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芝村:
ここはFVBの宇宙ステーションだ。

芝村:
無重量ブロックだよ

時雨:
慣れない宇宙でふわふわしています……

芝村:
貴方の手を誰かが取った

時雨:
顔を見ます。

芝村:
エステルだ。

エステル:
「なにをしているのですか?」

時雨:
「あ、ありがとうございます」

時雨:
「すみません、こういうのは不慣れなもので」

エステル:
「そうみたいですね」

芝村:
エステルは微笑んだ。

エステル:
「いつもの逆です」

時雨:
顔が赤くなります。

「はい……」

芝村:
エステルは貴方を隅につれていった。

エステル:
「リフトをちゃんと掴んでください」

時雨:
「わ……」

手を引かれるままに。

エステル:
「いいですね?」

時雨:
「はい」

時雨:
リフトをしっかり握ります

エステル:
「この先に重力区画があります」

エステル:
「では」

時雨:
「え、ちょっと!」

時雨:
リフトを離します

芝村:
貴方は回転している

エステル:
「何をやっているんですか」

時雨:
何とかバランスをとろうとします

時雨:
「いや、ではって」

芝村:
エステルが手を握った。

芝村:
エステルはため息をついて貴方をリフトに捕まらせた。

時雨:
「一緒には行ってくれませんか?」

エステル:
「重力区画では、飛べないじゃないですか」

芝村:
エステルはもーというかんじだ

時雨:
[じゃあ、僕ももう少しこっちにいます」

エステル:
「怪我しますよ?」

時雨:
「僕も地上であなたを怪我させてしまいましたから、そうなったらおあいこです」

エステル:
「妙にこだわりますね?」

時雨:
「……まだちょっと、気にしてるんですよ」

時雨:
「よかったら、どうしたら怪我しないよう飛べるか教えてもらえますか?」

エステル:
「……いいですけど」

芝村:
エステルは貴方の手をとって、まず壁を蹴った

時雨:
「ありがとうございます」

時雨:
はい

エステル:
「作用反作用の法則は?」

時雨:
「一応、打ったものが返ってくるという程度には理解しています」

エステル:
「上出来です」

エステル:
「何もしなければ、そのまままっすぐすすみます」

芝村:
二人で空中を飛んでいる。

時雨:
「わ……」

時雨:
目を見開いて、驚いています

芝村:
壁が迫ってくる

時雨:
手を突きます

エステル:
「怪我しますからダメです」

時雨:
あわてて止めます

芝村:
エステルは姿勢を変えた。

芝村:
脚で衝撃を吸収した。

時雨:
真似します。

エステル:
「脚で蹴ったら、脚で支えてください」

時雨:
「はい」

エステル:
「脚は手の3倍ほど、強いんです」

時雨:
「なるほど、手で張り付くよりいいんですね」

エステル:
「手で軽く飛ぶときは手で支えてもいいです」

時雨:
「これ、上とか下にいきたい場合はどうしたらいいんでしょうか」

芝村:
エステルは壁についた後、斜めに飛んだ。斜めに壁を蹴った。

時雨:
「すごい」

エステル:
「あくまで、作用反作用です。それだけ覚えてください」

時雨:
「わかりました。打っては返し、打っては返しですね」

時雨:
自分で少しやってみます

芝村:
ジャンプというか跳躍の時に気をつければ、斜めに飛べるね

芝村:
宇宙ではまっすぐ飛ぶことは、実はまずない事に気付いた。

芝村:
基本斜めに飛んだほうがやりやすい

時雨:
「そうか、上とか下にこだわらない方がいいのか……」

芝村:
向きかえるにも一度壁につかないといけないからね

時雨:
「よっと……」

天井を叩いて、逆さまになってみます」

芝村:
うまく出来た。

時雨:
「へぇぇぇ……」

芝村:
唐突に気付いた。ポールなどに腕や脚をひっかければまがれる。

時雨:
やってみます

芝村:
できた。凄い速度で曲がれるぞ

芝村:
あ・・・

時雨:

芝村:
エステルがすごーい面白くなさそうな顔でにらんでる

時雨:
「えー……」

時雨:
そっちに行きます

エステル:
「楽しそうですね」

時雨:
「ええ、先生がいいおかげで」

エステル:
「最初の5分しか教えていません」

時雨:
「一番大事なところを教えてくれたじゃないですか」

芝村:
エステルはぶーたれてる。

芝村:
いつかの逆だ(笑)

時雨:
いつかって……ああ、お箸に負けたときか(笑)

時雨:
「……機嫌直してくださいよ」

エステル:
「無重量に負けるなんて・・・」

時雨:
「負けたって、何ですか?」

エステル:
「なんでもありません。好きなだけ練習してください」

時雨:
「……僕だってこの間、お箸に負けたし」

エステル:
「あれは、それが出来ないと食事できないじゃないですか」

時雨:
「……それと一緒ですよ。これが出来ないとあなたと一緒に宇宙にいられないじゃないですか」

エステル:
「宇宙に滞在するわけじゃないでしょう!」

時雨:
「お箸だっていつも使うわけじゃないじゃないですか」

芝村:
エステルは貴方をにらんだ。

エステル:
「負けず嫌い」

時雨:
「貴女ほどじゃないですよ」

時雨:
睨み返します

時雨:
「それに……言ったじゃないですか、あなたを宇宙に帰す、ずっと一緒にいたいって」

エステル:
「今はじめてききました!」

時雨:
「もう!」

エステル:
「最低です。来るんじゃなかった。バカ!」

芝村:
エステルは泣いてどっかいった。

時雨:
抱きとめます

時雨:

芝村:
まにあわず

時雨:
追いかけます

芝村:
涙の玉が宙にういてる。

芝村:
さすがにおいつけなかった。

芝村:
どうする?

時雨:
探せますか?

芝村:
無理だね

時雨:
じゃあここで一人でふわふわしてます……

時雨:
「エステル……」

芝村:
涙の玉が、唇にあたった。

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次回を待て!
最終更新:2008年02月07日 06:07