ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は今すぐ逃げ出したい-9

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匿名ユーザー

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「ギュ、ギュラモン?もしかしグラモンですか?あの、グラモン元帥の?」
沈黙を破ったのは王女だった。さすがに沈黙に耐え切れなくなったのだろう。
頬を引きつらせながらギーシュに聞く。
「ひゃ、ひゃい!むしゅこでございましゅ。姫殿下」
当然声を掛けられギーシュは驚いた様子だったが力強く声を返し一礼する。
ギーシュは顔を赤く染めている。私が殴ったことや歯が折れたことは後回しに決めたようだ。
しかしあれだな。基はいいが鼻血と折れた歯じゃ格好がつかないな。唇も腫れてきてるし。
「あなたも、わたくしの力になってくれるというの?」
「任務の一員にきゅわえてくだしゃるなりゃ、きょれはもう、望外のすぃあわせにぎょざいます」
ギーシュの言葉に王女は微笑む。聞き取りづらくても大体わかるからな。
「ありがとう。お父さまも立派で勇敢な貴族ですが、あなたのその血を受け継いでいるようですね。ではお願いしますわ。この不幸な姫をお助けください、ギーシュさん」
「ふぃめ殿下がぼくのにゃ前を呼んでくだしゃった!ふぃめ殿下が!トリしゅテインの可憐にゃ花、びゃらの微笑みの君がきょのぼくに微笑んでくだしゃった!」
ギーシュは喚きたてるのと後ろに仰け反り気絶してしまった。こいつここまで王女に心酔してたのか?
ギーシュだけでなく他にもこういった奴が多く居るなら王女のカリスマは凄いな。
とりあえずこの場に居る全員がギーシュを無視する。
「では、明日の朝、アルビオンに向かって出発するといたします」
ルイズが王女に宣言する。

「ウェールズ皇太子は、アルビオンのニューカッスル付近に陣を構えていると聞き及びます」
「了解しました。以前、姉たちとアルビオンを旅したことがございますゆえ、地理には明るいかと存じます」
「旅は危険に満ちています。アルビオンの貴族たちは、あなたがたの目的を知ったら、ありとあらゆる手を使って妨害しようとするでしょう」
もうなにも思うまい。もしこの王女に何か言える立場にあっても何も解決しそうにない。
要するにバカなんだ。王女もルイズもギーシュも……
バカは死なないと治らないからな。
王女は突然机に座り羊皮紙と羽ペン(ルイズの物だ)を使いなにやら書き始める。
王女は書いたものを見ると悲しげに首を振る。もう王女を見る目が凝り固まっているのか何から何までうそ臭く見える。
第一印象でここまで人を見る目っていうのは変わるものなのかね?
「姫さま?どうなさいました?」
王女の表情を見て怪訝に思ったのか、ルイズが声をかける。
「な、なんでもありません」
王女は顔を赤らめると、頷きさらに何かを書き足し、なにか呟く。
生憎この位置では何を言っているのかは聞き取れなかった。興味なんてないがね。
王女は羊皮紙を巻くと杖を振る。すると巻かれた羊皮紙に封蝋がされる。羊皮紙は手紙のようだ。
王女がルイズに手紙を渡す。
「ウェールズ皇太子にお会いしたら、この手紙を渡してください。すぐに件の手紙を返してくれるでしょう」
そう言うと王女は右手の薬指にしていた指輪を引き抜くと、ルイズに渡す。
「母君から頂いた『水のルビー』です。せめてものお守りです。お金が心配なら、売り払って旅の資金にあててください」
ルイズは指輪を受け取ると深々と頭を下げた。
「この任務にはトリステインの未来がかかっています。母君の指輪が、アルビオンに吹く猛き風から、あなたがたを守りますように」
ガキに未来を任せるなよ……


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