むつき・萩野・ドラケン様からのご依頼品
~気づき~
彼、カール・T・ドランジは怒っていた。
ぶつけどころの無い怒りで煮えたぎっている彼は
どうしようもなく怒っていた。
理由が分からないのもその怒りを大きくしている理由の一つだった。
吐き出し口のない怒りは、家を壊されたことを発端に大きく燃え上がり、
国の対応はそこに油を注いだ。
そしてその夜。
「こんな時間に誰だ!」
そんな彼が部屋で一休みしているときに突然呼び出され、
怒り覚めやらないまま浴衣のまま、ロビーに向かうと・・・
そこに居たのはむつきだった、
「むつき・・・」
一瞬で頭が真っ白になる。
「どういうことだこの国は」
頭が回らず気の効いた言葉をかけることも出来ず、
とりあえず今まで溜めてきた国に対する怒りを吐き出す。
そして、自分の心の違和感を感じる。
それが何かを考える前にむつきが胸に飛び込んできた。
あっという間に怒りが収まっていく。
体は勝手に反応して、むつきを優しく抱きとめる。
「助けられたんだ・・・少し長い話になる」
怒りはすでに無く、ただむつきに促されるまま話す。
泣きながら見上げるむつきに激しく心を揺さぶられる。
自分の心一つ制御できないまま
その意味を深く考える余裕もなく
促されるままむつきを部屋に招き入れた。
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ベッドしかないようなシングルの部屋で、ポツリポツリと語りだす。
それと共に深く自分の心と向き合う。
「貴方が目の前で消えて、その後くらいだった、家が壊されたのは」
小動物のようにじっと側で話を聞くむつきをいとおしく思う。
「酷い話だ。死亡通知がでていたが、生き返った通告はでてなかったらしい」
自分の手をそっと握る小さな手、これからも守っていきたいと思う。
「芥辺境藩国で空戦で撃墜されて確かにしんだはずだったんだが・・・」
生きて帰れたことを嬉しく思うのは、隣にむつきが居てくれたからだと思う
萩野むつき:「だれでもいい!助けてくれてありがとう…」
むつきに抱きしめられ、自分が怒っていたのは、むつきに会えなかったからだと気づく。
「・・・」
すでにむつきが居なくては心穏やかに生きていけなくなっていることに気づく。
「ずいぶんまたせてすまない」
そして一つの決断をする。
萩野むつき:「もう一人にしないって誓ってくれる?」
「もちろんだ。結婚しよう」
青空のように晴れやかな気分になる。もう迷いは無い。
萩野むつき:「了解、カール。私、あなただけの舞踏子になります」
二つの影が重なる。
溶け合い一つの影となる。
萩野むつき:「だいすき!」
「愛している」
幾度と無く、口付けが交わされる
萩野むつき:「これからも、あなたと共に」
(愛しいむつき、いつまでも貴女と共に)
その抱擁は、その後の二人の関係を暗示すように
長く長く続いた。
~end~
作品への一言コメント
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- 読んでて湯気がでました… orz 今現在又離ればなれという状況になってしまいましたが、これを元気の元にして頑張ろうとおもいます。書いて頂いてありがとうございました。 -- むつき・萩野・ドラケン@レンジャー連邦 (2008-05-02 13:20:38)
引渡し日:
最終更新:2008年05月02日 13:20