ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

DIOが使い魔!?-26

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匿名ユーザー

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オスマンとコルベールは、『遠見の鏡』で一部始終を見終えると、互いに沈黙した。
気まずい空気の中、コルベールが震えながら何かを言おうとする前に、オスマンが言った。

「勝ったのは、ミス・ヴァリエールの使い魔じゃったな」
「オ、オールド・オスマン……私には、まだ自分の目が信じられません…」
「ほぅ。ならば、そんな役立たずな目は、早めに抉ってしもうた方がよいのぅ。ミスタ・コルベール」
「い、いえ…そんな…!私はただ、平民がメイジに勝ったという事実に…」
「平民?平民じゃと?お主はアレをまだ人間じゃと思うとるわけか?」
オスマンの目が、コルベールを射抜いた。

「切られた腕を再生させ、青銅のゴーレムを砕き、挙げ句グラモンの血を吸うたアレを、人間と呼ぶか。
お主も痛い目を見た口じゃろうに。
ますますもって役立たずじゃのう、お主の目は」
コルベールは萎縮した。
オスマンは、フンと鼻息を荒げた。

「しかしのぅ、あの化け物の左手のルーン…。
ワシも長年を生きてきたが、とんと見当がつかぬ物じゃったわ。
ミスタ・コルベール。お主も見たな?早々に調べておくのじゃ」

---まさか、ルーンまで見過ごしておったのではなかろうな、と言うオスマンに、コルベールは慌てて首を横に振った。
これ以上失態をさらせば、本当に目を抉られてしまうと、コルベールは思った。

「し、調べて参ります…!」
コルベールは早急に学院長室から退室した。
オールドオスマンは、そんな彼を見送りもせずに、秘書のミス・ロングビルを見た。
オスマンとコルベールのやり取りを、見ない振りをして書類仕事をしていたロングビルは肩を一瞬 震わせた。

「ミス・ロングビル」
「…はい、学院長」
努めて普通にロングビルは答えたつもりだが、その内心はオスマンには筒抜けだろう。

「お主もみたじゃろう。さっきの戦いを。
……ワシの目には、奴が瞬間移動をしたようにしか、思んのじゃが…意見を聞かせてもらえるかのぅ、ミス・ロングビル」ロングビルは、ペンを机の上に置くと、オスマンに答えた。

「いいえ…オールド・オスマン。私にも判りかねます。ただ、瞬間移動したとしか」
「…そうか。あいや、ただ聞いてみたかっただけじゃ。気にすることはない」
オールド・オスマンは、机からパイプを取り出して、火をつけた。

2・3回プカと煙を口から吹いた後、オスマンは言葉を続けた。

「ミスタ・コルベールの手伝いをせい、ミス・ロングビル。
あの足では書物の捜索は難儀じゃろう。
それと……」
ロングビルは椅子を引いて立ち上がり、オスマン の次の言葉を待った。

「……あの化け物に、内々に目を配っておけ」
ロングビルは頷いて、学院長室から出ていった。
コルベールと書物を漁るのは退屈だが、学院内を歩き回る良い口実を得たので、ロングビルは満足した。
全くエラいところに潜り込んでしまったものだと、しかし、ロングビルはため息をつくのを止められなかった。

オールド・オスマンは、誰もいない学院長室内で、一人立ち上がって『遠見の鏡』を再び見た。
鏡には、見知らぬルーンの刻まれた左手を血に染めたDIOが、悠々と広場を立ち去るところが映されていた。
オスマンはその様子を見て、鷹のような目を、ますます鋭くさせた。

「DIO………DIOか。このトリステイン魔法学院の内憂とならねばよいがのぅ……そうなった場合、もみ消すのも一苦労じゃ」

---その時だった。
鏡の中で、背中を見せて歩いていたDIOが、突如素早く振り返り、こちらを睨んできたのだ。

DIOの真紅の目が、オスマンをしっかりと捉えている……少なくともオスマンはそう感じた。
流石のオスマンも、この時ばかりは心臓が止まるかと思った。
『遠見の鏡』が気づかれるなんて、有り得ないことだった。
あまつさえ自分と目が合うとは---だがオスマンはこの後、心底驚愕した。
鏡の中のDIOは半身になって、血に染まる左手で顔を隠し、右手で此方を指差した。

『………貴様、『見て』いるな……!?』
DIOの言葉にオスマンの思考が反応する前に、鏡に巨大な人影がいっぱいに映し出された。
人と言うには余りにも巨大なそれは、その巨体に見合う…いや、過剰な筋肉を有していた。
腕は丸太のように太く、脚はそれよりもっと太いそれは、全身が白いせいか、石でできたような印象を受ける。
鏡に突如映し出されたその巨人は、右腕を振りかぶると、その大砲の弾のような拳を轟と振り下ろした。
"ガシャアァアアン!!!"という高い音を響かせて、『遠見の鏡』は、粉々に砕け散った。
破片がオスマンに襲いかかり、オスマンは慌ててローブで己の身をかばった。
全く予想外のことで、杖を振る暇もない。

机の下で眠っていた、オスマンの使い魔であるネズミのモートソグニルが、チュウチュウと鳴いた。
破片が飛び散り終わると、オスマンは恐る恐るローブから顔を出した。
見るも無惨な姿を晒す『遠見の鏡』を見て、オールド・オスマンはうろたえた。

「…おぉ……これは…なんとしたこと…」
オスマンは、あの化け物が、自分の思っていた以上にとんでもない存在であることを痛感し、ただ呆然と、割れた鏡を見つめた。

鏡の修復には、かなりの時間が必要になりそうだった。
その費用を瞬時に頭の中で目算し、オールド・オスマンはただただ頭を抱えるばかりだった。

to be continued ……


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