ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第四話 今にも落ちてきそうな人の下で

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 第四話 今にも落ちてきそうな人の下で

「すまないが、水をくれないか?」
フー・ファイターズは、ルイズを治療をしていたメイジに言った。
わざわざ能力を見せてまで治療をしたのだ、もちろん敵スタンド使いではないだろうという判断に基づいてだ。
メイジは、コップをフー・ファイターズに渡して、杖を向けて呪文を唱える。すると、コップの中には水が溢れた。
(傷を癒し、水を精製する…いったいどんなスタンド能力なんだ…)
疑問に思ったが、余計な詮索は無粋だと思ったので質問はしないでおいた。
「それと…付き添っておきたいので、水のストックを貰えないだろうか?」
一晩中付き添っておこうと思っていたフー・ファイターズは、水が必要なので再びメイジに頼んだ。
「主人思いの使い魔ね。そういうことだったらメイドを呼んでおくから、そちらに頼んでくださいね。」
そういってメイジは医務室から去っていく。
治療する人が退出するくらいなのだから状態は良いのだと思い、フー・ファイターズは少しばかり安心した。
少しすると、水を注ぐ容器を持ったメイドが入ってきて、自らを名乗る。
「この度は、ミス・ヴァリエールの使い魔のお世話をさせていただく、シエスタと申します。以後お見知りおきを。」
「あぁ、宜しく。でも、そんなに畏まらなくても別にかまわない。」
フー・ファイターズは普通に返したつもりだったが、シエスタは驚いた。
一応形式的に挨拶をしただけなのに、使い魔が人語を使って返答してくるとは思ってもみなかったからだ。
そしてあろうことか、シエスタはそのまま気絶してしまったのだ。
せっかくの話し相手だと思っていたフー・ファイターズは少しがっかりしたが、シエスタを床においておくわけにはいかないので、ベッドの上に乗せることにした。
そして夜は淋しく過ぎてゆく。外を観ていなかった為に、気付かれなかった二つの月と共に…。
日が昇り、石仮面を被った人なら塵になっていくであろう太陽光が窓から射し込んでくる。
その朝日と共にシエスタが目を覚ました。
まだ完全に眠気が取れていなかったのか、現状を理解できずにキョロキョロと辺りを見回している。
だが、視界にフー・ファイターズが入って、シエスタは急に眠気が吹っ飛んだ。
「昨晩は本当に申し訳ありませんでした。お言葉を返して下さったのに気を失ってしまうなんて。」
シエスタは謝った。只管に謝った。何故なら仮にも貴族の使い魔、しかも人語を習得している。
主人の貴族に、〔使い魔の世話をしに来たのに、気を失って寝てた〕なんてことを言われたら、どんなひどい目にあうかわかったもんじゃあない。
それ故シエスタは恐怖に駆られていた。
けれどもフー・ファイターズは
「別にそんなに謝らなくてもいいんじゃあないのか。こんな姿をみたら普通は驚くだろう。」
フー・ファイターズはシエスタを落ち着かせるよう努めたのだ。驚いた理由に関しては完全に的外れなのだが。
(今まで驚かれなかったのがおかしかったんだ。つまり、今まで見た人間は全員スタンド使いだったということか。)
更にこうも考えた。
(彼女はスタンド使いじゃあない。)
と…

「取り乱してすみませんでした。やさしいんですね、フー・ファイターズさんは。」
何とか落ち着かせたシエスタと、しばらくの間、フー・ファイターズは話していた。
それでもって、シエスタと仲良くなったようだった。
「それじゃあ私は仕事があるので帰ります。」
シエスタの退出によって、フー・ファイターズは部屋がほんの少し広くなったような気がした。
「空気の入れ換えでもするか。」
一人になったフー・ファイターズが窓を開けると、目の前を人が落ちてきた。
昨日、入り口で見かけた少女だ。とりあえず、銃の手入れをしているやつがいなくて本当に良かった。
フー・ファイターズは急いで余った水を取り、外にぶちまけ、窓から飛び降りた。
「この水すべてが私なのだッ!」
少女より下の位置に落ち、空中で自らを広げる。
そう、柔らかい彼ならクッションになれる。
だが、一手遅かった。
すべてを庇いきれず、骨が折れる鈍い音がした。
見たところ、左足が折れているようだ。あからさまにあらぬ方向に曲がっているのだから。
フー・ファイターズは少女を抱え、医務室に運ぼうと立ち上がる。
出血の類いであるならばフー・ファイターズでも何とかできたが、骨折では話が別だ。
するとそのとき、昨日、門の前でこの少女と一緒にいた少年がタイミングよく現れ、叫ぶ。
「な、何をしているんだ、君はッ!ケティに何をした!」
そう言ってフー・ファイターズから少女を取り上げると、足早に医務室に向かっていった。途中振り返り、再び怒声をあげる。。
「思い出したぞ。君は確か、ミス・ヴァリエールの使い魔だったね。女性に手を上げるなんて赦さない!」
すごくキレてしまっているようだ。
「…いや、それはちが…」
フー・ファイターズは状況を話そうとするが、それを少年が遮る。
「決闘だ!ケティの名誉にかけて!ヴェストリの広場で待っている!」
結局、フー・ファイターズは余計ないざこざに巻き込まれてしまった。

to be continued…

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