ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は手に入れたい-27

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匿名ユーザー

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「ちょっと!何しようとしてんのよ!」
猫の尻尾を掴み持ち上げようとすると近くにいたルイズが慌てた様子で私の腕を掴んできた。
邪魔するなよ。
「何って、振り回して投げ飛ばす」
当然だろう。
私の食事を台無しにされたんだ。
私は生きているんだから、当然腹が減るに決まっている。
そして今、私は腹が減っているんだ。ありつけると思っていた食事を台無しにされたら誰だって腹が立つはずだ。
「ダメよそんなことしたら!」
ルイズは私の手を無理やり猫の尻尾から引き剥がし、猫を胸に抱きかかえる。
「あの、私もそれは可哀想だと思います」
シエスタも猫の尻尾振り回し作戦は反対らしい。
考えてみれば当然か。猫は有名な愛玩動物だ。
そんな動物の尻尾を振りまして投げるなんて反対されるに決まってるか。
「じゃあ遠くに投げ飛ばす」
「それもダメ」
「ダメだと思います」
「蹴り飛ばす」
「ダメ」
「ダメですね」
「蹴り殺す」
「なんで酷くなってるのよ!」
「殺すのはいけません!」
「冗談だ」
ちっ!
どれもこれもダメダメダメ!どうしたらいいんだクソっ!
夕食まで我慢しろというのか!この苛立ちをどう抑えたらいい!
幽霊のときはやりたい放題だったのに。
「ヨシカゲさん」
そう思っているとシエスタが話しかけてくる。
シエスタのほうを向くとサンドイッチをこちらに差し出してきていた。
「なんだ、交換しなくてもいいと言った筈だが」
「はい、言いました。だから、だったら私のお弁当を分けてあげればいいと考えたんです。これなら交換じゃありませんし、私もヨシカゲさんも食べることができます」
「シエスタ……」
ありがたい。シエスタにキスの一つでもしたい気分だ。
それにしてもやっぱり親しくしとけば何かといいことがあるな。今それをつくづくと感じるね。
シエスタは弁当のふたに自分のサンドイッチを半分移動させる。
「はい、どうぞ」
そしてそれを私に差し出してくる。
「ありがとう」
私はそれをちゃんと両手で受け取った。
量は少し足りないが文句は言わない。仕方ないことだ。1人前の半分だからな。
これで文句を言ったらこれまで築いてきた関係が崩れるだろう。
そしてシエスタやルイズのようにその場に座る。形としては、私の前にルイズとシエスタがいる、つまり三角形になっている。
影の中に入っているから必然的に距離は近い。どうでもいいけどな。
「ヨシカゲ」
早速サンドイッチを食べようとするとルイズに呼び止められる。
なんだ一体?
「その、ほら!わたしのも食べていいわよ。このサンドイッチわたしにはちょっと量が多いみたいだし。残しちゃ悪いから」
ルイズはそう言いながらサンドイッチを差し出してきた。
「あ、ありがとう」
礼を言いながらそれを受け取る。
最近ルイズが何を考えているのかわかりづらくなってきたな。
こんなことされるなんて思ってもみなかったし。
しかしルイズが何か私に有利なことをするとどうしても疑ってしまう。
前は犬の糞並に厄介な性格だったからな。
っと、考えるのはこのくらいにして食べるとするか。
サンドイッチを一つ手に取り口に運ぶ。うん、これはうまい。見た目よりもおいしい。
「これすごくおいしい」
ルイズもそう思ったのか素直にそう言う。
「そう言ってもらえると、作った甲斐があります。ヨシカゲさんはどうです?おいしいですか?」
「ああ、うまい」
「えへへ、どんどん食べてくださいね」
シエスタは頬をうっすら赤くして微笑んだ。
作ったと言っていたから、このサンドイッチは自分で作ったものなのだろう。
それが褒められれば嬉しいのは当然だな。
3人と1匹で集まって食事をする。こういったのもたまには悪くないな。
そう思っているとふと手の先が気になった。よくはわからない。ただ自分の手の先が気になっただけだ。
自分の手の先、つまり指を見る。いや違う。指の先が気になるのだ。指の先といえば……爪。
爪を見る。爪が大分伸びていた。最近爪が伸びるのがやけに速いな。この前からそうだ。
しかし気にする必要も無いだろう。そういった体質というだけだ。
爪が気になったのは伸びるのが速いのを無自覚に感じとったからだろう。
そう思いながらサンドイッチをまた一口齧った。


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