東方不敗が死ぬ時、殺意は暴走する


E-4。
悪しき細胞によって汚染され、瘴気に満ちた地。
その中央部に鎮座する巨大な悪魔――デビルガンダム。
そして、見渡す限り一面に蠢き犇き合う、機械の触手――ガンダムヘッドの群れ。
今やその地は元の形を完全に失い、巨大な悪魔の巣と化していた。
そんな巣の中に、悪魔を倒すべく不敵にも正面から攻め込む、二つの影があった。
忍者と怪鳥。奇妙な取り合わせである。
零影を駆る、東方不敗マスターアジア。
ネブラの姿となった、ベターマン・ラミア。
数時間前まで戦闘を繰り広げていた彼らだが、悪しき気配を察知し、どちらともなく戦闘を中断。
二人は、ただ危機を感じる本能に従い、気配を追ってこの地に辿り着いた。
仲間でもなければ、意思の疎通すらもされていない。そんな二人を繋ぐ目的はただ一つ。
デビルガンダムの撃破。
そのために、二人は巣の中を突っ走る。数え切れないほどの触手を蹴散らしながら。

「十二王方牌・大車併ぃぃぃぃぃん!!!」
叫び声と共に零影から放たれる、流派東方不敗の奥義。
放出された12の気の塊は零影の分身となって、迫る触手を次々と打ち倒していく。
しかし、圧倒的な物量を誇る触手の前には、冴え渡る奥義も焼け石に水。
何せエリア一つ丸々が、デビルガンダムと化しているのだから。
「ええい、埒が明かんか!」
予想を遥かに超えたデビルガンダムの力に、東方不敗は忌々しげに吐き捨てる。
デビルガンダム本体を目前に、彼らの快進撃は止まる。
本体の周りの守りは他と比べて厚く、彼らの力を持ってしても突破することは難しかった。
「キョウジの時とは比較にならん……一体どんな手を使いおった……!?」
東方不敗は知らない。
ランタオ島の戦いの後の、デビルガンダムの進化の行方を。
デビルガンダムに最もふさわしい生体ユニットの条件を。
そして今のデビルガンダムは、その条件を満たした者が乗っていることを。
もう一つ付け加えるなら、その上にゲッター線や人の持つ負のエネルギーといった、更なる力が宿っていることも。
そうした条件が重なって、悪魔は絶大な力を持って立ちはだかる。

(どうしたものか……!)
旗色は悪い。敵の戦力はほぼ無尽蔵。このまま戦いが長引けば、いずれこちらが力尽きる。
(奴のほうはどうなっている――?)
東方不敗は、悪魔に立ち向かうもう一つの影、ベターマン・ネブラに目を向ける。
押し寄せる触手の群れを、ネブラはその喉から迸る断末魔の如き声によって粉砕していく。
それでも、やはり数が多すぎた。それだけで手一杯、そこから前に進めないようだ。
(奴も身動きが取れそうにないか……む?)
東方不敗は気付いた。ネブラを襲う触手の動きに。
それは自分への攻撃のような、明確な殺意を持ったものとは違う。
まるでネブラを捕らえようとしているように見えた。
(まさか、デビルガンダムは奴を取り込もうとしているのか!?)
ベターマンの持つ、その特異な能力。その本質が如何なるものか、東方不敗が知る由もない。
だが、あれが進化を続けるデビルガンダムに取り込まれでもしたら?
どうなるかは想像もつかないが……現に、デビルガンダムはベターマンを取り込もうとしている。
つまり、必要としているということだ。ならば、少なくとも今以上に厄介な事態に陥る可能性が高い。
そうなる前に、手を打たなければならない。
(これ以上は時間をかけられんか。ならば、一気にケリをつけるほかあるまい!)
面を上げ、そびえ立つデビルガンダムの本体を睨みつける。
かつてデビルガンダムのもとに身を置いたこともある彼は、その機能を……弱点をも熟知している。
デビルガンダムを止めるための手は一つ。
即ち……コアユニットの破壊。
東方不敗の目的を察したか、さらに多くのガンダムヘッドが壁となって立ち塞がる。
壁の向こう側の本体は、瞬く間に完全に見えなくなってしまった。
「この数に加えて、自己再生と増殖能力……並の攻撃では通してはくれんか。ならば……」
零影が構えを取る。同時に、周囲の空気が震えだした。
「並の攻撃でなければいいだけの話よ!!」
それは、東方不敗最大の必殺技の構え。
零影にエネルギーが集まってくる。その光景に、周囲のガンダムヘッドすらも怯みを見せた。
「流派……東方不敗が最終奥義……!」
己の気のみならず、大地の気、大気の気、自然の気をも身体に集め。
その気の塊を一気に放出する最終奥義。
その名も―――

「 石 破 ! 天 驚 拳 ぇ ぇ ぇ ん !!」

零影の拳から、膨大なエネルギーの塊が撃ち出される。
それは巨大な手の形へと変わり――目前のガンダムヘッドを飲み込んでいく。
その勢いのままに手は悪魔の防壁に叩き込まれ、その守りを削り取っていく。
しかし……それでも、穴を空けるにはまだ足りない。
DG細胞の厚い壁は、究極の一撃を持ってしても貫くことはできず――

「これで終わりと思ったかぁっ!!」

即座に、二発目の石破天驚拳が放たれた。
病という名の枷から解き放たれた今の彼には、最終奥義の連発すら造作もない。
その一撃は、放たれた一発目と寸分違わず同じ場所に叩き込まれる。
強力な攻撃の二連発によって、壁となるDG細胞は修復される間もなく塵と化していく。
火力の一点集中。ついにその防壁に僅かに穴が空いた。
(よし……もう一発撃てば、十分な突破口を開けるか……!)
手応えを確信し、三度、最終奥義の構えを取る。
零影の全身に膨大な気が集まってくる。その気を制御し、両手に集中させ……
みしり。
そんな音が僅かに聞こえたような気がした。
機体が軋んでいる……?
流派東方不敗の常識を超えた動き。ベターマン、デビルガンダムといった強敵との連戦。何より、最終奥義の連発。
それらによる機体への負担はあまりに大きかった。
それでも、東方不敗は技の発動を止めない。
(持つか?いや、仮に持たなかったとしても、突破口さえ開ければそれで十分よ。
 あとはこの身一つででも、コアを叩き潰してくれるわ!)
覚悟を決め、東方不敗は制御した気を解き放つ。
「貴様も忍者の端くれなら、持たせてみせぃっ!!
 石破ぁ!!天驚ぉぉぉぉぉ……」

  ドクン

「ぐぅっ!!?」
零影が構えを解き、膝をつく。
同時に、手の中の気の塊も消えた。
(な、なんだと……!?)
持たないのは、東方不敗のほうだった。
東方不敗の身体の奥底から響き渡るような鼓動。
それは、抑え込んでいた破壊の衝動が、急激に肥大化していることを示していた。
石破天驚拳の連発が、スイッチとなったのか。あるいはこの地に蠢く瘴気が、負のエネルギーが、内に眠る殺意を呼び起こすのか。
(ぬぅ……いかん、これ以上は……!)
意識が少しずつ、しかし確実に殺意で塗り潰されていく。常人ならこの場で狂い死にしても不思議ではない。
今でこそこうして抑え込んでいるものの、このまま戦い続ければ、いずれ抑え切れなくなる。
東方不敗の強靭な精神力ですら限界が近づくほどに、その闇は強まっていた。
(くっ、今一歩のところで……!!)
石破天驚拳によって拓かれようとしていた突破口が、自己再生能力によって修復されていく。
塞がれる前に追撃するにも、これ以上石破天驚拳を撃てば……間違いなく、自身が暴走する。
「ええい、何たるザマだ……!!」
そうしているうちに、零影のもとに一気に触手の群れが押し寄せてきた。
零影は立ち上がりざまに、手裏剣型の光線を触手に向け撃ち出す。
それがいくつかの触手を破壊するものの、倒しきれなかったものがビームと爆発の中を潜って零影に迫る。
(いかん、かわしきれんか――!!)
しかし、ガンダムヘッドが零影に食らいつくことはなかった。
大気が震え、周囲の空間が一瞬歪んだかと思うと――零影の目前で、ガンダムヘッドが粉微塵に破壊された。
(これは振動波……奴か!?)
振り返れば、ネブラが雄叫びをあげている。
DG細胞の固有振動数に同調させた超高周波振動が、ガンダムヘッドのみを粉砕していく。
音圧の響く範囲内にいるにも拘らず、零影はダメージ一つ受けることはない。
(こ奴、ワシを守ったのか?)
東方不敗は、ベターマン・ラミアの取った行動に驚いた。
共通の敵の存在という理由を付けられるとはいえ……元々、彼は自分を倒すつもりではなかったのか?
(何故だ?いや、今はそれよりもデビルガンダムだ――)
気を取り直し、東方不敗は冷静に戦力を分析する。ベターマンを味方と考慮した上で。
目の前のガンダムヘッドの群れによって作られた防壁は、既に再生を完了しようとしている。
防衛線を突破して本体のコアまで辿り着くには、先程同様、石破天驚拳クラスの破壊力を持った攻撃が数発必要だろう。
だが、今の自分がそれを行うのは危険だ。それとも、殺意に意識が取り込まれる危険を承知の上で、強行すべきか?
あるいは彼の、ベターマンの力ならどうか?
ネブラのサイコ・ヴォイス。強力ではあるが、しかしこれだけでは決定打に欠ける。
もっとも、彼はまだ力を隠し持っていると思われるが……それを使う素振りは見せない。過度の期待は禁物か。
そう考えると、現状で自分達に敵の防衛線を突破できるだけの火力はない。
その上これ以上戦いが長引けば、東方不敗の中の破壊衝動が抑え切れず、暴走することになる……
そこまで考えて、東方不敗は何とも屈辱的な事実に気付く。
(むしろ、ワシのほうが足手まといということか……フン)
ネブラが零影の傍らへと歩み寄ってくる。
その目は真っ直ぐにデビルガンダムを、そしてガンダムヘッドの群れを見据えている。
共に協力して戦おうというのか。いや――東方不敗を守ろうとしているのか?
「聞こえておるか?今の一撃、礼を言っておくぞ」
東方不敗がネブラに呼びかける。
返事は返ってこない。果たして、言葉が伝わっているのか。
構わず、東方不敗は話し続ける。
「よいか……今のワシらだけでは奴は倒せん。ここは退くぞ」
敵を前に、撤退。彼の口から、事実上の敗北宣言が紡がれた。
戦力不足だ。ここにいる二人だけでは、勝てない。
それを痛感しているからこそ、敵との戦力差を十分把握しているからこそ……逃げを選ぶ。
<いいだろう――>
そんな声が聞こえたような気がした。
それと同時に、周囲に濃い霧がかかりだし……デビルガンダムを撹乱させる。
肯定の意を示した、と解釈していいだろうか。
「ならば……ゆくぞっ!」
怒声が響くや否や、零影とネブラは敵に背を向け、走り出した。
彼らの撤退を阻止しようと触手が集まってくるが、本体の鉄壁の守りに比べれば層は薄い。二人を止められるほどではなかった。
逃げる、逃げる。迫る触手をひたすら蹴散らし、一目散に逃げる。
これからさらなる被害を広げようとする敵を目の前にして、無様にも逃げ出す。
(だがこのままでは済まさん。いずれ何としても、奴はワシが倒す……!!)
敗走の屈辱を噛みしめ、零影は走る。
触手の海の中を縫っていくうちに、ネブラと自分との間の距離が次第に広がっていく。
触手の群れに遮られ、再合流は不可能だろう。このまま、はぐれるのは時間の問題だ。
そう感じた東方不敗は、最後にネブラに向けて叫んだ。
「奴の狙いは貴様だ!!挑発には乗るな!!ワシが戻るまで、奴に手出しするでないぞ!!」
ベターマン・ラミアが真の力を出していないことについては、東方不敗も見抜いていた。
敵に、迂闊に手の内を晒すな――果たして、東方不敗のメッセージは届いただろうか。
返事は返ってこない。ベターマン・ネブラの姿も、そのまま触手の向こう側へと消えていった。
(よいな……決して先走るでないぞ……!)


(奴は無事に逃げられたか?)
E-5の橋を越える。周囲にはもうDG細胞の存在はない。ベターマン・ネブラの姿も。
東方不敗は逃げてきたE-4の方角を振り返る。
そびえ立つデビルガンダムは、その位置からでも十分に確認できた。
デビルガンダムには、依然として何の変化も見られない。
もしベターマンを取り込んでいるならば、何らかの変化を起こしていても不思議ではないだろう。
もちろん、これだけで判断するのは早計ではあるのだが……。
彼ほどの実力なら、あの場を脱出するくらいは造作もないはずだ。逃げ切れた、と信じたい。
全く持って、奇妙な男だった。
拳を通じて語り合い、僅かな間とはいえ共に闘った、人間ですらない異形の男。
彼が自分を追い、狙った理由は漠然とながら勘付いていた。
おそらく、自分に潜む破壊の衝動。襲いかかって来たのは、それを滅ぼすためだろうか。
にも拘らず、デビルガンダムとの戦いでは、彼は自分を助けた。
自分の中の殺意は、もはや暴走寸前の危険な状態であるのに。
殺意を抑え込む自分を信じたが故の行動だろうか?あるいは戦いを通じて、彼の心に何かが生まれたとか?
(まさか、な……)
それは一方的な思い込みかもしれない、だが。
(いずれにせよ、ワシを守りおったあ奴のためにも……この殺意に、負けるわけにはいかんな)
決意を新たに、零影は再び走り始める。
(もし機会があれば、奴とは互いに全力で戦ってみたいものだ……)
しかしこの後、この二人が生きて再会することはなかった。

東方不敗は現在、G-6へと向かっている。
基地のような目立つ施設ならば、参加者も集まりやすい。
設備が整っているならば、そこで首輪の解析を試みている者達もいるかもしれない。
ならば、デビルガンダムを打ち倒すための、引いてはこのゲームを潰せるだけの仲間を得られるかもしれない。
そう、仲間を……一人での限界を知った彼は、その存在を求め動き出す。
……そもそも、初めからそうすべきだったのだ。
どれだけマーダーを倒して回った所で、このゲームが継続される以上、殺し合いを止めることはできない。
殺し合いが憎しみや悲しみを生み出し、その感情が新たな殺し合いを促す。
根本を絶たねば、この泥沼は終わることはない。
ゲームを潰すなら、そのための行動を何よりも優先すべきだったのだ。
(ワシとしたことが、大局を見誤るとはな……!)
第3回放送の時点で、死亡者は既に37人。それから6時間、死者はさらに増えていることだろう。
その中に名を連ねた、流竜馬とリオ・メイロンを思い出す。もしあの時、自分が彼らと共に戦う道を選んでいれば。
彼らを守れたのではないか。彼らもまた、違った未来を見ていたのではなかろうか。そしてデビルガンダムも……
……しかし今は、己の不甲斐なさを悔やんでいる時ではない。
一刻も早く仲間を集め、デビルガンダムへの対処を考えなければならない。
今でこそ落ち着いているものの、これからデビルガンダムがさらに進化する可能性は十分に……
「む……?」
思考が遮られる。
遮ったのは、察知した新たな気配。
「何奴ッ!!」
零影は気配の先、暗闇の中で動く影のほうへと振り向き、
――迷うことなく、太腿に装備されたミサイルを撃ち出した。
爆発。閃光が走る。
ミサイルは牽制。当てるつもりで撃ってはいない。
爆発の明かりの中から、紫の影が飛び出した。
「そこかっ!!」
敵の存在を確認し、地を強く蹴って突進する。
『待て!こちらはゲームに乗るつもりは……!?』
通信が入る。パイロットが何やら言っているが、――関係ない。
一気に間合いを詰めにかかる。
『ちぃっ!!』
敵はハンドガンを構え、零影へと向けてくる。
しかし遅い。
蹴りを一閃――ハンドガンをその手から弾き飛ばす。
『何ッ!?』
怯み、体勢を崩したその隙に、零影は徐に敵へと飛び掛かった。
右手指先に闘気を集め、その手で敵の頭を砕かんと掴みかかる。
「ダァァァァクネス……ッ!?」

間一髪で、我に返る。
右手は、敵の――エステバリスの顔面ギリギリで止められた。

今、ワシは何をした……?

「……すまぬ」
『何……?』
エステバリスのパイロットは、面食らった様子で言葉を返す。
いきなり問答無用で攻撃したかと思えば、いきなり謝罪して攻撃を止める。意味不明だ。
謝罪したからといって、普通ならばこの状況でただで済むはずはないだろう。しかし……
『……ゲームには乗っていないんだな、あんたは』
相手は――ガルドはあくまで冷静だった。


東方不敗とガルド・ゴア・ボーマン。互いにゲームに乗っていないことを確認し、両者の和解は驚くほどスムーズに行われた。
情報を交換し、二人は行き先が同じG-6基地であるとわかった。
仲間を、友を求めて。ひいては、このゲームに立ち向かうため。
志を同じくした二人は、共に行動することとなる。
「ガルドだったな。急ぐぞ、もはや一刻の猶予もない!」
『承知した……』

――そうだ、もう時間がない。
急がねば。ワシがワシでなくなる前に……



【東方不敗 搭乗機体:零影(忍者戦士飛影)
 パイロット状況:良好。アルジャーノンの因子を保有(殺戮衝動は気合で抑え込んでいるが……?)
 機体状況:機体表面に多少の傷(タールで汚れて迷彩色っぽくなった)
      鎖分銅消滅、弾薬消耗。ボディへの負担大。
 現在位置:E-6
 第一行動方針:ガルドと共にG-6へ向かう
 第二行動方針:他の参加者にデビルガンダムの脅威を伝える
 第三行動方針:デビルガンダム及びユーゼス打倒のための仲間を集める
 第四行動方針:ゲームに乗った者を倒す
 最終行動方針:必ずユーゼスを倒す
 備考:これ以上の戦闘行為は危険です】


(デビルガンダム……か。また厄介事が増えたらしいな)
東方不敗と名乗る男から入手した情報。
ガルドにとっては、にわかには信じがたい話ではあったが……
テムジンに宿った不思議な力といい、このゲームはもはや何が起きても不思議ではないところまで来ていた。
(主催者は一体何を企んでいる?今、このゲームで何が起きているのだ……?)
思考を巡らすも答えが出るはずがない。そこに、零影からの通信が入る。
『ガルドだったな。急ぐぞ、もはや一刻の猶予もない!』
「承知した……」
東方不敗。情報交換の際のやり取りから、破天荒ではあるが、基本的には落ち着いている老人だ。
先程、殺意を剥き出しにして襲いかかって来た時とは別人のようだ。
それこそが、彼が東方不敗を驚くほどあっさりと受け入れた理由だった。
(やはり、この男は……)
ガルドは、東方不敗が自分の内なる衝動に抗っているような印象を受けた。
心に潜む、攻撃衝動。
……他人事とは思えない。

思い返す。
かつて自分の犯した、許されざる罪を。
一時は記憶の奥底に封印していた、しかし決して忘れてはならない罪を。

そう、忘れてはならない。
彼の中には、今も巨人族の血が流れていることを。

エステバリスと零影は、G-6へと向けて飛び立つ。
果たして、彼らの行く末は如何に。



【ガルド・ゴア・ボーマン 搭乗機体:エステバリス・C(劇場版ナデシコ)
 パイロット状況:良好
 機体状況:エネルギー消費(中) 駆動系に磨り減り
 現在位置:E-6
 第一行動方針:東方不敗と共にG-6に向かい、イサムの存在の確認・合流
 第二行動方針:G-6にて、首輪・マサキの情報を集める
 第三行動方針:空間操作装置の発見及び破壊。デビルガンダムへの対処
 第四行動方針:チーフとの合流
 最終行動方針:イサムの生還および障害の排除(必要なら主催者、自分自身も含まれる )
        ただし可能ならばチーフ、自分の生還も考慮に入れる
 備考:東方不敗の殺戮衝動の存在に漠然と気付いています】

【二日目 22:10】





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最終更新:2008年06月02日 17:07