ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は静かに暮らしたい-21

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匿名ユーザー

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「では授業を始める。知ってのとおり、私の二つ名は『疾風』。疾風のギトーだ」
少なくとも私は知らないけどな。
授業を見学しながらそう思う。別に毎日見学しているわけではない。たまに魔法のことを知りたいから来るくらいだ。
だから教師は初めてみる顔だった。
長い黒髪に漆黒のマントを纏っている。
いや?初めてではないか。フーケ事件の際宝物庫で怒鳴っていたな。
五月蠅かったので少し憶えている。
「最強の系統は知っているかね?ミス・ツェルプストー」
ギトーがキュルケに質問する。
「『虚無』じゃないんですか?」
「伝説の話しをしているわけではない。現実的な答えを聞いてるんだ」
何だか他人を煽るような言い方をする男だ。これじゃ生徒に人気はなさそうだな。
「『火』に決まってますわ。ミスタ・ギトー」
キュルケが言う。自分が火系統だからだろうな。
「ほほう。どうしてそう思うかね?」
「すべてを燃やしつくせるのは、炎と情熱。そうじゃございませんこと?」
「残念ながらそうではない」
ギトーが腰に差してあった杖を引き抜く。
「試しに、この私に君の得意な魔法をぶつけてきたまえ」
へぇ、実演するのか。中々興味深いな。

さらにギトーが挑発するようにキュルケを促す。
そしてキュルケが直径1mほどの炎の玉をギトーに放つ。
生徒たちは我先にと机の下に隠れる。私も少し身を潜める。
ギトーは目の前に迫る炎の玉に杖をなぎ払うように振るう。
烈風が舞い上がり一瞬のうちに炎の玉をかき消す。さらにはその向こうにいたキュルケをも吹き飛ばした。
この結果からすると『風』最強ということか。キュルケも実験台になって可哀想に……
「諸君、『風』が最強たる所以を教えよう。簡単だ。『風』はすべてを薙ぎ払う。『火』も、『水』も、『土』も、『風』の前では立つことすらできない。
残念ながら試したことはないが、『虚無』さえ吹き飛ばすだろう。それが『風』だ」
なるほど。確かに『風』は便利な魔法だな。しかし最強だとは思えないな。いくら強かろうと策に負けたりはするだろう。
ようは使い方なのだ。何かが最強という考えは使い方の幅を狭めることになる。
ギトーはさらに言葉を続ける。なにやらもう一つの最強の所以を見せてくれるそうだ。
ギトーが杖を立てる。
「ユビキタス・デル・ウィンデ……」
しかしギトーの呪文を遮り教室の扉が開かれる。そして教室にコルベールが入ってくる。なにやら緊張した顔だ。
しかしそれが気にならないほど私はある一点を集中してみていた。
コルベールの頭だ。彼の頭には馬鹿でかいロールした金髪のカツラをのせている。付けているのではなくのせている。大きな違いだ。
頭から目を離し他の場所も見てみる。
ローブの胸にはレースや刺繍で飾られている。めかしているといった感じだ。
……滑稽だった


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