ゼロの奇妙な使い魔 まとめ

ラ・ロシェールにて-5

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別にキュルケはギーシュは取り立てて仲がよかったわけではなかった。ただの同級生だった。
だが本当に短い間だがギーシュと共に行動し、喋り、笑いあった仲なのだ。だがそのギーシは敵のゴーレムに押しつぶされた。
キュルケにとってその短い時間だけでも情が移るのは十分だった。
だからキュルケにはギーシュを殺した敵を許せるはずが無かった。
「こんのぉぉおおおおおおお!」
キュルケが呪文を唱え杖を振るう。すると杖から炎が伸び、ゴーレムを火炎が包み込む。
しかしゴーレムはそれを意に介した様子もなく拳を振り上げキュルケたちに向かって振り下ろす。
キュルケはそれを跳びさすって何とかかわす。拳の風圧がキュルケの髪を揺らす。
その瞬簡タバサが狙い済ましたかのようにゴーレムの肩に乗る敵へウインド・ブレイクを放つ。
しかし敵はそれをあらかじめ読んでいたかのようにゴーレムの体勢を変えさせ自分に当たらないように調整する。
ウインド・ブレイクは敵にこそ当たらなかったもののゴーレムに当たる。しかしゴーレムはそんなことでは揺るぎもしなかった。
だがキュルケがその隙を狙いフレイム・ボールを敵に向かって放った。タバサに注意が向いている今これが絶好のチャンスなのだ。
しかしフレイム・ボール敵に当たる直前にゴーレムの腕に当たり防がれてしまう。
「どうなってるのよ!」
キュルケはそう叫びながらゴーレムと距離をとる。
敵はまるでこちらの攻撃がそこに来るとわかっているとしか思えないほど正確に攻撃を防ぐのだ。
タバサの攻撃を防いだのはこちらが二人だから攻撃していないもう一人を警戒していたのだと思えば説明がつく。
しかしさっきの攻撃は明らかに不意打ちになっていたはずだ。それを防がれるなんて予知していたとしか思えない。
そのときキュルケは重大なことに気がついた。さっきから自分とタバサは頻繁に魔法を使っている。
だからその分精神力の消耗も激しい。だからもう何回か魔法を使えば精神力を消耗しきってしまう。
精神力が切れたらこちらにうつべき手段は残されていない。精神力が切れる前に決着をつけなければならない。
きっとタバサも同じことを考えているはずだ。そう思いながらキュルケはゴーレムをにらみつけた。

別にフーケは敵の行動を予知していたわけでもないし敵を警戒していたわけでもなかった。
タバサの攻撃を避けたのだって実際は偶然だ。体勢を変えさせたのではない。意識が飛びかけゴーレムが体勢を崩しただけだ。
キュルケの攻撃だってタバサに攻撃しようと腕を上げていたに過ぎない。それが防いだように見えただけだ。
フーケの片目は霞んでもう殆ど見えなかったし体外に流れ出た血は多くめまいがする。体は凍てつくほど寒く感じられ、体の感覚は殆どなくなっていた。
もういつ死んでもおかしくなかった。意識が無くならないだけでも奇跡といった感じなのだ。
正直ゴーレムの肩に乗っていることすら辛い。
しかし心に渦巻く闇が、右手の痛みが、そしてフーケを守るかのような運が、フーケを死から支えていた。
片目でも狙いは定められる。フーケはゴーレムの腕を振るわせる。
本当はもっといろいろな攻撃方法がある。だが今の血の巡りが悪いフーケには思いつかなかった。

ギーシュは痛みによって目を覚ました。
腕が、腕がとにかく痛い。叫び声をあげたいがそれすらあげれないほど痛いのだ。
その激痛の発生源である右腕は動かすことができなかった。
しかし、何だか痛みを捻じ伏せようと意識を逸らす。
ギーシュは忘れてはいなかった。今は戦いの最中なのだ。この程度の痛みで根を上げていては戦えはしない。
ギーシュには見えていないが実際怪我は相当ひどかった。
敵のゴーレムの拳はギーシュの右腕に当たっていた。
そのとき、右腕の肉は抉れ血が噴出し骨も見えるほどで、あたった部分の骨は砕けている。肩はそのときの衝撃で外れている。
おそらくギーシュは怪我を見ていないから痛いで済むのだろう。見て自覚すれば卒倒すること間違い無しの怪我だ。
だがなぜ気がつかないのか。答えは簡単だ。そこがとても暗かったからだ。
それにギーシュも気がつく。ここは何処だろうか?とても暗い。真っ暗といっても良いほどだ。
それに息苦しい。
そのときギーシュは自分の隣に何か生き物がいるのに気がついた。
その生き物は……

ゴーレムの振るう拳を避けながらキュルケとタバサは隙を探していた。
隙は確かに存在する。しかし決定的な隙ではない。
さっきの攻撃を防ぐのだから単純な隙はきっと防がれてしまう。だから決定的な隙を探すしかない。
そのために逃げ回っているのだ。
しかし逃げ回るのでも限界がある。今かわすだけでも精一杯なのにこれ以上体力が落ちたら敵の攻撃に当たってしまう。
それに本当なら敵はとっくに精神力が切れている頃だ。なのに何故こんなにもゴーレムを操り続けられるのか。
化け物。
そんな言葉が頭をよぎる。スクウェアメイジでもこれほどの間これほど大きなゴーレムを維持していられるだろうか。
そんなことできるわけが無い。
そんな相手を自分が倒せるのだろうか。
いや違う!倒せるかではない。倒すのだ!ギーシュを殺した報いを受けさせなければならない!
そう思いながらゴーレムの拳を寸でかわし隙を探し続けた。


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