NO.218 神室想真@紅葉国様からのご依頼品



いろいろあった。
ちょーいろいろあった。
何があったのかは、忘れることにしよう。
とにかく、お風呂入って汚れを落とそうじゃないか!
ついでに記憶も落とせないだろうか!(滂沱)
全員の意見が一致したところで、宿でお風呂に入ることになった。
今度こそ平和な時が過ごせると信じて…

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ここは男湯。
平和な時が流れていた。
戦闘もイニシャルGの山も2mフナムシもない世界とは、こんなによいものなのだろうか。
殺菌効果つきボディソープで、みんな念入りに体を洗っては
湯船でまったりとした時をすごしていた。

……はずだった。

若干1名の知識不足のために
先ほどまでとは違う騒動が繰り広げられるとは、湯船まったり組は気づいていなかった。

戌人は、水着で入ってきた、見るからにお風呂の入り方がわからなそうなエミリオに話しかけた。
「エミリオさん、入り方は分かりますか?」
「?」
やっぱり分からないんだな、と納得。
「ああ、ともかく、此方へ。
ここで、まず身体を洗ってから、お風呂へ入るのですよ。」
洗い場前の自分の横の椅子を奨め、戌人はエミリオを促した。
しかし、エミリオは顔を真っ赤にしてふるふると首を横に振った。
「は、恥ずかしいからいいよ」
その様子は、女湯のソーニャが見れば狂喜乱舞するほどのかわいらしさだったが
残念ながら周囲は野郎だけなのであった。

エミリオの反応は、日本式のお風呂がわからないのでは仕方ないのかもしれない。
みんなは軽く笑いながらも、どうやって入ればいいのかエミリオに説明しようとしていた。
しかし、ここにちょっとした偶然と不幸があった。
同年齢で、本人たちは必死で否定するだろうが割と似たもの同士な傑吏がいたことだ。

「自信がないんだな」
傑吏はふふんと鼻で笑いながら言った。
「僕の何が、自信ないって?」
先ほどのかわいらしさはどこへやら、喧嘩ならいつでも買うぜ売るぜな顔をしたエミリオが尋ねる。
「国語能力もないと見える」
すでに、お風呂のまったりした空気は2人の間にはなかった。
どすどすと音をたてんばかりの調子で出ていったエミリオに
傑吏は『勝った!』といわんばかりの表情をした。

しかし、エミリオはすぐに帰ってきた。
手に白い手袋を握り締めて。
そして傑吏に投げつけた。
……決闘だ。
お風呂でどうやって決闘ができるのかという謎はともかくとして。
「ありゃーこれは止めないと」
蒼燐はつぶやいたが、すでに決闘(という名の喧嘩)は開始されていたのであった。

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なにやら騒ぎが起こっている中、女湯は極めて平穏だった。
やってられない何かの汚れを落とすため
男湯から投げてもらった殺菌効果つきボディソープで
こちらもちょー念入りに体洗っては、みんな湯船でまったり。
うんうん平和っていいよね。
なんか黒くてかさかさしたものもいないし、体長2mのなにかもいないし。

……で、終わるはずはなかった。
「(スリルが足りない)ぼそっ」
紅葉ルウシィはつぶやいた。
ついさきほどまでのスリルは過去のものらしい。
むしろ、常にスリルのただ中にいないと安心できないのかもしれない。

「やりますか?………ルウシィさん」
目を輝かせて答えたのは、元美少年ハンターのソーニャだった。
反応の早さは、実はお風呂の話が出たときから狙ってたからではなかろうか。
元の字は消した方がいいのかもしれない。

「やりますか(笑顔)」
「ズバリ覗きです!」
「もちろん!!」
「いやぁ、美少年が居るとです、こりゃ、たまらんですたい!」
……普通は男湯の男性陣の発想ではなかろうかこれは。
しかもよく考えてみたら、この2人、プレイヤーの性別はごにょごにょごにょ。
周囲の女性たちが、予想しなかった行動に驚くばかりなのをいいことに
2人は男湯にいそいそと近づいていくのだった。

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ソーニャがうきうきわくわく美少年はよいですのうといわんばかりに覗き込んだとき
最初に目に入ったのは、傑吏とエミリオの大喧嘩姿だった。
美少年が2人、らっきー! やはり男湯ってたまらんですたい。
これでごはん三杯は余裕でいくとですよ!!
……ではなく。
「あら、失礼遊ばせって、えぇぇ!?」
思わずの大声。

「って、ソーニャさん、何を!?」
戌人が驚くが、ソーニャは気にしていない。
「ちょ、ストップストップ!」
ソーニャは喧嘩を止めようと、力の限り男湯に乗り込んでいく。
「ソーニャさんだめーーーっ」
「あーーーーー」
川原と阪が女湯から止めようとするも、手遅れだった。

ここでかけられるはずのない声に傑吏とエミリオはそろって振り向いた。
喧嘩をとめようとしてやってきた…ソーニャ…ここは男湯みんな裸(水着の一名除く)。
2人は仲良く、同時にソーニャに背を向けたのだった。
なんだ、けっこう気が合うじゃないか。
「あ………」
とりあえず喧嘩が止まったのはよかったけれど、どうすればいいのか。
ソーニャの動きが止まった。

「きゃーえっちー」
覗いたのは自分だろってのをおいといて
ルウシィが男湯に桶を投げつけ、さらなる混乱を誘う。
「まて、ここは男湯だぞ」
妹以外にはどこでもだれでも冷静な千葉。
「いやいやいや、覗いたのはそっちでしょうが!?」
「・・・・・・・・・・・・・(取り敢えず、お湯に入って下半身を隠す。)」
「ここ混浴チガウヨ!」
そして大混乱の男性陣。
大パニックの中、ソーニャはどさくさに神室に桶を投げつけて
女湯へと逃げだしていった。

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けっきょくソーニャ他は、こっぴどく怒られることとなった。
「わ、私も怒られた…?」
しょぼんとする玲音。
残念ながら、止められなかった女湯のみんなも同罪扱いなのであった。合掌。



作品への一言コメント

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  • お忙しい中ありがとうございました。エミリオと傑吏の部分を見て、やはり依頼して良かったと心底思いましたw -- 神室@紅葉国 (2008-03-25 18:12:16)
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最終更新:2008年03月25日 18:12