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①一郎くん達が初めて冬馬先輩を見たのはいつか

「一郎君、冬馬先輩の知り合ったのはいつなの?」
私は頭に浮かんだ疑問をそのまま口に出した。

「まずは……経緯から話さなければならないな。俺達は小学1年から3年生の間、ある施設に入っていた」
「それって、まさか高村の施設のこと?」
「よく知っているな、大堂。俺達は両親の薦めで一時施設に預けられたんだ」

「え?でも、一郎君たちのご両親が…なぜ……」
「普通の人々に見えないものまで見えてしまう俺達の力を両親は恐れていた。
物心ついたときから、人々の気が見えていたからな。人の気というのは、言い換えれば生命力だ。
幼い俺達は、気軽に人の死期を言い当てていた。ゲーム感覚でな」

死期をズバリ言い当ててしまう子供達が居たら……自分の子供でも怖いと思ってしまうかもしれない。
もしも治せるものなら治して、普通になって欲しいと願うだろう。

「人の死期だけじゃない。力そのものも、何も考えずに使っていた。例えば――こんな風に」

そう言うと、両腕を組みゆっくり目を閉じる。
次の瞬間、目の前にあるノートがペラペラと音を立てながら凄い勢いでめくられていった。

「きゃっ!」
「驚かせてすまない」
「ううん……ちょっとびっくりしただけだから、気にしないで」
私の言葉に黙って頷くと、一郎君は話を再開する。

「触れていないのに動かせる、見えないものが見える子供。だから両親は俺達を隠すように育てていた。
そして、小学校入学と同時に、施設へと預けられたんだ」
「そこで冬馬先輩と知り合ったんだ?」
「そうだ。当時、冬馬先輩は隔離棟に入っていた。そこは力を制御できず、危険と判断されたもののみが入れられる場所だった。
最初に彼を見かけた時、蝋人形のように動かなかったのをよく覚えている」
「で、でも……以前先輩は誰にも会うことの無い場所だって言っていたよ」

確か、冬馬先輩は『何も無い、誰も来ない、死なないように管理』する場所と表現していた。

「俺たちは能力を買われ、特別に接触できたんだ。各個人の力の数値化と適正化が施設の目的だったようだ。
施設側は能力の有無に関して、ある程度は確認できるようだったが、大きさや適正までは判断できなかったらしい」
「じゃあ、施設にいる能力者を大勢見てきたってこと?」
「そういうことだ」

新しい事実がわかった。だけど、また新しい謎が出てくる。
次は何を尋ねようか?

①どうやって施設から戻れたの?
②一郎くん達は研究所に主流と反主流があることを知っているのか
③武くんって知ってる?

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②一郎くん達は研究所に主流と反主流があることを知っているのか

「……大きな組織ほど一枚岩とは言えないだろうな」
一郎くんは私の疑問に、何か考え込むように空を見つめる。
その様子から、主流反主流の情報を知らなかったのだと思う。

「大堂はなぜ主流と反主流の存在を知ったんだ?」
一郎くんの疑問に、私は答えてもいいものかと一瞬迷い、結局話すことにする。

「冬馬先輩が教えてくれたの。冬馬先輩は反主流の人が掛け合ってくれて、研究所からでることができたって。先輩も後で母から聞いた話みたいだけど」
周防さんの名前は出さずに、冬馬先輩から聞いた話をそのまま伝える。

「今、表立って私に接触しようとしてるのは、主流派だっていうのも聞いたわ」
「なるほど…組織の主流ということは、組織の中での大多数ということになるが、反主流も黙ってはいないということか…」
「え?」
何かを納得したような一郎くんのつぶやきに私が疑問の声を上げると、一郎くんは昨日の話をする。

「昨日、公園で男が力場を消そうとしていたと言っただろう。おそらく彼は反主流派だ」
「………」
一郎くんの頭の回転の速さに私は口をつぐむ。

「それに主流派が大堂に接触を試みているというのなら、反主流派も主流派とは別に接触してくる可能性もあるな。いや、もうしているのか?」
そう言って、じっと私を見る一郎くん。

私は…
①「うん、実は……」
②「冬馬先輩は反主流じゃないの?」
③「………そう、なのかな?」

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①「うん、実は……」

「どうした? 大堂」

「実は、その反主流の人と冬馬先輩とで日曜日に会っていたんだよね」
「日曜……まさか、あのショッピングモールの公園か?」
「うん」
「なんて無謀な真似を…」
「せ、接触なんて大げさな感じじゃないんだけどね。もっと気軽っていうか」
「何か聞かれたのか? 何にもされなかったのか?」
一郎君は身を乗り出すようにして尋ねてきた。

「何も考えるなって言われたよ。何かされたといえば…よく頭を触られたかな」
「頭に触れる、か。一体、何が目的なんだろうか……」

反主流派の意図が掴めないという様に、一郎君は考え込んでしまった。

「あー…。一郎君が思っているような接触じゃないから、安心して。ただ気晴らしに連れてってもらったんだ」
私は首をすくめながら、一郎君をに説明する。

「気晴らし? 君のか?」
「うん。ショッピングして昼食をごちそうになったよ」
「意味がわからないな」
「一郎君が考えているような、深い意味は無いと思う。私が疲れた顔をしていたから、心配してくれただけなの」
「心配…? その反主流を名乗る人物が?」
「うん。とてもいい人だよ」
「そうか…。とにかく、大堂に何事もなかったのなら何よりだ」
安心したように座っている椅子の背もたれに深く座りなおし、一郎君は言葉を続けた。

「……今の話で、いくつかわかったことがあるな」
「え? 何がわかったの?」
「主流が力場を作ったのは、君を狙う目的と、反主流への制裁を兼ねている可能性が高いという事だ。
それと、力場を二箇所に分けたのは俺と修二を分けるためではなく、冬馬先輩とその反主流の人物を分断させる必要があったのだろうな。
大きな力場にしなければならない事からも、主流派は冬馬先輩とその反主流の人物の力を相当恐れているようだ」
「さすが一郎くん。冷静な分析だね」
「あくまで仮定だ」
そう言って、一郎君は再び委員会の作業に戻った。

(どうしようかな。一郎くんに周防さんの名前を教えようかな)

①教える
②教えない
③考える

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①教える

(一郎君は敵じゃないみたいだし、話も冷静に聞いてくれてる。
……教えてもいいんじゃないかな?)
そう思い、私は口を開く。

「その人……高村周防さんって言うんだよ。
もしかしたら、一郎君も名前を聞いたことがあるかもしれないね」

「高村、周防……?」
私の言葉に、一郎君が顔を上げる。

「彼が、高村周防、だと?」
一郎君は、反芻するように再び周防さんの名前を呟いた。

表情がだんだんと難しいことを考えているような……何かを訝しむような物に変わっていく。
「大堂」
一郎君が私の肩にゆっくりと手を置いた。

「君が昨日共に出かけ、俺が公園で見かけたその彼……反主流の男が、そう名乗ったのか?」
私をじっと見つめて、確認するように問いかけてくる。

「う、うん」
一郎君の様子に気圧されながらも、首を縦に振って答えを返した。
「……そう、か」
その答えを聞くと、私からわずかに目をそらす。

「あれが、高村周防……?……だが、彼は確か……」
そして何かを思案しているのか、何事かを呟きはじめる。

(……何?一郎君のこの反応は何なの?周防さんに何かあるの?)

①「一郎君、大丈夫?どうかしたの?」
②「周防さんに何かおかしいことでもあるの?」
③「高村の施設で会ったり見かけたりしたことはないの?」

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①「一郎君、大丈夫?どうかしたの?」

私の声に、一郎君は弾かれたように肩から手を離した。視線がぶつかって一瞬目を見開くと、一郎君はそのまま目を伏せる。

「一郎君?」
「いや、すまない。気にしないでくれ……たいした事じゃない」
短くそう言って、一郎君は窓辺に立った。見るともなしにどこか、遠い所を眺めているように見えた。

(一郎君はたいした事じゃないって言ってるけど……)
私に向けられた背中を見ながら思う。きっと一郎君は私がまだ知らない周防さんの何かに思い当たったのだ。けれど。たいした事じゃないと口をつぐむところをみると、それを私に話すつもりはないということなのだろう。

「……わかったよ。聞かない方が良いんだね?」
質問というよりは確認するようにそう声をかけると、一郎君は肯定も否定もせずに室内の方へ向き直った。
「今日はどうしたんだ、大堂。何か用事があって来たんだろう」

なんて答えよう?

①「何って、一郎君の手伝いに来たんだよ。何か手伝うことない?」
②「文化祭の準備の様子を見に来たの。後ちょっと、頑張ってね」
③「特に用事って訳じゃあないんだけど……」

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①「何って、一郎君の手伝いに来たんだよ。何か手伝うことない?」

「そうか、だがもう今日やろうと思っていたことはもう終わるから遅くならないうちに…」
一郎くんはふと、そこで言葉をとめる。

「いや、これに目を通してもらってもいいか?」
そう言って、さっきまで書いていたノートを渡される。

「一応前回の文化祭を参考に細かい所をまとめたんだが、気がついたことがあれば何でも言ってくれ」
「うん……って、これ一人で全部…?」
ノートを開くと、前回の委員会で決まった大まかな進行のほかに、体育館で行われるイベントの細かい進行方法までまとめられている。

「まだ放送器具の細かいセッティングなんかは決まっていないからそんなに大変じゃない。文化祭前日が一番忙しくなるだろう」
一郎くんはなんでもないことのように言うが、やっぱりすごい。

「うん、だいたい大丈夫だと思うよ。でも、ここ、体育館の吹奏楽部の演奏、時間もう少し余裕見たほうが良いんじゃないかな?吹奏楽部は人数多いし…」
「そうか、確かに人数が多くなればその分、舞台のセッティングが遅れ気味になるかもしれないか…」
「吹奏楽部も毎年のことだから、大丈夫だとは思うけど一応ね」
「だが、大堂の言うとおり万が一ということもある。君の言う通り少し余裕をもたせよう」
そう言って、一郎くんは手早くノートを修正する。

「さて、今日の所はもう良いだろう。大堂送っていこう」
「え?」
「もう外も大分暗くなってきたし、君は一人で行動しないほうがいい」

一郎くんの言葉に私は…
①「うん、ありがとう」
②「一人で大丈夫だよ」
③「でも、一郎くん遠回りになるんじゃない?」

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②「一人で大丈夫だよ」

私は鞄を持ちながら、立ち上がった。

「本当に一人で大丈夫なのか?」
「うん、平気。ありがとう」

帰ろうとして放送室を出て行く私に、突然「大堂」と一郎君に呼び止められた。
私は、扉の前で修二君に向き直る。

「どうしたの?」
「……最後に、少し尋ねてもいいだろうか」
一郎君の発する声色にどこか迷いが混じっているように聞こえた。

「うん。どうしたの?」
「その…修二の事なんだが」
「修二君がどうかしたのかな。私の知っていることなら答えるけど…」
「正直、尋ね辛いことなのだが、気分を害さず聞いてもらえると嬉しい」

一郎君にしては珍しく、遠まわしな言い方に違和感を覚えた。

「うん。何、どうしたの?」
「君は……その、なんだ。それは…」
一郎君は、しどろもどろになりながら話し出す。

「??」
「……君の気に修二の気が少量だが、混在しているのが見えるんだ」
「気?」
「その、…。それは……君も同意の上だったのか?」
「私の同意? 何の?」
意味がわからなくて、私は思わず首をかしげてしまう。

「あ……いや、やはり何でもない」
一郎君は我に返るように呟くと、私から視線を外した。

(一郎君どうしたんだろう?)

①そのまま一人で帰る
②一郎君を問い詰める
③やっぱり一緒に帰ってもらう

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②一郎君を問い詰める

いつもの一郎くんらしくない。

「どうしたの?なんかすごく中途半端で逆に気になるんだけど…?」
「あー……」
一郎くんが迷うように視線をさまよわせる。
やっぱり一郎くんらしくない。
とりあえず、疑問点を質問することにする。

「ところで、気ってなに?」
「え?ああ…、この世のすべてのエネルギーのことだ。今回俺が言ってるのは生体エネルギーのことで…オーラと呼ぶ人も居るな」
「生体エネルギー?オーラ?」
「血液みたいなものだ。普通の人には見えないが」
「それじゃあ、誰にでもあるものなのね」
「そうだ。テレビなんかで気孔治療という言葉を聴いたことがないか?あれは滞った生体エネルギーを正常にする為の治療だ」
一郎君の説明に、以前そういう特集番組を見たことを思い出す。

「あー、見たことあるかも……で、その私の気に、修二くんの気がまじっ…て………る?」
確認するように言葉にして、ふと午前中の出来事を思い出し、思わず口に手を当てる。きっと顔は真っ赤になっているだろう。

(一郎くんがいってた合意って、もしかして…キ、キスに合意があったのかってこと、よね……)
うろたえまくる私に、一郎くんが少し顔をしかめる。

「合意はなかったのか…?」
「あ、あの、合意というか…」
不安定になっている力を正常にしてあげるといわれて頷いた。ある意味、合意したとも言える。

「方法は聞かなかったけど…」
しどろもどろになる私に、一郎くんはだんだん怖い顔になっていく。

「修二、あいつ…!」
ガタンと椅子を鳴らして勢いよく立上り、今にも飛び出していきそうな勢いだ。

私は…
①一郎くんを止める
②一郎くんを止めない
③一緒についていく

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①一郎くんを止める

「ちょ、ちょっと待ってよ。一郎君」
出て行こうとする一郎君の前に私は立ちふさがった。

「あいつに一言いわなければならない。止めるな大堂」
私に向けられた視線は驚くほど鋭かった。
扉の前で私達は向き合う。

「と、止めるよ! だって、修二君は何も悪くないんだよ」
「だが、常識的に考えれば、相手に確認を求めるのは道理だろう。それでも修二は悪くないと言うのか?!」

確かに、不意のキスで本当に驚いた。
でも悪意や下心があったとはどうしても思えなかった。

「驚いたけど…。すごくびっくりしたけど…修二君はとても優しかったよ!」

私の言葉で一郎君が息を呑んだ。

「大堂……」
「お願い、修二君には何も言わないで」
「君は修二の無神経さに腹が立たないのか?」
「たたないよ。私のためにしてくれたんだから」
「納得できないな……なぜそこまで修二をかばう」
「かばっているわけじゃないよ。一体、どうすれば納得してもらえるの?」

一郎君は不機嫌な顔で私の前に立ちはだかる。
そして、ガタッと背中越しの扉が揺れると同時に、一郎君の両手が私の逃げ道を奪った。

(い、一郎……くん?)

「くそっ! なぜ、こんなにも腹立たしいんだ」
吐き捨てるように一郎君は呟くと、私をじっと見据えた。

私は……
①逃げる
②見守る
③触れる

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②見守る

一郎くんの顔は不機嫌なものから苦しいものへと変わっていく。
私はそんな一郎くんにかける言葉が見つからず、ただじっと一郎くんを見た。

「…俺は」
ポツリと一郎くんが言葉を発したが次の言葉は続かない。
一郎くんは苦悩する顔のまま上体を倒してきた。
さらりと一郎くんの髪が頬をかすめ、コトンと私の肩に一郎君の頭の重みがかかる。

「俺は修二のように強くなれない。弱くて臆病者だ」
顔は見えないが、苦々しい口調で一郎くんがポツリとつぶやく。

「修二は光だ。みんな修二に惹かれずには居られない。君だってそうだろう?それに比べて俺は…」
確かに明るい修二くんは皆の人気者で、つい目を奪われるような華がある。
でも、だからと言って一郎くんにそういう部分がまったくないかといえば、そんな事はない。

「…一郎くんも強いよ?優しいし」
少なくとも私はいい意味で、一郎くんと修二くんは対だとおもう。
自分の思うがままに前に進む修二君。
それは確かに皆を引っ張っていく力になるけれど、時に強引すぎて回りの意向を無視したものになる。
逆に皆の意思を尊重してまとめていく一郎君。
秘密主義で廻りから認められ難く、前に進むのには時間がかかるかもしれないけれど、いざというときには力を発揮する。
強さの方向は違うけれど、一郎くんが弱いとは思えない。
現に、修二くんのほうは素直に一郎くんのことを認めているように思えるし、自分にないものを埋める存在として何かと頼りにしているようでもあった。

私は…
①一郎くんのいいところを言う
②修二くんも一郎くんを頼りにしていると言う
③何も言わない
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