鈴藤 瑞樹@詩歌藩国様からのご依頼品


「・・・やはり、これは罠でした・・・」
 --橙にして鈍色のカレン、自室での呟き--


歴史保安警察内部にあるとある休憩室、食事をしたり談笑をしたりなど様々な人が安息を楽しんでいるそんな中、二人の歴史保安警察官が談笑をしていた。
「そういえば最近、カレンさん雰囲気変わったよな?」
「カレンさんって、あの橙にして鈍色の?」
「そうそう、しばらく前までは部下が行方不明とかで雰囲気がピリピリとしてたろ?でも最近は表情も柔らかくなってきて丸くなってきた感じ、しないか?」
「う~ん、カレンさんが丸くn・・・へぶぁ!」
突如現れたカピパラの群れに突き飛ばされていく歴史保安警察官B氏(仮)。

「ふぅん、【丸くなった】、ですか・・・」

そうしてカピパラの群れが去った後には、その手に特別製のブラスターを持つ鈍色のカレン本人が立っていた。

「さて、レディに対して酷い侮辱を行った罪、分かってますですよね?」
傍目にはハリセンにしか見えないブラスターを手にカレンはにこーと笑ってる。
寒気がして生きた心地がしなかったと、後に歴史保安警察官A氏(仮)は語っている・・・
「ち、ちがいま・・・丸くなったってふんいk・・・ぎゃぁ~~~~~!!!」
ブラスター一閃。吹き飛ばされ、どこからかまたカピパラの群れが現れ歴史保安警察官A氏(仮)を突き飛ばしていく。
二人の歴史保安警察官の悲鳴がカピパラと共に消えると、一瞬の静寂の後、すぐに元の喧騒に戻る休憩室。
個性的な人材の多い歴史保安警察では日常茶飯事の光景であった。

「まったく、丸くなったなんて・・・」
自室のベッドの上で、うつ伏せになり枕に顔を埋めながら呟く橙にして鈍色のカレン。
彼女には最近ひとつの趣味と悩みがあった。それが・・・
「・・・やはり、これは罠でした・・・」
顔をあげると、視界の中にチョコレートの箱があった。

そもそも彼女には間食やおやつという概念がなかった。だが、以前鈴藤瑞樹と出掛けた時に出会ってしまったのである、この、禁断の甘い果実に。
鈴藤瑞樹と別れ、自室に戻り持ち帰ったチョコレートの封を開ける。綺麗に並んだチョコレートを一つを口に運ぶ。そうすると、カレンの口の中に甘い幸せがほろりと解け広がっていった。
試食して味は分かっているはずなのに、その甘く、しかし甘過ぎず後を引く味はカレンを虜にし、気がつけば半分も食べていた。
「これは・・・本格的に危険な食べ物のようです」
今しがた摂取したカロリーを考え青ざめるが、かといって残ったチョコレートを捨てるわけにもいかない。
深く静かに理性と感情の闘争の果てに彼女が選んだ結論は
「・・・一日、に・・・いえ、三個までです」
そう自分に言い聞かせると、チョコと一緒に入っていたチョコレート専門店の簡易カタログを眺め、電話をかけるのであった。
 ・・・感情の勝利である。

とはいえ、疲れた時の糖分補給は有効的であり、休憩がてらチョコレートを食べるとその後の仕事もスムーズにはかどってきたのはカレンも自覚出来た。
それだけなら何も問題はなかったのだが、ある日カレンを悲劇が襲ったのである。
一日の仕事も終わり、お風呂で疲れと汚れを落としたカレンの視界にふと、最近使っていない体重計が目に入ってしまったのである。
「・・・・・・」
バスタオルを体に巻いたままの姿でゴクリと唾を飲み込み、意を決して挑んだカレンを待っていたものは・・・



ブラスターで破壊された体重計を見下ろし、カレンは決心した。
「・・・チョコレートの量を減らすです・・・」
そうして橙にして鈍色のカレンのダイエット生活が始まった。
まずは宣言どおりにチョコレートを減らした。本当は食べることを辞める事が出来ればいいのだが、職業柄そういうものを急に辞めると逆に苦しさが増すだけなのを知っているので、量を減らす事にした。
それだけではすぐに元の体重に戻るわけがないので、運動量も増やした。もちろん、運動した後には甘いものが欲しくなったが、あの悪夢を思い出しなんとか自分を律したりもした。


そして時が過ぎた


今橙にして鈍色のカレンはバスタオル一枚を身に纏い、最大の敵を目の前にしていた。
手ごたえは・・・・・・ある。
あるのだが、やはり不安もあった。もしこれだけやっても変わっていなかったら・・・つい先日の休憩室での出来事も頭をよぎる。
「(大丈夫、私はやりました!やったのです!)」
心の中で自分を叱咤する。恐る恐る体重計に足を乗せる。
右足・・・そして、左足・・・

「!!!!!!!」








声にならない声を上げるカレン。













そして、彼女は両手を高らかにあげた。はらりとバスタオルが落ちるが、そんな事は気にならない。
これまでの苦しかった生活が脳裏に蘇る。
だがしかし、勝ったのだ。彼女は勝ったのだ。全人類の敵から!
「やはり、節度は大事なのです」
そう呟くカレンの顔は輝いていた。









だが、彼女は知らなかった。
【今月の新作チョコレート】と書かれた新しい魔の手が間近に迫っている事を・・・



作品への一言コメント

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  • なんという展開。 やっぱりうにょさんに頼んでよかった。わらかしてもらいました。  にしても体重計カワイソス……(´・ω・`) -- 鈴藤 瑞樹 (2008-05-12 21:20:41)
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引渡し日:2008/5/14


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最終更新:2008年05月14日 22:23