ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は今すぐ逃げ出したい-7

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だれでも歓迎! 編集
「頼もしい使い魔さん」
考えに耽っていると王女が喋りかけてくる。
「何でしょう?」
さすがに王女だ。ルイズと同じ風に喋るわけにはいかない。
「わたくしの大事なおともだちを、これからもよろしくお願いしますね」
王女はそう言うと左手を差し出した。握手かと思ったが手の甲が上を向いている。
じゃあ何をすればいいんだろうか?しかしこういった場面をどこかで見たことがあるような気がしないでもない。
「いけません!姫さま!そんな、使い魔にお手をを許すなんて!」
ルイズが声を荒げる。つまり普通私ぐらいの身分じゃされることはない行動のようだ。
「いいのですよ。この方はわたくしのために働いてくださるのです。忠誠には、報いるところがなければなりません」
いや、私はお前に忠誠心なんて持ち合わせてないがな。それにお前のために働くなんていつ言った?
働くのはルイズだけだ。しかしルイズも仕事中に死んでしまうがね。
しかしお手を許す?何のことだ?
「ルイズ、何をすればいいんだ?」
ここは素直に聞いておこう。間違ったことをして怒鳴られるのは面倒だ。
「まったく、平民は何も知らないんだから。お手を許すってことは、キスしていいってことよ。砕けた言い方するならね」
思い出した。何かの本で読んだな。騎士がお姫様の手にキスをするやつ。あれと同じか。確かああいったのはキスするふりをするんだったけ?
王女の前にひざまずき手を手に取り甲に唇を近づける。さっさと済ましてお帰り願おうか。
キスするふりをする。回りからはキスをしているように見えるだろう。そして顔を離して立ち上がる。
立ち上がったはずだった。どうしても顔が上げれない。王女の手を離すことが出来ない。王女の手から目が離れない。
あれ?どうしてだ?何がどうなっている?

「ちょっと、ヨシカゲ?」
ルイズが話しかけてくる。それはわかるが何を言っているかは理解できない。
そういえば前にもこんなことが無かったか?しかしそれにしてもいいにおいだな。それに王女は顔もいいしな。
しかも手が綺麗だ。こんな手にキスのふりだけなんてもったいない。ちゃんとキスしなきゃな。
そう考えしっかりとキスをする。それはもうキスというよりは唇を押し付けてるといったほうが正しい。
「キャッ!」
王女の声がする。いい声だ。それに綺麗な手だ。頬ずりしたくなる。その手を嘗め回したくなる。
はじめてあれを見たときの感覚に近い。もう一つの腕で王女の腕を掴む。
「痛!?」
まだこれだけしか使えないのは残念だ。それにしても君は見れば見るほど綺麗だ。でも手だけの君はもっと……
「姫殿下に何してんのよッ!」
顔に衝撃が走り床に転がる。何だ一体!?
驚いて立ち上がるとルイズが顔を真っ赤にしており、王女は腕を痛そうに押さえている。
そういえばさっきまで俺は何を考えていた!?何をしていた!?如何して思い出せない!?
「も、申し訳ありません!使い魔の不始末は、わたしの不始末です!っていうかあんたもほら!謝りなさいよ!」
「すいませんでした」
王女に謝罪するが上辺だけのものだ。今はそれに関心を払っている場合ではない!
さっきまでのことが思い出せないなんてあるだろうか!何をしたのか、何を考えたのか、何を思ったのかがまるで思い出せない。
壁を隔てて向こう側にある感じだ。
ただ王女の手に口付けをしようとした瞬間感じたものは……何かが曖昧になるような感覚だった。


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