ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

閃光! 四系統最強の『風』

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閃光! 四系統最強の『風』

空条承太郎現る! この事実にルイズもワルドも仰天した。
驚いていないのはウェールズだけだ。そう、ウェールズは知っていたのだ。
礼拝堂のすぐ壁の向こうで承太郎が待機していた事を!
ワルドを怪しみ万が一に備えていてくれた事を!
「どうやら……ジョータロー、君の言った通りらしい。
 彼は! ワルド子爵は! 間違いなくレコン・キスタの手先だ!」
ウェールズはルイズを抱き寄せると、杖をワルドに向けて突き出した。
ルイズはアンリエッタからの大事な大使、預かり物だ。
自分は今日中に死ぬだろうが、ルイズは守らなければならない。
守って、アンリエッタの元に返してやらねばならない。
「下がってなウェールズ。こいつの相手は……俺がやる」
「しかしジョータロー、奴は我々を騙した卑劣漢だ。
 レコン・キスタなら私が一人でも多く道連れにすべき敵でもある」
「奴とはまだ『決着』がついていない……。
 てめーが名誉を守るために戦うように、俺も誇りのために戦う。
 ……ルイズを、頼むぜ。そして自分の身も守るんだな、皇太子様」
「……解った。ジョータロー、君の勝利を祈っている」

ウェールズとルイズが礼拝堂の奥に下がり、承太郎とワルドが室内の中央へと歩み寄る。
「まさか……ガンダールヴ、貴様に私の正体を見破られていたとはな……」
「……今度は……手加減しねー……覚悟しな」
「君は『第三ラウンド』と言ったな? フフッ、今のところお互い『一勝一敗』……」
「ラ・ローシェルでの夕暮れの決闘……そして桟橋へ向かう途中」
「気づいていたとはな……私の変装を……」
「決闘を参考にしたような動きをしていやがったからな」
二人の会話を聞いて、ルイズは「まさか」と呟いた。
まさか、承太郎にライトニング・クラウドを浴びせたあの仮面のメイジが、ワルドだというのだろうか。だとしたら……マズイ!

「ジョータロー! ワルドは『偏在』を使うわ!」
ルイズのその言葉を合図にワルドが魔法を詠唱した。
ウィンド・ブレイクだ。暴風が承太郎を吹き飛ばそうとする。
空気の塊は殴れても、風を殴るのは無理だ。
承太郎は即座にサイドステップで回避、礼拝堂の長椅子の上を飛び跳ね接近する。
「オオオラァッ!」
スタープラチナが射程ギリギリまで前進しワルドに殴りかかった。
間一髪、ワルドはフワリと風のように舞って後方へ退避。
一瞬前までワルドが立っていた床が瓦礫と化した。
「なるほど! これではろくに詠唱もできんな。
 ならばこちらも本気を出そう! なぜ風の魔法が最強と呼ばれるか!」
ワルドは後ろへ後ろへと逃げながら詠唱する。
スタープラチナの射程距離から退避する。
「ユビキタス・デル・ウィンデ……」
呪文が完成するとワルドの身体は五つに分身した。
ひとつが本物、残りは偽者。
花京院から聞いたラバーズが祖父の脳内で取った戦法を承太郎は思い出した。
「風のユビキタス(偏在)……。風は偏在する。
 風の吹くところ、何処となくさ迷い現れ、その距離は意思の力に比例する」
「ゴーレムとは訳が違うって事か……」
「見るがいい! 我が名は閃光のワルド! 最強の風を操るスクウェアメイジだ!」
五人のワルドがいっせいに跳躍し、四方八方から承太郎に迫る。
さらに三人のワルドが詠唱、杖の先端を白く光らせた。
エア・ニードルだ。一撃で人体に風穴を空ける一転集中型の近接戦闘魔法。
三人のワルドが承太郎に閃光のような突きを連続して放った。
「ぬううっ!」
その速度、鋭さ、剣技、すべてがチャリオッツに劣る。
しかし! 攻撃を仕掛けるワルドは三人。単純計算して三倍の攻撃量!
しかも一方向からの攻撃ではなく、三人別々の角度で攻撃してくるのだ。


「スタープラチナ! オラオラオラオラオラオラッ!!」
即座にスタープラチナを自分の周囲に旋回させつつ拳の弾幕を張る。
手数はワルドが上だった。
だが圧倒的なパワーとスピードそして人間には真似できない精密動作性により、スタープラチナは三人のワルドに押し勝った!
「くっ、さすがはガンダールヴ!」
三人のワルドが天井近くまで跳躍して退避、直後、二人のワルドが詠唱を終える。
「ライトニング・クラウド!」
「ライトニング・クラウド!」
それは一撃で承太郎を戦闘不能に追い込んだ殺人的威力を持つ稲妻の魔法!
その速度はまさに雷光、スピードではかわせない、その攻撃、承太郎は!
「オラオラオラッ!」
床を粉砕し、土を掘り返し、瓦礫と土のカーテンを造り上げた。
稲妻はそのカーテンに衝突し、地面へと流れて散ってしまう。
さらに空中に滞空する瓦礫のひとつをスタープラチナの手が掴んで、野球のボールのような剛速球で一人のワルドを狙う。
狙われたワルドは即座に身を屈め、その隣のワルドが風の魔法で防御する。
風の防壁を瓦礫は突き破り、しかしそのショックで速度が落ちたため、身を屈めたワルドの羽帽子を吹き飛ばすだけに終わってしまう。
続いて承太郎は頭上に逃げた三人に視線を向け、スタープラチナの脚力で追いかけた。
「何ッ!?」
一瞬で追いつく速度に驚愕したワルド達は、即座にエア・ニードルの杖で迎え撃った。
「オラオラオラオラオラオラオラッ!」
だがすべての攻撃が弾かれてしまい、ワルド達は地面へと落下した。
彼等を見下ろしながら天井まで到達した承太郎は、天井をスタープラチナで殴り急降下。
後方で再び詠唱をしていたワルド二人に肉薄する。
「ウインド・ブレイク!」
「エア・ハンマー!」

異なるふたつの魔法が承太郎の接近より早く放たれる。
ウインド・ブレイクは防ぎようがない。
前方に現れた空気の塊、エア・ハンマーを殴って壊す。
ゴオッと音を立てて圧縮された空気が噴出し承太郎の学ランをなびかせた。
続いてウインド・ブレイクの風が承太郎の身体を吹き飛ばす。
「ぬううっ!」
壁まで吹っ飛ばされた承太郎は、スタープラチナで自身の身体を受け止める。
さらにそこにエア・ニードル組の三人のうち二人が、別の魔法を唱えていた。
「ウインド・ブレイク!」
「ライトニング・クラウド!」
時間差を置いて放たれる風と雷!
先程と同じ防御方法では、瓦礫と土のカーテンは風に吹き飛ばされてしまう。
そうなればライトニング・クラウドを食らうしかない。
「オラァァァッ!」
だがその程度の事は予測していたとばかりに、承太郎は懐からフォークを取り出し、迫る風を切り裂くようにしてぶん投げた。
金属製のフォークは風の中を飛来し、稲妻を正面から受け止めその場に落ちる。
「こんな事もあろうかと、今朝のうちにフォークやナイフをいくつか拝借させてもらった」
「くっ、そのような児戯でライトニング・クラウドを破っただと?」

信じられない光景が目の前に広がっていた。
相手は風のスクウェアメイジ。
対するは偏在とは異なる奇妙な分身を操る謎の男。
「彼は……ジョータローはいったい、何者なんだ」
ウェールズは感嘆の声を漏らした。
「異世界から来た、不思議な力を持つクールでタフな使い魔です。殿下」
ルイズもまた、スクウェアメイジと互角以上に戦う承太郎を見て驚いていた。
彼が強い事は知っていた。トライアングルメイジのフーケを倒したほどだ。
だがまさかスクウェアメイジを、しかも最強の風使いとここまで戦うとは。


「見事だ……見事だぞガンダールヴ! まさかこの閃光のワルド相手にこうまで戦うとは。
 その力強さに敬意を表するよ……そして…………!
 お前はどうしても正々堂々! この手で決着をつけたくなった!
 真正面から……私の実力で……捻じ伏せてやるぞ! ガンダールヴ!」
「上等だ……かかってきな、ワルド!」
承太郎が駆ける。
三人のワルドが再びエア・ニードルを唱え肉薄する。
二人のワルドが遠距離魔法を詠唱する。
「行くぜ! オラオラオラオラッ!!」
接近戦を挑んできた三人のワルドと、拳と杖を交錯させる承太郎。
その圧倒的パワーを一人のワルドが受け、後方に吹っ飛ばされる。
それでも構わず二人のワルドは杖で突きを連発し、遠くで詠唱していたワルドがウインド・ブレイクを時間差で放つ。
「ぬうっ!」
ウインド・ブレイクを回避しようにも、目の前の二人のワルドが邪魔をする。
こうなっては仕方ないと承太郎はスタープラチナでジャンプした。
そこを時間差で放たれた二発目のウインド・ブレイクが襲い、承太郎は壁まで再び吹っ飛ばされ、さらに二人のワルドがエア・ニードルでトドメを刺すべく接近してきた。
そんな中――凛とした声が響いた。
「エア・カッター!」
ウェールズの声だ。
そして――承太郎はようやく気づいた。ワルドの真の目的に。

承太郎は呪った、自分の愚かさを。誇りのため決闘にこだわってしまった事を。
常にクールで的確な判断を下してきた自分が、なぜ気づけなかったのか。
それはきっとあの時のように――怒っていたからだろう。
祖父、ジョセフ・ジョースターがDIOに血を倒された時、承太郎は距離を取る事をせず真正面から向かっていった。
あの時のように――承太郎は怒っていた。ワルドがルイズの心を裏切った事を。


ウェールズの放ったエア・カッターを掻い潜り、
先程スタープラチナに吹っ飛ばされた一人のワルドが、
エア・ニードルを生やした杖で、
ルイズを守るためその身を盾にしたウェールズの右腕を、
切断した――。

「うおおおおおおおおおおおっ!!」
「イヤアァァァァァァァァァッ!!」
承太郎が叫ぶ。
ルイズが悲鳴を上げる。
ワルドが笑う。
ウェールズが……崩れ……落ちる。

「フン! くだらんな~、一対一の決闘なんてな~。
 このワルドの目的はあくまでも『皇太子暗殺』と『手紙の入手』!
 どんな手を使おうが……最終的に……勝てばよかろうなのだァァァァッ!!」
二人のワルドが承太郎を足止めすべく左右に分かれて襲いかかる。
二人のワルドが承太郎を足止めすべくウインド・ブレイクの詠唱に入った。
一人のワルドがウェールズを戦闘不能と判断し、続いてルイズへと杖を突き出す。

ルイズの小さな胸に、ワルドの殺意が突き刺さろうとする。
承太郎は手を伸ばした。届かないと解っていても、本能的に。
伸ばした左手は――何も掴めず――ルーンも輝かない――しかし――。

ワルドは勘違いをしていた。承太郎の強さはガンダールヴであると。
しかしそうではない。承太郎はスタンド使いなのだ。
目覚めた能力と、それを使う精神力。それこそが――スタンド使いの武器!

風よりも速く――否、それは速さという概念を越えた出来事。
その一部始終をルイズはその目に焼きつける事となる。

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