ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第二話(17) 恐ろしき王女

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 第二話(17) 恐ろしき王女 その①

「オールド・オスマン、それは本当ですか!?」
FFは驚いて聞き返した。
「うむ、本当じゃ。王宮からわざわざ使いが来てのぅ。大変なことになったもんじゃ。…おい、FF君!何処に行くんじゃ!!」
「友人がいる…。以前、話していた…タルブの村出身だと…。だからッ!彼女のところに行く!
彼女はこれを聞いているのならきっと絶望している!少しでも彼女の力になれるようにッ!」
そういうとFFは学院長室を出て行った。
「ふむ、友人がいたとは知らなかったわい。そういえば、FF君になってから少しパンチラするようになったのう。…でも、お尻を触るのを文句言わないのは、ちと張り合いがないんじゃが…。
いかんいかん、ここはカメラ目線で貫禄を漂わせてっと……
こんなに早く戦争が始まるとは、もうトリステインも安全ではないんじゃのぅ。みんなに最悪が降りかからないよう、祈るばかりじゃ。」
ところかわって食堂。
「一体どうしたのかしらね、あのメイドは。」
「さぁ、急に泣き崩れたみたいだったけど、何かあったのかな?」
「私に聞かれてもわからないわよ!きっと平民は平民で何かがあるのよ。
…そういえば忘れてたけど、私って虚無なのよね。…たぶん。」
ルイズがハッとした顔で思い出して、見知らぬメイドの話は終わり、虚無の話になる。
「きっと虚無に間違いないよ!FFの話はとても説得力があったしね!」
「確かにそうなんだけど…急に自分が虚無だなんていわれても、あまりパッとしないのよ。
でも、本当に虚無なのよね……。ということは、家にも立派な報告ができるわ。
さっそくちい姉様に手紙を出さなくっちゃ!」
ルイズが手紙を書こうと紙とペンを出す。しかしそこでマリコルヌから衝撃の告白をうける。
「僕のルイズ、そのことだったら、アルビオン脱出後のラ・ロシェールにいるときに、ヴァリエール公爵家宛にすでに出しておいたよ。」
ルイズだけ暫し時が止まった。

 第二話(17) 恐ろしき王女 その②

「ちょちょちょ、ちょっとーっ!ななな、何勝手なことやってんのよ!」
「きっと君のお父様もお喜びになるだろうと思ってね。」
「ばばば、馬鹿ーーっ!もしかして、『僕のルイズが』なんて書かなかったでしょうねー!」
「ああ、それなら大丈夫だよ、僕のルイズ。公爵家宛に私情丸出しの文書は送らないよ。」
ルイズは安心したのか、ため息を漏らした。
「よかった、それくらいはちゃんとしてるわよね。もしそんなことしてたらきっと打ち首だもの。」
「そ、それは怖いね。」
(よ、よかった、自重してて。打ち首になったら結婚どころじゃないしね。)
やっていた場合を想像して、マリコルヌは内心ガタガタブルブルのニャーニャーだった。
それでも個別にカトレアあてに出すために、ルイズはペンを走らせる。
ルイズが書き終えると、タイミングよくFFが現れた。
「あ、FF。何やってるのよ。」
「ん、ルイズか。ちょっとシエスタに用があってな。」
「?シエスタ?誰?知り合い?」
「まぁ、そんなところだ。」
そういうとFFは厨房に向かっていった。
FFが去っていった後、男子たちの間では、FFの『履いているもの』の話題で盛り上がっていた。
「誰かシエスタを知らないか?」
FFは厨房の中に呼びかける。するとシエスタの同僚が先程の出来事を話し、現在は部屋にいるということを告げた。
「知ってしまったのか。しかし、知られてしまうのは避けられないこと、その苦しみをどう軽減させるかが友人の仕事だ。」
FFはシエスタのいる部屋に向かった。

 第二話(17) 恐ろしき王女 その③

「おお、シャルロット、私のシャルロット。」
「…母様。」
プッチの渡した薬によって、母親を狂わせていたエルフの毒が解毒された。
二人はどちらからともなくお互いに抱き合い、涙を流す。
「そんなに強く抱きしめたら痛いわ、シャルロット。」
タバサは元気になった母をみて、力強く抱きしめずにはいられなかったのだ。
(母様、母様…。)
タバサは何度も心の中でそれを繰り返した。
これから仇のガリア王ジョゼフを殺しに行くのだ。タバサは勇気が欲しかった。
時が過ぎるのも忘れるくらい、ギュッと、ずっと抱きしめる。
そんな二人をプッチは壁に寄りかかりながら見ていた。
ペルスランも二人から離れて見守っていた。
ペルスランは、タバサが連れてきたこの来訪者をどんな人物なのかと思っていたが、何だか知的な雰囲気だけは感じ取っていた。
そしてタバサは母から離れ、無言で外に出て行こうとする。それについて心配になり、母は娘に問いかけた。
「シャルロット、何処へ行くの?私と一緒に静に暮らしましょう。」
母の切ない願いだった。きっとそれでも行ってしまうのだろうということはわかっていたが、言わずにはいられなかった。
「やらなくちゃならないことがある。」
タバサはそれだけ告げると去っていってしまった。それに続いてプッチも屋敷を出ようとする。
「お願いします、そこの名前も存じ上げない貴方。助けてもらい、その上お願いをするのも失礼だとは思いますが、私の娘、シャルロットを…どうか、宜しく頼みます…。」
プッチは振り向かず、そのまま屋敷を去っていってしまった。
屋敷に残された母と老執事は、ただただ見送ることしかできなかった。
無事、再びその顔を見ることができるようにと…。

 第二話(17) 恐ろしき王女 その④

「ルイズが虚無だと…。信じられん。」
時間は少しばかり前後するが、ヴァリエール公爵家では、ヴァリエール公爵がマリコルヌからの手紙を読んで驚いていた。
ルイズが、自分の娘が虚無であると書いてある。
俄かには信じられないことであるが、その文章に書いてあることが妙に説得力を持っているので、ヴァリエール公爵は信じるべきかどうか相当に悩んでいた。
そして、妻と二人の娘を呼んで、家族会議にまで発展していった。
「ルイズが虚無、家系上ありえない話ではありませんね。」
「ちびルイズが虚無だなんてそんな馬鹿な話あるわけないじゃない。あの子は魔法が使えないのよ。二つ名は『ゼロ』、それだけで十分じゃない。それよりワルド子爵との婚姻のお祝いはどうします、母様。」
「姉様、でもその手紙に書いてあることは最もですわ。普通の失敗なら爆発なんてしませんもの。」
三者三様の返答である。
「確かにそれは盲点だった。この手紙の主は相当の頭脳の持ち主と見えるな。何でもルイズの学友であるとか…。今度、その顔を拝ませてもらおう。」
マリコルヌが気付いたわけではないのだが、手紙を送ったためにそう思われてしまった。役得である。
すると王宮からの使者が訪ねてきた。
「何だね、戦争のことなら帰ってくれ!相当な額だったが、軍役免除税はきっちり払っただろう。」
そういうと、帰るように促す公爵。それくらいしか今の王宮からの用なんて思いつかなかったからだ。
どうせ戦場に出向いてくれとでも言うんだろうと考えていた。しかしそれは違った。使者は面と向かって言う。
「…いいえ、戦争のことで伺ったのではありません。」
「じゃあ、いったい何の用なんだね?」
公爵は疑問に思い尋ねる。他に何かあったであろうか。そう考えていると、使者が切り出した。
「ラ・ヴァリエール公爵、国家反逆の容疑により身柄を拘束します。抵抗せずについてきて下さい。」
「な、何なんだねいったい!?そんなことを言われる覚えはない!!出直して来たまえ!」
公爵は途轍もなく憤慨して使者に詰め寄る。それに対しても使者は落ち着いて言った。
「大人しくついてくる気はないんですね。」
「ああ、そんな気は全くない!当然だ!」
「では仕方がありません。力尽くで拘束させていただきます。」
あの公爵が杖を構える暇もなく、あっというまに拘束されてしまった。


 第二話(17) 恐ろしき王女 その⑤

「あなた…。」
「「お父様…。」」
「大丈夫だ。きっと何かの勘違いに違いない。屈辱ということにかわりはないがな。」
公爵はそのまま使者に連れられて屋敷から出て行った。
残された妻と二人の娘は、その様子を心配して立ち尽くしていた。
「…きっとお父様は大丈夫ですよ。部屋に戻っていなさい。」
自らも不安に関わらず、気丈に振る舞い、娘たちを落ち着かせようとする妻の姿はとても逞しかった。
娘たちが部屋に戻った後、カリーヌは椅子に座り、頭を抱えた。

コンコンッ!シエスタの部屋の扉が叩かれる。
「…ぐす…どうぞ…。」
シエスタは、泣くのを堪えて返事をした。こんなときに誰なんだろうと今まで流していた涙を拭った。
「失礼する。」
入ってきたのがロングビルだったことにシエスタは驚いたが、何事もなかったかのように対応する。
もしかしたら先程のことで首になるかもしれない、内心はこうも考えていたが、養うことが必要な家族がいなくなってしまった今、もうどうにでもなれと自暴自棄に陥っていた。
「何の御用でしょうか、ミス・ロングビル。」
「きっと、落ち込んでいるだろうと思って…。」
「はい?私がですか?ただあの時は取り乱しただけで何ともありません。アハハ…。」
シエスタが乾いた笑いをあげる。自分が育ってきた村の人たちが皆殺しにされたのだ。シエスタは精神的におかしくなりかけていた。
それがFFでなかったとしても、人と出会ったら遅かれ早かれこういう行動をとっていただろう。
「本当に大丈夫なのか?」
そういってFFはシエスタを抱きしめる。シエスタを落ち着かせるために。
「いきなりどうしたんですか?抱きついて。アハハハ。」
「辛いのはわかる。でも自分を保つんだ。見失っちゃあいけない。村の人たちだって、君のそんな姿は見たくはないはずだ。」
「アハハハハハハ!あなたに私の何がわかるって言うんですか?離してください。」
「いいや、離さない。まったく同じ辛さを感じることは、人が人である限り不可能だ。だが、その苦しみを分け合うことはできる。軽減することはできる。それが友人の役目だ。君に元気になってもらいたいから来た。」
以前のジョリーンとエルメェスを見ていてFFが思ったことだ。人はみな異なっている、だからこそ補えるのだと。


 第二話(17) 恐ろしき王女 その⑥

「アハ…アハハ………う、うわぁぁぁぁん…。」
シエスタは泣きじゃくった。FFの胸の中で。家族や村の人たちを思い出し、みんなの分まで生きていこうとシエスタは決心した。
「今はいっぱい涙を流すんだ。泣けば少しは落ち着く。」
FFはシエスタが落ち着いてからも、暫くその場に留まった。
一方のルイズはというと手紙を出し終え、タルブ村略奪事件について耳にする。
「王党派がそんなことをするはずはないわ。きっと貴族派の成りすましよ。
それは姫様自身が一番わかりきってることなのに、どうして貴族派の肩を持つのかしら。」
「きっと内通者が権力を掌握でもしているんじゃあないかい、僕のルイズ。」
「今日はとても冴えているわね、マリコルヌ。学院長に許可を取って早速姫様に会いに行くわよ。」
学院長室に向かうルイズとマリコルヌ。しかし、学院長の口から予想外の内容が紡がれる。
「姫殿下直々の書簡にそう書いてあったもんでのぅ。」
「そ、そんな、どうしてですかっ!」
そういいながらも、先日あった姫様の様子がおかしかった為に、少しばかりルイズは納得してしまう。
なんでも、ルイズが戦争のことで王宮を訪ねると言うのであれば断れと言う内容であった。
しかも王党派がやったという確かな証拠もあるのでそのことであれば尚更許可はしないということだった。
結局二人は黙って学院長室を後にするしかなかった。

学院長室から出た後に、これからどうしようかとヴェストリの広場で話している二人。
そこでFFと出くわす。FFがルイズを捜していたのだから当然だが。
FFが言うには、フーケの記憶からアルビオンの虚無が誰なのか予測できたとのことだ。
そしてワルド戦の時に襲ってきたホワイトスネイクが現れる前に救出しようと言うことであった。
一行はアルビオンのウエストウッドに向けて出発する。
勿論学院長から許可を取って。
その際に、ルイズが虚無であろうということや、虚無が狙われていること、ウェールズの死などを聞いて、オスマンはたいそう驚いていたそうな。
なぜなら四人が四人とも学院長に全く話していなかったためである。
一番オスマンの近くにいるFF曰く。
「別に話す必要はないと思った。」
とのこと。


to be continued…

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