ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

DIOが使い魔!?-19

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匿名ユーザー

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クラスメイト達は、『ゼロ』が錬金の魔法を行うと知ると、いっせいに机の下に潜り始めた。
皆、これから何が起きるのか、経験から分かっているのだ。
しかし、近年ルイズの魔力は上がる一方である。
そのたびに規模が拡大してゆくルイズの失敗魔法に、生徒達は自分たちが非難する石造りの机に頼りなさを感じ始めていた。
マリコルヌもその1人であった。
彼はルイズが立ち上がるのとほぼ同時に、真っ先に机の下に避難した人間だった。
我も我もと自分の机に潜り込んで来るクラスメイト達をうっとおしく思いながらも、これから起こるショウタイムに期待と、ほんのちょっぴりの不安を感じていた。
ふと目線をあげてみると、ルイズの呼び出した使い魔の平民が、依然変わらず本を読んでいた。
"こいつ、さては知らないな"と思いながら、マリコルヌはその男を冷やかした。

「おい、平民!そんなところに突っ立ってていいのか?ケガするぞ?」
男はマリコルヌに視線を向けた。
血のように真っ赤な目がマリコルヌを捉えた。
内心の怯えを誤魔化すように、マリコルヌは続けた。

「お生憎様だけど、この机は貴族様専用なんだ。使い魔はおとなしくそこで吹き飛んでな」
男は何も答えなかった。

男はチラとルイズに目をやった。
そこではルイズが真剣な…実に真剣な顔でこれでもかと石に魔力を込めていた。
今から避難しようとしても間に合わないだろう。
男はやれやれとかぶりを振ると、マリコルヌに言った。

「そうだな。そんな所にいたら……ケガをするのは当たり前だな」


―――机の下から響いた男の声に、マリコルヌはギョッとした。
男は、さっきまで自分が潜り込んでいた場所から
皮肉気な笑みをこちらに向けていた。
ふと気がつくと、自分はついさっきまで男が立っていた場所に棒立ちしていた。

「え!? …………………
…………オレ?」
わけのわからぬ現象に頭がついていかないマリコルヌを置き去りに、次の瞬間ルイズが思いっきり杖を振った。

想像を絶する大爆発が起こり、教壇の上にあった石が全て粉微塵になった。
そして、生徒の方に扇状に爆散していった。
散弾銃のように。
細かな粒状になったそれらは、ビシビシと音を立てながら、生徒の机にめり込んでいった。
当たったらただでは済むまい。
他の生徒達は机の下に避難していたが、1人棒立ちしてしたマリコルヌは、その散弾をモロに受けた。
全身に細かな石粒をめり込ませて、マリコルヌはドザッと倒れた。

「た…………立っていたのは……オレだったァ…
今その机の下にいたのにィ~~~」
思い出したように、全身から血が吹き出してきた。
割と重傷だった。
そんなマリコルヌを無視して、DIOは己の手を見つめながら不思議そうにそれを握りしめた。
試す必要があるな、とDIOがそう言った。


一方ルイズは、呪文を唱えた瞬間に飛び込んだ教壇の下から、ヒョッコリ顔を出した。
側を見ればシュヴルーズが転がっていた。
気絶はしているものの、傷は軽そうだった。
ルイズはチッと舌打ちした。
どうしてこういう奴に限って、変に運がいいんだろうか……ルイズは世の無常を儚んだ。
感傷もそこそこに、ルイズはすくっと立ち上がると、プリーツスカートについた埃を払い、シュヴルーズの方に近づいていった。
さっき『ゼロ』と呼ばれたことに対する憂さは晴らしたが、
シュヴルーズに対する怒りはまだだった。

こいつは、自分が失敗することを見越して、私を指名したのだと、ホントかどうかは定かではないが、『ゼロ』ネタでからかわれて、頭に血が上っているルイズはとにかくそう決めつけていた。
そして、その状況ではそれが全てだった。

ルイズは無表情でシュヴルーズを1回蹴りつけた。
ゴロンとシュヴルーズが転がった。
ゴム鞠みたいに転がるシュヴルーズを見て、ルイズはニヤっと笑った。
ゲシゲシと無言でシュヴルーズを蹴り回した。

(アンタが悪いのよ!(ドゴッ)
私を怒らせたアンタがッ!(ドガッ)
思い知れ!(ガッ)
どうだ!(ガッ)
思い知れ!(ドガッ)
どうだ!(ゲシ)
どうだぁ!(ボグッ))
夢中になって蹴り回すルイズだったが、机の下から這い出てくる生徒が1人1人増えていくのを視界の端に捉え、
ルイズはピタリと蹴るのを止めた。
ルイズは切り替えのうまい女だった。
生徒が全員這い出てきたのを確認したルイズは、ケガ人が出なかったことを知ると、再びチッと舌打ちした……心の中で。
ルイズは切り替えのうまい女だった。
だが、机が陰になっていたので、地面でピクピク痙攣しているマリコルヌには、さすがのルイズも気づかなかった。
そして、何事もなかったかのように言った。

「ちょっと失敗したみたいね」
誰も、何も答えなかった。
無言の沈黙を受け流し、ルイズはとても爽やかな表情で自分の席に着席した。
隣の生徒がビクと震えた。

その有様を見て、DIOはどうしてルイズが『ゼロ』と呼ばれているのかを朧気ながらに理解した。
マリコルヌの痙攣が、段々弱くなっていった。


ルイズ……無傷。
DIO……無傷。
キュルケ……無傷。
タバサ……無傷。
マリコルヌ……重傷、早退。
シュヴルーズ……五時間気絶。(爆発で二時間。ルイズの蹴りで三時間。)

to be continued……


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