川原に背を向け、登録してある番号、風野秘書官に、観光で来た旨の連絡を入れた。
FEGを風野が離れたのはほんの少し前のことだが、懐かしい声で、楽しんでと言われ小鳥遊は微笑みを浮かべて、はいと答えた。
千葉は、さて、と小さくつぶやいた後、
「お勧め、ですか。ここは巨大な観光地なので、どこを見ても観光地にはあたると思います。ただ、歴史がないので、新しいのしかないですけどね」
小鳥遊は、千葉の説明を背中で聞きながら、電話を切った。
振り返る。
「中座失礼いたしました…これで無用のトラブルも無いですかね」
そして先ほどの千葉の発言を受け、
「では、人が多いところが見たいです。宰相府に住んでらっしゃる方々を拝見したいです」
千葉は穏やかに微笑んで、
「では居住区に、タクシーでいきましょう」
千葉は空港を出ながら、さす日差しにいささか目を細め、手をかざした。
「バスは便利なんですけど、乗り次が大変なんです」
小鳥遊は、タクシーやバス、と聞いて頷きながら、やはり建物から出た途端に照りつける太陽に、瞬きをした。
「交通網もしっかりなさってるのですね」
そして目がなれてくるに従い、小鳥遊は、環状線の参考になるかなーと、まじまじと空港前の舗装された道を眺めた。
川原も目がなれたようで、微笑み、
「じゃあ行きましょうか」
小鳥遊は、期待に胸を膨らませながら、
「はい」
と答えた。
千葉は、空港前に列をなしているタクシーに荷物を入れると、小鳥遊と川原に先に後部座席に乗るよう促し、自分は助手席へ。
シートベルトをしめ、運転手に短く目的地を告げをタクシーを走らせた。
タクシーはすぐに街中に入る。
色んな車が行き来している。
ごみごみしていてさらに暑い。
うかつにまど開けられない。
川原は窓からの景色を物珍しそうに見て、
「こっちのほうに来たの、はじめてかも・・」
小鳥遊はクーラーのきいた車中にあっても、
「あつー…こちらは我がFEGと同じ、西国でしたね」
と、襟元をパタパタさせた。
千葉は苦笑しながらも、なれた様子で、
「天井にあたる熱がね・・・車のクーラーは全開なんだけど」
そして走るタクシーが徐々にゆっくりになり、そのうち、完全に渋滞に巻き込まれてとまった。
千葉はテールランプをはるかに見ながら、後部座席に声をかけた。
「さ、ここまでかな。歩いていこう。バスじゃこうはいかないから不便なんだ」
小鳥遊はシートベルトをはずしながら、
「なるほど。……運転手さん、ありがとうございました」
川原は明るく、
「はぁい」
と言って帽子をかぶって車を降りた。
外は、乾燥した熱気にあふれている。
3人は渋滞の中を歩いている。
歩道には、子供も多く、花を売ったりしている。
小鳥遊は、あつーとつぶやきながら、辺りを見渡し、
「思ったより、人口も多いのですねー。国土はともかく、ちょっと人口は少なめのイメージでした」
花売りの子供達が、3人にも寄って来た。
千葉は人口を思い出しながら、
「FEGより多いかな」
「こんにちは」
小鳥遊は花売りの子供に微笑みかけた。
川原は千葉の発言をうけ、頷いて、
「商業施設が多いからそれを支える人口も多いのよね。」
小鳥遊は、そういえば自分の国もゆっくり見たことがないことに気づき、
「一度FEG国内もゆっくり見てまわりたいなぁ…」
花売りの子供が、そんな3人を、色とりどりの花を持って追ってくる。
「2わん 2わん」
一杯集まってくるが、千葉は無視して歩いている。
小鳥遊はいっぱいいるなあと笑いながら、ちょっとすまなそうに、手を振って千葉に付いていった。
川原も乾燥した熱風に帽子をおさえながら、
「ごめんねーお金もってないから」
わんわんは手持ちにないからなあ、と、心の中で笑った。
小鳥遊は子供達を避けて歩きながら1本かったら無限に群がってきちゃいそうですね…、と小さくつぶやく。
子供の群れは、買う気がないのがわかると、ひとり、またひとりと取りまきから離れていき、結果3人は子供達をうまくかわした。
と、風景が少し変わる。
居住区だ。
狭い道が曲がりくねっている。
とても車は通れない。
建物が密集しているために道は日陰になっている。
そしてそれゆえに、静かだった。
居住区の建物は一様に白い。
土でかためたレンガのようだ。
千葉は、日陰にわずかながら涼しそうに微笑み、
「雨が降らないので焼かないでいいし、白いのは太陽光の反射のためです」
小鳥遊は、
「なるほどー」
と言って、ここでキョロキョロしたら不審だと思い、千葉を見ながらあいづちをうった。
そしてさらに千葉へ疑問を口にする。
「道が細いのは、土地不足…人口密度が高いのでしょうか」
千葉は、眼鏡を少し押し、
「わざとですよ」
笑って、
「車が入らないように、市道をつくります」
小鳥遊は納得して頷き、
「なるほど、安全の為なのですね」
そして、それならばあるのでは、と想像して、
「近くに街道のような、商店の集まった道はありますか?」
川原は涼しい日陰の風に機嫌よく、
「自転車も通ると危なそうね。この道だと。散歩にはいいけど」
千葉はふたりに楽しそうに笑い、
「生活の知恵、かな。趣味かもしれないけれど。こう見えて中庭はどれも見事ですよ」
そして、小鳥遊の求めていた道を示した。
「こっちです」
一気に視界が開け、景色が極彩色に変わる。
バザールだ。
長い道に露天商が立ち並んでいる。
それまでの静けさが嘘の様に人でごったがえしている。
川原は小鳥遊の方を見て、
「ことりー、はぐれちゃだめだよー」 と言いつつそっと千葉の服のすそを握った。
小鳥遊もこれは迷子になるなと千葉の後ろくっつきながらキョロキョロした。
「はーい」
千葉は川原の仕草に微笑んだ。
バザールには色々な商品と店があった。
小鳥遊は千葉に、
「ここではどのようなものが売られているのですか?」
と尋ねながら周りを見渡した。
小鳥遊の目に飛び込んで来たのは、果物にはじまり、猿や剣、骨董品、似顔絵、美術品……。
川原はしっかりと千葉の服をつかみながら、
「こういうところ大好きなんだけど、人が多すぎるところが欠点ね」
と言いつつ屋台への好奇心は隠せない。
千葉は笑って、小鳥遊を振り返って、
「まあ、奴隷以外は、たいてい」
わずかに、ふ、と不敵にも見えなくもない笑顔で、
「戦闘機だって買えますよ」
驚いた小鳥遊は、
「や、それはすごい」
と言って改めてしげしげと屋台を眺め、
「ともあれ、個人の趣味満たすよりは…なにかお土産でも欲しいですかねぇ」
と、ちょうどあった骨董品のお店のぞいた。
骨董品はアメショーからやかんまで置いてある。
川原はそれを後ろからのぞきこみ、
「アンティークは高いわよ~」
と笑いながら小鳥遊についていく。
露店の軒先には、珍しいので水を清めると信じられる印入りコップがある。
小鳥遊はアメショーを見て、
「…改良型とはいえ、わが国ではまだ現役なんですがねぇ」
複雑な気持ちでいるところに値札に1万わんわんとあるのを見て、ショックを受けた。
安い。
小鳥遊と川原は、手をのばし、アメショーの隅々までためづすがめつする。
状態はかなりいい。
おそらく、大昔、市場に叩き売られた機体のようだ。
川原は在庫あまりを思ってやや複雑に苦笑いする。
小鳥遊はアメショーに心惹かれつつ、コップの値札見た。
コップは10わんわん、第7世界の日本円でいうところの、1000円だ。
小鳥遊は、まじまじとコップを見ながら、
「地味に高いなー…」
川原はコップを持ち上げて、
「でもお土産にはいいかも。」
小鳥遊はやや高いコップを諦め、
「千葉さん、川原さん。似顔絵でも描いてもらいません?」
コップは、綺麗な文字が透かしではいっている円盤があって、これをコップのそこに沈めるようだ。
川原がコップを手にしてるのを見て千葉は、
「交渉しようか?」
川原は手持ちのわんわんを心の中で数えた。
小鳥遊は、千葉の言葉に、再びコップを見て、
「あ、お願いします。千葉さん」
川原は、100わんわんはもってる、うん、と心の中で頷く。
千葉がなれたように露店商に交渉すると、コップはあっさり3わんわんになった。
川原はあまりの下がりように笑いながら、じゃあ買います、と、コップを手にした。
小鳥遊も、
「あら。では、4つください。」
とコップを4つ、購入した。
合計12わんわん払うと、店主は大喜びだ。
千葉は苦笑しながら、
「平均すると1/3くらいになるね。このへんだと」
と、あとでふたりにこっそり教えてくれた。
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最終更新:2008年08月29日 01:37