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夕貴が家に帰ってみたらカギが開いていた。
いぶかしく思いながらドアを開けると、珍しく母が居る。
「あれ、母さんどしたの?」
片手にティーカップを持って出てきた母に、夕貴は声をかけた。
「んー?……いや、たまには顔見に来よっかなっと思って」
笹本涼子。結構成功している部類に入る宝石商で、夕貴に負けず劣らずの「女」好き。
なぜ男である父と結婚したのか、どういう経緯があったのか、気にはなるけれど追求した事はない。
夕貴にとってはどうでも良かったし、別に夕貴に冷たいわけでもなく悪癖があるわけでも……
……女の子をナンパするのは悪癖だけれど。
「ところで藍ちゃんとはうまくやってるの?マンネリになってない?」
夕貴がコケた。
「なってないなってない……母さんが心配する事じゃないでしょが。それとも藍ちゃん狙ってる?」
「んー、藍ちゃんさえ良ければ私は歓迎なんだけどね~」
「……38になったおばんが何を言うか……」
母、涼子の手が電話を掴んだ。
そのまま受話器のコードを夕貴の首に巻きつけて締め上げる。
「か、母さ、ギブ、謝る、から、タスケテ」
面白い親子である。


「流行って言ったらさ」
自分のぶんも紅茶を淹れてもらい、夕貴は唐突に母に問いかけた。
「やっぱ、あんまり唐突に露出度上げたりしたら不自然かな」
「何の話よ?……あんたが流行作るわけでもないでしょ。作ってもいいけど」
「いやまあ……」
「んー、別にエッチな格好でも、周りが一緒なら不自然にも思わないんじゃない?」
それでも話にのってくれる母。
一緒にいる時間が短いからか、わりとどうでもいい話でもちゃんと聞いてくれる。
「それで、ファッションデザイナーにでもなるわけ?」
「服とは限らないんだ、仕草とか言葉とかも含めて」
「なに、レポートでも書くの?まるで大学生みたいな事してるのねえ……」
頭をかきながら、涼子は腰を上げた。夕貴の飲み終わったカップも持ち上げて、ちょっと振り向く。
「まだ飲む?」
「いや、いい。ありがと」
夕貴も腰を上げ、自分の用に取り掛かる事にした。
「どーいたしまして。あ、私は書斎でパソコンいじってるから、何かあったら呼んで」
「あい。母さんもあたしに何か用あったら呼んで」
夕貴は軽快に階段を上っていった。


笹本邸の屋根裏部屋。
防音もしっかりしているし、窓も1つしかなく薄暗い部屋だ。
空調は一応換気扇とエアコンが置いてあるので大丈夫。
カーテンを閉めて暗くした部屋で『流行性ネコシャクシビールス』をシャーレにあけ、培養を開始。
「ねる○るねるねは……ヒェヒェヒェ」
1人でボケてみた。
無論反応なぞ無かった。
ちょっと空しかった。
くだらん事はやめて、まっとうに培養を始める。
確か漫画では、スカートを短くし過ぎたら寒くて表に出てこなくなったという場面があったはず。
どこまでできるのか、いっちょ試してみよう。
「水着で出歩くのが流行る、流行る……」

ビールスをまいて、効果を確認しに外に出た次の瞬間。
夕貴は全力ダッシュで屋根裏部屋に逆戻りした。
そして四次元ポケットから『ポータブル国会』を取り出す。
「今日一日、軽犯罪法をちょっと改変!少しくらい裸で歩いててもお咎めなし!」
いやあ、いきなりお巡りさんに捕まえられてる子と遭遇するとは思わなかったね。


いくら暑いと言っても、こんな平日の昼間から出歩く人間がみんな水着とは思わなかった……
いや、そりゃあ近くに繁華街はあるけど。
流行に敏感そうな子達が集まるけど。
とりあえずおっちゃんおばちゃんは流行に疎いせいかさほど影響を受けないらしい。
商店街に向かうおばちゃん達も、みんな水着は着てなかったし。
それならもっときわどく……
「乳首や秘裂、男根など性的なシンボルを強調したファッションが流行る、流行る……」

凄い光景だった。
ビニールのような薄い生地で、体のラインが細かい所まではっきり浮き出ている。
なんとなく見られるのが良くても凝視されるのは恥ずかしいのか、カバンで前を隠す子もいたりして。
中には見られる快感というヤツなのか、ほんのり股間を潤している子も……
「うう……グッジョブ、あたし」
ここまであっさりと来たか。
それじゃあ……

「スカートを斜めにはくのが流行る。ポケット付きのスカートが流行る。ポケットに手つっこんだまま
 歩くのが流行る。ポケットの中から自分の体をまさぐるのが流行るっ!」


……流行っちゃったよオイ。まるっきり、お○にーしてるのと変わんないのに……
しかも、さっきの流行の効果が残ってるから上半身は乳首が勃起してるのが丸見えだし。
『サトリヘルメット』と合成したヘアバンドを着けて歩くと、まるでエロ小説の舞台を歩いているよう。
自分で流行らせといてなんだけど、日本大丈夫か?
……道具の効果って事にしておこう。
夕貴の賢い所は「スカート」に関する事を流行らせた事だ。これなら女の子にしか影響しない。
まあ時々男もいるかも知れないが、ビールスを撒いた範囲にはいないだろう……多分。

行き過ぎる前に、限界を決めておく。夕貴は自分の理性をよく知っているから。
次の次あたりで最後だ。
夕貴はひとつ頷くと、再びビールスの培養を始める。
「女子同士のスキンシップが流行る。性的な知識を先輩から教授してもらうのが流行る。それを実技で
 教えるのが流行る。女の子同士での触れ合いはそれほど罪悪感が無くなるっ!」

……夕方。クラブ活動まっさかりの学校に、夕貴は来ていた。
そして『かくれマント』を纏って、見回る。
保健室で。体育倉庫で。図書室で。資料室で。応接室で。
自分で撒いた流行が出回っている事を確信し……彼女を、呼び出した。


ここは新校舎……特別教室しかない校舎なので普段も人が少なく、放課後となれば尚更だ。
この無人の校舎に呼び出されるとなれば、緊張してしまうのが乙女心。
理科室に入ると、夕貴はそこに待っていた。
夕焼けに照らされて。
洞沢希美香は、期待が多分に混ざった目で夕貴を見上げる。
「センパイ……」
その見上げてくる目をまっすぐにとらえる夕貴。
希美香の方が目をそらしたくなるくらいに。
しかし、目を離す事ができない。
不思議な、妖しい魅力が満ちた瞳……
見つめ合っていると……気付かないうちに夕貴の顔が側に在って……
「希美香ちゃん……」

ちゅ……
小さな音。大きな鼓動。
自分の脈動が、やけに大きく聞こえる。
希美香がキスされた事に気付いた時には、もう自分は教室の机に身を横たえていた。
「あ……」


自分のブレーキが利かなくなっている。
そう考えるほどの余裕さえ、無くなりかけていた。
ずっと……この日を待っていた。
「優しく、して、ください、です」
ガチガチに緊張している希美香に、夕貴は再び口付けを交わす。
「心配しないで」
短い言葉。だが。
夕貴の微笑みが希美香の体と心をほぐしてゆく。
衣擦れの音が希美香の耳には大きく響き、恥じらいのために顔は真っ赤になっていた。
思わず両手で顔を覆うも、夕貴の手が希美香の腕をこじ開けてしまう。
「あたしを……見て」
夕貴のなめらかな手が制服のボタンをすべて外し終え、ブラに手をかけた時。
ぴくっ、と、希美香の反応が夕貴の手に伝わる。
夕貴は妖しい笑みを浮かべると、そのままブラを上にずり上げた。
熱を帯びた部位が外気に晒されるその刺激を感じて。
まるで希美香が感じ終わるのを待っていたかのように、夕貴は希美香の真っ平らな胸板に手を寄せる。
……栄養失調になった事でもあるのだろうか。
それとも……精神的なもの……いじめ、による摂食障害なんだろうか……


そっと、腫れ物を扱うように希美香の胸を撫で上げ……
わずかな、本当にわずかなふくらみと……その頂点の、桜色の突起に、触れた。
「ぁぁ……夕貴センパイ……」
希美香の喜びの声に、夕貴の頭も溶かされそうになる。
だが、手の平に感じる肋骨の感触で。自覚が固定される。
この子は、絶対に優しくしなきゃいけないと。
夕貴自身も制服をはだけて素肌を露出させ、希美香の上に覆いかぶさる。
夕貴のブラジャーが床の上に落ちた。
「力……抜いて……」

藍が使ったままの『機械化機』。
その1番スイッチに入っているのはバイブレータだ。
指という細く柔らかい物体にこの機能をつけると……優しく、とても優しく愛撫する動作にもなる。
「……ぅくっ」
微弱な振動が、希美香の胸を刺激する。
「う、ふふ……ふふっ、く、くすぐったいですよ……」
ニコリと夕貴は笑うと、希美香のスカートを脱がした。
そして片手でショーツを下ろしてゆく。


希美香に覆いかぶさったままだから、彼女の体を、自分の体で感じる事ができる。
強く抱きしめれば折れてしまいそうな体。
立ったまま抱くと、背伸びしなければキスもできない小さな体。

愛おしい。
守りたい。
でも……愛したい。

「あ……」
秘所をあらわにされてしまった希美香。
だが夕貴が上にいるため、さほどの羞恥は無い。
夕貴はそのまま器用に片手を使い、自分のスカートとショーツも下ろした。
もう片方の手で希美香の膝を撫で回す。
その動作が希美香を安心させる。

感動ゆえか……希美香の目からわずかに涙が落ちた。
希美香の浮かべた涙を唇で拭う夕貴。
そう、初めて希美香が涙をこぼした時のように……


そして、膝を撫でていた夕貴の手が少しずつ上に向かって来る。
希美香の体に、ゾクリと震えが走った。

「あ……っ」
湿り気がある。
そこを、夕貴に触れられている。
その事実だけで希美香の意識は飛んでしまいそうになる。
でも、駄目。
せっかくセンパイと初めてこういう事をするんだから。
最後まで自分を見届けなきゃ……もったいないから……

「あ……夕貴センパイ……好きです……好きです……愛してます……」
うつろに夕貴への想いを呟き続ける希美香。
それに応えて、夕貴は希美香の体を抱きしめる。
机の上に体を起こして、希美香を膝の上に乗せる。
「きゃ!」
希美香の足を開かせて……自分の秘所に、乗せた。
座位、変格活用。


「希美香ちゃん、あたしのイっちゃうとこ……知ってるんでしょ?藍ちゃんからのカセットで……」
その夕貴の問いには顔をうつむかせるばかり。
希美香の可愛らしさに、またも理性のネジが飛びそうになりながら……
夕貴が、希美香の体を抱きかかえて動き始めた。
その、今にも壊れそうな体を。


あたしが抱きしめてる限り……この子は、絶対に壊させない……誰であっても……


「希美香ちゃん……希美香ちゃん……」
「センパイ……ぁ、は……夕貴センパイ……っ」
出てくる言葉といえばお互いの名前だけ。
この、初めての空気に酔いしれて。
互いの秘部から溢れてくる体液を、互いに感じる……それだけで。
希美香は、1人でシている時の何倍もの快楽の渦の中で……

「センパイ……っ!……イっちゃ……ぁ、ぁ、っ、あああああああ!!」


ぴくり、ぴくり、と、お互いの痺れを感じ、一息つく。
「センパイ……」
夕貴が腕の中の希美香を見ると、泣きながら、笑顔を浮かべていた。
いつも通り、八重歯を見せて。
「最高、でした」


翌日。
「あれ?綾城兄は休み?」
藍と登校している時、話題にのぼった彼方の事。
「ええ、なんでも筋肉痛だそうで……『ケロンパス』も使ったそうなんですが」
「へえ~。そんなに疲れるなんて、一体何を……」
その時。夕貴と藍の行く手に、彼方が立ち塞がった。
「……貴女のせいですよね?」
「へ?」
「昨日の騒ぎは貴女のせいですよねと聞いているんですっ!」
なんだか、彼方はかなり怒っている。
が、夕貴はよわかっていない。


「昨日、このあたり一帯の少女達が妙に淫らになってしまって、男達が欲情していたのは、貴女のせい
 以外に考えられないんです!」
「あ。」
そうだ。
そういえば、あの後でまた新しくビールス作ったんだっけ。
「おかげで、強姦未遂……そう、全部未遂で終わらせましたが……その数なんと二百件を越えるんです、
 全部『ヤジウマアンテナ』で予知できましたがいちいち現場に急行するのは非常に疲れました!」
よって、と、彼方はまたも模造刀を取り出した。
あとずさる夕貴。
「ま、待て!2回続けて同じオチはどうかと思うぞ!?」
「問答無用っ!『雷光丸』プラス『ミニ雷雲』プラス『サイコントローラ』!……雷よ!」
「なんとぉっ!?」
彼方の持つ雷光丸から、電流の波が夕貴めがけてほとばしる!
「わ、ちょっ、やめれーっ!謝る、謝るから!今度からちゃんと許可とるから!」
「許しません!」

……その光景を、藍は汗を浮かべて見守る事しかできなかった。
ちゃんちゃん。