ワイマール共和国(ドイツ)におけるハイパーインフレーション
1.インフレーションの原因
農・工業上重要な地域の領土割譲
1921年までに10億金マルク(現金)、50億金マルク(物納)という莫大な額の賠償金支払い
#全額完済は2010年
戦時公債の大量発行
「産業の総生産」-資材の大量消滅
鉱工業の生産力低下
家畜(1/3)が消滅
人的損害:600万人
○その結果
貿易赤字の拡大-恒常的インフレーション
貨幣価値の低下
政府の政策・増税・一般税、特別財政税
1919ー1923、国家予算に310億マルクの赤字
2.共和国の危機の犠牲者と利得者
フランス・ベルギーによるルール地方占領と消極的抵抗(ルールの労働者による無期限のゼネラルストライキ)の影響
- 石炭:イギリスなどからの輸入→外貨の流出
- 共和国政府によるルールゼネストの支援
↓
ハイパーインフレにより中間層(特に固定給与の公務員)が困窮
心理的・経済的な打撃
↓
国家体制への不信・不満
○利得者
連邦政府/各州政府-(団体・地方債権・株式の買い戻しが起こるため)
地方自治体/企業
↓
長期の債務契約を結んでいる
3.ハイパーインフレ後の流れ
1922年末
財界、賠償金支払いの保証と引き換えに労働者に有利な条件の撤廃を政府に要求
1923年
9月26日 財政負担の原因である消極的抵抗の打ち切りを政府が表明。英米の支援を得る
10月 アメリカに賠償支払い検討を打診。各国へ国際委員会への参加を了承
11月15日 レンテンマルク発行 金本位制、ドイツ国内の不動産・商業的資産を担保とする
従来の1兆マルク=1レンテンマルク
12月 ドーズを中心とする委員会が発足
表面化する共和制打倒運動。シュトレーゼマン首相の大連合内閣(中道~左派)に対する左右両派の攻撃
#右派:帝政主義保守派及び急進右派
最終更新:2011年02月01日 20:17