ケモノ


…正直、人型兵器に乗るのは初めての事だ
まさかビルよりも高い目線から、自分が見下ろす事になるなど考えもしなかった
一歩踏み出すごとにアスファルトが窪み、自分自身が如何に巨大な存在であるかを思い知らせる
心地良い。天から見下ろす神とは、このような気分なのだろうか
手元にあるマニュアルによれば、この兵器はペダルやレバーに依る操作では無く、パイロット自身の脳波、意志で動くらしい
こ難しいMSなどの事を考えれば、遥かに簡単な操作だ。これがパイロット経験の無い自分に支給されたということは
まさに幸運だったのだろう

液体の満たされたコクピットでほくそ笑む
素晴らしい。素晴らしい。素晴らしい!
初めてここに連れて来られた時は、この境遇に嘆いた。だが、今のこの状況。それは「合法的に人を殺せる事実」
捕虜を拷問しようと、無差別攻撃しようと何ら咎められる事の無い、まさに楽園
あの仮面の男が殺せというなら殺してやろう。全員を殺せと言うなら殺してやろう
これが夢でも構わない。ワシ以外は皆殺しだ



ワシは地球防衛軍、太平洋方面本部司令官。三輪防人
だが今は、1人の殺戮者としてこの地を亡骸の海にしてくれよう

鬼の様な蒼茫の機体の目が妖しく輝き、ゆっくりと、地面を踏みしめるように歩いて行く
背のケーブルを尾の様に引きずり、やや前屈姿勢で進むその姿は、まさにケモノそのものであった


【三輪防人 搭乗機体:エヴァンゲリオン初号機(新世紀エヴァンゲリオン) 
 現在位置: G-6周辺の目立たない場所
 第一行動方針:機体にまだ慣れていないので、その辺を散策しつつ操作の練習中
 最終行動方針:皆殺し】



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最終更新:2008年06月02日 20:58