ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

DIOが使い魔!?-16

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匿名ユーザー

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次の日、ルイズは部屋に溢れる陽光の刺激で目を覚ました。
床で寝たせいか、体のあちこちが痛かった。
カーテンは閉めてあったものの、ルイズは部屋に溢れる穏やかな陽光が無性に気に喰わなかった。先にあの使い魔が起きて、カーテンを閉めたようだ。
だが……先に起きたのなら、何故主人である私を起こさないのか。
ルイズはムクリと起き上がり、辺りを見回し、命令不履行のムカつく使い魔を探した。
いた。
優雅に横になって本を読んでいる………私のベッドで。
異常に分厚い本だった。タイトルがチラと見えた。
『おかあさんがいない―――オコォース・アディサァ著』というタイトルだった。子供向けの本なのだろうが、タイトルが少々おかしい気もする。
その脇の机にはワインボトルが置かれていた。
グラスに注がれた液体がユラリと揺れる。
ベッドはもちろんルイズの物だったし、ワインに至っては、彼女がこれまで大切に大切にとってきた上物の逸品だった。
それにその本、どこから持ってきた。
ルイズは身なりを正して叫んだ。

「あああ、アンタ…!!つつつ使い魔のぶ、分際で…!!」

ルイズには怒り狂うと、どもる癖がある。
つまり、どういうことかというと、ルイズは怒り狂っていた。
杖を取り出して、ルイズはDIOに向けた。
般若の形相のルイズはそれはそれは恐ろしいものだったが、DIOはそれをチラとも見ずに、本を読み続けている。
ズカズカとルイズが近づくにつれて、視界の脇に、小さな山が映った。
横になっていたから分からなかったが、ベッドの 側にはこれでもかとばかりに様々な物がうず高く積み上げられていた。
金銀財宝、剣に絵画に壷に本に皿に甲冑に……etc.
石像までデンと置いてあった。
ルイズは目の前が真っ白になった。
ふらふらと後ずさる。

「んな、なななな…何よこれ!?どこから盗ってきたのよ!?」
「学院長室……だったかな。そこの下にある部屋だよ」

DIOは何でもない事のように答えた。
―――バカやろう、そこは宝物庫だ…!!
ルイズは思った。
トリステインの、幾人もの一流のスクウェア・メイジたちが力を合わせて『固定化』の魔法をかけ、一流の教師たちが管理しているはずの、我がトリステイン魔術学院が誇る宝物庫が………。
ルイズは驚くと同時に、恐怖した。
この使い魔に出来ないことなど、ないのではないだろうか。

言葉に詰まって、分けの分からぬうめき声を上げるルイズ。
そんなルイズを尻目に、DIOは続けた。

「図書室にも行ってみたんだが……生憎と文字が分からなくてね。」

言葉は分かるのだが、とそういうDIOだが、ルイズは全く聞いていなかった。
どうしようどうしようと、頭を抱えていた。

「それで、学院長室の下の部屋を覗いてみたんだ。
些か骨が折れたがね……そこで、この本を見つけたんだ。この本の文字は私にも読めるものだ」

あの堅固な封印を、その程度で済ますか…! ルイズはDIOをキッと睨んだ。
が、DIOはどこ吹く風だ。
暖簾に腕押し、ぬかに釘、キュルケに慎み…そんな言葉がルイズの頭に浮かんだ。

「心配するな。ドアはキチンと閉めて来たさ」どうでもよかった。
「それよりも『マスター』、この本は実に興味深いぞ」
さらにどうでもよかったが、エラくお気に召したのか、DIOは本の内容を指でなぞりながら朗読しだした。
形のよい唇が、聞く人を引き込むような声を紡ぎだし、ルイズは思わず耳を傾けた。

「チョコランタンで……ヘンテコピーマン……飛んで……」

ゾワッと、ルイズは鳥肌が立った。
なんだあの言葉は。

なんだ……あの言葉は。まるで一言一言が意味を持っているかのようだった。
なにかの呪文なのだろうか。
ルイズはそこまで考えて、その本が宝物庫にあった事を思い出した。
古今東西、あらゆる秘宝財宝を安置しているというトリステインの宝物庫 だが、中には余りに危険だからこそ、宝物庫に封印されてしまったいわくつきの代物もあると聞いたことがあった。
まさかあれは、その手の類の禁書なのではなかろうか。
ルイズはハッとして、DIOから本を取り上げた。
不思議なことに、その本はルイズでも読むことが出来た。
『地獄門のなかには…』そんなフレーズが目に入り、ルイズは慌てて本を閉じた。
この本は、危険だ。
ルイズは心で理解した。突然本を奪われて、肩をすくめるDIOに言った。

「これは読んじゃダメよ。返しておきなさい。本なら後でいくらでも都合してあげるから」
「『マスター』………」
「ダ メ よ!」
ルイズが力を込めて叫んだ瞬間、ルイズの魔力が再びDIOに流れた。
昨夜よりは流れる量が少なかったので、倒れることはなかったが、ルイズはその吸い取られるような感覚にフラついた。
DIOの左手の甲のルーンがぼぅっと光った。

うむ、とDIOは苦しそうに一言うなった。
その光が収まった後、DIOは渋々…本当に渋々といった感じのため息をついた。

「分かったよ……『マスター』、君の意見を尊重しようじゃあないか」
そう言って、DIOは本を受け取って、部屋を出ていった。
どうやら諦めてくれたようだ。
ホッと一息つくとともに、ルイズはさっきの現象を思い出した。
昨夜も、そんなことがあった気がする…よく覚えていないけど。
考え続けた挙げ句、ルイズは一つの可能性に行き着いた。
………魔力を流せば、DIOに言うことを聞かせられる、ということなのだろうか…?

「………フ、フフフ…」
そこまで思い立ったルイズは、1人ニヤリと黒い笑顔を作った。

「……フフフフハフハフハフハハハ
ハハハハハハハハハハハハハハーー!!!!」

ルイズの高笑いが、いつまでも部屋の中に響いていた。
ベッドの側にある小山の処理のことなど、もはや彼女の頭にはなかった。
数分笑ってから、後悔した。

to be continued……


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