ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

第九話 秘書ロングビルの秘密

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 第九話 秘書ロングビルの秘密 その①

硬いものと硬いものとがぶつかり合う轟音。それに気付いたのはルイズである。
他の先生・生徒は、またゼロかよ、と思い放置プレイ状態だった。
ルイズはフー・ファイターズを引きつれ、音のするほうに向かっていく。
するとそこでは、宝物庫の壁を殴っているゴーレムが見える。
貴族の誇りを大切にするルイズは、躊躇なく魔法を唱える。魔法学院が賊などに嘗められては屈辱だからだ。
それに続いてフー・ファーターズがFF弾を飛ばしていく。それはルイズが望んでいるからだろう。無意識に体が動いた。
ルイズの攻撃はもちろん失敗、爆発である。しかも外れていろんなところにあたる。
あろうことか宝物庫の壁に皹を入れてしまうなど、本当に最悪である。
FF弾にいたっては、相手が土を基としていることから吸収されてしまう。
「なんなのよ、あのゴーレムは!いったいどこの賊よ!!」
まったく命中しない上に、宝物庫の壁まで完全に破壊されて憤慨するルイズ。
賊はもう、撤退の準備に取り掛かっている。
そのことは更にルイズを怒らせる。もう見境なしに魔法を放つ。
フー・ファイターズはとりあえず本体を集中して狙う。
滅多打ちが功をせいしたのか、爆発が賊の肩のあたりを吹っ飛ばす。
「やったわ!あんたはもうおしまいよっ!!フー・ファイターズ、あいつを落とし…て…!?」
先ほどの爆発でフードが落ちたようで、フードに隠されていた顔が曝け出される。
「………」
しかし、賊は何の言葉も発さずに向き直る。


 第九話 秘書ロングビルの秘密 その②

その顔はルイズが知っている顔だった。
風を最強と謳い、生徒に嫌われているその人物。
「…あなた、ミスタ・ギトーね。ど、どうして!?」
驚いて止まっているルイズを無視し、去っていくゴーレムとギトー。
FF弾は結局ゴーレムに弾かれる。
ルイズとフー・ファイターズは攻撃を再開させるが、ゴーレムはどんどん遠ざかっていく。
ルイズはゴーレムを追いかけようとしたが、微かに声が聞こえてくるのに気が付く。
「…う…うう…た…すけ……て。」
ルイズが声のする場所に向かってみると、そこには負傷しているロングビルの姿があった。
「大丈夫ですか、ミス・ロングビル!いったいどうなされたんですか!?」
「ミ…スタ・…ギト……に呼び出…され…」
「ちょっと待ってて下さいっ!!オールド・オスマンを呼んできますっ!!!」
ルイズはオールド・オスマンを呼びに行った。


その後の学院長室。目撃者であるルイズと教職員達が呼び出されている。
「ミス・ロングビルとミス・ヴァリエールからことの次第は聞いたわい。」
オールド・オスマンが厳正な口で話し始める。
「残念なことに巷を騒がせていると言う土くれのフーケに宝物庫が襲われてしまったようじゃ。それによって破壊の杖が奪われ、更にはミス・ロングビルが負傷してしまってのう。
これは非常にやっかいなことになってしまった。王宮にも報告しなくてはならん。
じゃが、報告にはまだ少し時間がある。そこでじゃ、急遽、捜索隊を編成する!
タイムリミットは明日の昼まで!昼まで報告は待とう!最悪、破壊の杖は取り返してほしい。
わしのミス・ロングビルに傷つけるとは許せんし、直々にとっちめてやりたいところじゃが…生憎役職上ちょっときつくてのう。
というわけで志願者は杖をあげてくれんかの。」
オールド・オスマンが呼びかける。勿論教師陣は杖をあげず、ルイズが志願するのだが…


 第九話 秘書ロングビルの秘密 その③

なぜかルイズの志願を確認して、シュヴルーズが発言する。
「オールド・オスマン、ある人物を捜索隊に推薦したいのですが宜しいでしょうか?」
「ふむ、誰じゃ。いってみい。」
「ミスタ・グランドプレです。彼なら任務を遂行し、ミス・ヴァリエールを守ってくれると思います。」
「ふむ、あのお坊ちゃんか。特に秀でているという話は聞かんが…ミセス・シュヴルーズがそこまで信頼しているのならば、彼が了解し次第捜索隊に加える。」
オールド・オスマンが許可し、シュヴルーズがガッツポーズをしている中、ルイズはげっそりとしていた。
「あ、あいつがくるの…」

ルイズにフー・ファイターズ、マリコルヌにロングビル。捜索隊のメンバーが出発する。
ロングビルは、フーケが向かう場所を襲われる前に聞いていたそうで、治療を受けての捜索隊参加となった。
「まさかフーケの正体がミスタ・ギトーだったなんてねー。でも君に怪我がなくてよかったよ。」
「あああ、当たり前じゃない!わわわ、私が賊なんかに怪我するわけないでしょ!それよりミス・ロングビル、お怪我は大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫よ。(自分で自分を傷つけるのはとても)骨が折れましたけどね。私もミスタ・ギトーに呼び出されて仲間にならないかなんて言われたときは驚きました。」
「でも、そのあとで返事もしてないのに隠れ家を教えるなんて間抜けよね。女の魅力って恐ろしいわ。」
「僕もルイズの魅力で骨抜きだけどね。」
「あああ、あんたはちょっとだまってさいぃっ!!!」
そんなこんなでフーケの隠れ家に向かう平行世界上で最も弱い捜索隊。


 第九話 秘書ロングビルの秘密 その④

そうして到着する御一行。隠れ家を発見し、マリコリヌがディテクトマジックで中を確認する。
特に気配は感じられないようだ。マリコルヌとフー・ファイターズが中に入ることになった。
「隠れ家に入る前に聞いてほしいんだ。君に相応しい呪文をこの間見つけて、赫々然々で…」
「へ、へぇ~、ああ、ありがとう。ととと、特別にあとで使ってあげるわ。」
中に入る二人。簡単に見つかり、マリコルヌが破壊の杖を持って帰ってくる。
「やあ、僕のルイズお待たせ。じゃあ、帰ろうか。」
マリコルヌがそうきりだしたが、フー・ファイターズが異変に気付く。
「ミス・ロングビルがいないようだが?」
「ミス・ロングビルなら偵察の為に森の中に入って行ったわ。」
「そうか。」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ…
何か轟音とともに土が隆起してくる。そして一体の巨大なゴーレムが姿を現す。
その肩の上にはギトーの姿がある。
「ミ、ミスタ・ギトー!いや、土くれのフーケっ!!!」
マリコルヌが真っ先に気付き、先制攻撃をしかける。
「くらえ!愛の最終奥儀!かぜっぴき特製くしゃみ!!!(エアカッター)」
マリコルヌの魔法が命中する。しかし、マリコルヌは雑魚中の雑魚。
どんなに愛の力が強くても、トライアングルクラスのフーケに適うはずはない。
「くそう、これまでか。あとは僕のルイズの愛の魔法に期待するしかないのか…」
早くもマリコルヌは精神的にリタイア!!!


 第九話 秘書ロングビルの秘密 その⑤

「いきなさいっ、フー・ファイターズ。フーケの本体を狙うのよ!」
言われなくてもわかっているフー・ファイターズだが、黙って従う。
「フーフォアアアアァァァァーーー!!!!」
ギトーに向かって発射されるFF弾。全弾命中したはずなのにギトーはビクともしない。
「ま、まさか不死身なの!?」
ルイズは驚きを隠せないが魔法を乱発していく。勿論爆発だが。
爆発がゴーレムに命中するが、崩れても崩れても何度も再生される。
ふとそこでルイズは思い出した。マリコルヌの言っていた魔法を。
それはマリコルヌが言うには、状況によって起こることが変わるという魔法らしい。
(なんかインチキくさいわね。)
とルイズは思ったが、この際仕方ないので使うことにした。

「ムル・ムル・ムルモ・デ・ポン。」
ルイズは呪文を唱えた。そして…
爆発した。
験しにまたやってみたが爆発した。
三度目の正直も爆発した。
結局爆発しかしないので、コモンマジックに戻すルイズ。
「はぁ、所詮かぜっぴき情報だったわ。少しでも期待した私が馬鹿だった…。」
すると近くの茂みで人が倒れた音がした。
先ほどの呪文でルイズが誤爆した茂みからだ。
その倒れた人物はミス・ロングビルだった。


 第九話 秘書ロングビルの秘密 その⑥

「ミ、ミス・ロングビル!?どうしよう、私、仲間を攻撃してしまうなんて…」
「大丈夫だよ、僕のルイズ。土くれの所為にしよう。」
「ミス・ロングビル、だ、大丈夫ですか?」
マリコルヌを完全に無視してロングビルに近寄るルイズ。
まだ息をしているようで死んではいないようだった。
「ほっ。」
ルイズは仲間を殺害せずにすんだという安堵のため息をつく。
その安堵のため息と同時に何かが崩れていく音がする。
「ゴーレムが…僕たちを襲っていたゴーレムが崩れていくよぉ。」
マリコルヌのその声でルイズは何が起こったのかを理解する。
今までルイズたちを襲っていたフーケのゴーレムが崩れていているのだった。
「ミ、ミスタ・ギトーも…く、崩れているぞ!」
マリコルヌの指摘でその異常に気付くルイズ。
そして自分の足元で気絶しているロングビルに気付く。
(杖を…持っている!もしかしてロングビルが…)
「フー・ファイターズゥーーッ!縄を、縄を持ってきなさいっ!土くれのフーケの正体は…ミス・ロングビルよッ!」
フー・ファイーターズは以心伝心で行動している。
なんかもう使い魔らしくなっている。
マリコルヌだけ置いてけぼりである。放置プレイだッ!


 第九話 秘書ロングビルの秘密 その⑦

縄で縛られたロングビルこと土くれのフーケ。
縛られていくロングビルを見て、マリコルヌは、
(僕もルイズにだったら縛られたいな…)
なんて思っていたりする。
馬車に担ぎ込み、マリコルヌが馬車を運転する。
「まさか、ミス・ロングビルがフーケだったなんてねぇ。」
「意外!それはロングビルってやつだな。」
「あのー…」
「それじゃあミスタ・ギトーはどうしたのかしら?」
「恐らくあの状況だと、監禁よりも始末されている可能性のが高いだろう。」
「えーっと…」
「そう、嫌な奴だったけど、なんかかわいそうね。」
マリコルヌはルイズに無視されている。
しかし当のマリコルヌは
(それもなんだか悪くないな。)
とも思い始めていたりする。
そこで、その空気を引き裂くように笑い声が木霊する。


「フフフフ、ハハハフハ、ハーッハハハハハハハ!」
ロングビルだ。
「ミス・ロングビル、あなたがフーケだってことはわかってるわ。杖も奪ってあるし…諦めなさい!」
「ウフフフフ。杖、杖って言ったわね。確かに杖は…『魔法』…を使うには、必要よね。…そう、とっても必要よ。」
「な、何を…言っているのかわからないわ、ミス・ロングビル…」
「魔法は使えば使うほど限界が見えてくるわ。さっきみたいに『不意打ち』…なんかにも弱いしね。」
「だ、黙りなさい!土くれのフーケッ!!」
「私は、新たな段階に突入したわ…。私は選ばれたものなのよッ!杖なんてもう必要ないッ…」
「黙りなさいというのがわからないのッ!!!あんたはもうおしまいなのよッ!気でも違ったの!?」
「…いいえ、黙らないわ。そしておしまいなのは……貴女達のほう。」
「ルイズゥゥゥーーー!馬車から降りろォォォーーーッ!!!」
フー・ファイターズの声が響きわたり、馬車から飛び降りた直後、馬車は…
地 面 に 食 べ ら れ て し ま っ た 。

to be continued…

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