「ごはん出来たよー」
「はーい」
砂浜からの叫び声に、ネギがそちらに向かう。
「…えーと、ネギ君大丈夫?」
「ええ、何とか…」
文字通り杖に縋り付いてようやく流木に腰掛けるネギに裕奈が言い、
ネギが苦笑いを浮かべる。
その近くでは、主にその原因を作り、ついさっきまでツヤツヤテカテカ生気に満ちていたアキラが、
丸ごと剥き出しになっている恵まれた肉体を縮める様にして真っ赤な顔を下に向けていた。
「美味しそうですねー…」
「えへへー」
ネギの声に裕奈が鼻の下をこする。
裕奈とアキラは石で簡単な竈を作ってその中で流木を燃やし、
小屋はいくつかあったが、その中で見付けた大鍋と味噌を使い、
海藻と伊勢エビをぶち込んで味噌汁を作っていた。

「あー、お早うございます、毎度お馴染み夢のナレーションです。
こっちは大丈夫ですが、向こうの港の方に低気圧が接近しまして、
他の皆さんとの合流は一日延期、それから、事務的なミスにより
皆さんがこちらに来ている事自体向こうには分かっていません。
そう言う事ですので、皆さんはもう一日このままと言う事になります。
まあ、いい加減な話ですが夢なんですからこんなもんです、
夢ですからたまにはこんなハメ外して思い切りって事でお楽しみ下さい」
「ホント、いい加減な夢」
とうめいマントを被りうそつ機を装着してうそぶく偽ネギの声に裕奈が言う。
「まあ、夢ですから」
実際には休暇六日目の朝である朝ご飯の豪華味噌スープを美味しく頂いたネギも苦笑して言った。
「じゃあ、今夜は僕が用意しますね」

「お塩、用意出来ましたかー?」
「うん、いい感じー」
その格好からも余り奥には行けない裕奈はアキラと共に海辺に残り、
存分に遊んでから頼まれていた事をして、砂浜に戻って来たネギに答えた。
「そうですねー、じゃあ、この乾いた所から濃い塩水を作って行きましょう」

日が暮れてから、砂浜で燃えている流木の焚き火から、ネギが太い木の枝で何かを転がし出す。
それは、焼け焦げた泥の塊だった。
ネギが塊を石でたたき割り、中から大きな葉に包まれて湯気を立てる肉塊が出て来るのに
裕奈が歓喜の悲鳴を上げる。
「ウズラの蒸し焼きです、一杯いましたからー」
「肉だ肉だー、いっただっきまーすっ」
熱い所は用意した葉っぱを使いながら、手づかみでむしり取りかぶりつく。
ネギはこう言っているが、正確にはウズラではなくコジュケイ、
人造地球の西暦950年に(ネギ達がいるのが西暦1000年)、偽ネギが人造地球の中国大陸から
20つがいほど捕獲してこの島に放しておいた末裔だ。
とにかく、幾つもの蒸し焼きが作られ、
焚き火の側では羽をむしられ引き裂かれて串刺しにされたコジュケイがパチパチ脂を滴らせている。
それを、ネギと二人の美少女が、
焚き火に照らされながら旺盛な食欲で手からダラダラと脂を垂らして貪り食う、
しかも少女二人は丸裸、ネギも海パン姿になっている、何とも野性的過ぎる晩餐だった。
そして、ゲストも又余りに野性的に過ぎた。

「えーっと、あれ、熊?」
近くに視線を向けた裕奈が言った。
「熊だね…こんな所まで…」
アキラが言う。
「逃げないで下さい!」
飛び上がりそうになった裕奈を見て、ネギが叫んだ。
そこに姿を見せていた月の輪熊は、
砂浜に穴を掘って今までの食事の用意で埋めていたものを貪ってから三人を見ていた。
「熊には、背中を向けないで、じっと熊の目を見て下さい。逃げたら絶対に追い付かれて殺されます」
ネギは、腕を広げ二人の美少女を背後に自分もじっと熊を見据えていた。
だが、その基本的な対応も虚しく、熊はのしのしとネギに向かって歩き出した。

「ネギ君っ!」
「アキラさんっ!」
裕奈に続き、ネギが叫ぶ。
「小屋に、ナタがあった筈です。熊と目を反らさず、走らず、取って来て下さいっ!」
「分かった」
「ゆーなさんは僕の後ろに、絶対逃げないで下さい。熊に一度ロックオンされたら馬並みにダッシュしますから」
「う、うん…」
ネギの足が砂浜を蹴り、振り上げた熊の手が振り下ろされる前にネギの拳が熊の眉間にヒットしていた。
さすがに日本の野生動物では有数の戦闘力を持つ月の輪熊も
取りあえず戦車二台分+αにはかなわないものらしい。
「ネギ君っ!」
アキラが息せき切って戻って来た頃には、はぁはぁと荒い息を吐いて砂浜に立つネギの前に、
息もつかせぬラッシュを受けた熊がどうと倒れ込んでいた。
そして、ネギはアキラの手からナタをもぎ取る。
「ネギ君?」
「ここまで来て人間の怖さより焼鳥の匂い最優先、餌の当たりが悪かったんですね。
可哀相ですけど、一度人間の食べ物を覚えたら…」
アキラと裕奈が頷き、ネギがナタを振り下ろす。
ふーっと腕で汗を拭うネギの横で、アキラの顔が見る見る赤くなる。
「?」
それに気付いた裕奈が二人に近づき、口に手をやる。
「あっ、あのっ、これはその、運動した時にそのっ…」
やっと自分の海パンの前に気付いたネギがわたわたと口走る。
「いいのいいの、私もやっぱかっこいー強いネギ君すっごくこーふんしてるんだからっ!」
裕奈がハイな口調で言ってぎゅっとネギの逞しい腕を胸で挟む様に抱き付いた。

「ほらほらほらー」
「あははー」
生まれたままの姿で滝壺の池に飛び込んだ三人が、水浴がてら水の掛け合いをしていた。
「やっぱりさー、ネギ君こーふんするの?血がたぎるとかそーゆー」
「そうですね、そう言う事もありますね」
「うーん、私も試合の時はハイで無心にボールだけ追っかけてるしねー」
「そうですね、戦いの時はもう、その事だけです」
「それって気持ちいーよねー」
「はいっ、あのっ、ゆーなさんっ」
「んー?」
「だからその、僕、だからその、さっきから本当は僕、その…」
「うん、分かってる、見たら分かるってそんなの。
だから、ほらアキラもっ、すっごく気持ちいー事ばんばんしちゃおーよっ!!」
三人とも、こんな事が出来るのは今夜だけ、自分では選べないこの夢の中だけ、
この先どうなるか分からない、無意識の中にもそんな気持ちがあった。
「ああっ、凄い、後ろから凄いネギ君凄いバンバン来てるううぅぅぅっ!!」
「ゆーなさん、ゆーなさんの中絡み付いておっぱいも柔らかい、ああっ」
パン、パンとネギの腹が尻を叩く音も滝にかき消される。水しぶきが熱冷ましに心地よい。
滝の横の岩壁に裕奈が手を着いて柔らかな尻を突き出し、
その背後から、ネギが既に裕奈の中から溢れる蜜に濡れそぼった所に猛然と突き入れながら
ぷるぷる震える豊かな膨らみをぐにぐに揉みしだく。
もう、余計な事もなにも考えず、只荒々しく欲望を果たす。
そんなネギに、裕奈も満足だった。激しく叩き付けるネギをその青い瑞々しい肉体で受け止めよがり泣く。
悲鳴と共にぐったりとした裕奈の中に注ぎ込んだネギが、
取りあえず裕奈が溺れない様に支えて落ち着かせてからばしゃばしゃと水音を立てて移動する。
「アキラさんも?」
池の中で、ぽーっと赤くなったアキラがネギに目の前に立たれてこっくりと頷く。
「アキラさん、背中広い…」
「恥ずかしい…」
「凄く、綺麗です。胸も柔らかくてぷりぷりして…」
「ん、んっ…」
先ほどの裕奈と滝を挟み反対側の岩肌に手を着いたアキラを前に、
ネギはその広い頼もしい背中に抱き付き、豊かな乳房の弾力を掌で味わう。
「あうっ!」
「ん、んっ、アキラさんの中、温かくてきゅうきゅう、あっ…」
「あっ、ああっ、ネギ先生、ネギ君っ、ああっ…」
頼もしい程に豊かな体格のアキラを、見た目も実際もまだまだお子ちゃまのネギが後ろから激しく責め続ける。
本人が気付いていなくても、その事自体が何か倒錯した刺激を感じさせる。
それを示す様に、ピッチが上がって行くと共に、
普段物静かなアキラの絶叫は森の獣すら黙らせるものであった。



小屋を揺るがす様な壮絶なよがり声も鎮まったのを見計らい、偽ネギは小屋を覗き込む。
果たして、宝物を分かち合った仲良し美少女二人とその間に挟まれたネギは、
マットの上でタオルを体に掛け心地よい疲労にどっぷり沈んですやすやと眠っている。
実際あれだけ楽しめば熟睡もするだろうと、干涸らびる危機を感じながらもその快感には逆らえず
その間に悶絶しながら這々の体で感覚モニターを外した経験を先ほど過ごした偽ネギが一人頷く。
大体、ネギと偽ネギでは明らかにインターバルが違っている。にも関わらず感覚モニターで共有したのは
決死と言うべきかバカと言うべきかは定かではない。
取りあえず、念のため石ころぼうしを被って小屋に入りグッスリまくらで三人の熟睡を確保した偽ネギは、
成長期と言う事も考えてタイムふろしきで肉体年齢をここで使った一ヶ月以上巻き戻し、
瞬間固定カメラとチッポケット二次元カメラでネギを撮影し保存用アルバムに写真をしまい込む。
続いて、眠りこける美少女二人にムユウボウを使い、一通り踊らせてから
タイムふろしきで日焼けや虫刺されの目立つ痕跡を消し、
瞬間固定カメラとチッポケット二次元カメラで一人ずつ撮影して
その写真を持って人造地球を出て時差休暇前日午後深夜の図書館島裏に移動する。
そして、石ころぼうしを被りどこでもドアを使って彼女たちの寮の部屋に移動し、
写真に湯をかけ瞬間固定カメラで固定を解除しムユウボウでパジャマを着せて
二人の美少女を元通り自分のベッドに眠らせる。
それから、メモリーディスクを使って島での出来事は全て
休暇前日午後深夜から翌日午前の就寝中に見ていた夢であるかの如く修正、
際どすぎるシーンも修正を掛けておいた。

この作業を終えた偽ネギは、一度図書館島裏に移動し、タイムベルトで休暇前日午後深夜に移動。
石ころぼうしを被ってどこでもドアで女子寮643号室に移動する。
そこで、グッスリまくらで住人の熟睡を確保した偽ネギは、
木乃香を瞬間固定カメラとチッポケット二次元カメラで撮影し、
出来た写真を持ってどこでもドアで図書館島裏に移動、休暇六日目午後深夜に移動する。
そして、かべ紙秘密基地の中に設置したベッドの上に写真を置いて湯を垂らして瞬間固定カメラで撮影、
パジャマ姿で寝転がる木乃香にきょうじきを使ってグッスリまくらの効き目を終わらせ、
シンバルを鳴らして木乃香をたたき起こす。

「んー…なんや…」
「あーあーこのかさん、僕はこのかさんの婚約者候補に正式に選ばれたネギ・スプリングフィールドです。
明日から三日間ほど学校は特別休校になりまして、
婚約者候補として僕とこのかさんは夫婦の予行演習として二人で暮らす事になりました。
そう言う設定ですので覚えておいて下さい。
では、お休みなさい」
「お休みなさい」
うそつ機を装着した偽ネギが言い、
グッスリまくらの強制力が切れたと言うだけでまだ寝ぼけ眼の木乃香にグッスリガスを吹き付ける。
そして、ムユウボウでしばらくその場に座らせておいてから、偽ネギが先頭に立って
眠っている木乃香を即席スイートホームに案内する。
先ほどまで木乃香が座っていたベッドの上空には、つづきをヨロシクであいあいパラソルが固定されていた。

「お早うネギ君」
「ああ、お早うございます」
休暇七日目朝、即席スイートホームのベッドで目を覚ました偽ネギに、
いつも通りにこにこ笑った木乃香が言った。
「朝ご飯出来たえー」
「はーい」
偽ネギがテーブルに着き、ライ麦パン、インスタントのコンソメスープ、
半熟卵、カリカリベーコン、牛乳の朝食が並ぶ。
「おいしーです♪このかさん」
「ありがと」
偽ネギが言い、木乃香が嬉しそうに微笑むが、偽ネギは本心でそう思っていた。

その日、偽ネギは木乃香を連れてとある高原にハイキングに出かけた。
高原の空気を吸いながら木乃香が作ったサンドイッチと紅茶で昼食を取り、
ダム湖で釣りを楽しんでから予定の貸し別荘に着く。
子供だけで借りる事に就いてはうそつ機と、
とどめにかたづけラッカーを掛けたタヌ機を装着してクリアしてある。
「おむすび作ったえー」
「こっちもどんどん焼けますよー」
その日の夜、二人は、
バーベキューコンロで網焼きした虹鱒とごま塩のおむすびを旺盛な食欲で飽食しながら談笑していた。

夜も更け、お風呂を使い今夜は休もうと言う頃になって、何か木乃香の口数が少なくなっている事に
偽ネギは首を傾げていたのだが、取りあえず偽ネギは自分の寝室に入る。
そして、ベッドに寝転がっていると、ドアがノックされた。
「どうぞ」
偽ネギが言うと、木乃香がぺこりと頭を下げて入って来た。
「ああ、このかさん」
偽ネギがベッドの上に座り直してにっこり笑うと、木乃香はそのベッドの上にぴょこんと飛び乗り
偽ネギの前に座った。
正座した木乃香が三つ指を突く。
「…ふつつか者ではございますが、妻としてよろしゅうお願いします…」
“…効き杉だうそつ機wwwww”
そもそも休暇を過ごす予定で、自分から仕掛けなければそれは無いとこれを予定していなかった偽ネギが
ぎゅっと尻をつねって自分も頭を下げる。
「あー、このかさん、
そーゆー事はやっぱりちゃんと婚約者から候補が取れてそれからちゃんと決まってからにしましょう」
「うちと嫌なん?」
「ととととんでもない、本当なら今すぐにでもむしゃぶりつきたいです。
でも、やっぱりこのかさんの事が大事ですから、そーゆー事はちゃんと祝福とムードとあれとこれと揃えて、
その方が喜びも大きいですから」
「そやね、分かった」
偽ネギの白々しい芝居に、そう言って木乃香はふーっと足を崩して脱力する。
「ホントは結構緊張してたんよ、こう言う事に決まってそう言う事するんやろな思うて
うちの方がお姉さんやし」
「アハハハ、まだまだ早いですよねぇ」
「そやねー、ほな、お休みネギ君」
「お休みなさい」
偽ネギがにこにこ笑って手を振り、ぱたんとドアが閉じる。
「そう、まだまだ早いですよこのかさん。このかさんにはちゃーんと相応しいの、考えてるんですから」

「いただきまーす」
休暇八日目朝、偽ネギが元気よく言い、朝食に取りかかる。
おいしいおいしいと言って旺盛な食欲を示し木乃香を満足させる偽ネギだが、
実際、ライ麦パンにヴィシソワーズ、冷凍虹鱒のムニエル、
偽ネギが用意したフレッシュオレンジジュースの朝食は見事なものだった。
朝食、片付けの後、偽ネギは木乃香と共にのんびり山を下り、
予め調べておいた地元の鰻屋で肝吸い付きの鰻丼で昼食を取る。
「なんか、ちょっと疲れてもーたなぁ」
駅に向かう道すがら木乃香が言う。
それはそうだ、実の所、きょうじきを使って少し余分に山歩きをしていた。
「では、ちょっとあそこで休んで行きましょうか」
偽ネギがかたづけラッカーで消したタヌ機で年齢をごまかし、二人がモーテルに入ると、
程なく木乃香はベッドに横たわりすーすー寝息を立て始めた。
にやっと笑みを浮かべた偽ネギは、グッスリまくらで熟睡させてから
ゆめふうりんを使って木乃香にシャワーを使わせ、パジャマに着替えさせる。
それから、ベッドに寝かせた木乃香を瞬間固定カメラとチッポケット二次元カメラで撮影し、
その写真を持って石ころぼうしを被り時差調節ダイヤル付きどこでもドアで
休暇前日午後深夜の麻帆良学園女子寮643号室に移動。
木乃香が既に連れ出されて木乃香のベッドが空である事を確認してから
写真をそこに乗せて湯を掛け瞬間固定カメラで撮影する。
そして、メモリーディスクで婚約者ごっこが夢である様に記憶を改ざんしてからモーテルに戻り、
うそつ機で関係者をごまかして一人モーテルを後にする。

休暇前日夕方。
那波千鶴はとんとんと肩を叩きながら帰路についていた。
元々肩がこりやすいたちではあるのだが、大雨やら地震やらの大掃除でくたくたになった後、
それでも予定は入れていたので予定通り保育園に手伝いに行ったのだから今日は流石にこたえた。
そんな千鶴が、目の前に、にっこり笑った担任の姿をみとめた。



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最終更新:2013年07月26日 00:36