とある心理研究(仮)(前編)

 人の心というものは面白く、かつ不可解である。
 たとえば欲しいものを目の前に差し出されても、素直に欲しいと言えない時がある。その理由は
恥じらいだったり、自分のプライドだったり、与えられた事に対する疑問だったりする。
 例えばそう……私の目の前で、顔を怒りにゆがめながら、手の中の不思議な筒に現れた
好きな女の肉穴へとローションを塗りこんでいる少年たちのように。
「ん……うう……」
「……はぁ……くっ……」
「はふ……ふぅ……」
 占拠した教室の、黒板の前からは少女たちのくぐもったうめきが聞こえてくる。
それが好きな男に、未だ見せた事もない秘所を内側からかき回される快感の声だという事は
疑い様もない。
 なぜなら『世話焼きロープ』によって全身を亀甲に縛り上げられ、突き出すように絞られた
様々な大きさの乳房の頂は尖り、M字型に開かれた真っ白な内股は、白皙に朱を散らしていたからだ。
脱がしきらないまま、上下ともにたくし上げられて縄に食い込むセーラーと下着が、
余計に扇情的な演出となっている。

 『四次元ポケット』という、アラジンのランプにも似た力を手に入れた私は、
ある日、学校を一つ占拠した。それは容易い事だった。
 まず私は、支配下においた平日の学校に詰め込まれていた人々を4つのグループに分けた。
 一つは一定年齢以上の……そう、中年以上で、さらに青い性衝動の対象にすら成り得ない、
いわゆる『不美人』を集めた班。これは適当な教室に縛って転がしてある。
 二つ目は逆に、指折りの美女・美少女のみを集めた班。それほど人数も居なかったことから、
保健室に閉じ込めてある。
 三つ目は、私の目の前で怒りと羞恥と快感に表情をゆがめている男女10組。彼らは
お互いに強く想い合いながらも言い出せないでいるという、今時珍しい純情な少年少女たちだ。
 四つ目は、それ以外の残った全ての男女。全裸に剥き、体育館でとある事をさせている。
「こんな事して……ただで済むと思ってるの?」
 視線を移すと、空中に縛り付けられた女学生の一人が私をにらみつけていた。
流れるような黒髪が含恥と快感からくる汗に張り付き、小振りながらつん、と天を向いた乳房を
見え隠れさせる。それが逆にチラリズム的な要素となり、さらに勃起した乳首を
強調する形となっていた。
「そうよそうよ!」
「あんたなんか、つかまって死刑になっちゃえばいいんだわっ!!」
 他の学生達も口々にわたしに罵声を浴びせる。『さとりヘルメット』に受信された
彼女達の心の声も、ほぼ同じがそれ以上の事を言っている。
 けれど……
「ふむ……」
 指を動かしつづけながらもこちらをにらみつけている男子諸君を見る。
 視線こそ殺気立ってはいるが、その本心の奥の方ではこのシュチュエーションを喜んでいる。
まぁ、他者に主導され、そして好きな人の意志を無視して強制的に行わされているのが
気に食わないようだが……。
 やはり、心というものは面白い。望みながらも周りの目を気にして拒絶し、怒り、
どこかで極々小さな感謝をする。人は、いや男というものは、ことに性に関しては
悪魔を体内に宿しているものかもしれない。
 私はあられもない姿に縛り上げられた少女達に向き直る。
「さて、君達は私が警察につかまる事を当然のように考えてるようだが……
それは不可能だと言っておこう。あれを見たまえ」
 壁の穴を指す。反抗的な彼らを捕らえた後、脅しの一環として『空気砲』で教室の壁に
開けたものだ。その向こう側には空と、一羽の鳩がいる。彼らは目を見開いた。
「……と、鳥が、空中で止まってる……?」
 野球部にでも所属しているのだろうか、丸刈り頭の少年の言葉に私は深く頷く。
「私がここを襲ったとき、邪魔が入らないように時間を止めたのだ。
今この世界で動ける者は、私を含め、この学校に閉じ込められている者たちだけだ」
「うそよっ!」
 悲鳴のような叫び。今見たものを必死になって否定しようとする心の動きが伝わってくる。
「嘘ではない。ならば尋ねようか。
 この学校は、多少静かとはいえ、街中……住宅街に隣接している。
なのになぜ私が壁を破壊したときに、野次馬もやってこなければ、通報を受けた警察も
やってこないのかね?
 それになにより、風の音のように当たり前に発生しているはずの雑音も聞こえないのは、
どういう事かと考えるかな?」
「あ……ありえないわ……」
 問いかけに少女は唇をわなわなと震わせ、目を皿のように見開き、顔面を蒼白にして、
それでもうっすらとグロスを塗ったなまめかしい唇から否定の言葉を紡ぎだす。
 だが、その心は現在の状況を完全に認識していた。理性では必死に否定しているのに、
心が完全に認めてしまい、それを一層必死になって否定している。堂堂巡りだ。
 かたや男子諸君の心に耳を傾けると、人知を超えた現象に呆然となり、諦念が渦巻いている。
さすがは男子だ。自身に失う物がないとあきらめも早く、自分以上の力に弱い。
 本能的に危険を感じ取る女性と、想像力において大きな隔たりがあるのだろう。
 私は二度、手を打って視線を集める。
「さあ、男子諸君。ローションは塗りこめたかな? その筒をこのドラムにセットしたまえ」
 軽く睨み付けながら言う。男子は私に言われるまま、緩慢な動きでリボルバー式拳銃の
シリンダー状に作られたドラムにパイプを取り付けていく。

 十本の筒がセットされたドラムを教室の中心に持ってくる。私の正面には
あられもない格好に縛り上げられた女生徒たち。背後には女生徒同様に抵抗できないように
つるし上げられた男子生徒たちがいる。
「な……なにをするつもりなの……?」
 女生徒の一人が、青ざめた表情で問い掛けてくる。だが、その心は答えを理解していた。
「分かっているのだろう?」
 言いながら、私は一物を取り出す。ヒッ、と女性たちからあがる悲鳴。頭に流れ込んでくる
彼女達の恐怖の言葉に、まだ柔らかさの残っていたそれが金剛棒となる。
 ……なるほど、どうやら私はSっ気が強いようだ。そうでなければ、今回のような行為には
いたらなかっただろうが。
 私は右手で肉桂をもてあそびながら、恐怖に顔を引きつらせる哀れな少女達を眺める。
背後から「まさか……」という思念が伝わってくるが、今は無視する事とする。
「先に説明しておこう。このドラムは私の意思に応じて回転する。おかげで、
私はここから一歩も動かずに君達十人の膣(なか)を、腰を動かすだけで堪能できるというわけだ。
 ……さて、最初の一人は、ロシアンルーレットといこうか」
「やめてぇぇぇぇぇっ!!」
「やめろぉぉぉぉぉっ!!」
 言葉の終わりを食うようにはじけた男女の悲鳴を起爆剤に、
四次元的に少女達の淫裂と直結された十本の筒をセットされたドラムが回転をはじめる。
 ゆっくりとした回転のため、肉色の秘孔の姿が見えなくなる事はない。
だが、大陰唇や小陰唇、曰く入り口の部分が『どこでもホール』と入れ替わった形のため、
その形状の違いを楽しむ事が出来ないのは、少々マイナス点だろう。
 ならば少女たちのショーツを脱がして直に楽しもうと思い、ただ脱がす以上に
楽しむ方法はないかと一考する。
 結論として、男子諸君の手で脱がさせる事にした。

「あ……ハヤトくん……やめて……」
「そんな事言ったって……無理やり体を動かされて……」
「先輩……見ないでください……!」
「分かってはいるけど……くっ……顔も動かせないんじゃ……」
 それぞれの想い人の前に移動させられる男子諸君。体の自由は、
全身に巻きついた『世話焼きロープ』に制限され、動きを強制されている。
 今はもう、それぞれが愛する人の穿く、色取り取りの下着に手をかけているところだ。
 少女達は愛する人に恥部を見られている羞恥と、その手の温もりに真っ赤になっている。
男子は男子で、女性の滑らかな肌の触感としっとりと濡れて染まる太もも、
そして淫孔から立ち上る雌気に当てられ、その思考も散漫な物になっている。後ろから見ても、
耳まで真っ赤になっているのが分かる。
 そんな状態でも、少女たちは羞恥と共に好きな人に触られる喜びを、僅かながら
感じているのだから乙女心というヤツは分からない。
 私は無言でロープに指示を出した。『さとりヘルメット』に『サイコントローラ』を
組み込んでおいたのだ。
「ダメッ! 脱がしちゃいやぁっ!!」
「いやっいやっいやぁっ!!」
「だめぇっ!!」
 下着をつかんだまま動き出した手に、少女達は制止の声を出す。
「ごめん……俺だって、やりたくてやってるんじゃないんだ……!」
 だが、男の手は止まらない。なにしろ、男達はこのような事を強制され、想い人が
切ない悲鳴をあげているにも関わらず、私に向ける怒りや彼女達に向ける申し訳無さよりも、
好奇心と昂奮の方が上回っているのだから。
 試しに何人かに纏わりついているロープの強制力をほぼ0まで引き下げてみたが、
その腕の動きは鈍らない。僅かに掛かっている力に、『強制されている』という事を
自己暗示と免罪符とする事で、無意識のうちにやめる事を拒否しているのだ。
「ああー!」
 そして、ついに少女達の股間から完全に下着が抜き取られる。
 少女達の悲鳴に混じりゴクリと生唾を飲み込む音が聞こえ、男子生徒の頭は完全に
ある一点に向かって固定されてしまっている。女子はうっ血したように真っ赤になった顔で
その視線を避けるように身をよじるが、荒縄に縛り上げられ、固定された肢体は
僅かに震えるだけで動かない。
 私はロープを操って、少年たちの手にある下着を奪い取ると、クロッチ部内側を
押し出すようにして彼らの顔に押し当てた。
「!?☆〇♀」
 一瞬の沈黙。両者の間に流れる一瞬の混乱。
「うわぁっ!!!」
 それを破ったのは、一人の少年の切羽詰った悲鳴だった。
 その少年はびくびくと体を仰け反らせると、直後に脱力して縄の支えに任せた。
少年から男にとっては嗅ぎなれた生臭さが漂ってくる。
「あの……ユウタくん……。ひょっとして……」
 おずおずと少年に脱がされた少女が語りかける。ユウタと呼ばれた少年はフルフルと震えだした。
「あ……ごめんなさい……先輩、ごめんなさい……」
 ヘルメットを通して伝わってくる羞恥と悔恨、彼女に嫌われるのではないかという恐怖。
それは他の9人による軽蔑と嫌悪の視線にさらされ、より大きくなっていく。
 だが、それを止めたのは彼の想い人だった。
「……ユウタくん……その……気にしないで」
 彼女は真っ赤になったまま、視線を合わせる場所を探しながら訥々と彼に言う。
「ユウタくんが……私に、そんなに昂奮してくれたのって……すごく恥ずかしかったけど……
こんな時におかしいと思うけど……なんか嬉しかったから……だから、気に、しないで……」
「先輩……」
 ユウタ少年は涙声だ。心の声も羞恥と、それを上回る歓喜で埋め尽くされている。
 ただ、それ以上に他の9組の男女達の複雑な感情が入り混じって、私の精神が混乱しそうだ。

 そろそろ頃合だ。突如発生したラブコメ時空に当てられ、彼らの緊張は多少なりとも
ほぐれたように見える。今ならいきなり処女穴に突き込んでも、抵抗は少なめだろう。
 私は強烈に自己主張する怒張を片手で支えると、タイミングを合わせてシリンダーの一穴めがけて
突き入れた。

「ひぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 突然沸き起こった悲鳴に凍りつく教室。さぁ、お楽しみはこれからだ。