「ただ今ー」
「お帰りー」
「お帰り、ネギ」
643号室に入った偽ネギは、その平和で無防備なミニ・パラダイスに緩みそうな顔と格闘しながら
明るく挨拶を交わす。
「やあ、カモ君、僕だよ、ネギだよ」
うそつ機を装着しながら、偽ネギはロフトに上がって言った。
「おお、兄貴」
「そうそう、僕、ネギ・スプリングフィールド。君のマブダチにして悪友にして
何れこの世界を統べる王、いや、新たなる世界の神として君臨する日も近い
偉大なる御主人様のネギ・スプリングフィールドのお帰りですよ」
徐々に声を小さくしながら偽ネギはにっこり微笑んで言った。
「そう、僕はネギ・スプリングフィールド。
やっぱり ネ申 復活にはそれに相応しくパーッと大々的なイベントが欲しいなぁ…」
「ネギー、ご飯出来るよー」
「はーい」
指で顎を撫でながら邪悪な笑みを浮かべていた偽ネギが、
明るく返事をしてロフトを降り台所から食器を運び始める。

平和な一日が終わり、643号室の皆が寝息を立てる中、
偽ネギはポケットからタイムテレビとタイムベルトを用意する。
杖に跨って近くの山の中に入り、
タイムテレビで無人である事を確認してからタイムベルトで一ヶ月ほど時間を遡る。
今回はそれだけの準備期間で、道具のテストもかねた大がかりな仕掛けなため、
あらかじめきりかえ式タイムスコープでシミュレートし、
あるいは途中で引っ掛かってタイムベルトで時間を巻き戻すと言う事も何度となく経験した。
そこまでの事をして一体何をしていたのかと言えば、大阪で会社を設立していた。

準備のため一ヶ月ほど前にタイムスリップした偽ネギは、手始めに、
フリーサイズぬいぐるみカメラで適当な大人に化けて
手っ取り早く馬と自転車とボートで巨額の軍資金を調達した。
それから、「ネギ」でも調べられる辺りから順にその筋の人間を拉致し友情カプセルを使って尋問し、
メモリーディスクで記憶を操作してから解放していく。
そうやって探し出した、技術的には信頼の出来る偽造屋をゆめふうりんで操り、
偽造屋を夜に呼び出すからには必要な免許証、証明書などを夜明けまでに作らせ、
夢として残った記憶もメモリーディスクで消去した。

続いて、北海道の会社社長を拉致し、
モンタージュバケツで九州の拘置所に収容されているさほど有名ではない事件関係者の顔を移植し、
友情カプセルと階級ワッペンを貼り付けて通称ダミーAとして利用する。
このダミーAが発起人、社長となって、
偽造書類に合わせた偽名を名乗って大阪に株式会社を設立、
その会社の名義で電話付きの小さな事務所を借り、銀行に口座を開いて正式に登記もし、
大阪、兵庫、広島に会社名義の倉庫も借りた。
業者を巡って材料を購入し、購入した材料を倉庫に届ける様に依頼し、それが実行されると、
購入した大量の材料をチッポケット二次元カメラで写真化し、
倉庫の壁に貼ってリザーブマシンで偽ネギが剥がす事を予約しゴマロックで施錠した壁紙秘密基地の中に
入りこみ鏡を置いてそこから写真化した材料を鏡面世界に持ち込む。
鏡面世界では試して見たら食品以外のものもあった(オリジナル設定)万能加工ミニ工場を
適当な空地に設置して、写真から現物に戻した材料をビニール梱包も含めて製品化してから倉庫に戻し、
運送会社に日時指定で発送を依頼する。
これらの事に関しては、フリーサイズぬいぐるみカメラで、
欧州某国の日本領事館に勤務する二等書記官の姿に化け、偽造書類の偽名を名乗った偽ネギが
うそつ機を装着して社長秘書としてほぼ全てをこなし、
署名捺印が必要な場合のみ、無言で同席した社長のダミーAが実行した。
万一の場合に備え、ダミーAには常に手袋を装着させ、
交渉現場では、最初に社長の両手は大きなケガがあるので失礼とうそつ機を使って断りを入れておく。
大きな取引では、手付けの現金と銀行保証小切手、
相手を銀行に同行しあるいはネットバンクで、
その場で前金で全額相手の口座に代金を振り込む実弾攻勢で押し切った。
一通りの準備が終わると、偽ネギは、
後始末としてダミーA社長を使って福岡、愛知、東京の銀行支店から会社の預金をほぼ全額現金で引き下ろし、
口座を解約してから事務所の各種契約も解約し、
ダミーAの顔を元に戻しメモリーディスクで記憶を操作してから彼を元の時間と場所に戻した。
そんなこんなで、最悪警察沙汰になっても、
実在の人物によく似た(そこまでも辿り着かないだろうが)でも絶対に別人の何者かが、
現代の技術でも可能な各種偽造書類、証明書を使いながら、
自分の金を使って違法だけど何の得になるのかよく分からない事をしていったとしか分からない、
明らかに現代科学を超えた超常現象である、とまでは言えない状況でかつ迷宮入りする様にしてから、
偽ネギは自分も元いた時間の643号室の夜へと戻って行った。

「ほな、行こかネギ君」
「行くよ、ネギ」
「はい」
「お早うございます、ネギ先生」
「ああ、お早うございます刹那さん」
復活の翌朝、大阪を中心とした準備を終え、元の夜に戻ってゆっくり休んだ後の朝、
明日菜、木乃香と来て、刹那を目の当たりにした瞬間には、
さすがに偽ネギも反射的にタンマウォッチを作動させ高笑いしなければならなかった。

「おう、ネギ」
「ああ、コタロー君」
いつもの通学路で偽ネギは小太郎と挨拶を交わすが、どこか居心地悪げな小太郎を前に、
偽ネギはぐっと苦笑を我慢する。
「お早うございます、ネギ先生」
“ムッハーーーーーーーーッッ!!キタ――――――――――――――ッッッ!!!”
「ああ、お早うございます、千鶴さん夏美さん」
偽ネギが深々と頭を下げ、目の前の二人もそれに倣う。
しっかりとそのシーンを目に焼き付けてから、頭を上げた瞬間偽ネギはウルトラストップウォッチを使った。
「効くもんだなぁ…」
そして、とっくりと目の前の二人、どちらかと言うと9対1くらいの割合で那波千鶴を嘗める様に眺め、
“いやいや、年相応のフツーの魅力ってのも健康的でいいものデスヨー”
躍動する走行シーンのまま静止するネコミミセーラーの大群の前で、
偽ネギは流行性ネコシャクシビールスのシャーレを眺める。
そして、千鶴の前にしゃがみ込み、
拳一つ分以上臍上を切った流行の白セーラーからたっぷりとはみ出した下側を見上げた。
「あー、ちょっと時間ストップさせて触らせてもらってますんでーちょっとそのまま立ってて下さーい」
「了解しました」
タイムロックでは弾力を楽しめないので、自分のシャツに大将の階級ワッペンを貼り、
流行のマイクロミニスカートをはいた千鶴のお尻に一等兵の階級ワッペンを貼ってから、
左手で悪魔のパスポートを掲げつつそこをぷにぷにと指でつつき、千鶴がにこにこ笑って立っている。
「ノホホホホホ」
きょろきょろと周囲を見回した偽ネギが、新たな獲物に笑みを浮かべる。
そこでは、白セーラーの、今流行のザックリVネックデザインから
今にも弾け出しそうに躍動させながら、明石裕奈が元気いっぱい走りながら硬直していた。
「きゃんっ」
お尻に上等兵のワッペンを貼られた裕奈が可愛い悲鳴を上げる。
「はい、駆け足足踏みー、ゆーなたん、ちょほーっとエッチにゃ事しまつよー」
「はーい」
悪魔のパスポートを見せられて宣言された裕奈が笑って指示に従い、
偽ネギが、目の前でたぷたぷと上下運動する膨らみを、半ばはみ出した臍上から両手でぐにぐにと持ち上げた。
そして偽ネギは、ゆっさゆっさと流行のシースルー地の白セーラーをはち切れそうに揺らしながら
ピチピチとした太股を上げ下げし元気よく高脚足踏みをする裕奈を放置して、
対照的にテクテクと道を歩んでいたアキラに接近する。
「ひゃっ!」
「はーい、アキラさんおっはよーございまーす」
やはり、アキラのお尻にぺたんと中将ワッペンを張った偽ネギが、悪魔のパスポートを示しながら言った。
「では、アキラさん、これからネギ先生が直々に筋力テストしてあげまつからねー」
「はい、お願いしますネギ先生」
「オポポポポムチムチムチムチムチムチィィィィィ」
苦笑いを浮かべるアキラの後ろで、後ろからマイクロミニスカートの中に半ば頭を突っ込み、
そのすらりとした脚に抱き付き太股に顔を埋めた偽ネギの奇声が止まった時に響き渡った。

「このビールスの感染率と発症率は疫学的な調査の必要がありまつねー統計学的に」
偽ネギは、手近で見付けた朝倉和美の背中に伍長、村上夏美の背中に二等兵のワッペンを貼り付ける。
「せいれーっつっ!」
号令を掛けた偽ネギが、夏美を中心に左から千鶴、和美、アキラ、裕奈の順番に並ばせ、
最初に改めて悪魔のパスポートをかざして見せる。
「それーではー、これよりぃー、服装検査をぉーっ、おこなあーうっ!」
偽ネギが宣言し、まず、セーラーの上着とスカートの丈をメジャーで測定する。
全て計画ど、もとい流行通り。
ワンサイズきつい白シースルー地のザックリVネック大腹出し上着と
マイクロミニスカートのセーラー服にネコミミのアクセント。
ポータブル国会は、今日一日、圧倒的大流行に従うものである限り、
麻帆良学園内における服装校則違反を教師がとがめる事を禁止している。
この五人を初め、セーラーに関してはまず確実に全員、下着も多分大多数が、
昨日の内に大阪の得体の知れない会社から無料の試供品として名指しで配送されて来たものを身に着けており、
普通なら気味悪くて捨てる場合がほとんどだろうが、
たまたま無料提供されたものが突如として沸き起こった熱烈な流行の最前線だったため、
それに乗り遅れないためには他に方法がなかった筈だ。
“…うふふふふwwwwwパイパイの柔らかさは千鶴ちぇんちぇー、
ぷるぷる弾力はアキラたんゆーなたんお二人のパンパン太股もさいこース…”
偽ネギは、上下のセーラーの下からはみ出した部分もとっくりと目視し、指先で弾力張り具合も確認した。
「しんたーいっ、けんさーっ、目視かくにーんっ!!」
怒鳴った、偽ネギは五人の少女にセーラーのVネックの下を唇でくわえ、
スカートの両サイドの裾先を指で腰まで摘み上げる事を命じる。
偽ネギは、メジャーで五人の各種サイズを上から下までくまなく計測しながら、
果たして、こちらも全員、現在麻帆良女子の間で熱烈に流行している
ノーブラTバックのインナーファッションをそのまま取り入れている事をその目で確認する。
さすがにここまで来るとレディ・エヴァの壮絶にして甘い修行を鏡丸パクリしてパワーアップした偽ネギも、
もよおして来たズボンの中の突っ張りで後の授業の支障まで心配したくなって来る。
偽ネギは、指で顎を撫で、従順に起立する若いピチピチグラマー(やや例外あり)を眺めながら、
果たしてしゃぶらせてやろうか挟んで出そうかぶち込んでやろうかと思案したが、
通学途中では後始末が意外と面倒そうで、
このゴージャス・ダイナマイトをあたふたと味わうのは余りに惜しいと思い直したため、
夏美のセーラーの脇あたりに軍曹のワッペンを貼り付け、
二等兵のワッペンを剥がして夏美の靴下に貼り付ける。
偽ネギは、夏美に、膝から上を丸裸にする様に命じてから、
その夏美の首に、留め具だけがついた細い革の赤いシンプルなアクセサリーを巻き付け装着し、
そのまま付いて来る様に命じる。
偽ネギが手近な男子トイレに入り、小便器の前に立つと、
夏美は命令通り偽ネギの前に跪いてベルトを外しズボンとトランクスを下ろし、
便器に向けて右手でしごき放出させて偽ネギが用意していた白いハンケチで後始末をし、
ハンケチを捨ててよく手を洗ってから偽ネギの着衣を整えた。

「ネギ先生」
「ああ、しずな先生」
トイレを出て元の場所に戻り、夏美をトイレに向かう前の姿に戻してから五人の命令を解除し、
メモリーディスクで記憶を操作してタイムロック下での出来事を忘れさせた
次の瞬間にタイムロックを解除した後、
登校した偽ネギは職員室の自分のデスクの前に着席し、
声に振り返って目の前の彫りの深い堂々とした谷間に頭を下げる。
ワンサイズ下の臍出し白ブラウスのボタンを上から三つ以上開け、
下はマイクロミニスカートでインナーファッションは生徒の流行通りと言う
素晴らしいファッションに身を包んだしずなは、
当然半ばはみ出した膨らみを偽ネギの前でふるふる震わせながらちょっとした世間話をする。
麻帆良学園女性教師陣の間でこの素晴らしくダイナマイトなファッションが大流行したお陰で、
麻帆良の通勤通学路は、しずなと刀子だけでも周辺に五十に迫るか突破かと言う負傷者で溢れる
文字通り人間凶器行き交う修羅の巷と化した。
無論、彼女たちが、授業中は挿入したバイブレーターのリモコンを生徒に預けると言う
流行の最先端を行く授業スタイルを実践する事は言うまでもない。
「やあ、ネギ先生、おはよう」
新田教諭が、某ウルトラ長寿警察官コミックの某特殊部署の所属員の服装を忠実に再現すると言う、
現在麻帆良学園の二十歳以上の男性教師の大流行を忠実に実行して登場した瞬間、
偽ネギはポケットのタンマウォッチのスイッチを入れ職員室の床の上をのたうち回った。


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最終更新:2008年05月19日 22:11