船橋@キノウツン藩国様からのご依頼品
その日は少女にとっては一大決心な日でした。
少女はこの日のために作り上げた糸電話を持って待ち合わせの場所へとやってきました。なんだか顔が火照ってる気がして、少女は顔をブンブンと振り回すと急いで糸電話を地面に置いて、隠れ場所を探しました。
「うーん、あ」
少女は柱を見つけてそっとその影に隠れ、時間を待つことにしました。
「糸電話……ちゃんと使えるかな?」
少女はこれから先に起るであろうことを考えて、顔を真っ赤にしつつ、時間を待ちました。待ち合わせ時間よりもずいぶん早いかったのですが、少女は顔を火照ったまま、ずっと待ちました。
「船橋くん、来てくれるのかな……」
誘ったのが男の方であることなど関係もなく、少女は時間を気にしつつも、待ち人を待ちます。待っている間にだんだんと前の事を思い出し、なんだかだんだん恥ずかしくなってきました。前回のお祭りから今日までの事を思い出し、ふと手元にある糸電話を見ました。
「糸電話、ちゃんと使えるかな」
少女が昨夜から何度も呟いている言葉を口にした時、下校の鐘がなりました。少女は慌てて柱のより影の方へと寄り添いました。
「んー。終わった終わったー」
「来た」
少女の待ち人である男の声が聞こえると少女は慌てて声のする方向から見えないようにと動きました。
「い、糸電話、ちゃんとしないと」
待ち人である船橋くんの方へと糸電話が行くように空歌は一生懸命手元にある糸電話の糸を手繰らせて片方の糸電話の位置を修正しようとします。そんな空歌の動きで気づかれたのか、船橋くんが空歌に気づき、声をかけてきました。
「お。どうしたん?」
「!」
船橋くんが片手を上げて挨拶しているのにも気づかず、空歌は慌てて隠れようとしましたが、船橋くんの声が思ってたよりも近くに聞こえ、慌ててもう一つ向こう側にある柱の方の影へと隠れるように移動しました。
「あ、ちょっと待って。一緒に帰らないか?」
船橋くんの言葉に、空歌は慌てました。恥ずかしくてつい逃げてしまったけど、ちゃんと返事しないと! と思い一大決心して声を出しました。
「い、いいよ」
空歌は声を出して、少し気持ちが落ち着いたのか、やっと船橋くんの顔を見ることができました。なんだか顔を真正面から見るとちょっと恥ずかしいネと空歌が思っているとその顔がだんだんアップになってきます・
「あー、ごめん。よく聞こえなかったんだけど」
空歌は急いでその場から離れました。顔が近づいてくるのを思い出し、顔が真っ赤です。
「そんな、いきなりはズルいよ」
空歌が離れて再び近くの柱に隠れて、船橋くんをそっと見ると、船橋くんが糸電話を見つけ手に取ろうとしていました。
「船橋くん……」
船橋くんはやさしいなっと思い、空歌が少し気持ちを落ち着けていると、船橋くんが糸電話をそっと耳に当てました。返事が聞こえてなかったという事に気づき、空歌はそっと糸電話に声を吹き込みました。
「いいよ」
そして、糸電話を耳に持っていきます。なんだか、映画のヒロインみたいと思いつつも返事をじっと待ちます。
「お、よかった。じゃあかえろーぜー」
船橋くんの声が耳に聞こえてきます。それはいつもと同じくやさしい声で空歌は少し嬉しくなりつつも元気に答えました。
「うん」
続きはログにて!
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最終更新:2007年12月06日 08:12