ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

使い魔は手に入れたい-7

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匿名ユーザー

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「シエスタ」
「はい?」
「細長い紐って持ってないか?ある程度長さがあればいいんだ。もしあったらくれると助かるんだが」
唐突にそうシエスタに話しかける。
「わかりました。少し待っていてくださいね」
シエスタは当然のことで目をパチクリさせていたがすぐに笑顔で答えると部屋を出て行った。便利だ。
何故突然紐を欲したかというと暇対策のためだ。
それとシエスタを追い出すためでもある。いい加減五月蠅かったしな。どうでもいいことをよくあんなに喋れるな。
さて、このうちに服でも着替えるか。服を脱ぎ捨てパンツだけになる。
昨日ルイズが持ってきた服に手を掛ける。そのとき、
「ヨシカゲー。調子は……」
ドアを開けルイズが入ってきた。しかし凍ったかのように動きを止める。
『ザ・ワールド!ルイズはとまる』
私とルイズは暫らく見つめあった後が、ルイズが勢いよくドアを閉め去っていくことで膠着は途切れた。
あれか?パンツ一丁だったからか?
別に局所は隠れているんだから問題なんか無いだろうに。
そんなことを思いながら服を着る。あれ?帽子と手袋が無いな?すっかり忘れてた。
後でルイズに言っておくか。
そしてまた扉が開く。シエスタだった。
「これぐらいの長さで良いですか?」
シエスタはそういって私に紐を渡してくる。ふむ、丁度いいだろう。
「そういえば今日は貴族の授業が全部お休みなったみたいですよ」
シエスタは突然そんなことを言ってきた。
「休み?今日は虚無の曜日じゃないだろ?」
なのに休みだなんてなにかあ……あああああああああああ!
心当たりあるじゃねえか!
「なんでも生徒と先生が一人いなくなったらしいんですけど」
「らしいけど?」
「ただいなくなっただけじゃないそうなんです」
「ど、どういうことだ?」
内心焦りながら聞いてみる。
「2箇所大量の血溜まりができていたらしくて一つはいなくなった先生の見回りルートの一つだったらしいです。
そんなこと普通じゃないってことで今学院全部の先生がいなくなった人を探しているそうです」
絶対関係ある。あの手首絶対関係あるよ!
やばい!もし魔法で犯人がわかるとしたら相当やばい!
あ、でも魔法でわかるならもうとっくにわかってるか。安心した。
「怖いですよね」
「そうだな」
それでも油断は禁物だ。怪しまれないように心がけなければならない。
どうしてこう落ち着けることがないかな。
「でも明日はちゃんと授業するみたいですよ」
「へえ、しかしそういった情報は何処から手に入れてくるんだ?」
「厨房にはこういった情報が逐一入ってくるんですよ。平民の情報網ですね」
きっと立ち聞きしたのを平民同士で教えあっているんだろう。
生徒や教師はそこらへんに平民がいても構わず喋ってる奴が多いからな。
「それで聞きたいことがあるんですけど」
「うん?」
「その紐をどうするんですか?」
「ああこれか」
そういって紐を輪になるように結ぶ。
「暇つぶしだ」
シエスタにそう言うと紐を両手の親指と小指に引っ掛ける。
それを右手の中指で左手にかけてある紐をとり左も同じようにする。
そしてそれを引っ掛けたり取り外したり覚えている限りでやっていく。
シエスタはそれをきょとんとしながら見てくる。
最後に小指を外して、と。
手を広げる。これで4段梯子の完成だ。
「なんだかよくわかりませんでしたけど凄いですね。それは何なんですか?」
「あやとりっていってな。私の国の遊びの一つだ。紐があればできる簡単な遊びだ、一人でも遊べるが二人でも遊べる」
「へえ~」
「それに指先を動かしたり物を立体的に考えないといけないから脳が活発に働くんだ。ボケ防止や脳の老化防止にもいいといわれてる」
そういって今度は箒を作る。
「難しそうですね」
「覚えれば簡単だ。続けていれば指先も器用になる」
初めてやったときは本当にただの暇つぶしだったけどな。これが結構難しい。
それで少し自棄になって覚えたからな。それにやってると集中するからほかの事を考えなくて済むし暇つぶしにもなる。いいものだ。
「その、あやとりって二人でもできるんですよね」
シエスタが不意にそんなことを聞いてくる。
「ああ」
「あ、あの私にも教えてもらえませんか?」
「へ?」
「ダ、ダメですか?」
「いや別にいいけど」
なんでこうなるんだ?厄介だな。
あ~あ、なんで教えるなんて言っちゃったんだろうなー。面倒くせー。
でもここで断ったら印象悪くなるな。シエスタを便利に使えなくなるだろうし。
ここは我慢だ。
そう思い綾取りの基本的な形を作る。
「じゃあこれから私の言う通りにしてくれ。まずこの紐に指を引っ掛けるんだ」
「はい!」
シエスタが嬉しそうな顔で返事をする。
私とシエスタのあやとり教室が幕を開けた。


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