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アムロの決断


真っ赤な色をした流星が…否、彗星が、殺戮の舞台へと真っ逆様に降下していく。
ジオニック系統の曲線主体のシルエットとモノアイ。高機動と重火力を併せ持つが故の重々しい巨体。
そしてパイロットのパーソナル・カラーである真紅。
今戦場に降り立ったモビルスーツ…赤い彗星最後の相棒、サザビー。
しかし、その機体に乗り込んだ少年はそれを知らない。
知ることになるのは…その少年にとっては十年以上も未来のことなのだから。
サザビーのパイロット、アムロ=レイ。彼は一年戦争に於いて最高のニュータイプと呼ばれていた。

サザビーは全身のスラスターを全開にして、遙か上空から降下してきたがための加速を瞬時に0へと変えた。
そのまま柔らかく着地し、立て膝を付いた格好で動きを止める。
コクピットに座ったアムロは、額に浮いた汗を拭ってため息を一つついた。
(なんてモビルスーツだ…ガンダムの3倍近いエネルギーゲインがある)
常識を ―― 一年戦争時の常識を越えたその性能に驚愕しながらも、アムロはなめらかな手つきで各計器をチェックしていく。
一緒に支給されたマニュアルに目を通しながら、アームレイカーを握りキーボードを叩く。
基本はモビルスーツなのだから、慣れた物だ。
サイコミュシステムは起動、自分ならば扱えるだろう。暖機、武装チェック、索敵…。
―問題なし。ただ付近のミノフスキー粒子は異常に濃い。深呼吸したらむせ返りそうなほどの量だ。
レーダーは完全に使用不能。通信もお互いが見えるくらいの距離でなければ使えまい。

すべてのチェックを終え、アムロはふと現在の状況に意識を戻した。
(僕は…ア・バオア・クーに居たはずだ)
シャアと生身で戦い、そしてホワイトベースの皆に導かれ、脱出したと思ったそのとき、自分はあの妙な部屋に倒れていた。
アムロは空を見る。真っ青な空に、巨大な異形の戦艦――ヘルモーズと言うらしい――が浮いているのが見えた。
皆、あそこから落とされて来ているらしい。

あそこにユーゼスが居る。思わずアムロは戦艦にビームライフルを射かけようとして、止めた。
首輪のスイッチを入れられてはたまらない。
(殺し合いだって?たちの悪い冗談ってやつだろうさ…いや、違うか)
冗談でここまではしまい。本気でやらされるのだろう。殺し合いを。
アムロはアームレイカーを握ったまましばし考え…やがて、正面を見据えた。

「要は五十機、六十機を墜とせって言うんだろう?やってやるさ」
アムロはペダルを蹴り、サザビーを飛翔させた。
真っ赤な巨体を誇示するかのように、目立つ動きで、自分を釣り餌にするために。
周囲の岩山を蹴り、狙われるようなことがあってもすぐさま回避行動をとれるように神経と感覚を張りつめさせて。
「僕にはまだ帰れるところがあるんだ…こんなところで終わるわけには行かない!」

ホワイトベースのクルーがこのゲームに参加していれば、この少年の決断も違った物になったかもしれない。
しかし彼は決断した。返るべき場所の為に。

「やってやる…相手がモビルスーツなら、人間じゃないんだ」

【アムロ=レイ 搭乗機体:サザビー(逆襲のシャア) 
 現在位置: A-8から別の場所へ移動中
 第一行動方針:目立つ動きを取って敵を釣り出す
 最終行動方針:ゲームに乗る。生き残る】



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第2話「ルール説明~開始 投下順 第4話「ケモノ
第2話「ルール説明~開始 時系列順 第4話「ケモノ

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