ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第三話(13) ウェールズ悲哀の青春

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 第三話(13) ウェールズ悲哀の青春 その①

翌朝、ルイズは昨日会ったことを思い出せずにいた。
(確かワルドにベッドに倒されて…きっとあのあと…。)
ルイズは直前の流れから結論を導き出した。
それを想像してルイズは真っ赤になる。
一方ワルドも似たような状況だった。
(抱きしめたところまでは覚えているんだが…。)
つまりそのあとが全く覚えていない。
ルイズの照れている表情を見て、きっと成功したのだろうという結論を出す。
そしてやったであろうことを忘れているなんて知ったら、恐らく始めてであるルイズは悲しむだろう。
そうしたらルイズを振り向かすための今までの努力が水泡に帰してしまう。
そう思いワルドは、いかにも覚えているかのようにルイズに話しかける。
「熱い夜だったね。良かったよルイズ。」
その言葉を聞き、やっぱり一線を越えてしまったんだと思うルイズ。
よせばいいのにルイズも覚えているかのように話す。
覚えていないなんて言い出せなかった。
「そそそ、そうね。ととと、とても大きかったわね。」
ワルドはルイズの返答を聞き、成功したということに間違いはないようだと思った。
(ふふふ、これで結婚は確実だ。そしてクロムウェルを退け、僕はレコン・キスターになる!アイツから与えられた任務なんて関係ない。)
ワルドは心中で高笑いを上げていた。

 第三話(13) ウェールズ悲哀の青春 その②

その日の夜。FFが食堂で水を飲んでいると、傭兵の集団が宿を攻めてきた。
正直FFは矢が刺さったりしてもそこまでダメージにはならないのだが、相手が多すぎるのでそうもいかない。
騒ぎを聞きつけて、やさぐれたマリコルヌ、真っ赤になっているルイズ、達成感のただようワルドが降りてきた。
「一体どうなっているんだね、ミス・ロングビル。」
「ワルドか。見ての通り襲われているんだ。おそらくレコン・キスタの雇った奴らだと思う。」
「そうか、わかった。ではここは二手に分かれよう。アルビオンで合流だ。スヴェルの夜の前だがなんとかなるだろう。僕とルイズとその使い魔で一組、残りの三人で一組の二組だ。」
「いいよなぁ…どうせ僕なんて。」
「傭兵たちは僕に任せなさい。これでもスクウェアクラスだ、時間はかかっても殲滅しよう。」
そう宣言するとワルドは戦闘態勢にはいった。
タバサ、FF、マリコルヌはシルフィードに乗り込みアルビオンに向かう。
「ユビキタス・デル・ウィンデ。」
ワルドの体が複数に分かれていく。風の偏在である。
本物のワルドはルイズを抱きしめて覆いかぶさっている。
その間にワルドの偏在は、確実に傭兵たちを殲滅させていっている。
暫くして、傭兵は一人残らず駆逐された。ルイズをお姫様抱っこしながら、ワルドは、先程まで傭兵たちの溢れていいた玄関から優雅に出て行った。
二人と一体は船乗り場に到着する。船長を無理やり説得し、船を出発させることに成功した。
出発して暫くすると、船が賊に拿捕される。ルイズとワルド、船員たちは船室に閉じ込められた。
そして少しすると、賊の一人が現れて話しかけてきた。
「あー、お前らはぁ、貴族派、だったりするのかぁ、もしかしたらだけどよぉ。」
「一体何なんだね。」
ワルドがそれに返す。だが実際、ワルドはレコン・キスタから、皇太子ウェールズが賊に身を窶しているとの情報をすでに聞いていたため、ウェールズたちだろうと理解した。
「俺たちは貴族派に贔屓にしてもらってんだよぉ。だから、だからだ。もし、お前らが貴族派だったら、特別に温情をかけてやろう、というわけなんだがなぁ。」
ワルドがどうやって信用を得ようか考えているところ、ルイズは我慢しきれずに口を出した。

 第三話(13) ウェールズ悲哀の青春 その③

「あんな品のないド低脳な連中なんかと一緒にしないで!王党派こそアルビオンに相応しいわ!それに私はトリステイン王女、アンリエッタ姫殿下からの勅使よ!王党派に用があるんだから!丁重に扱いなさい!」
憤慨するルイズ。それに男はあきれていった。
「お前こそクサレ脳味噌なんじゃあねえのかぁ。ここで正直に言うやつなんて本当に狂ってやがるぜ。蚤と同じで、そんなのは勇気とは言わないんだぜぇ。」
そういうと、男は一度頭に確認を取ってから、ルイズとワルドを看板に連れて行った。
そこでは如何にもな風貌をした、賊の頭が立っていた。
「君たちが王党派を支持するといった阿呆かね。」
頭は声を高くして笑った。
「そうよ、何か文句ある!」
ルイズは怒りで顔が真っ赤だ。
「いいや、ないよ。それでトリステインから一体何の用事なんだい?」
「そんなことアンタなんかに言うわけないでしょ、出直しなさい!」
ルイズは相変わらずだが、そのことに対してワルドは、[それでいい、それがベスト]、と思っていた。
案の定、このあと何回かやりとりをしたあと、信用したようで、付け髭や眼帯を取り、ウェールズがその姿を現した。
「私はアルビオン王国皇太子ウェールズ・テューダーだ。分け合って賊のふりをしていた、許してくれ。」
ウェールズが頭を下げた。それに対してルイズは先程までの無礼な行動を思い出し、焦ってそれを詫びた。
そうしてアンリエッタからの任務をつげ、手紙を渡した。
手紙を渡す過程において、ルイズが不安そうにしていたので、それは風のルビーを水のルビーに近づけることによってできる虹で、何とか納得させることに成功した。
「わかった。でもその手紙は王宮に置いてきているんだ。今から向かうから一緒についてきてくれ。」
こうして一行はアルビオンに到着する。

 第三話(13) ウェールズ悲哀の青春 その④

「到着だ。アルビオンにようこそ。」
ウェールズが船を下りた。
此処は隠し港で、貴族派は利用していないらしい。
「それにしても隠し港とは凄いなぁ。」
「FF!?」
ルイズは声のするほうを振り向いた。するとFFが鼻から上が隠れるマスクをつけていた。
「いつの間に到着したのよ。それにそのマスクはどうしたの。」
いつの間にか登場したFF一行にルイズは驚きを隠せなかった。
「実はルイズ達が賊に襲われているときにこっそり乗り込んでいてね。それで様子を伺ってたら、驚きの展開で…そのまま潜んでた。」
「どうして出てこなかったのよ!まぁいいわ、ここにいる理由はわかった。じゃあそのマスクのわけは?」
「これはこの体の方の事情だ。ちょっとわけありみたいでね。」
ルイズは、どうせ盗みに入ったときに顔でも見られたんだろうと思っていた。
すると急に抱きつかれた。
「あぁぁぁぁ、僕のルイズ、大丈夫だったかい。気が気じゃなかったよ。」
マリコルヌだ。もう普通?に戻っている。
「僕は二組に分かれたときに気が付いたんだ。例え君に彼氏がいようとも、君のことが心配なことに…。」
因みにワルドは婚約者だということを言っていたが、やさぐれたマリコルヌの耳には入ってこなかったのである。
「僕は君に振り向いてもらうように前より努力するよ。だって、君の事を愛しているから。」
ルイズは真っ赤になったが、昨日の夜のことを思い出し罰が悪くなった。
「離れたまえ!彼女は僕の婚約者だ。」
「ワ、ワルド…。」
ワルドが二人を引き離した。
「こ、婚約者だってぇぇ。…だけど僕は負けない、ルイズを振り向かせてみせる!」
「ほぉ~、だが君はもうしたのかい、ルイズと。僕はしたよ。ルイズの初めては君じゃあない!このワルドだっ!」
現在この場に残っているのはルイズ、マリコルヌ、ワルドの三人である。

 第三話(13) ウェールズ悲哀の青春 その⑤

「そうなのかい、ルイズ?」
マリコルヌは不安そうに聞く。それにルイズは軽く頷く。
「そうなんだ。僕の出る幕はもうないってわけだね。」
ルイズは俯いたまま顔を上げない。
「じゃあ、僕は二人の幸せを祈っているよ…。あと…何かあったら呼んでね…いつでも力になるから…。」
マリコルヌは淋しそうな顔をしながら王宮の奥へと去っていった。
「…ワルド、何もあんなことを言わなくても…。」
「いや、ここははっきりといったほうがいい。それが彼のためでもある。これで新しい恋を捜すきっかけにでもなるだろう。」
「…うん。」
ワルドとルイズも奥へと進んでいった。

タバサは相変わらず塞ぎ込んでいる。
しかし、普段から無口な彼女だ。そうそう違いに気が付けるものじゃあない。
その変化に気が付けるキュルケはもういないのである。
そこに心此処に在らずなマリコルヌが歩いてきた。
二人ともお互いに気が付かないようだった。
そして正面衝突をして、二人はその場に倒れてしまう。
「…ごめん」
「…ごめん」
お互いに謝る。全く同じ様に。
文だけ見たら、どちらがどちらかわからない。
前者がタバサ、後者がマリコルヌである。
特に言葉を交わすこともなく、二人は反対の方向に去っていった。


to be continued…

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