ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

DIOが使い魔!?-2

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匿名ユーザー

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その惨状にさすがのルイズも息をのんだが、自分が召喚したのだからという思いから、ルイズは目前のバラバラ死体に改めて目を向けた。
バラバラ死体――――――そう表現するしかなかったが、よくよく見れば(見る気になんかとてもならなかったが)奇妙な死体だった。
まるで何かに引き裂かれたような、いや砕かれたみたいだという印象を受けた。
起点はおそらく左足だろうか?
そこから始まった亀裂が上半身に向かい、頭部まで回ったところで一気に体が爆砕した……そんなかんじだった。
胴体はほとんど吹き飛んでおり左の肩から下が近くにゴロンと転がっていた。
ルイズが亀裂の起点と判断した左足は、一番損傷が激しいらしく、グチャグチャになって同じく遠くに転がっていた。
その近くに目をやると、ハンマーで割られたスイカみたいなものが転がっていたが、ソレが何なのかルイズはわかりたくもなかった。
周囲には細かな肉片が散らばっていて、とにかくもうグチャグチャのグッチョグッチョだった。
しばらくミートスパゲッティは食べられないだろうなぁ、などと、ルイズは思わずそんな的外れなことを考えた。


奇跡的に右半身は無傷のようだ。
(けど、ヘンね。コレだけグチャグチャなのに、出血が少なすぎるわ)
そここそが、ルイズが奇妙に思った点である。
そもそもルイズが他の生徒のようにパニックに陥らなかったのは、『血』という、もっとも身近なスパイスがこの死体には効いていなかったからなのだ。
出血があまりないから、些か現実味に欠けると、間近で見ているからこそルイズはそう思った。
そのおかげか若干落ち着いたルイズは、この死体を観察する余裕がでてきた。
よくみるとかなり筋肉質で立派な体格をしている。
190サントはあるだろうか。生前は屈強な若者だったのだろう。

(ヘ~ンな靴はいてるわね……センスを疑うわ)

次に目に入ったのは、死体が履いている靴だった。
まるで絵本の中の魔女が履いているような悪趣味なトンガリ靴だった。
階段で躓いたりしなかっのだろうか?
味をしめて次第に大胆になりつつあるルイズは、次に死体を杖で突っついてみた。

"ツンツクツン"

"…………"

(ホントに死んでる……のよね…)

当然だが反応はない。死体だから当たり前なのだが、この死体、どういうわけだかルイズには本当に死んでいるだと確信できなかった。

ルイズが杖で死体を突っついていた頃、トリステイン学院の教員であるコルベールは、騒ぎを収めようと必死だった。
大パニックに陥る生徒達を宥め、すかし、諭し、時に叱咤する。
苦労人の体現者のようにあちこち廻るコルベールの姿は、結構生徒達の点数を稼いでいた。


だが、実のところ出来ることなら彼はずっと生徒達の相手をしていたい気分だった。
何故なら、この混乱が収拾したあとは、必然的にあの死体の処置に回らなければならないからだ。死体を召喚したなどと、前代未聞である以前にナンセンスだった。
一体どうしろというのか……
大方の混乱が収まりつつあるなか、コルベールは内心頭を抱えた。
――――――時でも止まってくれればいいのに…
思わずそう願った。

(取りあえず、生徒は全員教室に戻すべきだな)
そう判断したコルベールは、内心生徒に混じって逃げ出したいと思いながらも、生徒達の誘導を始めた。

死体を興味深そうにツンツン突っついていたルイズは、周りの状況をものの見事に忘れていた。
何故だかわからないのだが、ルイズは自分がこの死体に強く引きつけられているのを自覚していた。
死体が放つ強烈な存在感に、目が離せない。

「……ェール。ミス・ヴァリエール!」

ハッと、現実に引き戻された。

「あなたはここで待機していなさい。私は他の生徒達を教室につれていきます。良いですね?」

「は、はい。ミスタ・コルベール……」

上の空の返事をする。
コルベールは、そんなルイズを訝しみつつも、生徒達を教室に誘導し始めた。
途中、幾人かの生徒が、ルイズを非難の目で睨んだ。

何てものを見せてくれたんだ!

彼らの目はそう言っていたが、普段自分を『ゼロ』と呼んでバカにしていた彼らが、無様な姿をさらしていた光景を思い出し、ルイズは逆に心の中で黒い微笑みを浮かべた。
ふん、いい気味だわ

飾りっけなくそう思った。
そうしてまた、コルベールが帰ってくるまでのしばらくの間死体を眺めつづけることにしたルイズであった。

心の中の恐怖は、すでに霧散していた。


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