ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

DIOが使い魔!?-43

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匿名ユーザー

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DIOは、キュルケの場の空気を読まない発言のせいで、
力が抜ける思いだったが、
気持ちを新たに2本の剣をじっくりと眺めた。
やがてどちらを最初にするのか決めたのか、
その内の1本を手に取ると、
フーケに向けて槍投げよろしく投擲した。
意外な行動に少々驚いたフーケだったが、
流石は百戦錬磨といったところか、
弾丸のように回転しながら向かってくるソレを、
残ったゴーレムの片腕で、やすやすと叩き落とした。
"パキィン!"という甲高い音とともに、
投擲した剣は脆くも砕け散った。
だが、せっかくの武器を破壊されたというのに、
DIOは涼しい顔をしている。

「うむ、やはりか。
ルイズめ………まだまだ子供か。
ナマクラを掴まされおって」

果たして投擲された剣は、
ルイズが結構な金(といっても裏金だが)をはたいて購入した、
シュペー卿の剣であったのだが、
どうやらただのナマクラだったようだ。
あのオヤジに一杯喰わされたということらしい。
ルイズの教育は追々にするとして、
DIOの興味は、すでに2本目……デルフリンガーへと移っていた。
DIOは、デルフリンガーを鞘から引き抜いた。
途端に、デルフリンガーの柄がパクパク動いた。

「デェェエエエ!!??
な、なんか用なんすかぁぁぁあああ!?
後生だから、あの店に戻しちくり!!
お願えだぁあぁあああ!!!」
抜かれるや否や、
ゲドゲドの恐怖ヅラで命乞いを始めるデルフリンガーの言葉に、
DIOは恍惚とした表情で耳を傾けた。

「次はお前の番だ。
せいぜい気張れ。
さっきのナマクラみたいに、
へし折れたくなければな」

「いぃやぁあああああ
ああああああああ!!!!!」

「実にナイスな返事だ」
DIOは躊躇なくデルフリンガーを掴むと、ゴーレムに踊りかかった。
ゴーレムが、再生させた片腕で殴りかかるが、
DIOはそれをヒラリとかわし、
逆にその腕の肘から先を、デルフリンガーで切り飛ばした。

「ほほう。
錆びだらけの割には、なかなかどうして頑丈じゃないか。
ただの剣ではないようだな、デルフリンガよ」
所々に錆が浮かんでいるデルフリンガーを、DIOはしげしげと眺めた。

「ほ、褒めるくらいなら、
せめて名前を直して………」
顔色を窺うようなデルフリンガーの言葉は、
残念ながらDIOの耳には届かなかったようだ。

DIOの視線は、ゴーレムに注がれていた。

ゴーレムは、切り飛ばされた腕を再生しようとしていたが、
その速度は先ほどに比べると緩慢だった。
どうやら、再生能力にも限界があるらしい。
そのあたりは、吸血鬼である自分とほぼ変わらないようだ。
―――つまり、再生仕切れないほどの損傷を一気に与えてやれば、
ゴーレムを倒せる。
そう判断したDIOは、唇を笑みで歪めた。


一気に。
瞬時に。
時間差もなく。

これは、DIOの最も得意とするところであった。
DIOはデルフリンガーを片手に、地面を蹴った。
凄まじい跳躍力で、瞬く間にゴーレムの顔辺りまで上昇する。
奇しくもそれは、ルイズのとった行動の焼き直しだった。
肩に乗るフーケと、目が合う。
しかし、同じ手に二度は驚かぬとばかりに、
フーケは切り飛ばされなかった方のゴーレムの腕を、
即座にDIOめがけて振るった。
ルイズの時より断然早い。
タイミングから言えば、ルイズだったらモロに喰らって
ミンチにされていただろう。
それほどの瞬速の一撃だったが、DIOは何食わぬ顔だ。
唸りを上げて迫るゴーレムの一撃を意に介すことなく、
言葉を紡ぐ。

それは、
世界の全ては自分の支配下にあるという宣言に近かった。


「『ザ・ワールド(世界)』!!!!」

―――ドォオオオオン!!!―――

………そして、時が停止した。

ゴーレムは、ただの石像のように固まった。
フーケは明確な殺意を顔に浮かべたまま動かない。
いつも騒がしいデルフリンガーは、水を打ったように沈黙していた。
上空のシルフィードも、
はばたいていないにも関わらず、墜落しない。
ワイヤーで吊り下げられたみたいに空中で停止している。
キュルケとタバサも、心配そうな顔で地面をのぞき込んだ状態で、止まっていた。


「時は止まった………」
ゴーレムの鼻辺りで、何故か空中浮遊しているDIOが呟いた。
重力を軽く無視した行為なのだが、
幸いにもそこに突っ込んでくる相手は、
ここにはいなかった。
しかし、いつぞやの決闘の時と違って、
左手のルーンは輝きを放っていない。
つまり、長く『止める』ことは出来ないということだ。
どうしてなのかは分からないが、分けの分からない力を頼りにするほど、
DIOはお人好しではなかった。
グズグズしている暇はない。
DIOは、物言わぬフーケを指差した。

「私『は』お前には手出しをせん。
ルイズがお前をご所望のようだからな」
そういって、沈黙するデルフリンガーを横に薙いだ。
"ズバァッ"と形容しがたい音を響かせて、
ゴーレムの首が飛んだ。
間髪いれずに手を振ると、
DIOの体から幽霊……『ザ・ワールド』が現れ、
亜音速で両の拳を繰り出した。

『無駄無駄無駄無駄
無駄無駄無駄無駄ァ!!』
上半身のみの『ザ・ワールド』が、
嵐のようなラッシュをゴーレムの頭部にお見舞いし、
ゴーレムの頭部は、無残な『土くれ』へと還った。

~1秒経過~

ようやっと落下を始めたDIOは、
落下するに任せて、デルフリンガーを縦横無尽に振り回した。
吸血鬼の腕力も手伝って、
ゴーレムがあっさりと細かく切り刻まれていく。
切り刻まれたゴーレムの破片を、
『ザ・ワールド』が正確に打ち砕いていった。

~1秒半経過~

上半身から下半身へ………DIOが着地した時、
ゴーレムはもうほとんど原型を留めていなかった。
かろうじて、DIOの手が回らなかった四肢の末端部分だけが、
虚しくゴーレムの名残を残す。

足場をなくしたというのに、
フーケの体は、
先程と変わらぬ姿勢で宙に浮いている。
後が大変そうだ。
軽やかに着地したDIOは、空を仰いだ。

「さぁ、これでいいのだろう、ルイズ。
……後はお前の出番だ」
どうやら、時間切れらしい。
時間にしてみれば、2秒ほどだったが、
DIOにとっては深い意味を持った。
2秒。
ルーンに頼らず、2秒。
以前はルーンの助けを借りて、3秒がやっとだった。
DIOは己の力の回復を、
「時間」という形で実感していた。

~2秒経過~

―――この間、
止められる時間が短かったせいか、
それともあまり深く考えていなかったせいか、
DIOがルイズを注視することは
遂になかった。
……だから、DIOは気づかなかった。
時の停止した空間の中、シルフィードに跨るルイズの指が、
僅かに……髪の毛ほどの刹那、ピクリと痙攣したことに。
…DIOは気づかなかった。

「そして時は動き出す」

to be continued……


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