ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第二話(12) アルビオン、一歩手前!

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 第二話(12) アルビオン、一歩手前! その①

「マリコルヌったらまだかしら?」
手紙奪還の命を受けたルイズとマリコルヌ。ルイズが行くのであるからFFとFF下っ端は勿論ついて行く。
だが約束の時間を過ぎてもマリコルヌが現れない。つまり遅刻だ。
嫌ならおいてってしまえばいいのであろうが、律儀にルイズはマリコルヌを待っている。
そこで漸くマリコルヌが現れた。
「ルイズ、僕のルイズ、お待たせ。」
息を切らしながら、マリコルヌが走ってやってきた。
「何やってんのよ、遅いじゃない!」
ルイズはご立腹である。でもマリコルヌは気にしない。
「今日のお昼のお弁当を作ってきたよ。クックベリーパイもあるんだ、あとで一緒に食べよう。」
「そそそ、そんなのを、ももも、持ってきたって、遅刻は遅刻よ!ゆゆゆ、許してなんかあげないんだからぁっ!」
そんなことを言いつつも、内心はヨダレズビッ!である。
しかもマリコルヌはご丁寧にFFの分まで用意してきていたのだ。
じゃあ出発視よう!というとき、後ろから吐き気を催すような嫌悪感を与えてくる声が聞こえてきた。
「僕は君のことなら(ヴェルダンデに覗かせているから)何でもわかるよ、モンモランシー。」
「やっぱり私達は運命の糸で結ばれているのね、ギーシュ。」
ルイズはなんか鬱陶しいヤツが来たと思っている。マリコルヌは、ルイズと同じ様なことをやってみたいなぁなんてことを考えている。
「あんたたちこんなところで何やってんのよ!」
ルイズが問答無用でけしかける。しかしバカップルには通じない。
「おや、君たちも旅行かい?学院をこっそり抜け出してまでする、二人の愛の旅行を邪魔しないでくれたまえ。」
「はぁ?何言ってんのよ!あんたたちなんかと一緒にしないでちょうだい!」
「もうすぐ滅びるアルビオンの諸行無常さを見に行くんだよね~、愛しのモンモランシー。」
「こんなことなかなか見れないもの。それに諸行無常さなんてない、私たちの永遠の愛を確認できるしねぇ、私のギーシュ。」
ルイズは思い出した。こいつらはアホになったんだと言うことを。こいつらには一般人の常識が通じないということを。
ルイズは空気扱いをすることに決定した。だから彼らの会話は文章にならないだろう(高確率で)。そう、永遠に、永遠に…。

 第二話(12) アルビオン、一歩手前! その②

再び出発しようとしたとき、今度は空からグリフォンに乗った男が降りてきた。
我々はこの男を知っている。この髭と、様々なSSで酷い目にあってきたことを覚えている。
「やあ、僕はワルド。グリフォン隊の隊長さ。悲惨な事件だったね。まだ、見つかってないんだろう、遺体が。」
「ワ、ワルド様…。」
ルイズは顔を紅潮させ、ぽけーっとしている。
「そんなに強張らないで。もっと気楽に、昔みたいに呼んでくれよ。」
「ワ、ワルド…?」
「そうだよそれでいいんだよ、僕のルイズ。」
このやり取りが行われている中、マリコルヌは絶望していた。
(い、一体なんなんだぁぁ!ルイズには、すでに、彼氏がいた!?なんだか死にたくなってきた…。)
終わった!マリコルヌ完!
「…そ、そういえば、ワルドはどうしてここにいるの?」
「僕はね、姫殿下に頼まれたんだよ。君たちの力になってくれってね。」
「そ、そうなの…。それはとても心強いわ。」
ルイズは真っ赤になった顔を鎮めることができない。
「ところでメンバーを紹介してもらいたいんだが。」
「そこで体育座りをしているのがマリコルヌ。あそこにいる女の人がミス・ロングビル。あの黒いのが私の使い魔のフー・ファイターズよ。」
その説明を聞いてFFは思った。
(そことかあそことか代名詞使いすぎだ、ルイズ。せめて特徴をいれようぜ特徴を。)
しかしワルドは気にしない。
「…で、あそこの二人は?」
「あそこには誰もいないし何もありません。」
「いや、でも…」
「私には見えないし関係ありません。きっとワルドは何とか症候群が発症して見えないものが見えているのよ。」
ワルドは漸くルイズの伝えたいことが伝わったようで、遂に黙った。

 第二話(12) アルビオン、一歩手前! その③

「それじゃあ、出発しよう。僕とルイズが(グリフォンの)上、君たちが下だ。」
FFとマリコルヌは馬で、ワルドとルイズ、FF下っ端はグリフォンでの移動だ。
はっきし言ってワルドはおいて行く気満々だ。
というかおいて行かれた。
ワルドはルイズが心配しだす度に、ルイズをギュッと抱きしめ耳元で囁く。
そうするとルイズは沸騰ののちに爆発し、おいてかれている二人どころではなくなってしまうのだ。
ワルド、ルイズ、FF下っ端は無事にラ・ロシェールに到着。部屋を用意していた。
一方、マリコルヌとFFは崖付近で敵の襲撃を受けていた。
「いいよなぁ、どうせ僕なんて…」
出発の時の出来事を未だに引きずっているマリコルヌ。はっきり言って戦力外だ。
FFも流石にこんな大人数相手では分が悪い。
だが、気が付いたらいつの間にか戦闘は終わっていた。
何故か。それは突然現れたタバサによる不意打ちの賜物であった。
空から降り注ぐウィンディ・アイシクル。しかも降り注いでくるまで気が付かなかった賊たち。
タバサは完全に相手から気がつかれない様に周到に準備し、実行したのだ。
「…大丈夫?」
「ああ、助かった。ありがとう。」
結局二人はシルフィードに乗せてもらい移動することになった。
さっきの戦闘で馬が逃げてしまったからだ。
「もう、パーフェクトもハーモニーも存在しないんだ。」
マリコルヌは当分立ち直れそうにない。
こうして三人と一匹はラ・ロシェールに向かった。

 第二話(12) アルビオン、一歩手前! その④

早朝、タバサは出かける準備をしているルイズ達を見つけた。
タバサは思いつめていた、親友のキュルケが亡くなったことに。そして塞ぎ込んでいた。
そこで先程のこと見て、タバサは考えた。
きっとキュルケだったら、なにかあるだろうとふんで、ルイズを心配して、追いかけていくだろう。
もちろん私もみちづれだ。きっと彼女は今も心配しているであろう。
もし、遺言が聞ける状態であったのであれば、彼女は私にルイズを任せるだろう。
だから、せめて彼女の変わりに私がルイズを守ってあげよう。
ルイズのことはよくわからないが、キュルケと仲が良かったのだから悪い人物ではないだろう。
キュルケを捜すと言った時だって、なんだかんだ言って手伝ってくれたのだから。
そうしてタバサは一行のあとをつけたのだ。

タバサはラ・ロシェールに向かいながら、思っていた。
今助けたのは、ルイズの使い魔のFFだが、その肉体はキュルケを殺した憎きフーケのものなのだと。
FFに恨みはないし、フーケももう死んでいる。
しかしFFにあたるのはお門違いだが、見ていてイライラしてしまう。
このまま見続けていれば、殺してしまうかもしれないと思い、タバサは目をいつものように本に移した。
但し、いつものように本の内容が頭に入ってくることはないのであるが…。

結局、タバサは本を一ページもめくらないまま、ラ・ロシェールに着いた。
宿はマリコルヌの使い魔、クヴァーシルがルイズ達と行動を供にしていたのでわかったのだ。
因みに予定外のタバサの分は部屋が取れておらず、同じ女性と言う理由でFFと同室にされた。
他の部屋割りはワルド・ルイズ、マリコルヌ・FF下っ端である。
タバサは食事もろくにとらずにベッドに直行して睡眠に走った。
翌朝目が覚めたらキュルケが生きていて、おはようと声をかけてくれたらいいな、と夢想しながら、タバサは次第に眠りへと堕ちていくのであった。

 第二話(12) アルビオン、一歩手前! その⑤

同じ頃、食堂ではマリコルヌがやさぐれていた。
「太陽なんて、穢してやる。」
一方のルイズはというと…。
「ほら、ルイズあーんして。」
「そ、そんな…はずかしいわ、ワルド…あーん。」
この場の雰囲気にいたたまれなくなったFFは、何とかしようと考え、その実行のために、腹は立つがギーシュ・モンモランシーのバカップルのところに行った。
何故か二人も同じ宿に泊まっていたのだ。お約束だ。

数時間後、ワルドは部屋でルイズにプロポーズをしていた。
しかしルイズは一瞬マリコルヌが脳裏に浮かび、戸惑ってしまう。
しかしそこにワルドが間髪いれずに言う。
「そんな一瞬浮かんでくる程度の者なんて、一時の過ちさ、僕のルイズ。僕に総てを委ねてくれ。」
急に抱きつかれてマリコルヌのことが頭の片隅に追いやられてしまった。
するとワルドの体重がルイズにかかり、ベッドに押し倒されてしまう。
(あぁ、私、これから…)
ルイズは上記のように考えていた。
(なんだか…頭が…ぼぉっと…)
ここでルイズの記憶は途切れる。

そのころFFは、腹は立ったが苦労の甲斐があったと、ため息をついていた。


to be continued…

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